喜びの北と悲しみの南   2005/10/23 中津川林道〜川上牧丘林道

先週末の天気予報では、日曜は久々に晴れになるとのこと。
そりゃもう楽しみにしてましたよ俺は。

朝、目を覚ますと土曜の曇り空が嘘のように、空は青々と晴れ渡っていた。昨日ははほぼひと月ぶりの林道ツーリングへと行ってきた。目的地は、秩父の中津川林道から長野と山梨の県境を跨ぐ川上牧丘林道へ。このルートへ向かうのはちょうど1年ぶり。前日からワクワクしっぱなしだ。

朝7時に自宅を出発。ばっちり厚着をしてR299で秩父方面へと向かう。それにしても、この時期になるとさすがに朝は寒い。ほんのひと月前までシャツ1枚で林道を駆け回っていたのが嘘のようだ。体のほうはしっかり着込んでいるおかげでまだいいのだが、手の冷たさがどんどん増してかじかんでくる。
秩父でR140に入り、出発からほぼ2時間で中津峡に着いた。このころには日も高くなり気温も徐々に上がってくるのだが、山に入るとそのぶん気温も下がり、しばらくは真冬並みの体感温度が上がらない状態が続いた。



中津峡に沿って流れる中津川を眺めながら進み、まずは中津川林道へ。この「中津川林道」は、旧大滝村時代に林道から村道へと昇格し、現在では正式名称を「秩父市道大滝幹線17号線」という。市道・・・なんだか味気ないなぁ(笑)。

ダート区間に入ると、徐々に色づき始めた紅葉が出迎えてくれた。シールドを開けて走ると冷たい風が頬を撫でていく。ひんやりとした空気に溶けた木々の匂いが心地よい。普段の生活エリアではまだまだ実感はわかないが、山では確実に季節が変わりつつある。



走りやすいフラットダートをぐんぐんと高度を上げていくと、三国峠に程近いところで奥秩父の山々を見渡せるところに出た。かすかに赤味を帯び始めた山々を眺めさらに先へと向かい三国峠に到着。長野方面を見ると、八ヶ岳だろうか、遠くに冠雪した山の頂が見えた。



気温が下がると空気が澄んで遥か遠くまで見渡せるようになるのがこの時期の山の楽しみだ。それにしても、なんていい天気なんだろう!このままここでしばらくボンヤリしててもいいくらい・・・ってわけにもいかないので次の目的地、林道相木川上線へと向かう。

三国峠を越えて舗装路をしばらく進むと、右手に相木川上線の入り口がある。ここは現在、秋山沢線と分岐する先で延長工事が行われているらしいが、秋山沢線のほうへ抜ければそのまま通り抜けられるらしい。



はじめは単なる雑木林の中を進む特に特徴のない道だと思ったが、しばらく進むと色づき始めた紅葉の色彩が空の青との絶妙なバランスを見せていた。しかももう少し進んだ先からは川上村の集落を見下ろすこともでき、小ぶりなダムの湖面にきらきらと反射する日差しがとても印象的だった。

ここを抜けるといよいよ川上牧丘線へ。大弛峠を境に北側の長野側(ここも正確には村道)は大荒れのダート、南側の山梨側は全線舗装とまるで異なる表情を見せるこの林道。三国峠からは長野のダート側からのアプローチとなる。



廻目平を通過し、白樺に囲われた道を抜けダートへ入ると、まずは金峰山川の流れが出迎えてくれる。峠へ向けての上りのダートをひたすら進んでいくと、標高の高さをうかがわせる植生が姿を現す。





路面もはじめのうちはそれほど荒れていることもないのだが、峠に近づくにつれて荒れに荒れた状態に変わってくる。ホントならガレガレの路面写真も撮りたかったのだが、ただでさえ交通量が多いうえ、停めるところにも一苦労しそうでこの付近は写真がありません。気になる人は各自調査で(笑)。



途中、眺めのよいところで休憩をはさみ、程なくして大弛峠へ到着。ここは標高2360m、一般車両の通行できる峠としては日本最高所を誇る峠だ。ここからさらに登山道が続くため、峠は登山客の車で大渋滞。そのおかげであのガレた林道を普通の乗用車が上り下りしてるんだから面白いよなぁ。
腹が減ったので大弛小屋に立ち寄り、うどんをいただく。登山客だらけの山小屋で一人バイク乗りがうどんをすする姿は正直浮いていたと思います(笑)。




ここから山梨側の川上牧丘線は全線舗装のため、しばらくは快適なワインディングが続く。このまままっすぐ進むと舗装路だけで終わってしまうので、ダートを求めてほんの少し遠回りをして水ヶ森線と向かう。ここは来月から来年の4月まで、舗装工事(!)のため通行止めとなってしまうらしい。この水ヶ森線、既にダート区間も4km程がわずかに残るだけなのだが、これで全線舗装になってしまうのだろうか・・・。
山梨に入ると、紅葉の色づきが格段に進んでいて、日差しを浴びてまるで木の葉が自ら光を放っているかのように輝く木々の中を駆け抜けていく。途中、分岐する一ツ木水ヶ森線もダート林道なのでとりあえずそこを目標に進むが、着いてみると路面の保全のため通行止めになっている。バイクを降りて、通行止めの柵をまたぎ歩いて先へと進んでいくと、去年はダートだったはずの道が綺麗に舗装されていた・・・。大弛峠から山梨側に広がる林道は急ピッチで舗装化が進んでいるようだ。

悲しみにくれ、たった今下ってきた道をハァハァ言いながらオフブーツを履いた重い足で引き返していく。バイクまで戻り、仕方がないのでそのまま水ヶ森線を下り、ツーリングマップルに載っている東山中部林道を探しに向かう。地図によれば舗装区間の先にダートがあるらしいのだが、途中で枝分かれする道を入らねばならず、それがどこだか見つけられず、たまたま見つけた支線ぽい細く急なダートの脇道の前で、入ってみようか迷っていたところ、すぐそばに地元のおじさんが歩いているのを見つけ、

「この先って行けますか?」

と聞くと、

「ここは行き止まり。どこに行きたいの?」

と聞かれた。林道の名前出してもわからないかなと思い、目の前のダートを指差し、

「こういう道を探して走ってるんですけど・・・」

というとおじさん、

「あっちへ行くとXX峠で、こっちの道をこういくとXXへ抜けて・・・」

とニコニコしながらいろいろと事細かに教えてくれたのだが、その話があまりにも細かすぎたために地名を聞いてもさっぱりで、ただ笑顔でうなづくだけの俺だった。ごめんおじさん、全然わかんなかったんだ・・・(笑)。

とりあえず探してる林道も見つからなそうだし、今日はこのまま帰ることに。次にこのエリアに来るときは、大弛峠から中津川に向けてUターンするのがよさそうだ。まぁでも、水ヶ森線を下る途中で見た景色はあまりにも素晴らしく、これはこれでいい思いができたかな。





雁坂トンネルを抜けて滝沢ダムまで戻ると、去年はまだ建設中だったダムに貯水されていた。



あの水面の下には建設道がそのまま沈んでいるんだな。・・・ちょっと潜ってみたいかも(笑)。