見落とした林道と未踏の林道
2014/11/16-@ 埼玉県秩父市・林道栗山線・他
 
 きっかけは、ほんの些細なことでした。
 
 先日、ツイッターで「埼玉の林道標識シリーズ」っていうのを思いつきで始めてみた。タイトルの通り、埼玉の林道標識の中でもちょっと珍しかったりちょっと変だったり、そういった標識を紹介しようと思って幾つかつぶやき始めたのだが、さて次はどの林道にしようかな、と思い林道のリストを眺めていると、ひとつの林道が目に留まった。その林道には起点・終点ともに標識は立っていないのだが、その道沿いに立っていたひとつの看板を撮影していたことを思い出した。この辺りでもう標識シリーズのことは頭からスッ飛んでしまっているのだが(笑)、ああ、懐かしいなあ、なんて何気ない気持ちで、過去のフォルダからその看板を撮った写真を開いてみた。
 改めて見るとその看板には、その看板の立つ林道の他に、更にその周辺の林道の名前が2つ記載されていた。もちろんその「周囲の林道」も既に現地は訪れていた・・・つもりだった
 
 その看板に記載された2つの路線名をみて愕然とした。・・・ど、どっちも行ってねえ!いや、正確には、ひとつは既知の林道の名称違いのようにも読み取れるが、もうひとつは明らかに林道と意識していなかった道だ。そこに気が付いてしまったからさあ大変、もう気になって気になって仕方が無い。
 先日「埼玉版」のほうでも新規更新終了のお知らせなんてことをのうのうとほざいたばかりだというのに、その矢先にこれですよ。確かに、「ナノレカワの把握している路線について」という但し書きはしたものの、この看板は一度目にしているからねぇ、これは単なるど忘れだろ!まあ、何故そんなど忘れをしてしまったかと言えば、その「既知の林道」と思っていた路線を訪れていたことで、そのエリアは終了した気になってしまっていた、ということなんだろうな・・・。
 
 と、長々とどうでもいい言い訳をいたしましたが、こうなりゃとにかく現地へ行くしかない。今週末は天気も良さそうだし、早速現地へと向かうことにした。
 
 
 え〜、今回このページのテキストは、たぶんいつも以上にちまちまと細かいことを書いていますが、正直読むほうからすればメンドクサイ以外の何物でも無いと思いますので、適当に流し読みして下さい(笑)。
 
 11月中旬にして、もはや真冬の寒さと化した早朝の谷合のR299を凍えるように走り抜け、さっそく現地へとやって来た。ここは秩父市浦山地区の主要地方道73号線、目の前に見えるのは秩父さくら湖を渡る浦山大橋だ。
 
 そして、その橋の手前で分岐する一本の道がある。林道山掴(やまつかみ)線だ。ここが、今回この地を再訪するきっかけとなった看板を撮影した林道なのだ。ここは当然既に訪れた林道だが、改めてその看板を確認するということと、他にも見どころがあるので、もう一度走ってみよう。
 
 波打つ山肌に沿って、うねるように舗装路が延びていく。写真には写っていないが、ここは秩父さくら湖の右岸となっている。
 
 林道の中ほどを過ぎると、先ほど「他にも見どころがある」と言った場所が現れる。山掴トンネルだ。
 
 この山掴トンネル、入口、出口共に施工銘板が失われてしまっているので詳しい数値は不明だが、延長は100m程しかない。それなのに、トンネルが途中でカーブしていることに加え照明も設置されていないので、見ての通り内部は光の全く届かない闇の空間となっている。ただ実際は、現地で内部を覗きこむと、出口から射しこむ光がほんの微かに分かるのだが、それでもここに入る瞬間は息が止まりそうになる。初めてここを見たときはホント怖かったなあ。
 あと、この先の出口に近い地点で、退避所なのか、10mちょっとの区間でトンネルの内径が広がっている地点があってちょっと面白いのだが、そのまま通り抜けてしまった。写真撮っておけば良かったな・・・。
 
 トンネルを抜けて更に進むと、1.4km程の道のりを経て再び県道へ合流する。って、あれ?そういえばあの看板が無かったぞ?
 
 無くなったのか見落としたのは分からないが、とにかくもう一度山掴線を引き返すと、トンネルの出口の手前にひとつの看板が立っていた。
 
 ただ、これはさっきも目に留めてはいたのだが、以前に俺が見た看板とは違うな。どうやら、看板の内容を書き換えられてしまったようで、以前のものよりも湖の利用についての内容が事細かに書き加えられている。そして、今回目的としていた未踏の林道についての表記は、この図からは失われてしまったようだ。
 
 仕方がないので、以前に撮影した看板の写真を使いますよ。これが前回、2009年に訪れたときに撮影したものだ。現在地として示されたこの看板の立つ位置で、やはりこの看板が現在のものに書き換えられてしまったことが分かる。
 
 図の下部に、現在いる山掴線が描かれているが、湖を挟んだ左岸沿いに、あと二つの林道が書かれている。これが今回の目的地、「栗山林道」と「荻の久保林道」だ。
 (ちなみにどちらの路線とも、山掴線同様民有林林道と思われるので、以下「栗山線」「荻の久保線」と表記します。間違ってたらごめんなさい。)
 
