2024年林道初め
2024/01/05 埼玉県ときがわ町・林道剣ヶ峰七重線
 
 皆様、あけましておめでとうございます。
 さて、前回の2023年最後の林道ツーリングの後、旧ツイッター君で、埼玉県内のとある林道の通行止めが解除されているとの情報を得た。その、とある林道とは、ときがわ町の林道剣ヶ峰七重線である。念のためウェブで検索すると、ときがわ町のウェブサイトに、去年の11月末付けで通行止めが解除されたとのお知らせが掲載されていた。おおお!マジか!あの界隈も久しく訪れていないけど、県内の貴重な走行可能なダート林道が復旧したとなれば、走りに行かないわけにはいくまい!
 
 というわけで、朝から天気の良かったこの日、さっそく目的地へ向けて走り出した。
 ここは、県道172号線から分岐する林道赤木七重線沿いにある七重川砂防堰堤群。存在はずっと知ってはいたものの、この辺りもしばらく訪れていなかったこともあり、写真に撮るのは何気に初めてだったりする。竣工が1917年とのことで、今年で竣工から107年となる歴史のある堰堤で、土木学会選奨土木遺産にも登録されているようだ。見た目にも大変美しい土木構造物だが・・・。
 
 ふと下流側を見ると、川の真ん中に、かつて橋があったあろうことを伺わせる、橋脚らしい構想物が残っているのが見えた。おそらくかなり小ぶりな橋を渡していたのだと思うが、もしかすると、いまいるこの道が出来る以前の物かもしれない。
 
 なんてものを見つつ、気持ちはすっかりその先の目的地に向かっていた(笑)。そのまま道を進み、やって来たのは舗装林道の林道栗山七重線。ここを進むと、今日の目的地である剣ヶ峰七重線への分岐がある。
 
 お、このピクトグラムの看板も久しぶりだなー。その隣には、凍結注意の看板とバリケードもあったが、幸い今日の時点ではまだ凍結は無いようで解放されていた。
 
 栗山七重線に入り少し進むと、右手に未舗装の分岐が現れる。ここが本日の目的地、林道剣ヶ峰七重線だ。今日はまず終点となるこちら側から、上り勾配となる道を進んでいく。
 ちなみに、ここまで走ってきた栗山七重線、現在では全線舗装林道となっているが、俺が初めて走ったときはまだ全線未舗装だった。懐かしいなあ・・・。
 
 さっそく、入り口から未舗装となる道を駆け上がっていく。記録によると、前回ここを走ったのは2017年の12月だった。自分が思っていたほど期間は開いていなかったが、それでももう6年前にはなるんだけど・・・。
 
 ひとつ上の写真を撮るためにBAJAから降りてふと足元を見ると、エッジの立った砕石が路上に撒かれていた。これはあまりスピードを出して走るのは危険かもなあ。
 
 ただ、そんな場所は入り口付近の僅かな区間だけで、そこから先は概ね良好な状態のフラットダートが続いている。
 
 法面が吹付けのコンクリートで覆われた場所があった。表面はまだ真新しさを感じる白さで、ここも先日までの通行止め期間に補修したものだろうか。
 
 そして、この区間の路面は何故か砂が敷かれていた。こういうの、俺はガレ場なんかよりよっぽど怖いと思ってしまうんだよなあ。まあ、そんなに長い区間ではないのでゆっくり走れば何も問題はないんだけど。
 
 その後は再び穏やかな路面が続いていく。木々の間を縫って差し込む日差しが明るく気分が良い。
 
 お、この切通し、あったなー。久しぶりに来たけど、結構覚えてるもんだな。
 
 路肩の木々に、次第に杉以外の木が見られるようになってきた。冬枯れたその姿が冬を感じさせて、うん、やっぱりこっちのほうが雰囲気あっていいよね。
 
 ふと前方に、斜面を大規模に伐採した場所が見えてきた。これは以前来たときにはまだこの状態にはなっていなかったはず。そして、この地点まで車道と併用していたときがわトレッキングコースが、この地点から分岐して斜面を登っていくようだ。
 
