富士山麓の林道へ
2010/01/23 富士山麓の林道

今日は静岡県へツーリング。みやさんに富士山麓の林道を案内してもらうのだ。

朝5時半に起床し外を見ると、外はまだ真夜中の暗さ。テレビを点けて気象情報を見ると、今日は真冬の寒さに逆戻りとのこと。えっ、今週はずっと暖かかったのに、なんで今日だけ!?
支度を済ませて家を出る頃に、ようやく空が白み始めた。中央道へ向けて圏央道を走っていると、前方には麓からの朝日を浴びて桃色に輝く富士山の姿が見える。
「今そこまで行くからな、待ってろよ富士山!」と意気込んで走るが、気がつくとハンドルを握る指先が、いつの間にか「冷たい」を通り越して「痛い」に変わっていた。真冬の夜明け間際の寒さに震えながら、なんとか制限速度ギリギリで走り続けていると、とうとうさっきまで痛かった指先の感覚がなくなってきた。さすがに限界を感じ、談合坂SAで一旦休憩。とにかく指先の痺れを取ろうと、グローブをしたままエンジンに手を添えて暖めると、冷えた指先を急激に暖めたせいで、さっきまでとは違う痛みが襲ってくる。自分以外に誰も居ない駐輪場で寒さと痛さに一人悶絶し、とにかく先へ進まなけりゃ話にならんと、再び極寒の高速へと戻る。

河口湖ICからR138を経由して御殿場方面へ進む。路上に設置された気温計の示す気温は−3℃。集合場所までの距離はまだ20数kmを残している。頭の中で、この速度で走ると目的地まではあと何分・・と無駄な計算を始める。考えたところで早く着くわけでもないのだが。そもそも速く走ろうにも、濡れているだけなのか凍っているのかわからない黒い路面がそれを許してはくれないが・・・。


8:45AM、拷問のような寒さに凍えながら半泣き状態でようやく集合場所のマクドナルドに到着。集合予定時刻より15分ほど前だったが既にみやさんも来ていた。
陽の当たる窓際でコーヒーを飲んで冷え切った体を暖めていると、すっかりマッタリとしてしまいそうだったが、ともかく早いうちに行動を始めようと、一服を終えていよいよ目的の林道へと向かう。

富士山の麓へと延びる県道を進み徐々に高度を上げていくと、次第に道端に雪が残る状態になってきた。路肩ではチェーンを着ける車がちらほらと。むむ、これは、と思っていると、そのすぐ先で・・・。

・・・道一面にシャーベット状の雪が広がってますよ。一旦バイクを降りて、先の様子を覗ってみる。

だだだ、大丈夫なのかコレ??
最悪、この道を迂回して反対方面からも目的の林道には行けるらしいのだが、とりあえずこのまま行けるところまでは行ってみようということになった。シャリシャリと雪を踏み締めながら先へと進みだすと、ふと頭の中で「ウコ○の力」のCMソングがループしだした。「う〜うゴッ、クン!」って、脳が現実逃避でもしているのだろうか・・・?
しばらくとろとろと走っていたが、やがてピークは超えたようで、道が下りになると、路面の雪もなくなってきてとりあえず一安心。やっぱり舗装路の積雪が一番怖いね。何が怖いって、こんなところでツルンコしたら確実にライトガードをやられるのを、2人とも一番恐れています(笑)。

ようやく目的の林道に到着しました。何度か走っているみやさんによれば、ここは支線も合わせて走り継げば、かなりのロングダートとのこと。やっぱり初めて走る林道はわくわくするね。路面もかなり走りやすい感じだし、これから今日1日楽しみだ!

それにしても、空を見ると若干雲が多いような。気象情報では、今日は夕方くらいまでは晴れって言ってたんだけどなぁ?この周りだけなのかな。

少し進むと、視界が開け、前方に富士山の姿が見えてきた。おおっ!と思ったが、あいにく山頂付近を取り囲むように雲が広がっている。雲が晴れないかと少し待ってみたのだが、雲の流れが山頂を回り込むような妙な動きをしていて、なかなか晴れそうもなかったので、ここは諦めて先へと進むことにした。まぁ、きっとこの先にも富士山が見える場所はあるだろう。

おっと、鹿発見。

この林道、路上に出てきている鹿の姿を頻繁に見るのだが、かなり距離が離れていても、こちらの存在に気付くとサッと斜面の中に逃げ込んでしまう。だた、一旦離れると、また一定の距離を置いてこちらの様子を覗っているのがなんだかかわいらしい。

しばらく木々に囲まれた区間を走っていたが、少しだけ上空が開けた地点に出た。前方にはさっきは見えなかった富士の頂上が顔を出している。

おお、冬の澄み切った青空のもと、静かにそびえる白い山頂、なんと美しい。
さらに先に行けば裾野まで開けて見える場所もあるかもしれない。こりゃ楽しみだ!

