残暑の朝駈け
2012/08/25 埼玉県秩父市 林道高篠峠線・他
 
 前回の日記の引きで「次に走りに行けるのはいつになるかな」なんて書いたが、今週もお山にやってきました。ただ、今日は午後から休日出勤が控えているので、それまでの午前中の僅かな時間を使って近場の林道を走ってくるとしよう。
 
 ・・・近場の探索と言えば冬にやるもんだったはずなんだけど、おっかしいなあ(笑)。
 
 
 まず最初にやって来たのは、ときがわ町の県道172号線沿いの林道橋倉線。県道に接続しているこちら側は終点となる。
 
 
 
 その終点標識を見ると、路線名の「橋倉線」の部分が後から付けたされ標識の表面から浮きあがっている。実はこの標識、補修される以前は「板倉線」と誤った路線名が書かれていた。入口から少し入った地点にはちゃんと「橋倉線」と書かれた古い標識が立っていたのだが、当然新しい標識のほうが正しいのだろうと思い込み、埼玉版にも「板倉線」として載せたままになっていたが、結局は新しい標識のほうが間違っていたようだ。最近になって起点と終点の標識が修正されていることを知り、どうせなら以前来た時は全く撮っていなかった道の様子も写真に収めようと、実に6年振りに訪れてみた。(埼玉版はそのうち更新します・・・。)
 
 
 
 そしてこの林道は、起点、終点共に未舗装路から始まっている・・・が、実はこのダートはどちらも僅か30m程で途切れ、その区間以外はすべて舗装路なのだ。初めて来た時は「やったぜダート林道だ!」と思ったものの、瞬時にその喜びがかき消されてしまったことも、殆んど写真を撮らなかったことの要因であったかも(笑)。
 
 
 
 お、この標識、まだ残ってたか!ダートが途切れる地点の少し手前に立つ、旧都幾川村表記のこの古い標識。県道との分岐に新しい標識が立ったにも関わらずそのまま残されていたのは、もしかしたらあの新しい標識の誤表記によるものだったのかも知れない。
 
 
 
 そのまま舗装区間へと入る。6年前の記憶もほとんど薄れ、初めて走るのと変わらない道の景色を再びなぞりながら起点方面へと向かう。
 
 
 
 舗装林道とはいえ、夏の早朝の山の空気はやはり素晴らしい。くたびれた心がゆっくりと解きほぐされていくようだ。
 
 
 
 2km程の舗装区間を経て、道は再び未舗装へと変わるが、このダートも僅か30m程で終わり・・・。
 
 
 
 そのまま全線舗装の林道大野峠線へ接続し、橋倉線は終了となる。
 
 
 
 起点から見る風景は、ちょうど舗装へと切り替わる地点がカーブの向こうに隠れていることもあって、なかなかいい雰囲気のダート林道に見えてしまう。埼玉の林道の中でもトップクラスの「なんちゃってダート林道」だよ(笑)。
 
 
 
 そしてこれが起点標識。こちらもしっかりと正しい路線名に修正されている。以前はこの標識の袂に、終点側にもあった青い標識が打ち捨てられていたのだが、さすがにそれは撤去されてしまったようだ。うーん、残念。
 
 
 
 橋倉線を抜け、そのまま大野峠を越えて続いてやって来たのは林道高篠峠線。この林道、初めて定峰線を走った時からこのダートの入口の存在に気付いてはいたのだが、初めて見たときは林道標識が無かったこともあり、単なる作業道か何かだと思ったことに加え、起点脇に「歩行者専用道」の看板が立っていることもあり、それに遠慮して今まで一度も走ったことが無かった(この看板自体は、定峰支線と同じ扱いのものなんだけどね・・・)。
 その後、ここもれっきとした「林道(森林管理道)」であることを知り、ずっと走りたいと思っていたのだが、ちょうどその頃には土砂崩れか何かで通り抜けが出来ないような話を聞いていた。最近になってようやく問題なく通り抜けることが出来るという記述をどこかで見ていたので、機会があれば是非走りたいと思っていた。
 実際現地に来てみると、入口には通行止めの看板こそ立っているが、ゲートがあるわけでもなく、どかさなくても通過出来る小さなバリケードが置いてあるだけだ。これはさして本気の意思表示ではないと判断できる。

