祝・中津川林道復旧!
2013/05/02 埼玉県秩父市・中津川林道〜林道大血川線 -@
 
 昨年の冬季閉鎖解除の直後に発生した土砂崩れの影響により通行止めが続いていた、秩父市道大滝幹線17号線、そう、旧中津川林道のことである。昨年は結局通行止めのまま冬季閉鎖に入ってしまい、その後も復旧に関する話を聞かなかったので、今年もしばらくは通れないのかな、なんて思っていたのだが、例年の冬季閉鎖解除の近づいた先月、秩父市のサイトを確認してみると、「5月1日の開通に向けて準備中」とのお知らせが出ているではないか!おおお!遂に!遂にこの日が来たか!待ってたぜ中津川!
 
 というわけで早速やって来たぞ!今日は5月2日、昨日には既に開通しているはずだが、昨日はときおり雨になるという予報だったため、どうせ中津川を走るなら出来るだけいい天気の日にしたいと思い、わざわざ一日ずらしてやって来たのだ。
 
 家を出る頃は空一面薄暗い雲に覆われて、少々先行きが不安になったが、秩父市街地に入る頃にはその雲もすっかり消え、既に雲一つ無い青空に。やっぱそうこなくっちゃ!
 
 月がとっても青いからあ〜!

 中津川を走るぜ!
 
 森林科学館の掲示板には、しっかりと「三国峠 通行可」の表示が!分かってはいるけど、凄く嬉しい!
 
 それじゃあ早速ダートに向けて行こう。っとその前に、こまどり荘を越えてすぐの地点にちょっと立ち寄り。
 
 道の脇に、一本の錆ついた角柱が立っている。実はこれ、中津川林道がまだ有料林道だった頃の、通行管理所のゲートの支柱だったらしい。それがどんなものであったか、次の写真で観ていただこう。それでは、どぅるるるるるるー、ジャン!
 
以下3枚、『大滝村誌資料編写真集』 秩父市(平成23年発行)より引用

 
 これが、有料林道時代の中津川林道通行管理所である。画像中央付近に、現在も残るゲートの支柱が見えている。ここで通行承認証を交付してもらい通行していたようだ。
 
 

 
 そしてこれがその管理所を反対側から見たもの。この写真はちょうと開通当時のもののようで、林道開通記念のアーチが設置されていた様子を写している。
 
 

 
 ついでにもう一枚。これは、やはり開通当時の三国峠での祝賀行列の様子である。峠を越えて直接長野県へと至ることを車道として実現したこの道は、当時の地元住民にとっても悲願だったであろうことは想像に難くないが、まさかこの人たち、中津川集落から三国峠まで歩いて来たのか?凄いな・・・。
 それにしても、森林鉄道のものもそうだが、こうやってかつての構造物が未だに残っているのを見ると、なんだか嬉しくなっちゃうね。まあ、あえて残したというよりは、たまたま残ってたって感じなんだろうけど、今残っているものはちゃんと意図して保存されていくようになるといいのにね。
 
 それでは改めて、2013年の中津川林道へ進んで行こう!空は青く澄み、芽吹き始めた若葉の緑が陽の光を吸い込んで鮮やかな色彩を放っている。
 
 この区間は去年も来ているけど、今日はこんなに気持ちの良い空の下、ちゃんと峠まで上って行けるかと思うと、もうワクワクして止まらないぜ!
 
 眩しい陽射しの中、極上のフラットダートを踏み締める。いやー、最高だなBAJA君!来て良かったなー!
 
 途中、分岐する林道大山沢線のところまで来ると、相変わらず通行止めのようだが、今日はやけにガードがユルい。まさかこっちも通行制限解除に向けて動いているのか?と思い歩いて橋を進んでみる。
 
 う、わ、お。何だこれは。見たところ、どうも坑口の上から崩れ落ちてきたっぽい。どう見ても整備が進んでいる様子はなさそうだが、これじゃ起点のガードをもっと厳重にしといたほうがいいんじゃ・・・?さっさと先へと進むとするか。
 
 そして、遂に信濃沢橋までやって来た・・・。
 
 やった!やったよ!ゲートが開いている!例年だったら開いていて当然の冬季閉鎖ゲートだけど、今回ばかりはどれほどこの日を待ち焦がれたことか!
 
