雪道の感触
2011/02/13 埼玉県秩父市 林道橋立線〜林道上強石線
 
 この週末は、関東でも山間部では積雪が見込まれるとの予報通り、秩父方面の山ではそれなりに積もっていたらしく、土曜日にはTKさんmioさんから立て続けに雪遊びの様子が上がって来ていた。そんなの見せられちゃ黙ってられないじゃないですか(笑)。幸いにして翌日の天気は晴れの予報。TKさんに「自分は明日行きます!」と宣言し、やる気マンマンで迎えた翌朝、TKさんから「秩父まで来るならご一緒しませんか?」と連絡が入る。それなら是非、ってことで、おおまかな秩父到着予定時刻を伝え出発。


 国境の長い(正丸)トンネルを抜けると雪国であった。
 
 
 R299も飯能市内を走っているときはさほど雪も見られなかったのだが、トンネルを抜けたとたん周囲の木々も雪化粧を纏い、すっかり雪国の風情を漂わせている。日陰の路面にはシャーベット状の雪に覆われた箇所もあり、できるだけ慎重に走って行く。
 道の駅あしがくぼで、これから集合場所のコンビニに向かう旨をTKさんに伝えて再出発。

 
 
 R140沿いのコンビニに着くと、既にTKさんは到着済みで、今日はmioさんも同行していただけるとのこと。さらには蝋人形さんも、林道の入口までということで見送りに来ていただいていた。奥に見える、雪を纏った武甲山がとても美しく、否が応でも気分が盛り上がる。

 
 
 手前から、XR BAJA@ナノレカワ、エロー(notセロー)@mioさん、TLR@TKさん、DR@蝋人形さん。
 で、ここへ来る途中、いつものクセで下半身をうっかりジーンズで来てしまったことに気づく。これから雪道を走ろうってのに・・・。ちょうどこのコンビニの向かいにワークマンがあるので、間に合わせで¥580の雨合羽を買い込んで戻ってくると、みんなが俺のBAJAを見て楽しそうに笑ってるよ・・・?
 
 
 写真を見ての通り、ほぼタイヤの山がなくなっております。これを見たmioさんも開口一番、「雪道を舐めてるでしょ(笑)?」
 あ、やっぱり?いやー、本当は今日は山に行かなければタイヤ交換しようかと思ってたくらい自覚はしてたんだけどね・・・。だけど今日を逃したら、みんなのレポで見たコンディションの新雪が味わえなくなっちゃうと思うと、いてもたってもいられなくなっちゃったんですぅ〜、えへへ。とりあえず、行けるとこまで行ってみるってことで早速出発です。
 
 
 さあ、やってきました本日の目的地、林道橋立線です。林道の起点まで来ても周囲には目立つ積雪もなく、本当にこの先に雪道が待っているのか?という気分のまま先へと進んでいく。
 
 
 起点から少しの舗装区間を越えてダートに入ると、眼前には雪を湛えた山が迎えてくれた。道を覆う木々の下を走りぬけていくと、陽の光を浴びて輝く粉雪が静かに舞い落ちる。なんて美しい・・・。
 
 
 青く澄みきった空に真っ白い雪が映えます。冬ならではの山の美しさに早くもウットリ。
 
 
 初めのうちは轍に沿って雪も溶けていたのだが、次第に路面いっぱいに雪に覆われだした。この辺りで早くも真っ直ぐに進むことが困難になってきている。ここで蝋人形さんは大事をとって撤退。そういえば蝋人形さん、「入口まで」って言ってませんでしたっけ(笑)?
 
 
 お見送りありがとうございました。暖かくなったら普通のツーリングに行きましょう!
 
