自転車で一人、藪の中を泳ぐ
2010/09/26 埼玉県横瀬町・林道焼山線〜牛喰線サイクリング

 前回のツーリングの後から、休日無しの生活を送って早2ヶ月半。ようやく山に行く余裕が出来た・・・と思ったら、もう夏が終わってんじゃねーかよ!まぁ今日は天気も気持の良い秋晴れのようだし、久しぶりにBAJAに跨って・・・とも思ったが、まずはこの鈍りに鈍った体を動かしたい!

 というわけで、車に自転車を積んでやってきました。

 本日の目的地は、横瀬町の主要地方道53号線沿いにある、林道焼山線。この先を進んでいくと、途中で作業道焼山線に切り替わるのだが、更にその先で、作業道牛喰線と繋がり、ここから南にある林道牛喰線へと下ってくることができるという。今日はその周回ルートを実走し、この目で確認してこよう。時刻は8:20AM、走行スタート!

 起点から100m程の舗装路を経て、道はすぐに未舗装へと変わる。印象的なベルトコンベアを越えて先へと進む。

 やがて、沢を渡る橋の地点へたどり着く。ここから先はちょっとガレ気味だったんだよなぁ、などと思いながら進む先の道をみると、何か様子がおかしい・・・。

 ああっ!綺麗に舗装されちゃってる!前回来た時は全然そんな様子もなかったのだが、一体いつの間に・・・。軽いショックを感じながら、それでも先へと進んでいく。

 しばらく進んでいくと舗装が途切れ、まだ未舗装区間が残されていた。

 見た感じ、ここから先はしばらく舗装されることはないと思うが・・・。
 
 道の脇には沢が流れ、木漏れ日の中、微かな水の音だけが響いている。久しぶりのこの感覚、たまりませんねぇ。

 起点から約1.6km地点、作業道焼山線の起点に到着。今日はしっかりとチェーンゲートが張られているけど、自転車を担ぎ上げて失礼します。
 ここから先はコンクリート舗装の急坂が続き、自分の足では漕いで進んでいくことがかなり辛い。なので、しょっぱなから押して歩いていく。まぁ別に急ぐ理由もないし、のんびりと行きますか。

 きつい斜度の続く道をのぼり続け、まだ数百mだと思うが、押して歩くだけでもしんどくなってきたので一旦休憩。こんなんじゃ先が思いやられるな・・・。
 振り返って腰を下ろすと、周りを取り囲む草木が、朝日を受けて柔らかに光っている。道の脇を流れる沢は支流となり、今までよりもさらに微かな音が響いているだけだ。あぁ、やっとこんな時間を過ごせるようになったんだなぁ、と一人しみじみ。

 とりあえず呼吸が落ち着くまで腰かけて休憩していたが、まだ始まったばかりだし、いつまでもこうしているわけにはいかないので先へと進むことにしよう。

 この先を進んでいくと、まるで進行を妨げるかのように道の両脇から草のせり出している個所が増えてきた。自転車を押したまま、体中を葉に撫でられながら進んでいく。

 直線区間を登りきったところで再び休憩。あー、しんどい・・・。

やがてコンクリート舗装が途切れ、道は未舗装に変わった。斜度はだいぶ落ち着いたが、それでも上り坂には変わらず、ひたすら押しを続けて歩いている。

 おっ、空が見える!そろそろ峠か!?

 ・・・なんてことはなく、コーナーを抜けてもまだまだ上りは続くのさ。

 斜面に木の階段を作ってある場所があったので、よじ登って撮影してみた。

 ちょうどこの区間は、道が稜線に沿って伸びているので、向こう側には市街地を見下ろすことができた。あれは秩父の街なのかな?

 で、足元を見るとこんな感じ。うっかり足を滑らせようものなら、麓まで連れて行かれそうだ・・・。

 階段を下りて先へ進もうとすると、稜線の上のほうから、熊除けの鈴の音が聞こえてきた。見上げると、林業関係者かただの山歩きかはわからないが、籠を背負った男の人が立っている。男の人の足元まで近付き、「こんにちはー。」とあいさつをすると、

 「ずっと上りだったろー?」

と声をかけてきたので、

 「ハヒ、ずっと上りれした、キツかったれす・・・。」

と答えたら、ハハハッ、と笑ってた。こんな時間に上から下ってくる人がいるとは思わなかったけど、向こうもまさかこんなところに自転車を押して歩いてるやつがいるとは思いもしなかっただろうな・・・。

 やがて、道の片側が開け、開放感のある雰囲気になってきた。今度こそ峠は近いか!?