 などと、色々言い訳じみたことを書いたが、埼玉県内に車道として開設された(物理的に)通行可能な林道である以上、一度は走っておかねばなるまい。初走行となる高篠峠線、ちょいとお邪魔します。
 
 
 
 朝日に照らされた山肌を眺めながら走りだすと、勾配も緩くフラットな、想像していたよりも穏やかな路面が待っていた。
 
 
 
 ときおり浅い流水痕は見られるが、走行に支障のある程のものではなく、安心して走って行くことが出来る。
 
 
 
 ただ、普段からあまり管理されることもないのか、道の両脇からは背の高い雑草が路面に向けてせり出してきている。とは言え、これとて走行に支障があるほどではないが。
 
 
 
 更に進むと、左手に視界が開けてくる。世間ではそろそろ「残暑」なんて言葉も聞かれだしているが、濃い緑と青い空に包まれた山々は、まだまだ夏の空気を纏って俺とBAJAを迎えてくれる。 
 
 
 
 所々ではこんなに広々(?)とした区間も現れる。もっと廃道臭い道を勝手に想像していたんだけど、これは良い意味で想像を裏切られた感じだ。
 
 
 
 ちょっとちょっとおー!この道にこんなに景色の良い場所があるなんて聞いてないんだけどー(笑)。
 走る前はまさかこんなに視界の開けた場所があるなんて思いもしなかったので、これは本当に嬉しい!いやー、楽しくなってきたぞお!ホント、今日来て良かったなあー!
 
 
 
 行く手に広がる空は、どこまでも青く澄み渡る。この道でこれだけ空を見ながら走ることが出来ることも正直意外だった。
 
 
 
 ときおり視界の開ける場所から見える山の間には、平地の街並みも見えている。方角的にみて、あれは秩父の市街地だな。すごいな、こんな景色まで見ることが出来るなんて・・・。
 
 
 
 徐々に高くなっていく陽が山肌を明るく照らしていく。光と影を交互に潜り抜けながら、初めて見る景色の中をのんびりと味わう。
 
 
 
 あー、ここすっげー楽しい!今の今まで走りにこなかったのが本当に勿体無いくらい良い林道だな。
 
 
 
 道は広くなったり、せり出す草で狭くなったりを繰り返している。ここなんて路面からも猛烈な勢いで草が延びているが、そんなこともまた楽しくて仕方ない。
 
 
 
 途中、何故か1ヵ所だけ泥でぬかるんでいる地点があった。水溜まりが干上がらないほど日当たりの悪い場所とも思えないが?
 
 
 
 林道に入って2km程を過ぎ、道も徐々に下りとなって来た頃、初めてガードレールが設置されている地点があった。そういえばここまでは、視界が開けても路肩ぎりぎりまで山の斜面が迫っているところって無かったかも。
 
 
 
 更に進むと、伐採した丸太を積み上げている場所があった。ここへ来るまでに何箇所も雑草に覆われた地点などもあったので、割とほったらかしにされているような印象もあるが、現在もしっかりと間伐などの管理がなされているようだ。そうでなきゃ土砂崩れだって復旧されないよな。
 
 
 
 かと思えばこんな場所もあったり。入口の看板には「歩行者専用道」と書かれているが、実際ここを歩くハイカーなど、一体どれほどいるのだろうか?
 
