埼玉県と群馬県を結ぶ国道299号の、県境にあたる志賀坂峠を超えて神川町に入ると、程なく林道二子山線が現れる。その二子山線は、ここ数年は春になってから雪が降ると、その雪道を走るために出向くことが多く、 その雪道というコンディションもあって最近はあまり奥まで進むことも無かったのだが、たまたま2021年の春に立ち寄ったときに、入口から5kmほどの地点で、路面がまるごと消失した崩落により引き返したことがあった。
その二子山線が、いまどうなっているだろうと久しぶりに検索してみたところ、去年の秋ごろに工事関係者から聞いた話というツイートを見つけた。当該ツイートのリンクはあえて貼らないが、概要は、二子山線の崩落は規模が大きすぎて今後繋がることはない、というものだった。その情報には少なからずショックを受けたものの、そのツイートに添えられた、国道からの分岐地点を写した写真には「この先4.6km先通行止」と描かれた看板が見えていた。つまり、今後崩落地点の先に抜けることはできなくても、その地点までは進むことはできるということか?
ここのところちょっと忙しくて疲れ気味だったり、なにより花粉の時期ということもあってなかなか林道に出向く気力が湧いてこなかったけど、やっぱり短時間でもいいから山に行ってラーメンでも食べたいと思っていて、だったらその二子山線の現状を確認しに行きつつ、なんてのもいいかもしれないと思い、さっそく出かけることにした。
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林道へ向けて移動中、皆野町の辺りで信号待ちをしていると、ふと視界の脇に黄色い看板が目につき、よく見るとなんともレトロな看板を見つけた!あれ、これって以前長野の諏訪市で見かけた看板と同じシリーズでは?しかもこれ、「意」の字の右上の表面が剥がれたところをよく見ると・・・
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うおお!下に腕が描かれてるのが見えているんだけど!?もしかして、元々違う絵が描かれていた看板に上書きしたのか??だ、誰かX線検査で解析してくれえ!ってか、もう野ざらしはやめて博物館にでも収蔵してくれえ・・・!
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そんな看板に興奮しつつ(笑)、ようやく林道二子山線に到着。入口にはバリケードが置かれているが、現在工事が行われていることを示す看板などは置かれていない。
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ただ、ここにはこんな看板も置かれている。そこには
「約4.0kmは、通行できますが、落石があるので、注意をして下さい。」
と書かれている。では、その工事の行われているという4.0km地点までは進ませていただくとしよう。
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薄っすらと雲が広がる序盤の舗装路を静かに進んでいく。
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ただ、雲は多くても太陽を遮るようなものではないのが幸いだ。時折しっかりとバイクの影を落とす日差しにも恵まれつつダート区間へと入る。
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木々が芽吹き始めるにはまだ少しだけ早いが、周囲の空気は冬のそれとはもう違っている。この時期特有の、山が春を迎え入れるため、静かに生命力を貯えているような空気感がとても好きなのだ。
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路面も、特筆するような荒れた場所もほぼなく、ひと冬を超えたばかりの林道とは思えないほどに穏やかだ。
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その先、日影に入ったところで路肩にシャーベット状の雪が残っている地点があった。ここ最近すっかり暖かくなってきていたので、いくら峠付近の林道とはいえ、まだ雪が残っているのは正直意外だった。
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そして、この林道で一番印象的な、遠くの山々まで見晴らせるこの地点。今日は少々空気が霞んでいるけど、この落ち着いた色彩の中で見るここからの景色も悪くない。
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その先でも所々で残雪を目にした。この日から1週間後の、これを書いている今日(3/18)は雨が降っているが、その雨が秩父の三峯山では雪になったようだ。もしかして二子山線もまた雪が積もっていたりするのかな・・・?
