昨年9月、トホホなおじさんのブログに、ある1本の林道がアップされた。林道枌木線、というその路線のことは、その記事を見るまでまったくその存在を把握していなかったのだが、何よりも衝撃だったのは、枌木線の起点標識が旧タイプである、ということだった。その記事を読んで、すぐにでも現地に向かいたい衝動に駆られたが、その頃から全く休みの取れない生活が続き、そのまま秋が、そして冬も過ぎ去り、やがて周囲は桜が満開の季節となった。最近になってようやく時間が取れるようになり、いざ出かけようと思えば天気予報は雨マーク・・・なんなのコレ。だが、窓の外を見ればなんとか雨は降らずにぎりぎり曇りで持ちそうな気配が。よっしゃ、これは行くしかねぇ!午後2時近くという、林道に出掛けるには結構遅い時間ではあったが、もうこらえきれない衝動に押されてBAJAに跨り早速走りだした。
こんな天気なので覚悟はしていたのだが、明日から4月になるっていうのが嘘のような真冬並みの体感温度の中、R254をひた走り美里町で県349へと折れる。トホホさんがブログで掲示しておいてくれた場所を頼りに、更に分岐する道へと入り、見落としが無いようにと速度を落とし周囲を見回しながらゆっくりと進んでいく。
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そろそろこの辺りだと思うんだけど、それにしても、こんな民家が立ち並んでいるところにホントに林道の起点なんてあるんかな・・・。
なんて思いながら民家の脇のカーブを抜けると、そいつは突然姿を現した。
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(↑画像にカーソルを重ねて下さい。)
うおっ・・・!
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出た!これが林道枌木線の旧タイプ標識だっ!
早速その旧タイプ標識をじっくりと眺めまわす。標識自体が風化したためか、既に標識下部を固定していたボルトから外れ支柱からずれてしまっている。そして今回特筆すべきは、飯能の分木線でも見られる”木”のレタリングである。2画目の縦線が跳ねているのだが、略字体の”点”と合わせて非常に素晴らしい味わい深さを醸し出している。
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それにしても、もう全て出尽くしたとばかり思い込んでいた埼玉県内の旧タイプ標識だが、まさかまだ未知の存在が残っていたとは。しかもこんな住宅地の真っただ中に・・・。
トホホさんのブログを見た後、この枌木線について検索してみたところ、実は枌木線自体は2011年に実走したという情報をwebサイトに載せている方がいたのだが、そこにはテキストで林道名と総延長が書かれているのみで画像などは一切無く、この起点標識がweb上にアップされたのは、実質トホホさんのブログが初出であろう。撤去、もしくは風化してその姿を留めなくなってしまう前に記録に残すことが出来て本当に良かった。
旧タイプ図鑑用にと、全身や裏側など何枚も撮影していたら、この道を歩いてきたおばあさんや、このすぐ脇の民家の方に怪訝そうに見られてしまった。さっさと先へと進むとするか。
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再びBAJAに跨り、奥へ向けて走りだす。トホホさんのブログが出た直後にTKさんがこの枌木線を走りに行き、その様子をやはりブログにアップしていたようなのだが、林道そのものは初見の感動を味わいたかったので、情報をシャットアウトするためにあえてTKさんのその日のブログはまだ見ていません(笑)。さあ、どんな道が待っているだろうか。
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起点から少し進んだ辺りでは、相変わらず周囲に民家は立っているものの、道が真っ直ぐ延びて他の道の分岐もなくなり、なんとなくそれっぽさが増してくる。
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この辺りになると、いかにもな舗装林道の雰囲気がプンプン(笑)。
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やがて起点から500m程進んだ地点に建つ民家の脇で道の舗装が途切れたが、その先にも未舗装路が続いている。そういえばトホホさんの記事のコメントで、「その奥にも細い道が」といったコメントを見ていた気がするが、てっきり歩道のようなシングルトラックを想像していたのだが、その先に延びる道は、幅員こそ狭くなるもののしっかりと4輪の轍が残っている。これは嬉しい誤算!
