早秋の毛無峠と、ほんの僅かの万沢林道
2010/10/07 毛無峠

 さ、寒いんですけど・・・ナノレカワは・・・・負けそうです

 ナノレカワです。おはようございます。
 ただいま志賀草津道路に来ています。これから県道466号線〜112号線と走り継いで、毛無峠へと向かいます。

 殺生河原にて。道沿いには「硫化水素ガス発生地帯につき駐停車禁止」の看板が立ち並ぶ。そんなものを見ると、単なる硫黄の匂いでも嗅ぐのがヤバそうに思えてくる・・・。

 写真を見てもらうと分ると思いますが、キャリアには荷物が満載。今日はもともと1泊のキャンプのつもりで出発してきた。時間はたっぷりあるからと、高速道路を使わずにひたすら下道で来たのだが、画像の通りのあいにくの空模様もあって、嬬恋村近くの山越えでは想定以上の寒さの中を走ることになってしまった。気象情報では概ねいい天気になるって言ってたはずなのに・・・。おかげで初っ端からすっかり気力も体力も奪われ、この時点ですでに日帰りに予定変更の気マンマンです・・・。

 だめだ、すっかり雲の中に入ってしまった・・・。辺りはいい感じに紅葉が始まっているが、こんな空の下だと、せっかく色付いた葉の発色もイマイチだなぁ。

 白根山と弓池。ここでシャッターを切っていたら、後ろから観光バスが迫ってきた。アレに抜かされて峠道をトロトロ付いて行くのは嫌なので、そそくさとBAJAに跨り出発。
 途中、進行方向の空には、雲の隙間から青空がのぞき始めた。おお、これはもしかしたら、毛無峠に着く頃にはいい感じに晴れてくるか!?

 

 出発から4時間半を経て、ようやく毛無峠に到着。2年振りに見る鉄索は、あれ、こんなに小さかったっけ?と思うほどの背丈だったが、それでも独特の存在感は変わらず圧倒的。
 標高1800mオーバーでこの空模様、おまけに冷たい風が結構強めに吹きつけて、すっかり体も冷え切ってしまった。

 しかし、麓のほうを見れば、綺麗な青空が広がっている。こちらは長野側の景色。山肌に生える植物も、少しずつ紅葉が始まっているようでなかなかの光景。

 さて、それではさっそく県境を越えて、鉱山跡まで下って行ってみよう。

 と、残念ながら今日はチェーンを掛けられてしまっている。

 それならばと、チェーンゲート前にBAJAを停めて、徒歩で車道を下りていく。

 上空にはまだまだ雲が多いものの、強めな風のおかげか、徐々に途切れた雲の間から陽が射すようになってきた。

 県境を越えて最初のカーブを過ぎると、車道をショートカットするように徒歩道が分岐している。この先の目的地まで約900mか。ふふん、余裕だぜ。

 ここから先は、この歩道を進んでいくことにしよう。

 画像中央に縦に伸びる細い筋が歩道です。人が一人通れるだけの隙間を頼りに下っていく。

 この歩道付近にも鉄索が建っている。前回、車道を下って行ったときには気づかなかったのだが、この鉄索にはまだワイヤーが残されていた。

 ひたすら歩道を下り続け、ようやく目的の地蔵堂に到着。
 昭和12年11月11日、この地で大規模な地滑りが起き、245名もの犠牲者を出す惨事が起きた。この地蔵堂は、その被災者を弔うために建てられたのだそうだ。
 2年前にこの鉱山跡地に来た時は、帰ってからその詳細を知ったのだが、次にここを訪れたときには、この地蔵堂にお参りをしていこうと決めていたのだ。
 ここは動物の進入を防ぐために常に扉は閉められていて、参拝者がその都度扉を開けて中に入るようになっている。

 地蔵堂の前には、かつての小串鉱山集落の地図を記した石碑が建てられている。学校や浴場、診療所に遊園地など、確かにかつてこの地に生活の場があったということが示されている。前回来た時も、ここで人々が生活していくだけの物資を運ぶのは相当大変だったろうと思ったのだが、考えてみれば、麓まで硫黄を運ぶ索道があったのだから、逆に麓からそれを利用して物資を運搬していたのだろうか。

