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こちらが阿形。
リアルな生物としての姿を意識した造形がなされ、フォルムも全体的に肉厚でどっしりとした印象を受け、力強さを感じさせます。
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このお犬様を見たときに真っ先に気づく特徴が、この金色に塗られた目でしょう。
陽の光を受けてきらきらと輝いて見えるのが実に印象的ですが、眼球が立体的に飛び出した造形となっていることで、太陽がどの位置に登っても光を反射しやすくなっているのではないでしょうか。
これは眷属としての威厳を伝えるにはとても効果的なのではないかと思います。
さらに、口の中も紅く塗られ、更には犬歯も金色で塗られているという拘りようです。
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脇腹には、ニホンオオカミの特徴とされるあばらの造形もしっかりと彫り込まれています。
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尾の造形もとてもしなやかで、いまにも動き出しそうな印象を与えます。
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足元を見ると、なんと爪にも金色の塗料が使われていることに気づきます。
後ろ足の爪は既に苔に覆われてしまっていますが、きっと当初は全ての爪が金色に輝いていたことでしょう。
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こちらが吽形。
阿形同様生命感のある造形と、どっしりとしたフォルムが眷属としての力強さを感じさせます。
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こちらも目、口共に塗装がなされています。
特に、閉じた口のラインに沿ってしっかりと紅く塗られていることに驚きます。
細部にまで神経の行き届いた素晴らしい仕事です。
そして阿吽共に、張り出した眉の造形も、眷属としての威厳を持たせた素晴らしい特徴だと思います。
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左側面から。
全体的にバランスの整った、まるで体温まで伝わって来そうな生命感のある素晴らしい造形です。
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尾の造形も、吽形同様にしなやかさのある美しい造形がなされています。
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吽形を正面から。
阿形同様、かなり大き目の石で台座が組まれています。
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社殿の脇に、小さな石碑が立っていますが、そこにもお犬さまの姿が彫られています。
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これがそのお犬さまです。
素朴ながら力強い迫力を感じる描写です。
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石碑の下部には「徳廣大護郷閭」と記されています。
「郷閭」が「村里の門」という意味があるようなので、里を護るために祀った石碑ということでしょうか。
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側面には「文久三年」と記されていました。
これだけ古いものが今もしっかりと形を残しているのを見るたびに、石造りの堅牢さを感じずにはいられません。
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反対側の側面には「願主 太田部村 黒澤友吉」と記されています。
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(↑タップで拡大写真を開きます。)
由緒書には、城峯神社のお犬さま信仰についても書かれていますが、これは結構珍しいのではないかと思います。
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この城峯神社、お犬さまの他に「お猫さま」も祀られています。
元々は、この城峯神社の別当寺だったという長伝寺という寺にあったものなのだそうです。
狛猫は、養蚕の際にネズミ除けとして祀られたのが始まりだそうですが、かつて長伝寺があった地域もやはり養蚕が盛んだった様です。
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首元に掛けられた前掛けが可愛らしいですが、ウェブにはこの前掛けが無い状態の写真も見受けられ、そちらでは全体のフォルムがより分かりやすいので、興味がある人は検索してみることをお勧めします。
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台座には「天保」の文字が刻まれています。
天保は秩父郡でも蚕糸業が盛んになった時期のようで、それにあわせてこのようなお猫さまが造られるようになったのでしょう。
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