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県道361号線の釜伏峠にある、釜山神社の参道入り口。
釜山神社には奥の院までに全部で8対のお犬さまがいますが、まずこの参道入り口に1対置かれています。
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1体目の阿形。
かなり高い位置にあるため、見上げるアングルとなりますが、太い眉が印象的な凛々しい顔つきに造られていることはここからも見て取れます。
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台座には「征露紀念」と書かれているので、恐らく明治37から同38年頃に奉納されたものだということが分かります。
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こちらは吽形。
胴体中央部に、かなり大きなヒビが見えます。
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吽形の左半身。
右半身に比べて欠けなどが目立ちますが、台座から落下してしまったことでもあったのでしょうか。
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2体目の阿形。
全体的な体型は1対目よりもなだらかに造られていますが、片足を岩場に掛けた躍動感のある姿勢が印象的です。
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阿形の頭部。
こちらにも太い眉がしっかりと造形されています。
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2体目の吽形。
こちらは両前足を岩場に乗せています。
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吽形の頭部。
口先は閉じているものの、口の脇からは牙がしっかりと覗いています。
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台座には「明治丗七(37)年」と記されています。
1対目のお犬さまと同時期に奉納されたのでしょう。
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こちらは先程までのお犬さまよりもだいぶ新しいもののようで、台座には「昭和聖旨五十年記念」と書かれています。
造形も、前2つのお犬さまのような生物としての写実的な姿というよりは、眷属としての存在感に重きを置いた神獣のような姿をしています。
ちなみにこの像とほぼ同じ姿をした像が、秩父市の三峯神社にも奉納されていますが、同じ石工の手によるものでしょうか。
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吽形の頭部。
こちらも口の中が紅く塗られています。
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こちらのお犬さまは奉納年代が不明ですが、造形から見てそれなりに古いもののように思います。
阿形は後ろ足がレリーフ状になっていて、若干製作途中のように見えなくも無いですが、そんなところもまた味わい深く感じます。
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そして対となる吽形。
阿形と比較して大きめに造形された牙が印象的ですが、前足が損壊してうつ伏せの状態となってしまっています。
訪れる前に写真でこうなっているものは見たことが無かったので、このような状態となってしまったのはきっとつい最近のことなのかも知れません。
何とか補修されて欲しいものですが・・・。
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阿形の頭部。
口の中に僅かに赤い塗料が残るのが見えます。
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5体目の吽形。
こちらは平成14年に愛子様の誕生を記念して奉納されたもののようです。
その姿はというと、一応この釜山神社に奉納されているということはオオカミなのでしょうが、洋犬の様なその姿は、個人的には「お犬さま」というイメージからはややかけ離れたようにも思えます。
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こちらの像も相当古いものと思われますが(奉納年不明)、その造形は、生物としてのニホンオオカミを意識したもののように見えます。
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ニホンオオカミの骨格の特徴として、眉間の額段が無くてなだらかなことが挙げられるそうですが、その点を考慮するとこのお犬さまも造形的にはかなり実物に忠実と言えるのではないでしょうか。
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拝殿の中に置かれた、7対目のお犬さま。
こちらは木製のようです。
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同じく吽形。
いつ頃奉納されたものかは不明ですが、ここまで見てきたものと比べてだいぶコミカルで可愛らしい造形に見えます。
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拝殿の脇から延びる登山道を10分ほど歩くと辿り着く奥の院。
なだらかな稜線の上にひっそりと佇むその姿が、厳粛な空気を醸し出して実に良い雰囲気です。
ここに8対目のお犬さまが置かれています。
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8体目の阿形。
造られた年代的にも、他のオオカミ像の中でも特に古いものなのではないかと思います。
ここまで見てきたお犬さまの中には、神獣のように造られたものもありましたが、この奥の院のお犬さまは、あくまでも自然に生きる動物としての姿を忠実に写し取っているように見えます。
実に素晴らしい造形だと思います。
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8体目の吽形。
素朴な造形ながら、爪の形状などもしっかりと彫られています。
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ちなみにこれは、上野の国立科学博物館の地球館に展示されているニホンオオカミの剥製です。
これを見ると、奥の院のオオカミ像がこの剥製と酷似しているのが分かります。
これは想像ですが、まだ秩父地方にニホンオオカミが棲息していた時代に、本物のオオカミを見知った石工が、その姿を忠実に再現したものなのではないかと、そんな気すらしてしまいます。
ニホンオオカミが絶滅、つまり最後の固体が確認された記録が明治38年(1905年)のものなので、時代的にもじゅうぶんあり得る話だと個人的には思うのですが、どうでしょう・・・。
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お犬さま像も素晴らしいものでしたが、この祠にも実に味わい深い彫刻が施されています。
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祠の向かって左側面に、オオカミの姿が彫られています。
その姿は狛犬のようにかしこまった姿勢ではなく、躍動感溢れる自然の生き物として描かれています。
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対してこちらは向かって右手側面。
これは親子でしょうか、愛くるしくじゃれあう2頭のオオカミの姿が実に活き活きと描かれています。
明治時代頃までは、この地方の山の中においてはごくありふれた光景だったのではないでしょうか。
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