 
 やがて、橋を渡った先のコーナーを越えると日陰に入り、緩やかながらも上り坂となった。途中まで騙し騙し上って来たのだが、いよいよスタックして先へと進めなくなってしまった。ちょうどこの区間では、轍の下につるつるに凍った路面が顔を覗かせている。これじゃ一旦停まったら登れないワケだ・・・。

 
 
 少しずつアクセルを開け、リアにトラクションを掛けて何とか進もうとするが、カスタムシートのおかげでノーマルより若干シート高が上がってしまっている我がBAJAでは、雪の上では両足で踏ん張る事もままならず、リアタイヤは激しく雪を巻き上げ、むなしく空転するばかり。
 
 
 御覧のとおりの有様です・・・。
 
 
 mioさんも後ろから援護してくれるが、こんなんじゃラチが開かない!ってことで、ここでmioさんお手製、麻ロープを編んだ「ねじねじ君」が登場!
 
 
 さすがケモな人たち、常にこういうものを持ち歩いているようだ(笑)。
 
 
 mioさんから巻き方の講習を受け、せっせとねじねじ君をリアタイヤに巻きつけていく。この「ねじねじ君」のおかげで、なんとかこの坂をクリア!
 
 
 その先のコーナーを越えて、道は日向へと続いて行く。真青な空と真っ白な雪のコントラスト。ああ、なんて美しい・・・やっぱり今日来て良かったなぁ。
 
 
 更に先へと進むと、先行するTKさんとmioさんが停車している。どうやらこの先は全体的に穏やかな橋立線の中でもちょっとした難所らしいが・・・。
 
 
それでもTKさんは軽々と越えていく。さすがです。
 
 
 ねじねじ君を装着したmioさんも難なくクリア!
 
 
 そしてナノレカワはといえば、こんなところで停まってしまってます・・・。
 
 
 ふと空を見上げる。道の両脇からは、白い雪に包まれた冬枯れた木々が頭上を覆う。冬の山の美しさは、本当に格別だな。

 なんて呑気に構えている場合じゃないですよ。ここで、TKさん持参のスペシャルアイテムが登場!
 
 
 TKさん自作のタイヤチェーンです。これにはmioさんも「これとねじねじ君を組み合わせればかなりイケるかも!」と感心しきり。うはは、こんなものまで常備してるなんて、サスガだなぁこの人たち(笑)。このチェーンをお借りして、なんとかこの区間もクリア。
 
 
 その先の日向となる区間では、轍に沿って既に雪が溶け、ダートの路面が見えている。とりあえずここでちょっと一息。
 
 
 ただ、すぐ先のコーナーを越えると、再び日陰となる。もう終点も近いと思うが、気を引き締めていくぞ!
 
 
 ・・・何故か吸い寄せられるように、動画を撮影中のTKさんの真っ正面に向かって行ってしまった。全然引き締まってねーよ(笑)。
 
 
 押し、入りまーす!
 終点まであとほんの10数mってとこで再びスタック。TKさん曰く、「ボブスレーみたい」と。た、確かに(笑)。やっぱりBAJAは重いなー。
 
 
 そんなこんなで、なんとか終点まで辿り着く事が出来た。延長自体はそんなに長くはない林道だが、いやー、十二分に堪能させていただきました(笑)。ここから先には登山道が延びているため、ここまでの道のりでも登山者が乗ってきた乗用車の轍が残り、この先にも既に結構な踏み跡が残ってますね。
 
 



----------橋立のお巡りさんものがたり----------
 
 
 かつて、この橋立線の終点標識の脇には、寄り添うように一人のお巡りさんが立っていました。
 
 
 これがそのお巡りさんの姿です。雨の日も風の日も、登山者の安全を祈ってお勤めされていたのでしょう。
 
 
 時には心無い者の悪戯を受けることもありましたが、それでも決して心を乱すこともなく、静かに職務を遂行されていたお巡りさん。そんな彼も、今ではその姿をこの地で見ることは出来ません。どこか他の地へ転属なされたのでしょうか、それとも、二階級特進でしょうか・・・。

 TKさんも、「あのお巡りさんがいないと、終点まで来た達成感に欠ける」と嘆いておられました(笑)。
 
--------------------
 
 
 終点でしばしの休憩。汗だくになった体をクールダウンし、今度は来た道を下って行く。
 
 
 上りであれだけつるつるした道を今度は下って行くのか・・・怖ぇ。この橋立線は、ガードレールのない区間が頻繁にあるので、本気で気を引き締めて行かないと。

 ここでTKさんから、「上強石線にも行ってみたい」とお誘いを受けた。この橋立線で既に十分おなかいっぱいなのだが、TKさん曰く、あっちは4輪の踏み跡などもないフカフカの雪のままだろうとのこと。俺もせっかく秩父まで出てきたことだし・・・行ってみますか(笑)。
 
