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小振りな社殿の前に、一対のお犬さまが置かれています。
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そして社殿向かって右手の像が恐らく阿形(「恐らく」の理由は後述)。
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吽形の頭部。大きく張り出した目の造形が特徴的です。唇は開いていますが歯は噛み合って閉じているように見えます。鼻先から目元にかけて、髭のように彫られた筋も見えます。耳の先端は欠損しているようです。
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吽形を背後から。背中に沿って並ぶ膨らみは恐らく棘突起を表したものだと思いますが、かなり大きめに波打ったように表現されているため、らくだのこぶのようです。
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こちらは阿形と思われる像の頭部。口吻が大きく欠損し、元の形状は分かりませんが、残る口端の形状が左手の像よりも大きく開いているように見え、また、先述のように左の像が口を噛み締めているように見えるため、こちらを阿形と判断しました。こちらの像も吽形同様、目は大きく張り出した造形となっています。耳の先端は吽形よりも欠損の程度が大きいようです。
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阿形を右側面側から。しなやかなカーブを描く首筋が躍動感を感じさせます。
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胴体には、狼像の特徴として挙げられる痩身表現のあばらの造形もしっかりと施されています。
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先細りに造形された吻部や長く伸びる首元のシルエットのためか、遠目に見ると狐のような印象もありますが、爪先に鋭く彫られた爪や、前方に長く伸びる尾など、狼像としての特徴的な表現もしっかりと見ることができます。
尾の造形は、台座からはみ出してその側面に沿って造形されていますが、これは他の狼像でも時折見られる表現で、まるで生きているお犬さまが用意された台座の上に腰掛けているような印象を与え、とても好きな表現です。
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阿形の頬には、毛並みのような造形がありました。吽形にも同様の造形が微かに見えるような気もしますが、こちらの阿形のほうが顕著でした。
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台座には「御大典記念」と記され、昭和三年十一月の日付がありました。神社自体はもっと古くからあるようですが、このお犬さま像は昭和三年の昭和天皇即位の大礼を記念して奉納されたもののようです。
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眷属としての威厳と、息吹を感じさせるような生命感のある造形が素晴らしい像だと思います。
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