無念のキャンプツーリング未遂・・・
2013/06/23 栃木県日光市・林道前沢稲ヶ沢線・他
 
 この日は、本当なら栃木〜福島、更にもうちょい先まで跨いで一泊のキャンプツーリングをするはずだった。しかし、午前中2本目の林道を走行中に、BAJAがあるトラブルに見舞われてしまい、止むなくそこで引き返して帰宅することとなってしまった。
 という訳で、このレポは非常に中途半端なところで唐突に終わりますが、ご了承のうえご覧ください。それまではいつも通りのテンションでお送りします(笑)。
 
 今日は丸一日、目いっぱい走るつもりで朝5時に自宅を出発、東北道〜日光宇都宮道路と走り継ぎ、まずは霧降高原道路へやって来た。大笹牧場を通る大好きなこの地点からの眺め、初夏のこの時期に見るのは初めてだが、やはり期待通りの素晴らしさだ!そして、いつもここを通過した後は、決まって川俣桧枝岐林道へと行っていたのだが、今日はそちらへは向かわずに、初めての林道を走り継いで更に北上していくつもりだ。
 
  霧降高原道路から県道23号線へと合流し、いつもなら左折して川俣大橋を目指すところだが、今日は初めて右折して、本日最初の目的地へとやって来た!
 
 林道前沢稲ヶ沢線です!いつも日光まで出てくるときは、川俣桧枝岐林道か田代山林道が目当てだったので、この林道はいままで全くのノーマークだったが、ここもそこそこの距離のダートがあるようだ。まずはここを走り抜けて次の林道へと向かう。
 
 ・・・つもりだったんだが、何やら道の脇にごちゃごちゃと立て看板が立っているぞ。
 
 道路崩落!?「車両通行は出来ません」って、一発目からいきなりコレかよ!この張り紙によると、崩落は起点から12.5km地点らしいが、でも、とりあえずその地点までは通行は可能の様だし、去年の崩落ということは、今頃はもしかしたらバイクくらいは通れるようにはなっているかも知れない・・・なんて、何の根拠もない妄想だが、ダメならダメで往復すればいいと思って進むことにした。
 
 起点の橋を渡ったところから路面はダートとなる。起点付近は広葉樹に囲まれた雰囲気の良い林道のようだが、この先はどんな道が待っているのか楽しみだ。
 
 ああっ!こ、この看板!以前、福島と宮城を跨ぐ茂庭関林道でまったく同じものを見たぞ!同じ看板を流用したようだが、あれには「前橋営林局福島営林署」と書かれていたが、この看板にはその部分にシールで「関東森林管理局〜」と貼られている。まさかこの看板を栃木で見ることが出来るなんて思わなかった。ちょっとテンション上がった(笑)。
 
 少し進むと周囲の木々が開けて空が見える地点に出た。一応天気予報は見て来たものの、梅雨時ということもあって空模様が心配ではあったが、今のところは爽やかな青空が広がっている。このままこの天気をキープしてくれよ。
 
 フラットな未舗装の道を覆う緑の隙間から降り注ぐ、初夏の眩しい陽射しが、明滅するように俺とBAJAの上を通り過ぎていく。林道の景色の中でも好きなものの一つだ。
 
 やがて道は沢と並走する区間へと入る。そういえば、こんなに沢と道が近くにある林道を走るのも、ずいぶんと久しぶりなような気がする。
 
 その先では、路肩のガードレールもなくなり、沢との距離が更に縮まる。
 
 日陰の道から見える、対岸の斜面を照らす眩しい陽射し。その光と影の強いコントラストがとても印象的な景色だ。
 
 やがて道は沢と離れ、高度を上げていくようになる。この林道、今日は休工だが途中で何箇所か法面の工事をしているのだが、工事中の場所はもれなく路面に砂が撒かれていて、日陰でぬかるんだところなどはタイヤが取られて結構走り辛い。
 
 更に進むと、だんだんと路面が荒れて来た。この区間はしばらく長い間路面に深い雨裂が掘られてしまっている。重い荷物を積んだままラインを選んで進んでいくのはなかなかしんどい・・・。
 この先もしばらくは荒れた路面が続き、チンタラと亀のようなペースで峠へ向けて上って行く。途中で1台のオフ車が抜いて行ったのだが、しばらく進んだ先でそのライダーがこちら側を向いて停車している。近付いてみると腕をクロスさせて、この先は進めないということを現わしている。その先を見ると・・・。
 
・・・ぬおっ!
 
