Beyond The Heaven's Gate・・・
2009/06/27 天目山林道サイクリング

埼玉県秩父市、主要地方道73号線から分岐する国有林林道、天目山林道。ここは常にゲートで閉鎖され、一般車両の通行は制限されている。
以前、埼玉森林管理事務所に、国有林林道の一般車両の通行許可について問い合わせたことがあるのだが、国有林への入林については、入林許可を取る必要があり、その許可も、狩猟等の理由がないと許可が出せないらしい。また、許可が下りたとしても、更にチェーンゲートに掛けてある鍵を借りるための手続きなど、いろいろと手順を踏まなければならないらしく、落石等の危険が伴うということもあり、やはり通常は一般への通行許可は出していないとのことだった。ただ、徒歩での入林についてはその限りではなく、とくに申請も必要ではないらしく、関東森林管理局のページにも、確かにその旨は記されてる。

以前、TKさんとツーリングをしたときに天目山林道の話題になり、オートバイがダメなら自転車で行ってみようか、なんて話が自然発生的に出てきた。それから2ヶ月弱、色々と準備を整え、ついにその日がやってきた。

本日の参加者は、TKさん、KYさん、mioさん、つるぴんさん、そしてナノレカワの計5名。ゲート前で車から自転車を降ろし、出発の時を待ちます。ふと前を見ると、以前はチェーンゲートだったはずだが、更に屈強なゲートへと変えられている。

うへ、いつ交換したんだろう?こんなことするってコトは、それなりに禁を犯すものがいるってことか?まぁ自分らだって似たようなモンかも知れないけど、今日は人力だし大目に見てよ。

画像の一番左の赤い自転車がナノレカワ機です。この日のために用意しました。
準備を整え、出発前の楽しげな談笑。

・・・これからどんな苦行が待っているとも知らずに・・・。
8:50AM、天目山林道サイクリング、いよいよスタート!

さっそくゲートを越えて走り出すが、いきなり急坂の洗礼を受ける。自力で登るダートの上り坂ってこんなにキツいもんなのか!
ゲートから2〜300mの地点だと思うが、営林署の管理小屋のような建物が現れる。この時点で既にかなり足に負荷が掛かっているが、終点までの総延長は20km以上とも言われるこの林道を、果たして最後まで走りきることが出来るのか・・・?

この小屋の少し先で、仙元林道が分岐する。入口からかなりの急坂で見てるだけでゲンナリするが、事前に練習走行でこの仙元林道を走ったTKさんとKYさんによると、この先終点までずっとこんな感じらしい・・・。今日はとりあえず本線を進みます。

それにしても今日は本当にいい天気。木漏れ日が美しいが、ひたすら続く上り坂を見ていると、先行きが少々不安になってくる。

路肩の少し広くなった場所で休憩。いやー、疲れた。もうだいぶ距離を走ってきたのかな?と思ったが、つるぴんさんのGPSによると、ゲートからここまで2km程らしい。終点は20km先・・・目眩がします。と、広場の先に目をやると、なにか落ちてる・・・。

なんだろう、鹿かなにかかな?綺麗に白骨化しちゃって・・・。

「注意」。はい、俺が白骨化しないように注意します。

少し走っては休み、また走るを繰り返す。オートバイだと何とも思わないような坂道だけど、自分の足で漕いでいると、この急坂がとても恨めしく思える。いかに普段エンジンの恩恵を受けているかを思い知りました。

とりあえずいつものように、所々で写真を撮りながら進んで行く。晴天には恵まれたが、今日は下界では真夏日の予報。果たして無事に帰ることができるのか・・・。

相変わらずの上り坂ですが、途中でこんな看板を発見。

倒れてしまっただけかと思ったが、ちゃんと看板の角度をあわせてある。何故?

普段はメット越しにエンジンの鼓動を聞きながら走っているが、今日は沢の音だけが響く中を静かに進んでいきます。山深い景色の中を、いつも以上に自然を感じながら走る。こういうのも楽しいね。

途中、沢があるたびに足を止めて、タオルを濡らしたり、手を冷やしたりして休憩。沢を見て綺麗だな、と思うことはあっても、「ありがたい」と思ったのは初めてだ。

そろそろ漕ぎ続けるのも辛くなってきた。まだ全行程の半分も来ていないが、この辺りまでくると、自転車を降りて歩くことがほとんどになってきた。先頭を行くmioさんとつるぴんさんは、ずっと漕ぎ続けたままで上っていくが、とても同じ人間とは思えん。

コーナーを越えた切り通しで。ここは全行程の中でも、かなり印象的な景色。こういうところに来ると気持ちが癒されます。ついでに肉体も癒してくれるとありがたいのだが。

名称不明な支線を発見。しかし、今日はやはり本線を進みます。「今日は」って、また来るつもりなのか俺は。

途中でみつけた看板。初めて見るデザインだけど、なんの意味だろう?「携帯電話が使えます」かな、ってTKさんが冗談で言ってたけど、a○はこんなとこでもホントに電波が入っててちょっとビックリ。

そして、この看板を撮っているところもしっかり撮られてました。

そろそろ標高も1000mを超えている頃だと思うが、だいぶ景色の開けるところも増えてきた。しかし、それと反比例するように、そろそろ景色を楽しむ余裕もなくなってきております。

休憩した地点からの眺めを見ると、だいぶ高いところまで上がってきたなぁと実感できるようになってきた。
ここでの休憩を終え、再び走り出すが、ここでアクシデントが。つるぴんさんのリアがパンクしてしまった。