 
 
 そんな高篠峠線もそろそろ終盤。このまま引き返して往復しちゃいたいくらい気持ちいい道だけど、今日はこのまま通り抜けて先へと進む予定だ。
 
 
 
 入口からジャスト4kmを経て、県道11号線に出てきた。全線フルダートの完抜け林道、ごちそうさまでした!いやー、ここは本当に楽しかった。また時間が出来たら走りに来よう。歩行者には出来るだけ気を付けるようにしてね(笑)。
 
 
 
 県11から次の目的地へと向かう途中で、林道秩父高原線の入口が目に入った。そういえばここもかつて一度だけ走ったが、やはり途中の景色を写真にはほとんど収めていなかった。今日は次に走る林道で終わりにしようと思っていたが、ここに寄り道するくらいの多少の時間の余裕はあるし、せっかくなんでサクッと走ってこよう。
 
 
 
 ここを走るのも6年振りになるのか・・・時の流れの速さってホント恐ろしいな(笑)。
 
 
 
 路線名こそ「秩父高原」などと爽やかな名前を謳っているが、実際はほぼ木々に囲まれた鬱蒼とした区間が続いていく。路面のひび割れには雑草がたくましく根を張り、普段からあまり交通量がないであろうことを伺わせる。
 そんな秩父高原線だが、1ヵ所だけ記憶に残る地点がある。はたしてあの場所はまだ残っているだろうか?
 
 
 
 おお、あった!ここは秩父高原線に残る唯一のダート区間だ。だが、実はそのダート区間は僅か20mほど(笑)。ちょうど上の画像で日向になっている部分だけが何故か舗装されずに残されている。今日最初に走った橋倉線もそうだけど、これっぽっちのダートが残される意味って一体何だろう??
 
 
 
 県11沿いの入口から約3.6kmを経て起点に到着。ここから下って行く道は未だ走ったことがないが、恐らくは県11に繋がっているだろうし、今日は先を急ぐので再び秩父高原線を引き返す。
 
 
 
 戻りがてら、せっかくなのでダート区間でBAJAを撮影。これから先も恐らくこの場所が舗装されることは無いだろうな(笑)。
 
 
 
 秩父高原線からそのまま県11を進み、本日最後にやって来たのは林道勝呂入山線。ここは先週も来たばかりだけど、今日は先週以上の青空が広がっているし、せっかく近くまで来たので立ち寄ってみることにした。今日は東秩父村側の終点からのアプローチだ。
 
 
 
 お!蝉の抜け殻発見!こいつ、なかなかいいところから飛び立っていったな。
 
 
 
 そういえば、先週来た時はこの場所より終点側に下った地点で何かの作業をしていたが、実は今日も引き続き作業をしていた。斜面の木の伐採をしていたのだが、そのまま通過してきてしまった。すいません、お邪魔しました・・・。
 
 
 
 そのまま高度を上げ峠へと至ると、待っていたのはこの空!そして峠を越えると、すぐにあの展望区間となる。
 
 
 
 そこには、先週よりも格段に素晴らしい景色が広がっていた。遥か先の地平線は緩やかに弧を描き、この地球が球体である様をはっきりと伝えてくる。うおお!素晴らしい!素晴らしいぞ勝呂入山線!
 
 
 
 ここから見る景色は、何度見ても本当に素晴らしい。こうして後から写真を見ていると、空に薄く流れる雲の姿が、早くも秋の訪れを感じさせるような気もするが、実際この場では暑くてこれっぽっちもそんな気になんてなりゃしない(笑)。
 
 
 (↑画像をクリックすると拡大します。)
 
 ああ、すっげー楽しいなあ。擁壁の上によじ登ってシャッター押しまくりですよ(笑)。あんまり楽しくて、思わずパノラマにしちゃった。先週来たばかりだからって端折らずに立ち寄ってホント良かったなあ。
 
 さて、そろそろ引き返すとするか。正味2時間ほどの僅かな時間だったけれど、こんな素晴らしい青空の下、未踏の林道も走ることが出来たし、今日は本当にいい気分転換になった。
 
 
 
 起点付近まで下ってくると、かねてから噂のあったゲートが設置されていた(大嘘)。
 
 それじゃ仕事行ってきまーす!