 BAJAから降りたついでに少し登ってみたけど、広々としていてなかなかの開放感じゃん。
 
 よし、ここは今日の昼飯の候補地にすることにして、一旦先へと進もう。
 
 標高を上げてくると、次第に日向の区間が増えてきた。
 
 毛細血管のように広がる冬枯れた木々と、雲ひとつ無い青空に包まれたこの景色。これぞ冬の林道って感じでとても好きなんだよなあ。
 
 その先に砂防堰堤があったが、土砂が目いっぱい詰まっていて、砂防としての機能はもうギリギリかもしれないけど、ここへ来る前の赤木七重線沿いで、砂防堰堤の土砂を撤去する工事をしている場所があったので、この辺りもそのうち手が入るかもしれないな。
 
 ここは、築堤状の路面が真新しく補修されたように見える。先日までの通行止めの原因となった崩落地点の写真を見たことがあったが、それには路面がえぐれ、その下のヒューム管が露出している場所の様子が写っていた。地形の様子から、ここがその場所だったかもしれない。
 
 徐々に標高も高くなり、写真ではよく分からないが、左側の遠方の低い位置には市街地が見えている。
 
 お、このぐるっとカーブで回り込んでいくこの場所、この剣ヶ峰七重線で一番印象的な地点だ。久しぶりにこの景色を見るとやっぱり嬉しくて、なんだか脳が活性化されていくようだ(笑)。
 ここ、以前来たときは右手奥に見える稜線上にアンテナが見えていたのが記憶に残っていたのだが、久しぶりに来たら路肩の杉が成長して、ちょうどそのアンテナの姿を隠してしまっていた。そりゃあ木だって生きているから当たり前なんだけど、やはり林道の景色も生き物なんだと改めて思わされた。
 
 この季節の青味掛かった日陰の景色はとても寒々しいけど、こういうのも冬ならではという感じがして悪くないよね。
 
 お、このストレートに差し掛かったということは、あのカーブを抜ければもうそろそろ出口かな。
 
 そこから程なく舗装路に接続し、総延長約3.6kmの剣ヶ峰七重線を走り抜けた。3.6kmという距離は、この界隈の通行可能な未舗装林道としてはだいぶ長い方だと思うけど、それでもこの距離の割にはだいぶだくさんの写真を撮って来たなあ。まるで初めて走る林道のテンションだよ(笑)。いやあ、久しぶりに走れた剣ヶ峰七重線、楽しかったなあ!
 (ちなみにここで接続する舗装路も、以前は白石峠に林道堂平山線の起点標識が立っていたのだが、いまではそれも撤去されてしまった・・・。)
 
 さて、このすぐ脇には剣ヶ峰のパラグライダー離陸場があり、もし誰もいなければあそこに腰かけて飯もいいかなと思ってたんだけど、さすがにそんなに美味い話はなく、今日もこれから飛び立とうとしている人が準備の真っ最中だった。なのでこのまま林道を引き返していこう。
 
 お、あの印象的なヘアピンカーブ、この位置から見るとめっちゃカッコイイ線形してんじゃん!
 
 そしてさっきも撮ったこの場所で、もう一度撮影(笑)。やっぱり剣ヶ峰七重線といえばここだよねえ。
 
 さっき気になっていた伐採地点まで戻ってきた。ここからトレッキングコースに入って昼飯にしよう。
 
 斜面にはテーブルにするのにちょうど良さそうな切り株がいくつも残っている。とりあえず飯にする場所には困らなそうだと思い、ふろ後ろを振り返ると・・・。
 
 うおーっ!マジか!これは予想していた以上に爽快な眺めだ!斜面が伐採されたおかげで格段に広くなった視界の先には、淡いグラデーションで連なる山々の奥に、関東平野が都心方面まで見渡せるほどに広がっていた。最高じゃんかよもう・・・。
 
 このすぐ背後には、林道をもう少し進んだ先の地点から分岐する作業道が延びてきている。この地点で、先ほど登ってきたトレッキングコースは直角に曲がり、少しのあいだこの作業道と並行して続いている。
 
 そして見上げれば、雲ひとつない空の只中に、航空機が白い飛行機雲を描いて飛び去って行くところだった。もう!俺の好きな冬の情景がテンコ盛りやん!
 
