夕暮れの安比奈線
2017/12/14 埼玉県川越市 西武安比奈線
 
 西武安比奈線。
 嘗て、入間川から採取した砂利の運搬を目的として1925年に運行が開始された貨物線で、1963年に運行が休止された後も、安比奈車両基地整備計画があったために、完全な廃線とはならずに休止線の扱いが続いていた。そのため、運行休止から50年以上が経過した現在でも、市街地の中に延びる路線跡地に、レールや架線柱が設置されたままの印象的な景色が残っていたが、今年2017年5月末日をもって、遂に正式な路線廃止が決定した。
 そんな安比奈線であるが、つい先日、沿線住民に対して、「旧安比奈線設備撤去作業のお知らせ」という通達が来たという情報がツイッターに流れてきた。書面に書かれた内容は、設備の老朽化に伴い、年明けから電柱及び電線の撤去を行うというものであったが、跡地利用については今後協議を進める、との記述もあり、現在残されたままになっているレールも、遠からず撤去されてしまうかも知れない。廃止が決定した時点で、施設の撤去が行われることは想定内ではあったが、架線柱の残る景色の見納めをしておこうと、久しぶりに安比奈線跡地を散策してみることにした。夕方近くからのやや遅い時間ではあったが、BAJAに跨ってちょろっと行ってみよう。
 
 国道16号から住宅街へと入り、線路跡地に沿ってウロウロし、おだんご屋さんの手前で道を渡る線路の地点にやって来た。
 
 通達によると、実際に撤去作業が始まるのは1月の中旬頃かららしいので、こうして架線柱やそこに架けられたままの電線の姿を見ることが出来るのは、本当にあとひと月程の僅かな期間となってしまった。
 
 いまも敷かれたままのレールも、いつまでその姿を留めていられるのか。跡地利用がどのように進められるのかは今後の協議しだいだが、遊歩道などに再整備されて、いずれこの景色が跡形も無くなってしまうということもあり得るかも知れない。
 
 さすがに、このアスファルトに埋まったレールを掘り起こすことはしなさそうだが(笑)。
 
 場所を移動し、別な道路を横断するレールがある地点へ。
 
 線路に向かってカメラを向けてたら、たまたま立ちションしようとしてたおじいちゃんがフレームイン!ごめんなさい!
 
 その反対側を見る。旧安比奈駅方面に向けて真っ直ぐにレールが延びている。奥に見える、日向と日陰のちょうど境目辺りに、道路と民家を結ぶ道がレールを跨いでるんだけど、あれは私道なのかな?
 
 脇道からちょっと入って、盛土で畑の中を延びる地点に立ち寄ってみた。
 
 この架線柱が無くなったら、ここから見る景色もだいぶ印象が変わるだろうなあ。
 
 この辺りは土の部分が結構デコボコしてるので、いずれまとめてアスファルトで埋め戻されてしまうこともありそうな気がする。
 
 夕陽に照らされた落ち葉の上に、薄っすらと浮かび上がるレールのシルエットが美しい。
 
 
 
 森のトンネルの入り口にやって来た。
 
 もうちょっと陽が落ちてからだと、夕焼けの色で綺麗だったかな?
 
 池辺公演脇から入り、薄っすらとした轍に沿って八瀬大橋を潜る。
 
 少し進むと、土の上に敷かれたままのレールが、はっきりとその姿を現す。
 
 いつの間にかだいぶ陽も傾いてきた。ちょっと寄り道し過ぎたかな?
 
 運行休止から50年以上も経つと、このようにレールが木の根で押し上げられてしまっているところもある。まるで森林軌道跡のようだ。
 
 水道橋を潜り、更に奥へ。
 
 架線柱については、年明けからの作業で本当に全区間に渡って撤去されるようなので、これらの景色ももう見納めだ。
 
 ふとBAJAを停めて、歩いて盛土を超えてみると、土の地面の上にレールが顔を出している場所があった。
 
 こんな場所あったの、いままで知らなかった。雰囲気はいいんだけど、この辺り、不法投棄が酷い・・・。
 
 このだだっ広い場所で夕陽を眺めて、そうだ、いまもう一度あのオフロードコース脇の場所に行ってみようと思い、戻ってみることにした。
 
 この場所まで戻ってくると、先程はいなかった、一眼カメラを構えた2人組が撮影していたので、俺もそのちょっと脇からこの景色を見ていた。
 
 冬の冷たい空気のなか、富士山のシルエットが夕焼けにくっきりと浮かぶ。いい景色だなあ・・・。
 
 しばらくすると、撮影していた2人組が去っていったので、BAJAを移動させて撮ってみた。
 
 ここからの眺めは、まだもう少しの間は変わることも無さそうだが、市街地の架線柱の残るあの景色は、いよいよ本当に見納めとなりそうだ。見ておきたい人は、今年のうちに訪れておくのがいいかも知れない。