そして、この写真にも写っているが、この犬が「ギャンギャン吠え」る犬だな。たしかにすんげー吠えられた(笑)。
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犬に吠えられながらそそくさと写真を撮り、すぐさま先へと進む。ダートになっても道の勾配はフラットなままなので、なんだか林道というよりは畦道っぽい雰囲気が漂う。
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うーん、なんとも長閑な景色だ。これぞ里山、って感じだな、こんな寒空なのがホント惜しいぜ。
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更に進むと、道いっぱいに何やら甘ったるい匂いが・・・。
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その匂いの元がこれ。道端に大量の葱が。なんだこれは、捨ててあるのか・・・?
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それにしてもこの道、思っていたよりも長いな。ダートになってからもう3~400mは走ってきた頃だと思うが・・・。
あの先に見えているのはどうもゴルフ場っぽいな。
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なんて思っていたら、大掛かりに法面を削り取った地点のすぐ先で、左手に直角に折れる橋が見える地点に着いた。
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ただ、その橋の手前で倒木が道を遮り、隙間はあるもののBAJAで通過できるかどうか・・・。どかそうと思えば人力でもどうにかなりそうな感じには見えるが、まずは歩いて進んでみるか。
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全長5~6mしかない大きさの割には割としっかりした造りの橋の袂に見える小さな銘板によれば、この橋は「寺戸橋」というらしい。ちなみにここから直進方向に見える「立入(禁止)」の看板の先は、一見道でもありそうだが、実は橋が続く左手にしか道は無い。
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橋の上から奥を見ると、コンクリートの壁の袂から沢が流れている。これは砂防ダムか?
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橋を渡りきると、その先は凄まじい藪に覆われ、見たところ道そのものはここで終わっているように見える。一体何のための橋だろうと思ったが、恐らくはこの砂防ダムらしきものを管理するためのものなのだろうか。
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橋の先の藪の中へちょっとだけ進んでみたが、風化しきった杭にロープを渡した柵のようなものと、恐らく「路肩注意」とかかれた看板が打ち捨てられていた。この看板はどう考えても元からここに設置されたものではないな。
なんてことをしていたら、遠くから犬の吠える声が聞こえてきた。さっきの民家の犬か?と思い振り返ると、BAJAの後ろのほうで、犬の散歩をしている人が見えた。ちょうど集落のほうへ引き返していくところのようだったので、ちょうどいい、この砂防ダムらしきものの正体を聞いてみようと、慌てて追いかけて聞いてみると、
「ああ、あれば砂防ダム。あのゴルフ場の。」
やっぱり見たとおり砂防ダムだったようで、この周囲にはあのゴルフ場の砂防ダムが全部で7つほどあるそうだ。
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さて、砂防ダムの正体が判明したところで、あの藪の奥へ進んでみよう。ぶっちゃけ車道は終わっているが(というか歩道であるかすら怪しいが・・・)、気になりだすと止まらないんですよね・・・。
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それでも、ところどころでこんな感じで割と新しめな、路面の穿られたような痕がある。やはり誰かが入っているのか?
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割と斜面もきつくなり、辺りに生える木を掴んでよじ登ったりしていると、とうとうゴルフコースのすぐ近くまで出てしまった。
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その場所から右手に逸れるように進んでいくと、目の前に砂防ダムの堤体が見えた。その上には手すりのようなものが見えている。もしかしてあの上って歩けるのか?