 こ、これはダメだ・・・!目の前にあるのは、起点の貼り紙で示されたものと寸分違わぬ光景だ。
 
 予告されていた通り、起点から約12km地点で路面が全幅に渡って崩落している。この崩落は、去年の台風4号によって引き起こされたものらしいが、それから1年経っても路面の復旧工事には至っていないようだ。この前沢稲ヶ沢線、俺にしては珍しく出発前に軽く調べはしたのだが、この崩落についての情報は得られなかったんだよなあ。知っていれば他のルートにすることも出来たんだが・・・。ここで出会ったとちぎナンバーのライダーは、この後川俣桧枝岐林道へ行くと言っていたが、後から考えれば、俺もそっちのルートを取れば良かったのかも知れない。・・・後から起こることを考えても(笑)。
 
 崩れた部分を見ると、路肩の擁壁ごと持って行かれてしまっている。台風の猛威を思い知らされる光景だが、こういうのを見るとつい、実際に台風のさなかに路面が崩れ落ちていく様をこの目で見てみたい・・・と妄想してしまう。そんなことは到底無理な訳だけれども。
 
 ただ、それでも崩落個所の脇を見ると、なんとかバイクで斜面を乗り越えていった痕がある。すげえな、俺にはこんなの絶対無理(笑)。
 
 というわけで、前沢稲ヶ沢線はここで終了。一旦起点まで引き返し、このあとはこの西側に延びる県道249号線を迂回して次の目的地へと向かう。
 
 前沢稲ヶ沢線を後にして20km程も走ってきたかな・・・湯西川温泉郷までやって来た。といっても温泉に浸かる訳ではなく、次の目的地がこのすぐ近くなので、トイレだけ借りたらすぐに出発。自分自身いつも思うんだけど、少しはこういうところでゆっくりする余裕が欲しいもんだよ・・・(笑)。
 
 ようやく次の目的地に到着!安ヶ森林道だ!ダート林道としてはかなりメジャーなこの安ヶ森林道だが、ナノレカワにとってはここも初めて走ることとなる。
 
 おお!何と、橋の親柱に「安ヶ森林道」の銘板が!これはイイ!標識以外の林道を案内する表示物って何故かテンション上がる(笑)。それじゃ早速走りだすとしよう!
 
 県道との分岐から3.7km程来たところで、見なれた菱形の標識が立っている。
 
 なるほど、ここが林道安ヶ森線の正式な起点なんだな。ここから県境の峠まではずっと舗装路が続いているらしいが、どんな景色が待っているだろう。
 
 辺りは深い森に囲まれ、広葉樹の緑が溶けだした空気に包まれながら沢に沿う道を上って行く。路面こそ舗装だが、これぞ林道といった周囲の景色にウットリ。
 
 しばらく舗装路を進み、安ヶ森線の起点から5.8km程で栃木と福島の県境である安ヶ森峠に到着。久しぶりの福島だ!ここを境にして路面は未舗装へと切り替わるが、路肩には何やら路線名を記した標識が・・・。
 
 え、村道?しかも安ヶ森線じゃないの?と思って帰宅後に調べてみたら、ここから先の福島側の未舗装区間は、標識が示す通り「舘岩村村道鱒沢線」という路線(現在では南会津町町道かな)で、栃木側の林道安ヶ森線と合わせて「安ヶ森林道」という総称で呼ばれているということらしい。なるほど、これは知らなかったな。まあ、ダートが走れるなら林道でも村道でも何でもいいよ(笑)。
 ここから先は、国道へと抜けるまでほぼ下りとなるようだ。名高い安ヶ森林道のダート区間は、果たしてどんな道が出迎えてくれるだろう。
 早速下り始めると、路肩に1台の車が停まっていて、鎌を持った3人ほどのおじさんがいた。どうやら山菜でも採りに来ているようだ。そんなおじさんたちを脇目に進んでいくと、BAJAの進むすぐ先に、枝と言うには太く、かと言って幹というには細い、30cm程の長さに折れた木が転がっていた。減速して避けても良かったが、そのまま踏み越えて行くと、タイヤに巻き上げられたその木がステップの下辺りに結構強めに当たって来た。とはいえ、そんなことは林道では日常茶飯事なので特に気にもしなかった。そこから少し進んだ先で、陽射しの照りつけるコーナーがあったので、写真でも取ろうと路肩にBAJAを停めたところ、ギアをニュートラルに入れようとした左足のつま先が、スカッ・・・、と空を切った。初め全く状況が飲み込めずに、改めてつま先をクイクイ動かすが、やはりつま先は空しく空振りをするのみ。何かおかしいと思って足元を見ると、本来そこになければならないもの・・・
 
