埼玉林道の未踏区間へ!
2020/06/07 埼玉県秩父市・林道石神沢線〜神川町・城峰神社
 
 どーもー!お久しぶりです、ナノレカワです!
 
 新型コロナ感染防止のための緊急事態宣言による外出自粛のため、前回ツーリングに行ってからはや3ヶ月近くが経過したが、その緊急事態宣言もようやく5月25日に全面解除され、バイクに乗ってツーリングへと出掛けることも、とりあえずは後ろめたさを感じることなく出来るようにはなった。ただ、いまだ県を跨いでの行動は控えなければならず、となると必然的に埼玉県内の林道へ行くしかないわけだが、県内の林道も、昨年の大風19号の被害が色濃く残り、まともに走れるところもそうは多くないはず。さて、そんな中どこへ行こうかと考えていると、先日こちらのBBSに、かねてより延伸工事の進められていた秩父市の林道が、遂に全線開通したとの情報を頂いていたことを思い出した。よし、今回の目的地はそこに決定!早速行ってみよう!
 
 ・・・と、その前に、1か所寄り道をしていこう。ここは寄居町の林道馬騎ノ内線。ここを進んだ先に、木の成長によって幹に飲み込まれつつあるまといリスの看板がある。ちょうど去年のこの時期にも一度紹介しているので、覚えている方もいるのではないかと思う。
 
 しばらく進むと左手の路肩に、幹の中ほどが不自然に膨らんだ木が立っている。
 
 いた!これが馬騎ノ内線の「木に喰われたまといリス」だ!
 
 所謂山火事防止のまといリスの看板ではあるのだが、樹皮に覆い被さられたせいで、肝心のまといリスの姿はほぼ見えなくなっている。それに、よく見ると去年の状態よりもさらに成長が進み、僅かではあるが露出した面積が狭まっているのが分かる。
 
 

 
 ↑ちなみにこちらが昨年撮影したもの。「玉」の文字や、リス本体やリスの持つまといの棒の見え方に変化があるのがわかるだろうか。僅か1年でこれだけ変化があるとすると、本当にあと10年ほどで完全に喰われてしまうかもしれない。これはやはり、年に一度くらい定期的に見に来る必要があるな(笑)。
 
 そんな寄り道を経て、本日のメインの目的地にやってきた。
 
 林道石神沢線だ。前回ここに訪れたのは2016年の12月、その時はこの起点から約2.1kmの地点で開削工事の真っ最中だった。それから3年半が経ち、遂にこの先で接続する林道上武秩父線に完抜けしたとの情報を、今年の3月にムンクさんより頂いていた。それから少し時間は経ってしまったが、いよいよその貫通をこの目で確認しに行くぞ!
 
 起点から続く舗装路を進んで行く。前回のツーリングはまだ冬の面影の残る景色だったが、山はすっかり初夏の雰囲気を湛えていた。鮮やかな緑を透かした光の射す道を走っていると、舗装路でもこんなに気持ちがいいと気づかされる。
 
 途中、路肩が流水によって削られた場所があった。幸い、道に沿って出来た溝を流れていたようで、路肩が崩落するような事態にはなっていないようだったが、これも昨年の台風19号によるものだろうか。
 
 起点から約600mの地点で、左手に分岐する道が現れる。林道石神沢支線だ。
 
 以前はこの分岐地点に支線の林道標識が立っていたのだが、今回それを見つけることは出来なかった。標識のあった辺りの場所を見ると斜面が崩れたような痕が見られたので、一緒に崩れ落ちてしまったのだろうか。それとも、この支線の奥には集落もあるので、ここから先は既に市道にでも昇格したのか・・・。
 
 そして、この分岐地点を境に本線は未舗装となるが、これは以前から変わっていない。
 
 少しずつ斜度を上げて行く未舗装路の脇を、清涼な沢が流れていく。木漏れが路上を照らし、そんな中をのんびりと走れることが本当に嬉しい。
 
 この辺りは轍も無く、砂利の色もまだ真新しいもののような印象を受ける。最近撒かれたのだろうか。
 
 そう思って路面をよく見ると、流水によって出来たであろう溝が新たに出来始めていた。このような溝を埋めるために均された路面が、再び抉れ始めてしまっているのかもしれない。
 
