東日本最大級の名瀑へ!
2017/05/20 山梨県北杜市・北精進ヶ滝-@
 
 5月某日、タマチャリンさんから1通のメールが届いた。
 北精進ヶ滝へ行きませんか?とのお誘いだ。
 

 北精進ヶ滝とは・・・。
 
 
 「日本の滝100選にも選ばれた東日本最大落差121mの名瀑

 鳳凰三山の一つである地蔵ヶ岳を源として流れる石空川(いしうとろがわ)渓谷。
その上流、標高1400mには、東日本最大の落差121mを誇る精進ヶ滝(しょうじがたき)があります。
深い緑に囲まれた美しい姿から、東日本一の名瀑と呼ばれる精進ヶ滝は、その昔神仏に祈願するためこの滝の水を浴びて身体のけがれを洗い流した故事をその名前の由来としています。」
 
 (北杜市観光協会サイト「ほくとナビ」より引用)
 
 
 と、この文章を読んだだけでも、その規模の大きさがわかると思う。
 (なお、「北精進ヶ滝」という名前については、元々は精進ヶ滝と言えばこの滝を指していたが、山を隔てた先にある「南精進ヶ滝」と区別する為に、この名で呼ばれるようになったとのことだ。)
 
 この滝については、以前もタマチャリンさんが「行ってみたい」と言っていたのを聞いていた。この北精進ヶ滝は、滝の遥か手前から、北精進ヶ滝の手前に位置する九段の滝と合わせて見る事が出来る観瀑台があり、そこまでは快適な遊歩道が整備されているのだが、今回タマチャリンさんが行こうとしたのは、そのルートから外れて向かった先にある、北精進ヶ滝直下の滝壺!そこへ至るには、明確な道筋の無い山の中を進んで行く以外に無く、こんな面白そうな場所へ行くという話に、乗っからないわけには行かないッ!
 日程について協議の結果、梅雨入り前に行ってしまいましょうということになり、5月20日の実行が決まった。
 ・・・しかし、実のところこの時点で、俺はこの北精進ヶ滝についての詳細な情報を全く知らなかった!しかも、実行に当たり、タマチャリンさんから北精進ヶ滝の詳細なレポを記したサイトのURLなども送っていただいていたのだが、色々あってなかなかそれらを見る時間も取れずじまいで、もうこうなったら、全てをタマチャリンさんに委ねてしまえ!っと開き直って参加させていただくことにしたんだ俺は!(ゴメンんなさいタマチャリンさん!)
 
 今回の参加メンバーは、タマチャリンさんまあもさんというお馴染みの林道メンバーに加え、タマチャリンさんの教え子である大ちゃんくんと若ちゃんちゃん、そしてナノレカワの計5名。中央道須玉ICで待ち合わせをし、いざ、北精進ヶ滝へ!
 
 須玉ICからオートキャンプ牧場チロルを目印に、そこから林道精進ヶ滝線(お、林道出てきたぞ 笑)を進み、遊歩道手前の駐車場へ。今日は朝から実にいい天気。山の中を歩くには最高のコンディションだぜ!
 写真右から、タマシャリン君、BAJA君、そして、まあもさんの愛機・あけみちゃんだ!
 現在時刻、9:56AM、出発!BAJA君、ちょっとここで待っててね。
 
 精進ヶ滝橋を渡り遊歩道へと向かう。入り口には「クマ出没注意」の看板も。まあ、そうですよねぇ・・・。
 
 この精進ヶ滝橋、なかなかに巨大な吊り橋だ。しかも、高低差もかなりのもので、こんなにしっかりしてそうな見た目のわりに、いい感じで揺れたりするのでかなりスリリング(笑)。
 
 吊り橋から外を見ると、雄大な景色の中を流れる石空川に、砂防堰堤が見えている。この堰堤もそこそこ巨大なものなのだが、この景色の中にあると何だかミニチュアのように見えてしまう。それ程にこの眺めは圧倒的だ。初っ端から期待させてくれるじゃねえかよ。
 
 吊り橋を渡り、遊歩道へと入る。道標には、精進ヶ滝まではここから40分と記されているが、これは観瀑台までの所要時間だ。滝壺へ行くには、途中でそのルートを離れて進まなければならない。
 
 少し歩くと、本ルートから外れた方向を指し示す「フォッサマグナ」の文字が。ちょっと行ってみましょうか。
 
 ほほう、これがフォッサマグナか、フムフム。
 ・・・しかーし!我々が目指すのは北精進ヶ滝の滝壺!このフォッサマグナも、学術的に貴重な構造ではあろうが、このぼんくらナノレカワ、滝壺のことばかり気になって、ちっともこの眺めが頭に入ってこないぞ(笑)!
 