 お堂に入り、お地蔵さまに手を合わせる。周囲の壁には、稼働時の鉱山と集落の写真が貼られていた。

今では当時の痕跡もほとんど残されていない荒涼とした地にも、確かに人々の営みの歴史があったのだ。

 少々休憩をしたあと、まだこの先もあるので峠へ戻ることにしよう。

 行きは「余裕だぜ」なんて思って下ってきた道も、当然帰りはひたすら上りが続く。さっきまであんなに冷えていた体も汗ばんできて、途中で上着を脱ぐ。

 山肌を風が吹き抜け、草が波のように揺らいでいる。とても美しい景色だ。

 かつて集落の人々の生活を支えていた鉄索を眺めながら峠を目指す。

 ようやく峠に戻ってきた。BAJA君おまたせ。そんじゃ、あの鉄塔の下まで戻ろうか。

 せっかくだから、出発する前に鉄塔を眺めて行くとしよう。

 長野側の麓はだいぶ雲も流れて行ったようだ。

 しかし、群馬側を振り返れば空にはまだまだ分厚い雲が覆い尽くしている。

 倒壊した鉄索越しに長野側を望む。

 空は雲が覆っていても、山肌には明るい陽が射している。この絶妙な色合いが結構好きです。

 さっきの歩道歩きで暑くなった体も、冷たい風に吹かれて再び冷えてきた。そろそろここを発つとしよう。

 

 さよなら毛無峠。また来る日まで。

 峠から程近くにある林道湯沢線は、あいにく工事中のためゲート閉鎖。脇にはバイク1台分の隙間が見えるんだけど、今日は平日ということもあって、もし途中で工事関係者にでも出くわして、また気まずい気分になるのも嫌なのでスルーです。
 志賀草津道路を戻り、R405を経由して万沢林道を目指す。

 

        

 えっ・・・ええ〜!?
 10月1日からって、つい1週間前じゃねぇかよ!なんだか今日はツイてねぇなぁ〜・・・。

 通行止めの看板を見ても、そのまま引き返すのも癪なので、とりあえず林道の入り口まで来てみた。

        

 なるほど、工事区間は、直線ダートを越えた先のほんの僅かな区間だけか。

 とりあえず万沢林道名物の直線ダートは走れるようなので、通行止めの区間を確かめに向かってみる。

 直線ダートを越えて少し進むと、採掘場と分岐する地点から先が車止めで閉鎖されていた。写真を撮っていると、ちょうど後ろから工事関係者の車が来て、中へと入って行った。さすがにここには入って行けないな・・・。

 仕方なく、万沢林道を引き返すことに。そもそも朝の寒さでかなりテンションが下がっているうえに、この通行止めでその気分にトドメをさされ、既にこの時点で日帰りを決定してます・・・。
 このあと、帰り際にロマンチック街道から四万街道を経由して秋鹿大影林道まで行くことも考えてみたのだが、やはりどうにもそんな気も起きず、もうこのまま帰ろうと思いR405を南下していくと、道沿いの看板には「尻焼温泉」の文字が・・・。ああそうだ、ここには尻焼温泉があるじゃないか!よし、今日は趣向を変えて、のんびり温泉に浸かっていくことにしよう。

 というわけで、やってきちゃいました。画像中央部で川が堰き止められて、まるまる湯船になっています。初めて訪れる尻焼温泉、いやぁ、楽しみだ!

 よくここを訪れるという方と会い、少し話しをしたのだが、今日は湯の温度もちょうど良く、しかもこんなに空いているというのはなかなかラッキーなのだそうだ。

 

 川底から湯の湧き上がる泡の近くに腰をおろし、冷え切った体を融かしていくようにゆっくりと温まる。あぁ〜、めちゃめちゃ気持ちいい〜!最高だこれ!来て良かった〜。
 じゅうぶん体を温めたあと、いったんカメラを取ってきて、川岸でくつろいでいたおじさんにシャッターをお願いすると、

 「真正面からオールヌードでいっとく(笑)?」

 いやぁ、僕的には無問題なんだけど、世間的には大問題でしょう(笑)。
 というわけで、肩まで浸かってのんびりくつろいでいるところを撮っていただきました。

 温泉を出た後は、再び下道を走ってのんびりと帰路へと着いた。
 結局、林道はほんの少ししか走れなかったけど、毛無峠も再訪出来たし、なによりこんな気持ちのいい温泉に入ることもできたし、たまにはこういうのもアリでしょ(笑)。