しかし、元ロードレーサーだったというKYさんが持参した修理道具を取り出し作業開始!チューブを交換し、あっというまに修理完了!何事も無かったように先へ進みます。

しばらく進んでいくとキロポストを発見。9.5kmって・・・まだ半分も来てないですか。現在時刻、10:50AM。だいたい時速4kmペースです、ほとんど歩きだもんね・・・。まだまだ先は長いぜ。

この先で、左手に分岐する道を発見。調べたところによると、ここは細久保林道というらしいが、細久保林道といえば、県道から天目山林道が分岐する橋欄干に「細久保林道」と書かれているのだが、ゲート手前の水源かん養保安林の看板には、県道からの分岐から既に天目山林道となっているような表記がされている。うーん、謎だ・・・。
この先も気になるところではあるが、まずは体力のあるうちに本線を攻めてしまいたいので、更に先へと進みます。
TKさんは、地図を見るとこの先はほぼ等高線に沿って道が延びているからフラットになるはず、と言うのだが・・・。

「フラット」って何かね?相変わらずキツい上りが続きます。何かの拷問ですかこれは。俺、生きて帰れんのかな・・・。

遠くの山の稜線が霞んで見えます。よくこんなところまで自力で上ってきたなぁとしみじみ。

ようやく15km地点までやってきた。聞く話によると、峠を越えるとあとは終点まで下りになるらしいのだが。まだか、峠はまだなのか・・・。

着いたー!とうとう峠に着いたぞー!

現在時刻、12:27PM。出発から約4時間、長かった・・・本当に長かった!永遠とも思えた地獄の上り坂も、ようやく終わりを迎えた。ここでつかの間の休息となるが、しかし、道はまだここで終わりではないのだ。

ここから終点まであと5km程だろうか、この先は待望の下りが続くはず。ただ、下るということは、帰りはまたここまで上って来なければならないということになるが・・・と、とりあえず今はそんなことを考えるのはやめておこう。

ペダルを漕ぎだし、下り坂を一気に駆け降りて行く。ここまでの地獄の上りとはうって変わり、まるで天国のような爽快感。同じ山の中なのに、気持ちに余裕が出てくると、周囲の景色もまるで違って見える。

しばらく順調に下って行くと、路面が崩落している地点に着いた。

ただ、山側には道幅の3分の1程が残っている。自転車なら問題なく通れるので構わす先へと進む。



しかし、ここを越えると道が一気に荒れはじめ、ひたすら落石や倒木が続くようになってくる。

オートバイだったら完全に引き返しているところだけど、自転車ならこの通り!行けるとこまで行ったるぜ!

行けるとこまで・・・。

大崩落地点に到達・・・。路面は完全に崩れ落ち、自転車一台を通す幅もない。脇の斜面に人が歩いたような痕こそ残っているものの、足下は苔が堆積しただけのようなフカフカの地質で、少し体重をかけただけで崩れそうになってしまい、自転車を担いで行くにはかなりの危険が伴う。これはもう無理だ・・・。

mioさん、自転車を担いで歩き始めているが、危ないって!結局、この地点でこれ以上先へと進むことを断念した。

TK さんはまだ先に進みたそうだったけど・・・(笑)。

お昼を食べてしばらく休憩し、記念撮影をしたらいよいよ来た道を戻ります。

峠からあんなにスイスイ下ってきた道も、帰りは再び地獄の上り坂。あと少し、あと少しだ。峠まで戻れば・・・。

やった!やったよ!遂に峠に帰ってきたよ!
ここから先、ゲートまではいよいよお楽しみの全工程下り坂だ!さあ、一気に行くぞ!

しかし、下りになると今度は路面からの振動を車体がモロに拾い腕、脚、そして尻と、全身至るところに衝撃が襲いかかる。が、こんなの上りの苦労に比べたら屁のツッパリにもなりませんよ!っていうか下り超楽しー!

と、軽快にダウンヒルを満喫していると、こんどはmioさんのリアがパンクするというアクシデント。なんでも子供の頭ほどもある石に乗り上げてしまったらしい。しかし、ここでもKYさんの修理キットが大活躍!サクッと修理を終えて、残る道のりを下ります。

現在時刻15:00PM。出発から6時間強、ついに全行程を終えて戻ってきました。とはいえ、崩落があったために、終点まで行き着くことは叶わなかった。それでも十分すぎるくらい楽しめたけどね(笑)。

あれだけ苦労して上った道も、帰りはあっという間に下りきってしまった。上っている最中は、「二度と来るもんか!」なんて思ったりもしたけど、あの爽快な下り道を味わってしまうと、不思議と「また来てもいいかな?」なんて思ってしまう。多分、こうやってハマって行くんだろうな(笑)。
俺以外の4人は、だいたいこの近くに住んでいるのでここで自走解散となった。皆さん、お疲れ様でした!俺はこれから川越まで帰ります。ヒー!事故らないように気をつけないとな。

今までずっと走りたいと思っていた天目山林道を、自転車という手段を使って遂に走って(ほとんど歩きだけどね)きました。ぶっつけ本番でいきなり20kmのピストン林道は、少々無茶だったかもしれないけれど、とりあえず怪我もなく無事に帰ってくることができてよかった。これからの林道ツーリングも基本はBAJAのお世話になることは変わらないけれど、ゲート閉鎖の林道なんかは、こんなふうに走ってみるのもいいもんだな。せっかく自転車も手に入れたことだし、使わない手はないしね。さて、次はどこへ行こうか。あの閉鎖林道もいいし、こっちの林道も行ってみたいし・・・う〜ん、妄想は膨らむなぁ(笑)。