先日、こちらのBBSに、ある埼玉県内の林道の開設記念碑の情報をいただいた。ときがわ町の日影地区にあるというその碑の情報に添えられた写真には、「林道小北線」との路線名が記されていたが、それは埼玉県内の林道としては今の今まで聞いたことのない名前だった。これまで散々県内の林道を探し回ってきたが、まさか今になって全く未知の埼玉の林道の情報が出てくるとは思いもしなかった。久々に沸き立ってきたぞ・・・!
これはすぐにでも確認しに行かねばなるまい!情報をいただいた日から次の週末となったこの日、さっそく現地へと向かうことにした。
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ここは、ときがわ町日影地区、県道30号飯能寄居線沿いにあるナカバヤシ物流センターの脇から南西方向へと分岐する道の入り口だ(現在地はここ)。この先に、件の記念碑がある(石碑の位置は事前にストリートビューで確認済みだ)。おばあちゃん、お騒がせしております!さっそく記念碑を見に行ってきます!
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いざ走りだすと、地図では分からなかったのだが、道はそこそこの勾配で駆け上がっていて、もともと林道として開設されたことを強くうかがわせる。
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そして、道の入り口から300m近く進んできたところに、目的の石碑があった。
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これが、林道小北線開設記念の碑だ。表面には林道が開設された年月と、当時の玉川村村長の名が記されている。
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裏面には、開設に至った経緯や、開設の関係者、寄付者の名前などが記されていた。この、経緯が書かれているものって嬉しいんだよねー。ちなみに、その開設の経緯の全文を以下に書き起こしてみた。
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地域の発展は道路にある 林道小北線開設
工事は村の英断的な計画のもとに 県の補助
事業として昭和五十一年度を初年度に三か年
にわたり実施されたもので 玉川村大字日影
字小北地内日影幹線道路を起点とし 字田向
地内 県道飯能寄居線に至る延長八九0メー
トルに及ぶものである .
いま この林道の完成にあたり関係者各位
の絶大な協力を感謝し この碑を建立する
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つまりこの碑文によると、いま入って来た側は林道小北線の終点だったようだ。
とりあえずこの場では、光の反射などもあって読みづらかったので、あとで帰ってからちゃんと読もうと思って、裏側にまわって何枚も写真を撮っていると、たまたま坂の下から歩いてきた女性の方に「こんにちはー」と声を掛けられた。どうやら地元の方のようだが、ヘルメットを被ったままこんな石碑を写真に撮っている怪しい輩を警戒しての行動であろうことは読み取れた(笑)。
とりあえずこちらからも「こんにちは」と返し、そこで咄嗟に、地元の人ならこの道について何か知っているかもと思い、かなり唐突にではあるが、この小北線について何か知っているか訪ねてみた。
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すると、その方(この写真に写っている方)によると、この道はもともと荷車がやっと通れる程度の道だったそうだが、今から50年ほど前(石碑に記された開設年が昭和54年なのでおおよそ合っている)に、地域住民の利便性を図るために林道として道の改修を行ったのだそうだ。この写真の右側に写る、車が停まっている道の先も、昔は道が続いていたそうだが、熊などがよく出たことや、今ではもう使われていないことなど、色々話を伺うことができた。さらにこの方は、その林道改修のための寄付もしたらしく、なんとこの石碑に名前が記されているそうで、探してみると確かにその名前があった。まさかここに名前が載っている人に話を伺えたとは、何という幸運!
挨拶をされたことをきっかけに色々話を伺い足止めしてしまったが、それに対するお礼を述べると、こちらこそこういう物に興味を持って来てくれることが嬉しい、と仰っていただけた。そういえば以前埼玉県内の林道を探しまくっていた頃は、ときどきこうして地元の方に話を聞くことがあったっけ、そういうのって楽しかったなあ。久々にその頃の記憶が蘇って、なんだか嬉しくなった。
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その石碑のすぐ先、道の入口から300mに至った辺りで道はピークとなる。
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同地点を反対側から。恐らくこの先はこのまま下り続けるだけだろう。
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緩やかな下りの先では、ここには写っていないが右手に民家が立ち並ぶ道への分岐があった。
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そして、本線はその地点を境にやや下りの斜度を上げる。
ちなみに、改めて見ると、この地点の舗装がずいぶんと綺麗に見える。割と最近に舗装の補修がなされたのだろうか、それとも、最近まで未舗装が残っていた・・・とか?実際のところは分からないが・・・。
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その下り坂を進むと、前方に視界が開けてきた。平地が見えているので、道はほぼ下りきってきたようだ。
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右手の木々が途切れ、道沿いには田んぼが広がっていた。
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稲刈りの終わった田んぼには稲架掛けが並び、ほんのりと秋の風情を漂わせている。それにしてもこの青空の爽快さよ!
