林道粟野山線の現在
2015/05/30-A 埼玉県秩父市・林道粟野山線・他
 
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 林道城峰奈良尾線から林道奈良尾線に入り、県道方面に下ってきた。集落を見下ろすここからの景色がすごく好きだ。
 
 いま立っているこの地点、初めて来た時はまだダートが残っていて、それを思うと少々切ないが(笑)、それでもここから見える景色は何も変わっていない。
 
 県道284号線に接続する起点まで下ってきた。この奈良尾線の起点標識も旧タイプだ。ちょっと見て行きましょうか。
 
 時間的に、ほぼ真上に位置する太陽から注ぐ光が、風化して浮きあがった文字の白い塗料の縁に、くっきりとした影を落とす。設置されてからの長い年月が作りだした、旧タイプ標識の持つこの独特の風合いが描き出す表面の立体感。あまりの素晴らしさに、いつまででも眺めていたい気もするが、起点脇の東屋で休憩しているライダーがいたので、怪しまれないうちに立ち去るとしよう(笑)。
 
 県道を引き返す途中で見掛けた景色。おお、この道にこんなに長めの良い場所があったのか。
 
 県284から県37へと戻り、少しだけ西側へ進んで、次にやって来たのがここ、林道粟野山線だ。
 
 ここは以前訪れたときに、道の一番奥で林道の開設工事をしていた。もしかしたら道の延伸工事で、いずれどこかへ抜けさせるつもりなのだろうか、なんて思ったのだが、あれからその先がどうなったのかを見て行こう。
 
 起点からの舗装路を上っていくと、いきなり現れるこの眺め!晴れた空に薄く掛かる雲が、今日はまた良いアクセントになっているな。うーん、実に良い。
 
 起点から400m程で路面が未舗装に変わる。このすぐ先で、以前は秩父の市街地と武甲山を見渡せるいいポイントがあったんだけど、久しぶりに来たら路肩の木々が成長して、残念ながらそこからの風景は見られなくなっていた。
 
 それにしても・・・暑い!そういえば今日は日中30度を越えるとか何とか言っていたような気もするが・・・。まあ、晴れてくれればそれだけで嬉しいんだけどね。
 
 そうそう、このカーブも好きな場所だ。以前この粟野山線に来たのは晩秋の季節。緑豊かな時期に来るのは初めてだが、この時期の景色もまた実に美しい。まあ、もともと良い林道っていうのは何時来たってその良さは変わらないものだ。
 
 路面も概ねフラットで、勾配のきついような場所も無いので実に走りやすい。
 
 そして、起点から2km程上ってくると・・・。
 
 どうだ、道の外側に奥秩父の山々が何処までも続くこの景色!ここはこの粟野山線の中でも間違いなく一番のビュースポットで、この周辺の林道でもこれだけの眺めが見られる場所はそうは無いんじゃないかと思う。
 以前来た時に見た、冬場の透明感溢れる眺めも素晴らしかったが、初夏の柔らかな空気に包まれたこの眺めもまた実に素晴らしい!
 
 視界に入ってくるのは、遥か遠くまで続く山々の稜線の連なりだけで、こうしてみると、あの向こうにはもうどこまで行っても山しか無いんじゃないか、という錯覚に襲われてしまう。本当に素晴らしい風景だ。
 まだこの林道を訪れたことの無い人も、この場所からの景色を見る為だけでもここに来る価値はじゅうぶんにあると思う。晴れた日に是非!
 
 再びその先へと進むと、起点から約3.2kmの地点で路面がコンクリートの簡易舗装に変わった。
 
 俺が以前来た時はこの手前、約3.0kmの地点で工事によって引き返していたので、この位置まで進んでくるのは初めてだが、何故こんなところからいきなり舗装が始まっているのだろう。
 
 そこから約300m、起点から約3.5kmの地点で唐突に道が終わっていた。ここが林道粟野山線の終点だ。
 
 終点手前の道幅は、ほんの少しだけ膨らむように広くなり、道の先端は竹林に落ち込むようにぷっつりと途切れている。
 
 以前、開設工事をしているのを見たとき、もしかしてこの先を再び県道に抜けさせたりする為なのかとも思ったことは前述したが、現在の終点の様子や、道の延びる方向の先を見ても、とてもこれ以上道を延伸させる様子は感じられない。
 
 道の突端には土嚢が積まれ、路面が崩れないよう処置がされている。
 
 終点からいま来た道を振り返ると、向かって左側に一本の分岐する道が見える。これは林道の支線という訳では無く、この先に建っている家屋へのアクセス路だ。
 
 その家屋は今現在、人のいる気配は感じられなかったが、先程の分岐地点にもまださほど古くないタイヤの痕は残っていた。こうしてここまでの道が整備されたことを考えても、ちゃんと人の出入りはあるはずだ。
 
 林道を挟んだ谷側の斜面には、一面に柑橘類の樹が植えられている。恐らくここはみかんか何かの農家の敷地で、ここにある家屋は、その作業に関わる為もののようだ。その庭先には、収穫したものの重さを計るための秤も吊るされていた。今現在人の気配が無いところを見ても、ここは常に人が住んでいるわけでは無く、作業のある時だけ通いでやって来るのだろう。
 建物自体はそれなりに年季の入った雰囲気で、この手前にも家屋が建っているところもあり、林道終点の脇には墓地もあったところを見ると、この敷地自体はだいぶ昔から存在しているようだが、恐らく以前は、この場所に至る道が徒歩道しか無かったのではないか。きっとこの区間の車道の延伸は、ここまでのアクセスと農作業を容易にするためのものだったのだろう。そう思えば、この道の末端が、これ以上延伸させる雰囲気が全く感じられないのも納得がいく。
 
 そう考えると、もしかしたら完抜け林道になるかも、なんて淡い期待が無くなってしまったのはちょっぴり残念だが(笑)、今のままでもこの林道の素晴らしさは何ら変わることは無い。
 
 また季節を変えた頃にでも、あのビュースポットからの眺めを見る為に訪れてみよう。あの場所は、県道から僅か2km上ってきただけとは思えないほど別世界の景色が見られるので、しつこいようだけどまだ訪れたことの無い人は、是非あの景色を見に訪れてもらいたいと思う。
 
 そんな西秩父方面の林道ツーリングでした。それではまた!