 遊歩道へと戻り先を進む。この季節ならではの鮮やかな緑の中を歩くことが出来るこの喜びよ。
 
 やがて道は石空川へと接近していき、先程までの穏やかな遊歩道から一転、川沿いの岩が散乱する道を歩くようになる。
 
 現在時刻、10:13AM。道の先に、遠目にも分かる大きな滝が見えてきた。おおお!なんだあれは!?
 
 手前に見えるのが一の滝、そして奥に見えるのが二の滝だ!
 すっげえぇぇぇぇ!まだ序盤にも関わらず、こんな迫力ある景色を惜しげもなく披露してくるとは!
 そして、この一の滝の上に、対岸へと掛かる橋が掛かっているのだが、こんなところで橋を渡すと言う発想がもう凄すぎる!この景色を見たときの、これからここを渡っていくのかというワクワク感が半端無い!これが山梨クオリティなのか!
 
 橋の上から見た二の滝。こうして真正面から迫力ある滝の姿を見る事が出来るので、やはりここに橋を渡したのはもう大正解なのだと思い知らされる。
 
 ↑写真はタマチャリンさん撮影!
 この橋の踏み板には、恐らく落石によって出来たであろう、ベッコリと凹んだ箇所がある。金属の踏み板をこれだけ変形させるということは、相当な勢いで降ってきたのだと思うが、ここから一番近い斜面でも結構な距離が離れているはず。一体どれだけの距離を飛んできたんだ・・・!
 
 そして、写真は少し戻るが、橋の手前から先を見ると、ここからでもその先の道がもう見えている・・・。
 
 橋を渡り切ったすぐ先で、今度は急傾斜の階段が続いている。こ、こんな所を進むんですかい!?マ、マジか・・・!
 
 会談の上から振り返って撮影。どれだけ急傾斜なのか分かってもらえるかと思う。しかも、急傾斜であるが故に踏み板も狭く、しっかり手摺りに掴まっていないと怖くて進めない。これ、登りはまだいいけど、帰りが怖ぇなあ・・・。タマチャリンさんはこれを「信用できねえ梯子階段」と呼ぶが、その気持ちが本当に良く分かるよ・・・。
 
 現在時刻、10:20AM。階段を登り切った先に、今度は三の滝が見えてくるが、その手前で再び対岸へ渡る吊り橋が架かっている。この吊り橋、対岸との高低差を繋ぐ為に、途中から階段状になっているのだが、コレって珍しくない?こんなの初めて見たよ。
 
 吊り橋を渡った先で、竜洗峡という場所に出た。うわあ、なんて美しい場所だ・・・。新緑を透かして降り注ぐ陽光と、澄み渡った石空川の水の流れ。こんなところで飯にしたら最高だろうなあ。
 
 しかし、我々の目的地はまだまだ先で、未だそこへ至る目的のルートにも達していない!どんどん進むぞ!
 
 またしても吊り橋が現れるが、ここでも途中から階段状になっている。こうして少しでも高低差を稼いでいるのだろう。めちゃくちゃ面白えーなこの道!本来ならこのクオリティの道が続いていれば、それだけでじゅうぶん楽しめるものなのは間違いない。しかし、これから我々が向かうのは、ここまでの道が前座扱いとなってしまうほどの場所だ!
 
 ↑写真はまあもさん撮影!
 なんだかスケール感がおかしくなりそうな絵面だけど、こんな景色の中を歩いていくのが本当に楽しくて仕方ない!
 
 現在時刻、10:30AM。瓦礫を敷き詰めたような道の先に階段が見えてきた。
 
 ここで一旦休憩を取った。この階段を登って行くと、やがて観瀑台へと辿り着くが、我々はここで階段を避け、別ルートで北精進ヶ滝の滝壺を目指す。
 
 ・・・でも、どこを進むのかって?確かにこの先には、もう正規ルートのような明確な道筋は存在しない。この正面に見えている巨岩の左側に、ここから先へのアプローチとなるポイントがある。
 
 この白っぽく見えるザレ場を登り、この岩場をクリアしていく。写真の右下に写るタマチャリンさんとの比較で、この場所のスケール感が伝わるんじゃないかと思う。
 
 先陣を切ってまあもさんが登っていく。ここ、歩くそばから足元の瓦礫が転がり落ちていく状態なので、一人が登り切るのを待ってから次の人が登って行くといくことを繰り返す。
 
 巨岩を越えると、いよいよ滝壺へと向かうルートへと突入する。
 
 ここから先は、先人達が記したリボンや薄っすらとした踏み痕だけが頼りになる。上の写真にも一箇所リボンが写っているが、こんな感じで視線の先にあるリボンを斜面の中に探しながら進んでいくのだ。タマチャリンさんが仰っていたが、今回この時期に来たのはベストな選択だったかもしれない。真夏の緑が真っ盛りの時期だったら、果たして全てのリボンを見つけることが出来たかどうか・・・。
 
