見落とした林道と未踏の林道
2014/11/16-A 群馬県神流町・林道二子山線
 
@はこちら。
 
 秩父さくら湖を後にして、R140〜県37〜R299と走り継ぎ県境の志賀坂峠を越えて、次にやってきたのは群馬県神流町の林道二子山線。今年の春頃に、北東側から延びる区間とこちら側の物理的な貫通の確認がされて以来、あちこちのサイトなどでそのツーレポなどを見るようになり、みやさんも7月に訪れてレポを上げていたこともあって、ここ最近ずっと気になっていた林道だった。
 志賀坂トンネルを越えて程なく現れるこの分岐地点、今までこの前を通る度に気にはなっていたのだが、その度にバリケードで閉鎖された状態でしか目にしたことが無く、それをわざわざ越えてまで入ることもなかったのだが、そうかあ、ここがその二子山線だったとはねえ。
 
 標識を見ると、こちらは終点側のようだ。やっと開通したばかりだというのに、既に標識は錆だらけの姿を晒している。これだけ風化してしまうのは、この場所が陽辺りが良いということもあるんだろうけど、ここの開削が始まり、この標識が立てられてからどれだけの時間が流れたんだろう。
 
 入口の脇には、ここから4km先までは通行出来るが、その先は通り抜けが出来ない旨が書かれた看板が立っている。え、マジか。せっかく楽しみにここまで来たのに、たった4kmちょっとで引き返すのはヤだなあ。とにかく、4km先までは通行出来るとのことなので、行くだけ行ってみよう。
 
 入口から100m程の区間こそ舗装されているものの、最初のカーブを越えて程なく路面はダートへと変わる。
 
 道は少しずつ標高を上げていく。目の前に広がる抜けるような青空に、路肩の鮮やかな紅葉が良いアクセントを加えている。
 
 この辺りは紅葉にはもう遅いかな、と思っていたけど、まだギリギリ楽しめそうだ。ちょっと得した気分だぜ。
 
 序盤の区間はところどころでコンクリート舗装を挟みながら延びているが、ダートの区間も、これ以上無いくらいのフラットダートが続いていて、そんな道を走っていくのが楽しくて仕方ない。やはり初めて走る林道のワクワク感って格別だな!
 
 日陰の中から見る、このコントラストの強い景色も、この季節ならではって感じで好きなんだよなあ。
 
 路肩は視界の開けた場所も多く、谷側に目を遣れば、遥か彼方まで連なる山々の稜線が広がっている。こんな青空の下で初めての林道を走れるなんて最高だぜ!
 
 ぬおっ!突然目の前に、道の上を跨ぐワイヤーが現れた。何だ!?索道か!?
 
 ・・・ではなくて、送電線でした。こんなに道のすぐ上を通っているなんて、いかにも林道ならではって感じだな。
 
 その送電線は、幾つもの尾根を越えて遥か遠くまで続いている。こんな山の中にこれだけの物を造るなんて、そりゃとんでもない苦労があったんだろうなあ。
 
 当初の予定では、秩父さくら湖周辺だけ回ったら帰ろうかとも思っていたんだけど、やっぱりこっちまで足を延ばして良かった。今の時期を逃したら次は来年の春とかになっちゃってたかも知れないしな(笑)。
 
 しばらく進むと、色々と工事中を示す看板の立つ地点に付いた。ただ、バリケードは路肩にどけられてはいるが・・・。
 
 なるほど、法面の工事か。今日はたまたま日曜ということもあって休工中のようだ。とりあえずこのまま進んでみよう。
 
 道は勾配の変化も少なく、終始なだらかに延びている。再び路肩の開けた地点にでて、ふとそちらを見ると・・・。
 
 おおお!?山の斜面を雷のような道が駆け上がっている!あれは叶山鉱山か!
 