 というわけでぇっ!!今日はここで山ラーメン屋さんを開店じゃあっ!もうね、この場所を探し当てた自分を自分で褒めてあげたいっ!
 
 ここから右手を見ると、トレッキングコース(→)と作業道(←)が並んで伸びているのが分かると思う。作業道を少し歩いてさらに先を覗いてみたけど、あの途切れて見える地点で左に曲がり、さらに斜面を駆け上がっていた。
 
 もしまたここで飯にすることがあれば、あの斜面の上のほうまで行けば、もっと広く景色を見渡せるかもしれないな。つっても、この周辺の地面が乾いてパッサパサの、ちょっと歩くだけで砂埃が舞うような軽い土だから、オフブーツで歩くのもなかなか大変なんよ・・・。
 
 ふと下を見ると、グラベルバイクで林道を上がってきた人が、作業道入り口にバイクを停めようとしているようなしぐさをしているのが見えた。もしかしてここまで上がってくるのかな?と思ってみていると、結局そのまま、また林道を上って行ってしまった。もしかして俺がいるのが見えて、上がってくるのを控えちゃったのかな・・・?
 
 今日は風も無く日差しも暖かで、本当に気持ちがいいなあ。本当は昨日出てこようかと思ってたんだけど、昨日は昼頃まで天気も悪く、日中は風も強かったので、やっぱり今日に延ばして良かったかもしれない。
 
 この場所があまりにも居心地が良くて、ラーメンを食べてコーヒーを飲んだあとも、ここから離れ難くてしばらくここでのんびりしてしまった。さて、そろそろ戻るとするか。
 
 BAJAのところまで戻って、改めて階段の脇にある、トレッキングコースの看板を見てみた。
 
 なるほど、直接天文台に向かっていくのか。ってか・・・木階段が続くのかあ!キツそうだなあ・・・(笑)。
 
 停めたBAJAのすぐ先には、熊出没注意の張り紙があって、この熊のイラストが、どっしりと重量感のある姿に描かれていて、コイツに襲われたらヤベエ!っていう雰囲気がよく出ていて、このイラスト、注意喚起には最適なんじゃないかって思った(笑)。
 
 というわけで、久々の剣ヶ峰七重線を往復してきたわけだけど、せっかくここまで来たなら、ダメ元でここからすぐ先にあるあそこまで行ってみよう。
 
 で、やって来たのは林道萩平笠山線。ここがゲート閉鎖されてしまったのはもちろん知ってはいたけれど、あわよくば開いてたりしないかなー、なんて思い出来てみたら案の定ダメでした(笑)。ここが通れれば、剣ヶ峰七重線と併せてダート林道を続けて走れてだいぶ楽しくなると思うんだけどなあ。
 
 栗山七重線を戻る途中、この林道で唯一市街地が見渡せる地点で。
 
 局所的な見晴らしはいいんだけど、休憩できるような場所ではないのが残念。やっぱりさっきの伐採地点が最強だな!
 
 というわけで、帰る前にもういちど剣ヶ峰七重線を往復してきた。当たり前だけど、一切写真を撮らないと、あっという間に往復できるなー(笑)。
 それにしても、久しぶりに剣ヶ峰七重線を走ることが出来て、今年の林道初めを埼玉の林道で出来たことも嬉しかったなー。正直、もう埼玉の林道なんて災害の復旧をしてもなんだかんだ理由を付けていまさら解放しないんじゃないか、なんて思いもあったんだけど、こうしてちゃんと通行止めを解除してくれたのは素直に嬉しい。今年はそろそろ、あちこちで通行止めとなっている県内の他の林道も、徐々に復旧していくことを期待してもいいかな?期待させておくれよ!たのんますよ埼玉県!