Beyond The Heaven's Gate 2017
2017/05/06 埼玉県秩父市・天目山林道-B 仙元林道
 
Aはこちら。
 
 8年前のリベンジはならず、またしても終点を見ること無く天目山林道を引き返してきたが、せめて残る支線は片付けて帰ろう。
 
 現在時刻、12:30PM。切り通しの大崩落も越えて、軽快な下り走行を楽しみつつ、続いてやってきたのはこちら。仙元林道だ。
 
 ・・・って、えっ?えっ?ここ仙元林道??あれ?あれ?ちょっと待って・・・!?
 
 
 
 わーっ!!熊取林業専用道をすっ飛ばして来ちゃったよ!
 ううう、下りが余りにも楽しすぎて、途中の分岐を見逃してしまっていたようだ・・・もう、我ながら何やってんだかなあ。まあ、どのみち天目山林道本線もまた来なきゃならないし、今から熊取まで戻るのももうヤだよ・・・。
 
 とりあえず熊取はまた次回ということで、気を取り直して今はこの仙元林道を上っていこう。
 この仙元林道、起点にある銘板によれば、平成5年に開設が始められたようだ。比較的新しい林道なんだな。
 
 さて、この仙元林道、写真からもなんとなくは伝わるかもしれないが、起点から猛烈な勾配で延びている。天目山林道を諦めて引き返して来た身には少々キツイっす・・・。
 
 ただ、この仙元林道はそんなに長くは無いんじゃないかって気はしてる。サクッと片付けて帰ろう。
 
 おお、天目山林道のあの切り通しには及ばないものの、こちらもなかなか印象的だ。
 
 それにしても、本当にキツイわここ。天目山では出来るだけ乗車して進もうとしていたけど、こっちはもう押し歩きしか出来ない。このコンクリ舗装の区間を見てもそれが伝わるかな?
 で、この辺りを進んでいると、俄かにエンジンの音が響いてきた。え、この音はどこから聞こえて来るんだ?そう思っていると、次第に大きくなるそのエンジン音の発生源が、この道の上にいることが分かった。まさか、林道の管理者か?
 路肩に寄ってその音の主をやり過ごそう待っていると、見た感じ関係者などでは無さそうな、4駆の3台組がゆっくりと下って来て、俺の脇を通り過ぎて行った。しかも、2台目のドライバーには「どこまで行くんですかー?」なんて話し掛けられて、「とりあえず行き止まりまで・・・」と返すと、「頑張ってくださーい!」なんて陽気に励まされてしまった。いやまあ頑張りますけど、って言うか、あんた達、一体どうやってここに入ってきたんだ!?
 
 そんな意外な擦れ違いもあったが、今の俺はとにかくここを進むのみ!
 
 天目山林道も10kmを越えた辺りからは木々も若葉の芽吹きにはまだまだ早い様子だったが、だいぶ標高を下げてきたこともあって、周囲の景色は再び爽やかな新緑に包まれている。
 
 そろそろ起点から500m程も上がって来ただろうか、道の勾配は緩む気配も無く、すっかり気温も高くなり、本気でキツくなって来たぞ。終点はまだか・・・。
 
 なんてことを考えながら進んでいると、道の前方の斜面に谷筋が見えた。見たところ、あそこを道が越えている様子は無い。いよいよ終点か?
 
 お、やっぱりだ!道はあれを越えてない!やっと終点か!お疲れさま、俺!
 
 ・・・なんて、本気で思っていましたですよボクは!
 確かに道は谷を越えてはいなかったが・・・。
 
 道はここで途切れることなく、林道らしい急激なカーブによって、更に先へと延びていた。ま、マジかよ!一体どこまで続いてるんだこの道は!?
 
 そのカーブを超えて少し進むと、さっきまで通っていた区間が、もうあんな下に見えている。この道がどれだけ一気に標高を稼いでいるかよく分かると思う・・・。
 
 現在時刻、12:57PM。上っても上ってもひたすらに急勾配な道が続く。マジで容赦ねぇなこの仙元林道・・・。
 
 周囲を彩る新緑が美しいが、だんだんとそれを楽しむ余裕も無くなって来た・・・。
 
 さっき自転車で下って消費した標高を、再び押し歩きでじりじりと稼いで行く。
 
 斜面を見下ろせば、今上って来た道が九十九折となって連なっているのが見える。うわあ、もうこんなに上ってきたのか・・・。
 
 途中、路上を跨いだ土砂崩れの跡があったが、しっかりと車両の通行が可能なように片付けられていた。ここはだいぶ前に崩れたものなのだろう。
 
 現在時刻、13:06PM。突然、道が下りに転じる地点に来た。おおお、こんなところで下り!?
 