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そして、県道との分岐から約700m強(そういえば石碑に記された延長は890mとのことだったが、BAJAでの実測とだいぶ乖離があるな)で、記念碑に記された「日影幹線道路」に突き当たって小北線が終わった(というかこちらが起点だが)。全線舗装の長閑な道だった。
ちなみにこの「林道小北線」、現在の様子を見るに、いまでは町道にでもなっていそうな感じもしたので、ときがわ町にこの道の現状について問い合わせたところ、やはり現在はときがわ町道となっているようで、平成4年から「町道2−17号線」として管理されているとの返答をいただいた。きっとあの開設記念碑がなければ、ここがかつて林道であったことを知ることもなかっただろうが、かつての林道としての記録がこうして記念碑として残っている道は、きっと他にも残っているのかもしれない。とにかく、久々に埼玉県内の未知の林道(だった道)を実走できて、非常に楽しかった!
さて、先ほど話を伺った方も仰っていたが、ここを右手(写真奥側)に進むと、すぐ先に雀川砂防ダム公園がある。せっかくなので立ち寄って行こう。
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駐車場にBAJAを停めて砂防ダムまで歩いていくと、あれ?俺以前ここに来た事があったような気がしてたけど、この景色に全く見覚えがないな・・・近くの林道には何度も走りに来てたのに、もしかしてこのダムに来るの初めてだった?
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駐車場に戻ると、たまたま先ほど話を伺った方がこの公園に歩いてきた。改めて先ほどのお礼を述べると、カバンの中からみかんを取り出してひとつ分けてくれた。近くで採れたものらしく、「お店で売ってるような甘いものじゃないけど」と仰っていたけど、それよりもこうして地元のものを頂けるのがとても嬉しかった。
この後は小北線を引き返して帰ろうかとも思っていたのだが、先ほどの方に、この先を行くとどこどこへ抜ける林道があって、などと色々聞いていたので、久しぶりにこのエリアのマイナー林道を走ってみるのもいいかと思い、ここからさらに上り方面への道を選んで進んでみた。
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砂防ダム公園の脇の道を進むと、林道雀川上雲線に辿り着いた。おお、ここへ来るのもずいぶんと久しぶりだな。もう何年ぶりになるだろう。
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起点の写真は撮ったけど、起点標識は撮り忘れたなと思ったら、そのすぐ先に路線図入りの看板があったので撮影。
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その看板の袂に、かなり古そうな石の道標があった。こういうものがあるということは、この道は林道として整備されるずっと前から、峠超えの道として利用されてきたということなのだろうか。
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総延長約4.3km、全線舗装となるこの雀川上雲線。さっそく走りだすと、左手の斜面に徒歩道のような道筋が見えた。
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これ・・・もしかして先ほどの道標が示していた道って、ここのことだったりするのかな?恐らくこの道を車道として改良するには線形的に厳しい部分を回避して新設したのが、現在の林道区間なのだろう。
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空が開けて道のピークとなる地点に出た。この先はもう下り続きかと思ったものの、延長的にもまだまだ序盤で、この先でもアップダウンを繰り返していくことになる。
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それにしても、本当にもう何年ぶりとなるのかも覚えていないくらいだが、周囲の景色も全く記憶にない・・・。まあ、新鮮な気分で走ることができるので、それはそれで楽しいけどね。
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途中、道の真ん中にヒビが走っている場所があった。路肩にはバリケードが置かれ、道の際への立ち入りを規制しているが、これ、地味に怖いな・・・。
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その道の際を覗いてみると、写真では分かりづらいかもしれないが、ガードレールの根元が、土の流失によって露出し、アスファルトの下までえぐれた状態になっていた。これ、このまま放っておいたらそのうちあのヒビからこっち側全部持っていかれるぞ。まさか道が崩落するまで放っておくつもりか?とはいえ、この状態での補修もなかなか難しいかもしれないけど・・・。
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さらに先を進む。場所によっては仄かに色付き始めた紅葉を透かした日差しで、周囲が柔らかな光に満たされている。
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この地点には、道沿いに「ぶなの森山小屋」という建物があった。山小屋ということは、この周辺の登山道を歩く人が利用するためにあるのだろうか?