 この2路線を見落としていた原因についての言い訳は、実際に道を辿りながらするとして、さあ、それじゃさっそくその二つの道を確認しに行ってみよう。
 
 県道に戻り、浦山大橋を渡りきった地点で、湖の左岸に沿って道が分岐する。
 
 ここが林道栗山線だ。この地点は、件の看板を見た日にここまで来ているのだが、その日が2月だったため、この写真にも写っているゲートによって冬季閉鎖されていた。で、後々再訪しようと思いつつ、結局すっかり忘れたままになっていたってことのようですよ、ははは・・・。
 
 この栗山線も山掴線同様、うねる山肌に沿って延びているが、こちらは起点から斜度のある道で高度を上げていく。
 
 ここからは、橋の上から釣り糸を垂らす人の姿が良く見える。この周辺、この釣り人たちの車の路駐が多いんだよな。交通量は少ないんだろうけど、呑気なもんだぜ(笑)。
 
 雲一つ無い青空に向かって道は延びていく。林道らしさの薄い景色ではあるが、気分は爽快だぜ。
 
 道がピークに達する地点からは、秩父さくら湖が良く見える。
 
 遠くには浦山ダムも見えている。県道沿いにある茶平線もそうだが、湖を見下ろせる林道ってなかなか良いな。
 
 ピークを過ぎた道を下りきると、大久保橋が現れる。この橋の上にも釣り人がいるが、こっちでは堂々と路上に座り込んでお茶してた。すげー自由だな(笑)。
 
 大久保橋を渡りきると、突き当りに行きついて栗山線が終了。延長約1.2km、全線舗装でした。埼玉版はそのうち更新します・・・。
 
 栗山線の突き当る道から接続地点を見る。この道を直進するとネイチャーランド浦山に辿り着く。ネイチャーランドって何だ?と思って奥まで行ってみたところ、キャンプ場のような施設に行きついたので、この道はそこまでの管理用道路なのかと思い、この時は特に撮影などすることもなく終わったのだが、先に言ってしまうと、このネイチャーランドへと続く道こそが、今回のもう一つの目的地、林道荻の久保線だった。
 ・・・え〜、つまりどういうことかと申しますと・・・今回、荻の久保線は記録し損ねました
 でね、何でそんなことになったかというと、今立っているこの場所のすぐ手前に、大久保線という別の林道があるのだが、荻の久保線って要はこの大久保線のことで、看板に書いてあった「荻の久保林道」ってのは単なる愛称か何かでしょ?という、実に勝手な思い込みによりスルーしてしまったというワケなのだ。
 帰宅後に改めて地図の線形を確認して、その間違いに気付いたのだが・・・あーもう!何で出発前に気付かねーかなー!またここまで行かなきゃだわ!
 
 さて、その思い違いの原因となったのが、この林道大久保線だ。左手の道の奥に栗山線との接続地点が見えているが、こんなに近い地点で分岐しているんだから、勘違いしたって仕方無いよね?ねっ??
 
 ・・・とまあ、言い訳はそれくらいにして大久保線を進んでいく。ここも以前一度訪れていて、起点から200m程の地点でゲート閉鎖されているのは分かっているのだが、それでも進んでみようと思ったのは、出発前にこの道を地図で見ていたところ、どうやらこの奥にトンネルがあるということに気付いたからだ。それならちょっとそのトンネルを見てみたいなと思ったので、ゲート前にBAJAを停めて、歩いてトンネルまで行ってみるつもりだ。
 
 そのゲートのある地点まで上って来たが・・・。
 
おろ?ゲート開いてるやんけ!?
 
 おおお!何だかわからないけど、いつの間にか規制が解除されたのか?こいつはラッキーだ!初めて入るこのゲートの先の区間。このままBAJAで終点まで行ったるぜ!
 
 そう勢い勇んで進んできたところ、このすぐ先に一台の車が停まっているのが見えた。そして、その手前にはトランシーバーをもったおじさんが一人・・・。そのまま近付いていくと、そのおじさんに腕でバッテンを出されて止められてしまった。
 
 「この先は行けませんよ!」
 
 どうやらこの道の管理関係者だったようで、この人が来ていたためにたまたまゲートが開けられていただけのようだ。ただ、こっちとしては期待マンマンで入ってきているのですぐには諦めが付かずに、
 
 「あ、行き止まりなのは知ってます。ちょっと奥まで行ってみたかったんですけど、ダメですか?」
 
 と聞いてみるも、「もうゲート閉めますから!」とにべも無く返されてしまった。まあ、もともと閉鎖されてたわけだし、仕事の邪魔しても悪いけど、これなら普通にゲート閉鎖で歩いて行けたほうが良かったな。まあどうせ荻の久保線も改めて来なくちゃ行けないし、その時に併せて行ってみるとするか、ふえぇ・・・。
 
 で、大久保線を引き返してそのまま左岸の道を下って戻ろうと思ったところ、理由はよく見なかったのだが(土砂崩れだったかな?)、左岸道路がバリケードで閉鎖されていたので、結局もう一度栗山線を引き返して県道へ戻って来た。さーて、次はいつ来ようかなあ?っていうか、この栗山線もそのうち冬季閉鎖されちゃうかもだし、下手すりゃ来年まで持ち越しかなあ・・・?
 
 さて、これで終わったんではあまりにも消化不良なので、今日は更に進んで次の林道へ向かうとしよう。ここのところ気になっていたあの林道へ。
 
Aへ続く。