ときがわ〜小川林道散策
2017/12/03 埼玉県ときがわ町〜小川町の林道-@ 都幾川林道
 
 ふと、あの林道のことを思い出したんだ・・・。
 
 ここは、県道172号線の宿の交差点を慈光寺方面に上って来た地点。ちょうど紅葉が見頃で良い感じだが、今日の目的地はこの先にある。
 
 霊山院霊園を通過し、道の舗装が途切れる地点まで来ると、そこにはチェーンゲートが張られている。
 
 ここから先は、都幾山国有林の中を延びる国有林林道、都幾川林道となる。
 
 埼玉県内の他の国有林林道同様、起点にはこの「一般車両通行止め」の看板が立ち、路線名を記した標識などは特に用意されていない。
 この都幾川林道、今から8年前にいちどだけ、ここから西側に位置する林道赤木七重線方面から自転車で走って来たことがあるのだが、この都幾川林道としての区間がどれほどの長さだったのかなど、その時はあまり気にすることなく通過してしまっていたので、今日は改めてこの都幾川林道の区間を歩いてみようと思う。BAJA君、ちょっとここで待っててね。
 
 さっそく歩き出すと、道の外に視界の開けた明るい地点に出た。
 
 ちょうどこの時間、ここから見る景色は逆光となっているが、淡いブルーのグラデーションとなった山々の稜線に、思わず目を奪われる。
 
 その地点を通過すると周囲は再び木々に囲まれるが、明るい日差しのおかげで気分良く歩くことが出来る。
 
 ふと左手に、急勾配で下って行く作業道があるのに気づいた。入り口はロープで閉鎖されているが、そのロープを渡した支柱の木材はまだ新しいものだ。
 
 すぐ先の地点の路肩には、その作業道から運ばれてきたものか、伐られたばかりの木材が置かれ、周囲には杉の木の芳しい香りが漂っている。この都幾川林道、いまでもしっかりと管理の手が入っている現役の林道のようだ。
 
 そんな感じで、間伐もきちんと管理されている所為か、周りを囲う杉林にもしっかりと陽の光が入り、杉の植林帯にありがちな鬱蒼とした雰囲気は感じられない。
 
 うん、なかなかいい感じじゃないの。路面も綺麗で歩きやすいし、トレッキングコースとしても悪くない雰囲気じゃないかと思う。
 
 まあ、ちょっとだけ鬱蒼とした区間もあったけど(笑)。路面も雑草に覆われ、さすがに車両が通らなければこうなるよなあ。
 
 と、そんな道を歩き始めて僅か13分程が経過。お、見えてきたぞ。
 
 ここに、冠岩下休憩所と書かれたベンチがある。実は、ここが都幾川林道としての終点なのだ。起点から取ってきたトラックログによると、その延長、僅か582m!短っ!以前自転車で来たときは、この奥からやって来て起点方面に下って行ったのだが、ここからあのチェーンゲートまで、そんな短かったのか・・・まったく記憶に残っていなかったよ(笑)。
 
 で、何でここが終点って分かるんだよ、って思うだろうけど、実は嘗て、この地点には都幾川林道としての終点であることを示す標柱が立っていたのだ。
 
 

 
 これが、2009年末に訪れたときにこの地点で撮影した、都幾川林道終点の標柱の写真だ。見ての通り、この時点でこれだけ風化していたので、今回無くなっていても不思議ではなかったが、実際にこれが失われてしまったのを目の当たりにすると、やはり残念でならない・・・。
 
 さて、都幾川林道の区間があまりにも短く、あっという間に終点に到達してしまったが、この先にも道は続いている。時間にも余裕はあるし、予定外ではあるがちょっとこの先も歩いてみるか。
 
 この都幾川林道、ときがわトレッキングコースの一部に組み込まれているのだが、この地点からは、林間を歩く歩道が分岐している。
 
 その歩道へはこの階段からアプローチするが、恐らくほとんどのハイカーはそちらを行くと思う。この日も途中でこの車道の上に位置する歩道を歩く人とすれ違った。
 で、あのベンチの場所で写真を撮っていると、背後から「ンフー」という息遣いが聞こえてきた。まさか熊か!?と思って振り返ると、ここから登ろうとしているハイカーのおじさんの呼吸でした・・・。
 