チェンジペダルが・・・無い。
 
 え?え?え?何で!?そう思ってBAJAから下りて足元を見ると、チェンジペダルが、シャフトからボッキリと折れてしまっている。
 
 嘘だろ・・・こんな事ってあるのか!?どうやらさっき跳ねあげたあの木の棒が、たまたまステップ辺りと噛み合って”てこ”のように作用してしまい、チェンジペダルを持って行ってしまったようだ。まあ林道では何が起きても不思議ではないとは言うが、いくらなんでもこれは・・・。この状態を見て、一瞬ただ茫然としてしまい、とりあえずBAJAのエンジンを掛けようとセルを押すが、何の反応もない。それもそのはず、ギアが入ったままスタンドを立てた状態でセルが周るはずもないのだが(笑)、その時はそんなことにも気付かずに軽くパニック状態になり、この後どうしたらいいのか、頭の中で色んな考えがぐるぐると回って行く。まさかこんな所にBAJAを置き去りに?それでここからどうやって帰る?仮に俺だけ帰ったとしてBAJAは?まさかこんなところまでレッカー要請?かといってスマホを見たところで完全に圏外だし、こんな峠から麓まで歩いて下って行かなきゃならないのか?そうだ、さっきの山菜採りのおじさん達にとりあえず声掛けてみるか?いや、まずは自分でどうにかならないか何とかしてみよう。セルは回らない(笑)が、押し掛けなら掛かるかもと思い、ちょうど道も下りなのでそのままBAJAを進行方向に向けてグイっと押しだすと、数歩駆けだしたところでエンジンが動き出した。そのままBAJAに跨ろうとして足を振り上げたが、うっかりキャリアに積んだ荷物に足を引っ掛けてそのままコケてしまい、左のミラーが粉砕。泣きっ面に蜂ったあこのこった(笑)。BAJAを引き起こして再び押し掛けをして、今度はちゃんと跨れたので、そのまま国道へ向けて下り始めた。アクセルを開けて速度を上げていくと、どうやら3速に入ったままの状態でペダルが折れたようで、このままでも普通に走行することに支障はないようだ。高速には乗れないが、これなら下道で自走して帰ることが出来る!下りながら色々なことを考えていたが、そう気付いた時は本当に嬉しかった・・・!
 ここで下道オンリーで埼玉まで帰ることを決意。国道へ出て最初のガソリンスタンドでタンクを満タンにし、国道352号〜国道121号〜国道119号〜国道4号〜国道16号と、ひたすら国道を南下して、安ヶ森林道から6時間半を掛けて埼玉まで帰還した。こうして自走して帰ってこれたのは本当に不幸中の幸いと言うしかない・・・。そのまま行きつけのバイク屋にBAJAを預けて来たが、店もいま立て込んでいるらしく、作業完了までにひと月は見て欲しい、とのことだった。ひと月もBAJAに乗れないのは寂しいが、今はちょうどこんな梅雨時だし、梅雨が明けた頃にでも戻ってくれればいいかな。

 という訳で、今日のツーレポはこれでおしまいです(笑)。今まで林道の中でトラブルらしいトラブルに会ったことが無く、自分でもこれはかなりラッキーだという自覚はあったのだが、まさかいきなり、しかも福島まで来てこんなことが起こるとは予想もしなかった。改めて林道の怖い部分を思い知らされた・・・。まあ怪我とかが無かっただけまだ良かったのかな。もう落ちてる木の枝は踏まないことにするよ(笑)。
 これからもトラブルには細心の注意を払い、BAJAが帰ってきたらまた一緒に林道へ出掛けるとしよう。今からその時が待ち遠しくてたまらない。それまではまた自転車でも持って行こうかな?