大名栗で熊を見た 2008/07/19 埼玉県飯能市・林道大名栗線 |
昨年9月の台風9号で路面が崩落した飯能市の林道大名栗線。先日路面の復旧が完了し、10ヶ月に渡った通行規制がようやく解除されたとの情報を得た。
この日は朝から用事が立て込んでいたものの、夕方からのわずかな空いた時間を使い、大名栗へと向かうことにした。
国道16号〜県道262号〜国道299号と走り継いで飯能を目指すものの、微妙に道が混んでいて思うように進むことが出来ない。飯能駅周辺の市街地に入ると、道端に屋台が軒を連ねている、どうやら今日はこの辺りでお祭りがあるようだ。始まるのはまだこれからのようだが、帰りはこの道は通れないな・・・。
途中、信号待ちで止まっていると、向かい側にトリコロールのタンクを積んだバイクが・・・オリジナルのパリダカだ!信号が変わり走り出すと、すれ違いざまに向こうが手を上げて挨拶をしてきた。こちらも手を上げてそれに応える。なんだか嬉しいな。
空いていれば1時間もあれば着くルートだが、今日はいつもより30分ほど遅く大名栗の起点に到着。いきなり予定オーバーだが、まぁいいか。時刻は既に17時近いが、この時期はまだまだ陽も高い。焦ることは無い、のんびりと走り出そう。
起点からのわずかな舗装区間を上り、ダートの始まるコーナーまで来ると、道端に「森林管理道情報」なる看板が。林道の入口でこの手の看板を見ると、つい「通行止めか!?」と思ってしまうのだが。
「悪路!」
これはオフ車乗りにとって「状態良好」を意味します。
問題なく通行できることを確認し、さぁ行くぜ!
ダートに入り最初のカーブを抜けてすぐの切り通しで。あー、久しぶりに大名栗を走っているんだなぁと実感。
少しずつ高度を上げていくと、次第に視界が開けてくる。薄っすらと雲が掛かっているものの、日差しを遮るほどのものではなく、空気は非常に蒸し暑い。
まだまだ明るいものの、時間的にも徐々に日差しは傾き、ヒグラシの鳴き声だけが響く中、夏の夕暮れを感じながら走り続ける。やっぱり夏の山は最高だなぁ。
あまりの暑さでいいかげん喉も渇いてきたので、登山道との交差地点で休憩。奥を流れる小川のせせらぎを聞きながら、山の頂へ向かう登山道を眺めながら、歩いて行きたくなる衝動に駆られるが、今日は時間もないので思い留める(笑)。
休憩を終えて走り出すと、しばらく進んだ地点で木材を伐採している現場があった。
普段林道を走っているときは忘れがちだが、これこそが林道の本来の目的なんだよなぁ。
つうか、重機はこんなところを登っていくのか、怖ぇ・・・。
沈み行く太陽に向かい、更に走り続けて行く。西日に照らされ霞む山の稜線が非常に美しい。
途中、ガードレールの途切れた地点が現れた。台風9号で崩落した最初の地点だ。
上手いこと補修してあるなぁ。どうせなら、また崩れないようにその奥のコンクリの壁のところも埋めちゃえばよかったのに。
そして、こちらは有馬線との分岐地点を超えたところ。
・・・、ここ、前からこんなにガレてたっけか・・・?危なくコケそうになったのはここだけの秘密だ。
そろそろ大名栗線も終盤。日が暮れないうちにさっさと通り抜けよう。
と、この先のコーナーを抜けた地点で、ふと視界の脇に黒い生き物の姿が映った。
(お、こんなところに黒猫……にしちゃでかいな……あ、熊だ……)
く、熊だよ!!
道のすぐ脇の石垣の上に、フツーにこっちを向いてあぐらをかいて座っている。熊の脇をすり抜けたのはほんの一瞬だったが、熊の顔がしっかりと目に焼きついた・・・。熊だと気付いた瞬間、心臓がヒヤッと縮み上がったが、とりあえずそのまま走り続け、少し離れた地点でバイクを降りて、先ほどの地点を振り返って確認。肉眼ではよくわからなかったが、デジカメのズームを最大にして撮影してみた。
↓更に原寸でトリミング。
辛うじて真ん中に黒い姿が写ってるけど、わかるだろうか?
そのうち、熊が座っていたあたりの草が揺れたのが見えた。もう立ち去ったのかな・・・結構怖いっていう気持ちと、もう一度見てみたいっていう気持ちがごっちゃになりながら、恐る恐る熊がいた場所まで戻ってみたが、幸か不幸か、既に熊は立ち去った後だった。
以前、御荷鉾林道で熊が目の前を横切っていったことがあったけど、埼玉県内で熊を見たのはこれが初めてだ。しかもこんな近場で・・・。
でも、後から飯能市のHPで調べたら、この周辺で7月中で届出があっただけで4件も目撃情報があった。走るだけならともかく、林道の中で休憩ってのがちょっと怖くなった・・・。
そして最後に終点近くの崩落跡地を通過。
あれだけの大崩落も、何事も無かったかのように修復されていた。この法面の修復の感じならもう崩れることは無いだろうな。工事関係者の方々、お疲れ様でした。
久々の大名栗線、1時間ちょっとを掛けて走り抜けてきました。去年の台風の爪痕も、現在は何事も無かったかのように全て取り払われ、問題なく走ることが出来ます。ただ、別な問題といえば、熊が出やすくなったということか・・・。まぁ、こんな山の中はもともとは彼らの領域だとはいえ、お互いのためにも出来るだけ会いたくは無いもんだな。