 そして遂にゲートの先へ。昨年はほぼ閉鎖されたまま終わってしまった区間を、こうしてようやく走ることが出来るようになった喜びで胸がいっぱいだ。
 道沿いではヤマザクラの花が咲き、景色に豊かな彩りを添えている。画像では絶対分からないが、桜の花びらが風に舞って道の上を流れていく。この季節ならではの風情を感じながらのんびりと走ることが出来るのがとても嬉しい。
 
 やっぱり中津川は別格なんだよなー。埼玉には他にも良い林道はたくさんあるが、こと中津川に関しては俺の中での思い入れが段違いで強く、こうしてここを走ることが出来るだけで本当に嬉しくなってしまう。
 
 中津川沿いのフラットな区間を気持ち良く走り、そのまま峠へと向けて高度を上げていく区間へ。この辺りまで来ると、木々の葉はまだ芽吹いてはおらず、並木の向こうに深く鮮やかな青が透けて見える。
 
 お、やっぱり今年も残ってたか。この時期ならではの景色を見せる残雪も、冬季閉鎖解除直後の中津川を実感させて妙に嬉しくなる。
 
 そういえば今日は、まだ設置したばかりと思われる、真新しいガードレールをそこかしこで目にする。土砂崩れの影響とされていた通行止めだったが、もしかしてこれらのガードレールの新設も含めての復旧計画だったのだろうか。
 
 辺りはひんやりとした空気で満たされ、その所為か空の蒼さも一層引き立っているように見える。白樺の幹とのコントラストが絶妙な美しさを見せるこの区間だが、起点から峠へと至るまでのあいだに様々な表情を見せるのも、この中津川林道の魅力の一つだ。
 
 ここも好きな場所の一つ。BAJAがあんなに小さく見えるなんて、隧道を通してもいいくらいの深さじゃないのかこれ。
 
 まだ若葉が芽吹く前のために、木々の枝の隙間から周囲の景色がよく見渡せるのだが、ふと脇に目をやると、これから進む先のガードレールが見えた。
 
 今まであまり意識したこと無かったけど、何だか凄まじい場所に道を付けてるな。しかもずいぶんと急斜面だ・・・今まであんなおっかねー場所を通ってたのか・・・。
 
 そのおっかねー場所まで上って来た。ここからガードレールの外に落ちたらまず生還はありえないだろうな・・・。
 
 道の脇にそびえる岩肌は、オーバーハング気味に抉れている。これでよく崩れ落ちてこないもんだ。って、え・・・?
 
 た、助けてプーさん!
 
 そして、いつもの展望スポットへ。
 
 淡い青のグラデーションの掛かる奥秩父の山々。ここからの眺めは相変わらず素晴らしい。あー、あの上を飛んでみたい。
 
 この青い空に映える白い幹の景色が堪らなく好きなのだ。

 え?さっきも似たような写真があったって?うん、きっとそれは気のせいだナ(笑)。
 
 だいぶ峠へと近付いて来た。久しぶりの中津川ももうすぐ走りきってしまうと思うと勿体無くて、残りの区間は少しゆっくり目に走ってみるか。
 
 それでもあっという間に、標高1740m、三国峠へ到着。こうして再び中津川林道を走ることが出来るようになって本当に嬉しい。秩父市大滝総合支所地域振興課の皆さん(でいいのかな?)、ご苦労様でした。
 
 今日はここで中津川林道を引き返す予定だが、三国峠まで来たら県境を越えて向こう側の景色を観て行かないとな。
 
 三国峠から見下ろす、長野県川上村の景色です。ここからの眺めは何度見ても素晴らしい。
 
 そこには、期待以上の景色が待っていた。カラマツに覆われた山々の、あの向こうに見える連なりは八ヶ岳だろうか。
 
 今日は空気もひんやりとして澄んでいるためか、白く冠雪した峰がこんなにくっきりと見えている。あまりにも綺麗なその姿に見とれてしまい、しばらくの間、ただあの山の姿を眺めて立ちつくしてしまった。
 
 それにしても、ここ数日この時期としは記録的な寒波とかで、さすがに峠まで来ると吹く風もだいぶ冷たい。景色だけ観ているといつまででもここにいてもいいような気すらするが、身体が冷え切る前に引き返すとするか。
 
Aへ続く。