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やがて、道の外に見える山の斜面をジグザグに駆け上がる道が見えてきた。
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叶山鉱山だ。山肌を豪快に削り取ったこの光景、相変わらず目を惹くな・・・。
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凛とした空気に包まれた、着実に春へと向かう林道をのんびりと進んでいく。
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・・・これで花粉がなきゃ最高なんだけどなあ(笑)。
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その先で、カーブの谷側を大規模に補修した地点があった。ここは前回来た時に路肩が崩れていたものの、路面は残っていたので通過できた地点だ。こうしてしっかりと補修が完了しているということは規模が大きすぎて補修が困難という地点は恐らく、この先にもう1ヶ所あった崩落のことだろう。
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緩やかに蛇行する道を進んでいく。急なアップダウンの少ないこの線形も、この林道が穏やかな路面を保てている理由のひとつだろう。
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確かにあの時の光景を見れば、補修が困難というのも頷けはするが、現在のこの地点は路面も路肩もしっかりと補修され、道として何も問題なく復旧している。恐らくこの先に、この地点以上の崩落があったとも思えないので、ここが復旧すればもう通行に問題は無いのでは、と思うが・・・。
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ただ、この地点の新しく砂利を敷かれた路面には、ピンクリボンが点々と打ち付けられていた。補修のついでにアスファルトも敷いてしまえ、なんてこと言うんじゃないだろうな・・・?
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その地点を過ぎても、道は穏やかな状態を保って続いている。
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道が一旦グッと下がってまたすぐグッと上がるこの地点、好きなんだよなあー。
あれ、そういえば林道の入口には「4.0kmは通行できます」と書かれていたけど、考えてみれば4kmなんてとっくに過ぎてないか?恐らく4kmというのは先ほどの2か所目の補修地点なのかとは思うけど、すでに補修が完了したからなのか、特に通行を遮るバリケードなども無かったが・・・。
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そんなことを考えていると、道が切通を超えて下りに転じる地点で、路上にバリケードが置かれていた。
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バリケードには「関係者以外立入禁止」と書かれている。この時点で、国道側の入り口から約7kmを走ってきたが、ここから奥の区間で、ここまでの地点にあった崩落より酷い災害地点があったとは思えないが、何故唐突にこの地点にバリケードが・・・?
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それはともかく、この地点の脇にはかなり広めな平場もあるので、ちょうどいい、今日はここで昼飯にしよう。
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今日は山ラーをすることも目的のひとつだったからね、久々の青空の下での飯はやっぱ美味いなー。
とはいえ、いまは杉花粉が真っ盛りな時期!マスクを取って飯を食っている間にも鼻水がダラダラ垂れてくる始末!本当はこの後コーヒーも淹れたかったんだけど、たまらず早々に店仕舞いして撤退じゃ!
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見てよ、あの斜面一面に生えた杉林・・・花粉まみれでめちゃめちゃイヤな色してんなあ(笑)。
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さて、それじゃ帰ろうか。恐らくだけど、ここまでにあった2か所の崩落の補修が済んでいるということは、この道が「今後繋がることはない」ということは無いんじゃないだろうか。
(もちろん、道自体が復旧したとして、管理者が通行を許可しない、なんてケースはあるかもだけど・・・。)
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そうそう、久しぶりに二子山線のガヴァドンにも会ってきたよ。
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ただ、久々に会ったら、以前歯に見えていたコンクリートの法面もすっかり色がくすんでパッと見で分からなくなっていたり、斜面の木々もだいぶこんもりとしてきて、以前の姿とはだいぶ変わってきていたな。お前ははもうそのまま眠りに着け・・・。
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広い空の下で蛇行する林道。こんな景色のなかを走るのが実に気持ちが良い。
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戻りがてら、最初の補修地点を逆側から。これだけの工事を行う関係者の方々には頭が下がる思いだ。
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おっと、せっかく残っているなら踏んでいかないと(笑)。
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この二子山線、根拠はないけど、きっとそう遠くないうちに、また通り抜けができるようになるんじゃないかな。っていうか、そうあって欲しい。
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帰り道、R299を通ったら素通りはできない龍頭神社に立ち寄って、お犬さまにご挨拶。
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この写真、拝殿前の新旧2対のお犬さまをフレームに入れようと思って撮ったんだけど、思いがけず奉納絵の白いお犬さまも写っていて、都合3対のお犬さまがフレームイン!こいつぁ春から縁起がいいぜ!それじゃまた次回!
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