 その道の袂には、岩の剥き出しになった山肌と、鉱山の敷地と思われる平場も見えている。そりゃ、こんな岩の塊が見えてたら誰だって掘ってみたくもなるよな(?)。
 
 斜面に陽を遮られた日陰の中から延びる白樺の、僅かな先端が光を浴びて、青空の中にひときわ白く映えている。冬の訪れを感じさせるようなこの空気感、好きだなあ。
 
 おおっ、今度は何だ!?前方左側に、巨大な岩山が聳えている。
 
 そうか、あれが二子山か!ここから見えているあれは東岳になるのかな?ちょうどここからは西岳のほうは見えなかったが、それにしても凄い景色だ。
 
 道は何度も日向と日陰を繰り返して延びていく。
 
 これはさっきも見えていた叶山鉱山のとこか。道の脇には常にこんな感じの景色が見えているから、ついつい脇見しながら走っちゃうんだけど、路面が超絶フラットだということもあって、全く不安を感じることは無い。
 
 とりあえず、両側の区間が繋がったというほぼ最低限の情報だけを頼りに来てみたけど、いやあ、こんなに素晴らしい林道だったとは!初めて走る林道というだけでじゅうぶん楽しいのに、木々が冬枯れを始めた季節ということも重なって、周囲の景色もより広々として見えるし、何よりこの快晴!もう楽しすぎてたまらんぞ!二子山線、ナイス林道!ナイス林道!

 ・・・そういえば、もうそろそろ入口の看板にあった「4km」が過ぎる頃なんだけど、特に通行止めの気配も無いような・・・まあ、このまま行けるところまでは行くつもりだけどね。
 
 ぐおおっ!カーブを抜けると、突然目の前に鋭く聳える岩山が!今度は何なんだ!?
 
 ああ!もしかしてこれが西岳か!何て凄いところを通っているんだこの道は!こんな景色が次から次へと現れるもんだから面白くて仕方無い!ホント面白過ぎるぞ二子山線!
 
 ここは、法面がまだ真新しいコンクリートに覆われている。位置的にも総延長のちょうど真ん中辺りだし、きっとここが最後に開削された区間なんだろう。
 
 そんな地点を通過すると、その先で路肩に重機や資材が置かれていた。ただ、やはり休工中のようなのでそのまま通らせていただきますよ。恐らくこの先に工事現場はもう無いだろう。
 
 道は再び日向へと出る。緩やかにアップダウンをしながら延びるフラットダート。なんて素晴らしい林道なんだ!
 
 そんでもって、その地点から見えるのは、またもやこんなダイナミックな岩肌!全く持って飽きることが無いぞこの林道は!
 
 そろそろ起点に近付いてきたのか、道は林の中に吸い込まれていく。日陰の斜面に降り積もる落ち葉に、眩しい木洩れ日が斑に射し、秋の色彩を密やかに浮かび上がらせる。さっきまでの岩山が織りなすダイナミックな景観も素晴らしいが、こういった落ち着いた景色もまた良いものだ。
 
 落葉したカラマツが路面にストライプの影を落とし、幹の隙間から深い青空を透かせて見せる。これも林道の堪らなく好きな景色だ。
 
 そんな景色の数々を堪能し、やがて道は舗装路に突き当った。これで二子山線のダートは終了だ。R299側の終点から、BAJAのメーターの実測でおよそ11.7km。実に素晴らしい林道だった!まあ、その素晴らしさにちょくちょく足を止めてしまっていたので、ここまでにずいぶんと時間は掛かってしまったが。
 
 突き当った舗装路の右手を見ると、別の林道の起点標識が立っている。この地点から先は林道高萩線となる。
 
 高萩線って・・・ああ!林道西秩父線に接続する、あの高萩線か!去年西秩父線に来た時は、埼玉の林道をコンプリートすることを優先していたので、この高萩線だけ群馬県管理の林道ってことで、結局通らずじまいだったんだよな。そうかあ、ここへ繋がっていたのかあ。今日はまた二子山線を引き返すつもりだけど、今度はこのまま西秩父線へ抜けて行くのも面白そうだな。
 
