滝馬室氷川神社
 
 
 砂利道の参道の先に建つ、一の鳥居。
 
 二の鳥居。
 
 二の鳥居を潜ると、社殿へと至る石段があり、その中ほどに狼像が置かれています。
 
 社殿方面に向かって右手に置かれたこちらの像が阿形。
 全体的なシルエットはふっくらとした素朴さを感じる体形ですが、シャープな目尻が精悍さを醸しています。
 
 阿形を正面から。全身を覆う、毛並みを表現したと思われる筋が特徴的です。
 頭部や前脚に割れた痕が見られますが、きちんと修復されて欠損している部位などはありません。
 
 阿形の頭部。上顎、下顎ともに割れた痕がありますが、接着された吻部の質感に違いがあるように見え、もしかしたら後からコンクリートで作り直されたのかも知れません。
 
 狼像として多く見られる特徴のひとつである、痩身体形を表現したあばらの造形は見られませんが、体表に沿った毛並みの筋が細かく彫り込まれています。
 
 前脚には、狼爪も造形されています。各指の爪先もシャープに形づくられています。
 
 拝殿向かって左手のこちらが吽形。
 
 吽形を正面から。たまたまなのか、こちらも両前脚に割れを修復した痕が見られます。
 
 吽形の頭部左側面。下顎にかかる牙もしっかりと造形されています。
 
 頭部右側面。鼻先から頭頂部にかけて、欠損部を後から修復したような感じに見えます。こちらも阿形同様に、欠けてしまった部分をコンクリートで作り直したのかも知れません。
 
 こちらは尾にも破損の痕が見られます。地震などで台座から落ちてしまったことでもあったのでしょうか。
 
 台座には各面に様々な文字が記されていますが、部分的に達筆のため判読できない文字もありました・・・。
 
 奉納された日付でしょうか、「天保十一子年」の文字がありました。西暦で言うと1840年、今から183年も前のものになります。そこまで古いものだとは思わなかったので驚きました。
 
 参道を登りきると社殿があります。境内には由緒書きなどが見当たらず、この神社の詳細や狼像が置かれている経緯などは分かりませんでしたが、狼像の台座に記されていた天保十一年の日付からも、それなりに古い歴史があるものと思われます。
 
 社殿の前には一対の獅子型の狛犬が置かれています。かなり重厚感のある造形です。
 社殿向かって右手の阿形は宝珠を持っています。
  
 社殿向かって左手の吽形は、子供も造形されています。
 台座には、この狛犬が奉納された年と思われる「昭和九年」の記載がありました。
 
 由緒書きは見当たらなかったのですが、滝馬室的祭の説明が掲げられていました。
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 石段の上から狼像を見下ろします。ここを訪れたのはよく晴れた日でしたが、神社を囲む森の中にひっそりと佇み、時折木漏れ日を浴びる姿が印象的でした。