 坂道がカーブしていくところでは、視線の先に空が広がっている。
 
 今日は雲が多めで、太陽の光もも射したり陰ったりを繰り返しているが、1週間ほど前の予報では今週末は雨かもしれないと言われていたので、雨の心配なく走れることは本当にありがたい。
 
 そんな道を進んでいると、見覚えのある地点が見えてきた。
 
 起点から約2.1km。そうだ、ここで間違いない!道がこの谷を跨いでいく地点、ここが前回来たときの末端の地点だ!
 
 

 
 上の2枚の写真は、前回来たときにこの地点を撮ったものだが、まだ沢を跨ぐ道は出来ておらず、谷に沿って暗渠を埋める工事の真っ最中だった。
 
 道の脇を見ると、そのときの暗渠の口がしっかりと見えていた。
 そして、つまりここから先は初めて走る区間と言うことになる。おおお!遂に未踏の区間を走るぞ!
 
 築堤を過ぎると、そのすぐ先で道はもういちど谷を跨ぎ、ぐるっと180度進行方向を変えてさらに標高を上げていく。
 
 (↑クリックすると拡大写真を開きます。)
 なんだか嬉しくなっちゃって、パノラマで撮ってみた。いま辿ってきた道と、これから進む道が一緒に見えているが、この高低差を稼ぐために、こんな大掛かりな工事を行ったんだなー。
 
 そのカーブを超えてくると、今度は先ほど通過した築堤を見下ろすようになる。
 
 3年半前に行き止まりだった地点を、今こうしてこの位置から見下ろしているなんて、なんだか感動的だなあ。
 
 さあ、この先に続く石神沢線の未踏区間を噛み締めるように走って行こう。
 
 ふと、道の脇の擁壁が白く真新しいものであることに気づいた。この石神沢線は、起点側と、終点側の上武秩父線の両方から開削されていたので、恐らくこの辺りが最後に開削された道の貫通地点なのだろう。
 
 真新しいコンクリートブロックの法面に、均されたばかりの路面。こういう状態の林道を走れるのってすごくワクワクする!しかもそれが埼玉の林道の未踏区間となればなおさらだぜ!
 
 道の外に広がる空を脇目にさらに進んで行く。路面にはまた雨裂の出来始めの溝が目立つようになってきた。これ、放っておいたら駄目なやつだ・・・。
 
 後方のカーブの斜面には蛇籠が見えている。以前調べたときに、蛇籠は一度崩れた斜面を応急措置的に復旧させる目的で設置されることもある、ということを知ったのだが、あの地点は特に崩れたような印象も無く、例えば僅かな区間を低コストで工事をするといった意味合いもあったりするのだろうか。
 
 さらに進むと、斜面のコンクリートブロックも年季を感じる色合いになってきた。そろそろ終点に近づいて来たようだ。
 
 なんて思っていると、お・・・。
 
 おお、抜けた!舗装の林道上武秩父線に突き当たった!総延長約3.3km、遂に林道石神沢線の完抜けをこの目で確認したぞ!
 ぶっちゃけ、それほど長い訳でもない林道だが、こうしてまた新たに完抜けの林道が出来たことが本当に嬉しい!なんと言っても、久しぶりに埼玉の林道のまだ知らない区間をこの身で走れたことが本当に楽しかった!僅かな時間だったけど、満足度はめっちゃ高いぞ(笑)!
 