 
で・・・。

「ここはこんなアングルで・・・と。よし!」

「うん、いい画が撮れた♪さて、次行くぞ〜。」

「あ、撮られた・・・。」

そんなメイキング風景を撮られつつも(笑)、冬枯れた木々の合間を縫うように走っていく。

この辺りから、路面に凍結箇所が目立つようになってきた。特にコンクリで舗装された区間は、路面の温度が低いのか、氷が残りやすいようだ。いやー、楽しくなってきました。
この程度なら問題なく通過できる状態だが油断は禁物。慎重に走り抜けていきます。

なんて思っていると、その少し先、支線が分岐する広場のようになった地点で、一面凍りついた場所に出くわした。

上から見るとこんな感じ。特に日当たりが悪そうな感じもしないが、なぜここだけこんなに?
この凍りついた地点の手前が上り坂になっているので、助走を付けて惰性で一気に通過。あー、怖ぇ・・・。

ここも轍は凍っているけど、真ん中の安全地帯を通っていれば問題なし(笑)。

ときたま現れる沢を跨ぐコンクリ舗装の上は軒並み凍りついている。ここは路面がバンクしていて結構怖い。ツルンコしてそのまま谷に落下、なんてなったらまず助からないだろう・・・。

BAJAを降りて路面状況の確認。よく滑ります。

みやさんによると、この先に景色が開ける地点があって、晴れていればそこから富士山の大沢崩れがよく見えるらしい。ただ、その地点もコンクリ舗装らしく、恐らくは凍っているんじゃないかっていうが・・・。

その地点までやってきた。おお、若干雲に覆われているとは言え、確かに雄大な富士の姿がよく見渡せる。
ただ、その先がどうなっているのかというと・・・。

こ、これは・・・予想通り見事なまでに凍り付いていた。結構な斜度がついたうえ、緩やかにカーブした路面が、一面の氷で覆い尽くされている。

みやさん、体を張って路面状況を確認中。ここも思ったとおりよく滑ります。このまま進むのはかなり危険度が高いだろう。頭の中で何度かシミュレーションしてみたが、どうやっても途中でツルンコしている姿が浮かんでしまう。

周りに迂回できそうな場所がないか探りながら、とりあえず富士をバックに記念撮影。青空の下、麓から見上げる富士は格別です。
実は今立っている場所が、さっきの路面からまわり込んで通過できそうだったので、氷の上は避けてこちらを通り抜けることにした。

雄大な富士を眺めながら少々休憩。まだお昼には早いのでこのまま先へと進みます。

この林道は、途中でいくつもの支線が分岐しているのだが、そのうちの一つを進んでいると、進む先の路上に、2頭の鹿がこちらの様子を覗うように立っている。
逃げられないうちに写真を撮ろうと、これ以上近づかないようにカメラのズームを最大にして撮影。

後から来たみやさんも、前方の鹿に気付いたようだ。写真を撮り終え、少し近づいてみようと思って歩き出すと、やはりすぐに逃げられてしまった。

うりゃー!
実は走ってる本人は、全く以って飛んでるなんて感じはしてなかったのだが、後からみやさんに撮ってもらった写真を見ると、わずかながら飛んでいたようだ。なかなかのへっぴり腰具合です(笑)。

この視線の終点までくると、その先にさらに作業道が続いているようだ。みやさんは果敢に攻めていくが、ヘタレな自分はBAJAを置いて歩いて様子見。霜でがちがちに凍りボコボコになった土と、刈られた枝が散乱する路面は、歩くだけでも難儀するが、みやさんは奥へ奥へと果敢に攻めて行きます。

支線を引き返し、さらに本線を進む。陽も高くなり、落ち葉を照らす柔らかな光の中を気分良く進んで行く。

さらに別の支線に入ると、またしても鹿の姿を見つけた。これだけ広いエリアの中に開設された、細い林道のわずかな線上でこれだけ出会うのだから、山の中全体では、いったいどれだけの鹿が棲んでいるんだろう・・・。

少しずつ高度を上げていくこの支線では、路上に雪が多く残っている。青い空と白い雪のコントラスト、たまりません。
凍りついた路面とは違い、ふかふかの雪の上を走る楽しさはやはり格別だ。

テンション上がってきた!

みやさんもガンガン進んで行きます。

積雪は僅かながら、念願の今年初の雪道を走ることが出来て、もう大満足です。
シャリシャリとした雪の感触を確かめながら、のんびりと走って行きます。

この支線の終点・・・のような地点に到着。だが、良く見ると、崩落してはいるが、この先にも道らしきものがある。
みやさんは前回来たときに、この先を歩いて進んでみたらしいが、この奥にもしばらく道の痕跡があったようだ。ただ、恐らく今後も復旧させる気は無さそうな感じらしい・・・。

支線を引き返し、そろそろ出口へ向かって進むことに。

しばらく下って行くと、あと4kmほど進むと林道の出口に着くという辺りで、周囲が開けている地点に出た。見晴らしもいいので、ここで昼食にすることに。
みやさんによれば、ここも富士山がよく見えるビュースポットらしいのだが・・・。

振り返ると、富士山は生憎の雲ですっぽり覆い隠されちゃってます。雲の隙間からはちょっとだけ山肌が見えているけど。こういうチラリズムもいいもんですよ(笑)。
おだやかな空気の中、のんびりとお湯を沸かしてゆったりとした昼食タイムを過ごした後は、いよいよ出口へ向けて進んで行く。

ひとしきり富士の麓の林道を堪能し、林道の出口に到着。入口からここまでフルダート、さらに今年初の雪道も走ることが出来て、とても楽しい一日でした。
みやさんにはいろいろ案内してもらっちゃったりで、いつもありがとう。今日もお疲れ様でした、また走りに行きましょう。

ここは初めて走る林道だったけど、いい林道だったなぁ。思い返すたびにじわじわ来ます(笑)。記憶を手繰りながらこの日記を書いていて、また走りに行きたくなっちゃった。今度は暖かくなった頃にでもまた走りに行っちゃおうかな。