 しかし、カーブを超えた下り坂は、ものの数十mで再び上りに戻った。っつーかさ、一体どこまで続いてるんだよこの道!?
 
 勾配のキツい坂道を登り続けていると、一旦その勾配が少し緩まる地点で、ふと路肩の木に貼り付けられた紙に気づいた。
 
 お、こんなところで通話可能?そう思ってスマホを取り出すと、溜まっていたメールや通知が一気に届いてきた。それじゃあ折角だしここで何か呟いてみようかな、何て思った途端、電波が途切れてしまった。なになのもう・・・。
 
 ひたすらに上り坂は続いているが、この道の終点をこの目で見るという一心だけが、今の俺を突き動かしている。
 
 しかし、想像していたよりも全然長いぞこの道・・・。今にして思えば何故そう思っていたのかも分からないが、この仙元林道、長くても数百mで終わるだろうと思い込んでいた。その勝手な想像を嘲笑うかのように、この先はまだまだ続いているようだ。
 
 たまたまここにあった銘板を見ると、この区間は平成10年度の施工だったようだ。起点の施工開始から5年後か。この林道が1年でどれほど延びたのかは分からないが、仮に少なく見積もって1年辺り300mの計算だとしても、ここまでで既に1.5kmは上ってきていることになる。実際はもっと長そうだが・・・。
 
 全く勾配の緩まらない道を上り続けて来たが、そろそろ本気で辛くなって来た。そもそも、天目山林道を引き返すきっかけの1つになった脚の付け根の違和感も無くなったわけではないし、予想以上に長いこの道がどこまで続いているのかも不明な状態であることも、辛さを感じる要因にはなっていたのだと思う。
 
 そんな気持ちで見通した遠くの斜面に、この先に続く道筋が見えた。ま、まだあんなにあるのか・・・。
 この光景を見た瞬間、何とか終点に辿り着こうとしていた思いが、ぷつんと切れてしまった。よくある「心が折れた」っていう表現は、自分的にあまり好きではないのだが、このときばかりは本当にそんな感覚を味わっていた。
 
 天目山林道の終点も見られず、熊取林業専用道も見落とし、せめてこの仙元林道は・・・という思いでここまで上って来たが、そもそも天目山を諦めて引き返した時点でペース配分もとうに狂ってしまい、体力的にも気力的にも、今の俺にとってこれ以上進むことはもう無理だ・・・。
 
 まあ、色々と言い訳がましいことも言ったけど、とにかく今日はこれで全て終了だ。さあ、引き返そう。現在時刻13:29PM、撤収。
 
 仙元林道起点まで戻ってきた。上りがキツかった分、下りは実に快適ではあった。引き返した地点からここまで、感覚的にではあるが、恐らく2kmちょっとはあったんじゃないかと思う。
 さあ、ここまで来れば天目山林道のゲートももうすぐだ。
 
 現在時刻、13:37PM。天目山林道のゲートに帰還。行動開始からちょうど7時間くらいか。何か色々と想定外なことはあったけど、結局、今日果たせたのは細久保林道の踏破だけという、何とも不甲斐無い結果に終わってしまったなー・・・。
 
 そうそう、このチェーンゲートには南京錠が3つ掛けられていて、とてもじゃないけどすり抜け出来るレベルでは無く、鍵を持っていなければまず通れないはずなんだが、さっきの4駆の人たちはやはり・・・?あー、俺もBAJAで走ってみてえよ・・・。
 
 それはともかく、またしても宿題を残してしまった、この天目山林道。次こそ確実に攻略する為に、次回以降、天目山林道本線の踏破、そして仙元林道及び熊取林業専用道の踏破を、2回に分けて行うことに決めた。
 でも、言い訳するわけじゃないけど、こんな林道が1つくらいあったほうが面白いってもんだよ(笑)。今回の再訪は8年振りという、とんでもなく長い期間を空けてしまったが、次回はそんなに間を置かず、なるべく早く再訪したいと思う。まだもうちょっと楽しませてもらうよ。待ってろよ、天目山林道!