 斜面のすぐ脇に石空川が流れている。目を奪われるほどの透明度だ。
 
 そして、その石空川から一気に引き剥がすように、リボンが示すルートは急斜面を登っていく。
 
 普通の登山道などと違い、道筋など見えない斜面の中に時折現れるリボンと、岩に赤ペンキで書かれた矢印だけが頼りだ。
 
 写真左側より、若ちゃんちゃん、大ちゃんくん、まあもさん、タマチャリンさん。
 こういった写真からも、「道筋など見えないただの斜面」という表現が決して大げさでないことは分かってもらえると思う。タマチャリンさん、当初はここを一人で行こうとしてたっていうんだからスゲエよなあ・・・。
 
 ↑写真はタマチャリンさん撮影!
 ルートを探りながら進んでいくと、先へと続くリボンが、斜面の真っ直ぐ上に向かって続いているのが見えた。うえぇぇぇ、なになのこの直登ルートは!
 
 ↑同じくタマチャリンさん撮影。
 まあもさんと大ちゃんくんが登って来ている斜面の角度からも、どれだけ急峻なところを直登しているのか分かると思う。ここを見たときはマジでゲンナリしたわ・・・。
 
 ↑こちらはまあもさん撮影。
 直登区間が終わっても、だからといって進む道が穏やかになるとかそんなことは全く無いワケで、リボンさえ無ければ、もうどこを通ったって一緒だろ!って言いたくなるような斜面をトラバースしていくのだ!
 そのリボンは、思いのほか数は多く、注意して見ていればルートを見失うことはほぼ無いのだが、それでも直登した後でいきなり斜面の下方向にリボンが付けられていたりと、時折あれっ?と思うような地点も幾つかあり、そんなときはすぐさま他のメンバーが進む先のリボンを見つけてくれた。今回、パーティーを組んで本当に良かったと思うことのひとつだった。
 
 時には倒木の下を潜り・・・。
 
 時には斜面から生える木を掴み、ぐっと身体を引き寄せて斜面を登り、リボンと矢印の示すルートを進んでいく。かなり険しいルートではあるのだが、こんなところをひとつひとつ越えていくのが楽しくて仕方ない。この感じ・・・そうだ、これは天然のアスレチックだ!というか、世に存在するフィールドアスレチックと言うものは、この北精進ヶ滝を攻略するための訓練施設に違いない!(違ぇよ!!)
 
 ふと目の前に、斜面を流れるかのように続くガレ場が見えた。
 
 ガレ沢を横断しながら見上げると、遥か上から続いているようだ。すげえな、道も面白いけど周囲の景色も全く見飽きることが無いぞ。
 
 ガレ沢を越えると、珍しく足元が道のようになっている区間があった。しかし、その路肩は崩れ、注意を払って歩かないとうっかり踏み外して転落、なんていうことにもなりかねない。道があるように見えるからといって、決して油断は出来ない・・・。
 
 時にはこんな大岩の下を回りこむように越えていく。すごい光景だ・・・。
 
 ふと脇を見ると、斜面の遥か下を流れる石空川が見える。あれだけ急斜面の直登を続けてきたのだから、当然っちゃあ当然だよな・・・。
 
 ↑写真はタマチャリンさん撮影!
 こんな崖っぷちの道もあるが、ろくに道筋も見えない斜面の後だと、こんな道でもずいぶんと穏やかに見えるものだ。
 
 ↑同じくタマチャリンさん撮影。
 木の根っこの張り出した斜面を越えて立ち止まるナノレカワ。タマチャリンさん曰く、どうやらこの先が滝壺へと向かう最後の下りとなるようだ・・・!
 
 踏み痕も定かでない急峻な下りを、恐る恐る進むメンバー一同。
 そんな下りの最中、ふと前方に、突然現れた!
 
・・・おっ・・・!
 
おおおおおおおおおお!!!!!
 
 思わず振り返り、「タマチャリンさん・・・あれ・・・!」と声を掛ける。つ、遂に見えた!こんな藪の隙間から見えているだけでもドえらい迫力だ!
 
 あんな姿をチラ見させられたら、すぐにでも駆け寄りたい気持ちになるが、こんな藪の下りではそんなことが許されるはずも無く、最後の下りを殊更慎重に進んでいく。
 
 でも・・・でも・・・そんな慎重に進もうとする気持ちをせせら笑うように、あいつが姿を見せるんだよ・・・!は、はやくあそこに行きたいッ!!
 
 ようやく斜面の下に流れる石空川が見えてきた!この藪を抜けるまであと少しだ!
 
 そして、11:15PM・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
遂に捕らえたぞ!
北精進ヶ滝!!!
 
Aへ続く。