猪狩神社
 
 
 拝殿へと向かう石段の両脇に置かれた、猪狩神社のお犬さま。
 
 こちらが阿形。
 
 こちらが吽形。
 阿吽共に端正な造形がとても美しいです。
 
 阿形を右側面から。
 台座には「猪狩山」と彫られています。
 
 正面から。このお顔の造形も、見る角度によって様々な表情を見せます。
 
 お顔を左側面から。
 
 この角度から見た阿形のお顔が一番好きです。
 こめかみの辺りにある、渦を巻いた毛並みのような造形がいいアクセントになっていて、生物としてのリアリティと、眷属としての威厳を兼ね備えた素晴らしい造形だと思います。
 
 吽形を左側面から。
 こちらも阿形に負けず劣らず素晴らしい造形です。
 
 こちらも端正なシルエットは変わらずですが、口を閉じた表情もあってか、阿形よりもやや落ち着いた雰囲気を感じさせます。
 
 お顔を右側面から。
 やや下から見上げたこの角度も実に美しいです。
  
 眷属としての意志を湛えたような凛々しい目元。
 実在したその姿を生き写したのではないかというくらいに生命感の溢れる素晴らしい造形です。
 
 阿吽共に、胴体にはしっかりとあばらの筋も掘り込まれ、痩身のニホンオオカミとしての特徴をしっかりと捉えています。
 繰り返しになりますが、眷属としての威厳と、生物としてのリアリティのバランスが本当に素晴らしい造形です。
 
 台座には昭和8年と記されています。
 そして、ここに記された磯田忠吉氏とは、調べてみると秩父郡の旧白川村で窮乏の村落の更正に奔走していた記録などもあり、村ではそれなりの実力者だったと思われます。
 そういった記録から、ここに記された名は、石工ではなく奉納者としてのものだったのかも知れません。
 そのような実力者としての立場上、優秀な石工に発注することも容易だったのかも知れず、結果このような素晴らしい造形のオオオカミ像が奉納されるに至ったのでしょう。
 
 個人的には、いままで見た中ではこの猪狩神社のお犬さまがダントツで好みです。