 
 慎重に下りの道を通過し、ようやく路面の見える場所まで戻ってきた。ここでmioさんとはお別れ。いろいろ用事の立て込んでいる中を出てきていただいたようでありがとうございました!
 この後、ホームセンターでmioさん直伝の「ねじねじ君」用に麻ロープを買い込み、TKさんと二人、次の林道を目指してR140を進んでいく。
 
 
 やってきました、林道上強石線です。この道の終点は、登山道などもなく本当にただの行き止まりなので、きっと先程の橋立線以上のフカフカの新雪が望めるだろう。
 
 
 起点標識の立つ地点から向かいの山を望む。ここでも白い雪を纏った冬山の美しさにウットリ。さあ、それでは第2ラウンド、行ってみよう。
 
 
 林道起点までの集落沿いは綺麗に除雪されていた道も、起点から僅かの舗装期間を越えてダートになると同時に、路面を雪が覆いつくすようになるが、その雪の上を既に4輪の轍が延びている。恐らく4駆のスキモノなのだろう、みんな考えることは同じなのね(笑)。
 初めのうちは順調に進んできたのだが、やがて雪が深くなるにつれ、案の定スタックしてしまった。
 
 
 そんな中でも、TKさんは颯爽と走破していく。あれだけ軽快に走れると、そりゃめちゃめちゃ楽しいだろうなあ。
 
 
 一方ナノレカワはといえば、このままでは先へ進めないので、先程買い込んできた麻ロープを使い、mioさん直伝の「ハイパーねじねじ君」を仕込む。ねじねじ君を上回る走破性を誇るというハイパーねじねじ君だが、初めて作っただけになんだか不格好に・・・。ま、まあこんな素人作業でも、無いよりはマシだろう。
 
 
 ハイパーねじねじ君を装着し、ゆっくりアクセルを開けると、、いい感じに車体が前へと進みだした!おお、これはいいぞ!やがて4輪の轍も消え、まっさらの新雪の中、背後に武甲山を望む区間まで到達したのだが、深い新雪の中は舵など全く効かず、左右に振れる車体を両足で支えながら、二輪二足でなんとか進んできたのだが、ここで再びスタックし停車を余儀なくされた。BAJAを降りてリアタイヤを見ると、さっき巻いたばかりのハイパーねじねじ君がみんな千切れてしまっている。やはり付け焼刃では無理があったか・・・。
 
 
 前方には、誰の踏み跡もない路面の、あとほんの数十m先にもう終点が見えてはいるのだが・・・。
 
 
 ここから先の道の上には、僅かに1匹のウサギの足跡が残るのみ。なんとかこの先の終点まで辿り着きたかったが、既に再び縄を巻く気力もなく、残念ながらBAJAでの進行はこの地点で断念することにした。
 
 
 TKさんはしっかり終点まで到達し、アクセルターンでしっかりと路面に輪を描いていたけれど(笑)。
 
 
 せっかくなので俺も歩いて終点を踏む。振り返れば、清々しい青空の下に冬の色彩を纏った雄大な秩父の山々が連なる景色が広がっていた。
 
 
 今日走った2本の林道、どちらも普段ならあっと言う間に走りきってしまうほどの短い行き止まり林道だけど、季節が違えば全く違った楽しみ方が出来るということを再認識させられた。こんなに綺麗な青空の下、こんなに綺麗な雪の上を走ることが出来て本当に満足できた。やはり今日走りに来て良かった。それと、雪道をこれだけ楽しめたのは、やはり複数人で走ったからこそだと思う。一人で来てたら、絶対に橋立線の終点まで辿り着けずに撤退してたな(笑)。
 ご一緒してくれたTKさん、mioさん、お見送りにきていただいた蝋人形さん、今日は本当にお世話になりました。また走りに行きましょう!