ちなみにこの場所、以前走ったときに撮った写真が残っていたが、そのときと比べて、道の外の木々も成長して、景色の印象もそのときとはだいぶ異なっていた。
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それでも、振り返ると木々の間から僅かに遠くの平野が見えた。
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あの辺りはどっち方面になるのかな?そういえば、以前埼玉の林道を走りまくっていた頃は、こういう景色をよく見たっけなあ。ここ最近の埼玉県内の林道は、舗装林道でさえ走れなくなってしまっているところが多いけど、この眺めでなんだかあの当時を思い出して懐かしい気分に浸ってしまった。
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そして雀川上雲線の終点に到着。久しぶりに走ったけど、忘れていた景色も思い起こしたりして、なかなか楽しかったな。さあ、あとはここを下って帰ろう。
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・・・突然だけどここは林道赤木慈光線の終点。雀川上雲線から下る途中、久しぶりにここの起点標識を見て、そういえばここも全線舗装されたんだっけな、と思って確認のため走り(本当に確認のためだけに走ったので写真は一切撮らなかった)、結果この目で全線舗装化の事実を確かめてしまった。
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そう、俺が最後にこの赤木慈光線を走ったときは、まだダート区間が残っていた。その後、このゲートが出来て走ることができなくなり、その間に全線の舗装化が行われてしまった。現在はゲートも解放され、こうして走ってくることができたが、かつてのダート区間はもう記憶の中だけのものになってしまった。同じ舗装林道でも、先ほどの雀川上雲線はわりと楽しんで走ってこれたのに、ここは残念な気持ちしかしなかった。初めて走ったときからほぼ舗装だったか、そこそこダートが残っていた頃を知っているかの違いなわけだけど、こうも気持ちに差が出るものなのか・・・。
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さあ、あとはこちらも舗装の林道赤木七重線を下って帰ろう。
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林道を出て帰路を走っていると、民家の壁面にあるなかなか味わいのある看板を見つけた。
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そのキャラクターもいいけど、その下にあるこの赤い看板、黒い金貸しの看板に隠されてしまっているが、そこから見える「ハッピータイム」とは、いったい何の看板だったのだろう。気になる・・・。
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最後にもう1ヶ所だけ寄り道。ここは坂戸市の総合運動公園の脇を通る県道沿い。往きのときに見かけて、帰りに寄ろうと思っていた。
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恐らく現在の県道ができる前の旧道の路面なのだと思うが、道沿いの植え込み用の土地を囲うようにほんの僅か残されていた。路面にはオレンジのセンターラインが、切り取られた路上を斜めに横切るように残されている。
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ここに着いたとき、たまたまこの旧道区間の上に1台の車が停まっていた。どうやらボランティアでこの植え込みの清掃をしている方の車だったようで、邪魔になっらた悪いと思い、この道を写真に撮りたいことだけ一言断っておこうと思ったら、写真を撮りやすいようにとわざわざ車をどけてくれた。
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どうやらご夫婦でボランティア活動をされているようだったが、このすぐ脇にはお地蔵様があって、なんでも「いまボランティアで良いことをしておけば、いずれあの世に行くときにお地蔵様に良くしてもらえるという下心からやっているの(笑)」と仰っていた。そんなこと言わずにこれからも元気で活動してくださいね(笑)。
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そんな寄り道をしてもまだ午前中だけど、これで本日のプチツーリングはおしまい。久しぶりに埼玉県内の未知の林道の確認ができたことも嬉しかったけど、今日はその地元の人との出会いが印象的なツーリングだったなー。たまにはこういうのも楽しいね!
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