 休憩所のベンチのすぐ先にも、チェーンゲートが設置されている。この奥からも国有林内に入れないようにするためだろうか。
 
 そのチェーンゲートを越えて歩き出すと、先程までとはうって変わり、だいぶ放置臭の漂う景色になってきた。
 
 路面こそ穏やかな状態を保っているものの、倒木なども放置されたままになっている。
 
 その先にも放置された倒木があるが、現状、基本的に車両の通行が想定されていない以上、当然といえば当然か。
 
 こうして見ると、車道としてもとても綺麗な状態を保ってはいるように見えるが、そもそも、先程の都幾川林道の区間を越えてきたこの道がどういった素性のものなのか、全く分かってないんだよなあ。民有林林道の扱いだったのかなあ?どちらにしろ、ここをオートバイで走ることはもう叶わないけどね・・・。
 
 道の脇に置かれた丸太のベンチも、風化が進みすっかりぼろぼろになっている。トレッキングコースの一部に組み込まれているとはいえ、やはりこちら側を歩く人は少ないんだろうなあ。
 
 都幾川林道終点の地点から20分程歩いてくると、目の前に左右に延びる道に接続する地点に着いた。こちらもしっかりとした車道規格の道だが、こんな分岐があったことはすっかり忘れていた。
 
 道標によれば、下りは西平方面、上りは七重方面と書かれている。西平方面に進むと、延々と下り続けてそのまま県道まで出てしまうようだ。ここは上りの七重方面に進む。
 
 七重方面に進みだすと、道は再び日差しに包まれ、明るさを取り戻した。
 
 おおっ!さっきまでの放置臭が嘘みたいにいい雰囲気じゃないか!これは素晴らしいぞ!
 
 ・・・ん、まあ、放置臭がしないだけで放置されていることには変わりないんだけど(笑)。
 
 辺りはひっそりと静まり返り、まるで山が深い眠りについてしまったかのようだ。こんな雰囲気の道を独り占め出来るなんて、なんて贅沢なんだ。この上に位置するコースを歩いている人も、この景色を見たらこっちも歩いてみたくなるんじゃないかな?
 
 路上に降り積もった落ち葉がまた実に美しい。
 
 その先で、またしてもチェーンゲートが設置された地点があった。ずいぶんと厳重にしてあるな。余程一般車両には入って欲しくないんだろうな。
 
 都幾川林道終点から歩き始めて30分程が経過。お、見えてきたぞ。
 
 いま歩いて来た道が、目の前を横切る舗装路に突き当たった。この道は林道赤木七重線だ。ここへは後程BAJAで戻ってくる予定だ。
 
 チェーンゲートの手前には、「都幾川村役場」と書かれた、A型バリケードの残骸が落ちている。ときがわ町がまだ都幾川村だった頃から、この道は閉鎖されていたということなんだろう。恐らく車道林道として開設されたことは間違いないのだろうが、その使命を終え、廃道となっていく林道が多い中、トレッキングコースとしての役割を持って生き永らえていることは救いか。
 
 さあ、BAJAも回収しなくちゃだし、そろそろ来た道を引き返すとするか。
 
 この区間を歩くことは全くの予定外だったけど、冬枯れた景色と相まって、実に良い雰囲気でとても満ち足りた気持ちになれた。
 
 冠岩下休憩所まで戻って来た。ここから往復で1時間程歩いているうちに、だいぶ腹も減ってきた。
 
 よーっし!昼飯にするぞー!山ラーをするのもずいぶんと久しぶりだ、嬉しいなあ。
 
 やわらかな色彩の紅葉に囲まれながら、ベンチに腰掛けてのんびりとお湯が沸くのを待つ。何があるわけでもないけど、こういうのが楽しいんだよなあ。
 ここで、先程上のコースに入っていったおじさんが、車道経由で往復して戻って来た。こっちの車道も、なかなか良くなかったですか?
 
 昼飯を済ませ、起点まで戻って来た。BAJA君、ただいまー。
 
 せっかくここまで出てきたので、この後はBAJAと一緒に周辺の林道を走りに行こう。通れればどれも久しぶりとなる林道なので、楽しみだ。
 
Aへ続く。