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・・・と思ったものの、そこまで到達するにはこの猛烈な藪を越えなければならず、さすがにそれは無理(っていうか行きたくない)。だいたい、コースから丸見えな堤体の上なんて立ち行ったら、お目玉食らうことは確実なのでここで引き返すことにした。
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それじゃ枌木線を引き返すとするか。今年初の林道で未踏の、しかも自分にとって未知だった林道を走ることが出来たのは幸先がいいぜ。
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そして起点でBAJAと記念撮影(笑)。ここは晴れた日にでも改めて訪れたいな。
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枌木線を出て、せっかくだからこの近くにあるもう1本の林道に立ち寄って行こうと思い、十二天池までやってきた。この池の先へと進むとすぐに目的の林道が現れる。
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その林道は、十二天社へと続く道の鳥居の脇に起点がある。
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林道陣見線です。先ほどの枌木線同様、ここも旧タイプ標識が立っている。ここに来るのも初めてこの林道を見つけたとき以来だが、思えばこの林道も何の予備知識もなくこの旧タイプ標識を見つけてやたら興奮したっけなあ。
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あらら、今日は道沿いの柵にだらしなく寄り掛かっちゃってますね。
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立ててみた(笑)。うん、やっぱりこっちのほうが締まりがあるね。
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この陣見線、初めて訪れたときは路面に深い雨裂が抉れ、結局BAJAで進入することは断念してしまったのだが、改めて見ると、相変わらず荒れてはいるもののBAJAで進んで行けなくもないように見える。もしかして溝が埋め戻されたりしたのだろうか・・・。
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というわけでちょっくら行ってきます。今日はしっかり終点を確認してこよう。
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やはり路面は荒れてはいるが、ところどころで二輪二足で行けば進んで行けなくはない。それよりも、道の両側から迫り出す藪のほうが凄い・・・。
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路面も、中央が盛り上がり両側が低くなっているせいで、足を着くのも慎重にならざるを得ない。足をバタバタさせながら上って来たおかげで、さっきまで凄く寒かったのに、だんだん身体が暖まって来た(笑)。
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その脇には、伐られたままの木が放置され、表面はすっかり苔生している。もう長いことこのままなんだろうな。この陣見線も旧タイプ標識が立ってるということは、昭和30年代中頃には開設されていたのだろうが、そんな歴史を想像させるような光景だ。
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かと思えば、沢を跨いだ反対側には、平成7年に立てられたらしい、「間伐展示林」という看板も立っている。すっかり廃道のような雰囲気さえあるが、17年前に立てられたものとはいえ、今でもちゃんと何らかの管理がなされているようだ。
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なんて、すっかり寄り道に勤しんじゃってますが、これで起点からまだ100mも来てないんだぜ・・・。
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改めて先へと進みだすが、道を覆う藪は更に激しさを増し、雨はとっくに上っているのに、藪に残る雨水の所為で体中びっしょりになってしまった・・・。
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やがて起点から200m程で砂防ダムがある場所に出たが、その先はさらに路面状況が悪化し、これ以上はさすがにBAJAで進むのは無理っぽい・・・。
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ただ、せっかくここまで来たので終点は見て帰りたいと思い、ここから先は歩いて進むことにした。BAJA君、ちょっとそこで待っててね。
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歩きだしてすぐに、道の上を罠のように覆う藪が・・・。やっぱりBAJAを置いてきてよかった・・・。
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ん?これって結構新しいお菓子じゃ・・・つい最近も誰か入ってきてるのか。
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歩き始めて100m程だろうか、ここが林道陣見線の終点です。BAJAで辿り着くことは叶わなかったが、初めて陣見線を見つけてから約5年半振りのリベンジ達成となった。
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復路も慎重を期して、起点まで戻ってきた。さあ、だいぶ時間も経っちゃったし、どうせ帰り道も極寒だろうから今日はこの辺で引き返すとするか。
それにしても、この陣見山周辺は、改めて探索の必要がありそうな気がするな。もしかしたら他にも未知の旧タイプ標識が、その存在を見落としたまま眠っていそうで怖い。ああ怖い怖い。見落としとか怖い。
見落とした標識とかまだどこかに残ってねーかなー(笑)。
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