 さて、この後どうしようかと思ったが、冒頭にも書いたように、埼玉の林道は現在、去年の台風19号の被害で通行止めになっているところが多く、この近辺でも目ぼしい林道はほぼ通れなくなっているようだ。ただ、せっかく出てきたのでもうちょっと走って帰りたい・・・。
 
 という訳で、神川町の郷社城峰神社にやって来た。まあ、「せっかく出てきたので」という理由で来るほど近くは無かったけど、今日はまだ時間もあるしと思ってえいやっと来てみた。
 ナノレカワが神社に来る、ということでもう理由はお分かりだとは思うが、ここは埼玉に数多く存在する狼信仰の神社のひとつで、ここにもお犬様が奉納されている。
 
 そして、この一の鳥居の脇にある看板の説明では、珍しくお犬様について触れられている。
 
 鳥居を潜り、眩しい木漏れ日の射す上り坂の参道を歩いて行く。
 
 お、また鳥居が見えてきた・・・。
 
 二の鳥居だ。日に照らされ、緑の溶け出した空気に包まれたこの場所の雰囲気をとても心地よく感じた。
 
 そして、鳥居を潜るとすぐその先に拝殿が見えてくる。
 
  その拝殿へと向かう石段を上りきった地点に置かれているのが、この城峰神社のお犬様だ。
 
 それではさっそく見て行こう。先ずは拝殿向かって右側の阿形から。
 全体的には、生物らしさを感じる写実的な造形となっている。首に巻かれたしめ縄と紙垂が、神々しさを感じさせてとても素敵だ。紙垂もキレイな状態を保っていたので、きっとこまめに管理の手が入っているのだろう。
 
 後方から。体は肉付きのいいスタイルに造形されていて、ニホンオオカミを表現するときによく用いられる脇腹のあばらの造形も、こちらのお犬様ではなされていないようだ。
 
 お顔も、そばに近づくと息遣いを感じられるかのような繊細な造形がなされている。
 
 前歯のひとつひとつも実に細やかに彫られていて、石工の拘りが感じられるようだ。
 
 やや俯瞰気味のアングルから。
 
 個人的には、台座を巻き込むようなこの尾の造形が、まるで生きたお犬様がここに座っているかのような演出を感じてグッと来てしまった。
 
 続いて、拝殿向かって左側の吽形。こちらも阿形同様、全体的に肉付きの良い造形がなされている。
 
 後方から。吽形の尾も、分かり辛いが阿形同様台座の縁からはみ出るような造形がなされている。
 
 お顔のアップ。吽形らしく口は閉じているものの、口先からはみ出した舌先が、可愛らしささえ感じさせる。
 
 県内の他のお犬様と比較してもとても写実的な造形なので、いつ頃奉納されたものなのか気になって台座を見てみると、大正八年四月十五日と記されていた。西暦で言うと1919年、今から101年も前のものだが、それだけの時代を思わせないほどのとてもモダンな造形だと感じた。
 
 そういえば、拝殿の扁額は「城峰神社」と「城峯神社」、2つの表記の扁額が掲げられていたが、どちらが正しいのだろう?一の鳥居の脇の石柱や、案内看板などには「城峰神社」と書かれているので、今回ここでは「城峰」表記を採用しておきますが・・・。
 
 さて、そろそろいい時間になってきて腹も減ってきたので、どこかで飯に出来るいい場所は無いかと辺りを見回して、さっきから気になっている、あの建物は何なんだろう?腰掛けて飯にするには丁度良さそうだが、と思って一旦は座って荷物を下ろし始めたんだけど、待てよ?ここって舞を奉納する場所じゃないのか?
 
 そう思って急遽場所を移動し、社務所(?)の前にあったベンチを借りることにした。ここならいいよね・・・?
 
 それにしても静かだなあ。こんな自然に囲まれた場所で誰の声も聞かずにのんびりしていると、世間の新型コロナの騒動がまるで嘘みたいに思えてくるよ。はやく収束してまた穏やかな日常が戻ってくることを切に願うよ・・・。
 
 さあ、そろそろ帰ろうか。久しぶりにBAJAでの外出だったけど、埼玉林道の未踏区間も走れたし、素晴らしいお犬様も見ることが出来て満足できた一日だったよ。このまま順調に県外への外出も緩和されて欲しいね、行きたいところはまだまだあるんだ。