 ・・・っていうか、この二子山線の看板に書かれた、(起点より20km)の表記が気になるんだが・・・。ここが二子山線の起点じゃないってことなのか?もしかして、この舗装路を下った先で、まだ舗装区間としての二子山線が続いているってこと?まあ、埼玉の林道ならともかく、何の事前情報も無いままこの先を確かめに行く気にはさすがにならないけど(笑)。
 
 というわけで、再び二子山線をR299の終点側へ向けて引き返していく。
 往きはスルーしてしまったが、途中で一本の舗装路が分岐している。
 
 林道下小越線というこの林道、ほぼ舗装路で下っていくようだ、途中で僅かにダート区間もあるようだが、今日はこのまま二子山線を戻っていくことにしよう。更にこの先には、ダートで分岐する作業道もあったが、そっちはかなりキビシイ道らしい・・・!どちらの道も、みやさんが既に二子山線と合わせてレポを上げてくれているので、気になる人は「XRで行こう」をチェックだ!
 
 おお、あの先に見えるコンクリートの法面。まるで怪獣が歯を剥き出しにでもしているようだ・・・って、どっかで見たことあると思ったらガヴァドンじゃねーか!おまえ、ウルトラマンに宇宙へ連れていかれたんじゃなかったのかよ!
 
 そんな、怪獣が見守る二子山線をのんびりと引き返していく。往きはあまりの景色の素晴らしさに、ちょっと時間を掛け過ぎてしまったので、戻りはサクッと走って行こう。
 
 それでもやっぱり、ちょいちょい足を止めてしまうんだなー。もうこればっかりは仕方の無いことなんだよ(笑)。
 それにしても腹減ったな。もういい加減、どこかで飯にしよう。
 
 という訳で、往きに目星を付けておいた路肩の平場に立ち寄り。今日はここでランチタイムだ!
 
 しかも、その平場からちょっと下ったところには、こんな立派なベンチまで(ベンチじゃないです)!ここからの景色を一人占めして昼飯を食える特等席だぜい!
 
 で、今日の飯はこんなのを持ってきたんだけど・・・うーん、山で食うには、普通の味のほうがいいかなあ、やっぱ(笑)。
 
 斜面には先ほど通って来た区間も見えている。全区間において見晴しの良い地点が多く、そのうえ二子山や叶山鉱山など目に留まる景色も多い。ここって何気に凄い林道だよな。それだけに今日も、林道としては割と多くのオフローダーとすれ違った。
 
 ふと、背後からガサガサと音が聞こえ、振り返ると一羽の雉が斜面に積もる枯葉の中を歩いているところだった。その斜面に生える木々は既に葉を落とし切り、見上げる景色はもう冬のそれに変わっている。季節の移ろいって本当にあっという間に過ぎて行くんだよな。
 
 飯も済ませたし、再び終点に向かって進んでいこう。往きにのんびりし過ぎたのと、更に飯ものんびりし過ぎて、だいぶ時間が経っちゃったな。この時期うかうかしてたらあっという間に寒くなっちゃうからな、早く引き上げないと。
 
 それにしてもこの二子山線、本当にナイスな林道だったな。こんなにテンションが上がったのも久しぶりだったぜ!
 これだけ勾配が緩くて路面もフラットで見晴らしも良いとなると、これからの時期、雪が積もってから来てみるのも楽しいかも知れないな。ここから見る雪景色は最高だろうなあ。・・・いや、そうなったらそもそも、志賀坂峠を越えてくることが大変かも知れないけど(笑)。
 
 そんなこんなで、片道12km程の道にかなりの時間を掛けて、再び終点へ戻って来た。せっかく完抜けしたというのに、実にピストン林道的な走り方だ(笑)。初走行となる二子山線、本当に素晴らしい林道だった!ごちそうさまでした!
 
 そして、この日の前半のレポを公開後、タマチャリンさんからのBBSへの書き込みによって、秩父さくら湖周辺について、幾つかの新たな情報が判明してしまった。そもそも今日の踏破が不完全だったこともあったのだが、これでまた近日中にあのエリアに訪れなければならなくなったンだっ!待て、次回!