 ふと、左手に視界が開け、眺めのいい場所に出た。おおー、ついにこんな場所まで上ってきたか、雲ひとつない青空の下は気分がいいぜ。

 で、今自分がいる場所はこんな感じです。どこまでが路面でどこからが崖なのかはっきりしません。進行方向もどこが道だかよくわからないし・・・。

 2本連続の倒木を潜り抜ける。さすがにこの辺りまではもう管理の手も入っていないのだろうか、荒れ放題っすね・・・。

 草木に囲まれ、陽の当らない区間に入ると一気に肌寒くなる。そうだよなぁ、もう9月も終わりだもんなぁ。

 再び視界の開けた地点に。風が体を通り抜け、汗を冷やしていくのがとても気持ちがいい。

 で、今自分がいる場所はこんな感じ・・・って、もういいって?つーか、さっきよりもひどくなってる気が・・・。
 この辺りは、路面の様子が全く見えないのだが、草で覆われたその下には、こぶし大から子供の頭くらいはあろうかっていう瓦礫がゴロゴロしていて、慎重に進んでいかないと自転車ごと弾かれそうになることもしばしば。藪に囲まれ、早くここを抜けだしたいって焦る気持ちはあるのだが、道のすぐ脇は崖になっているので、下手に焦るとそのまま落下なんてことにもなりかねない。

 ここなんか、いきなり路肩が崩れてます。奥から進んでくると、茂るススキに隠れて気づきにくいけど、突然こういう場所が姿を現わしたりするからホント怖い・・・。オートバイで入ってくる気はもともとないけど、仮にBAJAで来てたら、確実に死んでるな・・・。

って、うわー!何かに足噛まれた!・・・あ、タイヤで踏んだ木の枝か・・・。

って、うわー!何か変な生き物出てきた!・・・あ、タイヤで踏んだ木の枝か・・・。


・・・自分、相当ビビってます。

 この辺りは既に峠を越え、ずっと下りが続いているのだが、画像のような感じで周囲はずっと藪に覆われ、普通に進むこともままならない。路面全体から背を伸ばすススキは軽く俺の背丈を越え、葉で顔面を撫でられながら漕ぎ続ければ、足元に隠れた瓦礫でタイヤを弾かれ、早くここから抜け出したいという焦る気持ちと反比例するかのように進行速度は落ちていく。思い描いていた、爽快な下り走行はどこへやら・・・。
 っていうか、このひどい区間が下りでまだ良かったかもしれない。これが上りだったら、絶対に途中で引き返してたよ、俺!

 ↑この画像で、どんな状況かおわかりいただけますでしょうか?これはちょっと空間があいた場所まで抜けて来たからなんとか写真を撮れたんだけど、今抜けてきた後方の藪の中は、「潜る」って言ったほうが適切かもしれない・・・。

 しばらく下ると、ようやく周囲の藪も落ち着き、ついにコンクリ舗装の区間に!やった、助かった!

 と思ったのもつかの間、すぐにコレだよ!どこが道だかわかんねーじゃねーか!!もうヤダ・・・。

 牛喰県造林の看板を発見。そろそろ作業道の起点は近いか!?

 ガードレールもなく、切り立ったコンクリートの壁の上に続く道。いままでの藪区間もこんな感じだったんだろうなぁ、怖・・・。

 木が倒れてるくらいじゃもう何とも思わないよ。

 しっかし、ホントに荒れ放題だなここは。・・・でも、よく見ると、瓦礫の上にタイヤの跡のようなものがうっすらと・・・ゴクッ。

 いきなり、ロープを渡して「進入禁止」の看板を立てている地点に出た。いやいや、看板立てる向きが逆でしょ、と思ったが、確かに伐採しているのはこの先の地点だから、これでいいのか。ってことは、こうやって焼山線から抜けてくる者を想定して警告してる・・・のか??進入禁止って言われたって、今来た道を引き返すなんてヤだよ!!

       

 そこを越えると、周囲の木々は伐採され、目の前には爽やかな青空が広がっていた。

 よく頑張った、俺!ここまでくればあと少しだ!

 左手の斜面は、前回作業道の起点に来た時よりもだいぶ伐採が進んだようで、かなりの開放感。

 今日は日曜だから作業は休みのようだが、今も伐採作業の真っ最中のようだ。

 おっ?

 やった!ついに作業道牛喰線の起点に到着しました!焼山線の起点を出発してから2時間弱なんだか凄く長かったような気分だけど、あとは勝手知ったる林道を下って行くだけだ。

 ・・・ヒィ〜。

 さて、道はここから一旦、沢を跨いで二股に分かれるのだが、ここは当然下りオンリーの左手を進みます。

 おっ、あんなところにあんなでかい岩があったんだ。今までは木が生い茂ってたからわからなかったけど。

 ほぼ直線で下る道を爽快に走りきり、本線に合流・・・って、ええーっ!?こっちも舗装化かよ!!しかも本線のほうはさらに奥まで舗装されている様子。これじゃほぼ全線舗装じゃねーかよ・・・。

 この辺りも以前は雰囲気のいいダートだったんだけどなぁ、残念だ。

 ・・・ま、まぁ、舗装の下りも気持ち良かったけどね。

 スタートからほぼ二時間、ようやく牛喰線の起点まで戻ってきました。あとはここからの県道を焼山線の起点まで下って終了です。

 以前から気になっていた、作業道を介して繋がっているという焼山線と牛喰線を、ついにこの目で確かめてきたけど、こんなヒドイ状態だとは思いませんでしたよ・・・もっとも、普段から通行に使われているような道ではないし、ついこの間まで夏真っ盛りで藪も茂り放題の時期だから、まぁ当然っちゃあ当然だったんだろうけどね。思い起こせば楽しい思い出ではあるけれど、もう一回行こうって気にはならないかな、さすがに(笑)。