Aはこちら。
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現在時刻、10:52。ここから見えるあのカーブの先の景色も気になるが、その脇に見えているプレハブ小屋もちょっと気になるね。
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近づいてみると、入り口のサッシのガラスは全て無くなっていて、もうしばらく使われていないような雰囲気を漂わせている。
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中を覗いてみると、エンジンオイルの缶が無造作に転がっていた。
プレハブ小屋といえば、9年前に来たときには細久保林道との分岐地点にもプレハブが建っていたのだが、去年再訪したときには既に無くなっていた。ここが残されているということは、このような状態になってもまだ利用価値があるということなのだろうか。
そういえば、「山旅DIARY」の2015年のレポートにもこの付近の写真が掲載されているが、2013年頃まではこの前後の区間は廃道同然の状態だったようだ。現在では一般の車両でさえ問題無く通行できるような状態に復旧されているが、その工事の際にはこの小屋が活躍したこともあったのかも知れない。
そもそも、こうして再び天目山林道の終点を目指す気になったのも、嘗て終点を目前にして引き返す要因となった崩落が復旧されたという記事をウェブで見掛けたことがきっかけとなったのだが、その復旧工事に際してこの小屋が使われていたかも、なんて想像するとちょっと楽しいな。
そんな小屋の観察もそこそこに、その先の景色に目を遣ると・・・。
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おおおー!何て爽快な景色だ!
幅広に均された路面の向こうに、青く霞む山々と、更にその向こうには秩父の市街地も見えている。
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ここからも見えている大ドッケダンジョンは、先程よりも更にその距離を詰め、その色彩をはっきりと際立たせている。
そして正面に見えているあの尖がった山、あれは武甲山だな。こちらから見ると、普段目にするあの削り取られた斜面とは逆側から見ることになり、緑に覆われたその姿に、最初は武甲山であることに気づかなかった。
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って、んんん?何だあの道??ふいに見えた、稜線上に刻まれた山頂に向かってグネグネと延びるあの道。初めは何なのか分からなかったが、そうか、あれはあの向こう側の採掘場へと続く、武甲山の鉱山道路か。我々一般人には決して窺い知ることの出来ない道だ・・・。
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道は平坦な状態を保ち、更に奥へと続いている。まだか・・・終点はまだか・・・。
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そこから程なくして、このカーブの先で今まで辿ってきた道が遂に途切れているのが見えた。おお・・・。
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現在時刻、11:03。遂に天目山林道の終点に到着した!
おおおおお!やった!やったぞ!!初めてこの天目山林道を踏んでから9年、長いあいだ想い続けたこの終点に、ようやく立つことが叶ったぞ!!
本当にね、あの道の末端に自転車を停めた瞬間に叫んだよね!どれだけこの瞬間を待ち焦がれたか!去年いちど、この終点を目指しつつも途中で断念して引き返してしまったこともあったので、本当に今この瞬間の喜びは格別だよ!
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チェーンゲート地点を出発したのが6:32のことだったので、ここまでの所要時間はほぼ4時間半。予想していたよりもだいぶ早い時間で到着したが、これは俺の移動速度が速いという話ではなく、単純に終点までの距離がもっと長いのだと思っていたからだ。トラックログによると、チェーンゲート地点からこの終点まではおよそ18.6kmと表示されている。てっきりチェーンゲート以降で20km以上の距離があると思い込んでいたのだが、そうか、県道との分岐からの区間を合算しての総延長21km強になるということだったんだな。
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終点の先は急斜面が落ち込んでいて、これ以上道が延伸されるような気配は感じられなかった。それ自体どうこう言うことは無いのだが、だとすると、先程通過したプレハブ小屋があった区間は、何の為に復旧されたのだろう。まあ、道の管理の理由も部外者には分かり得ないが、こうして自転車と共に終点まで辿り着くことが出来るようになったという恩恵が受けられるようになっただけでもありがたいことではある。
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その終点の脇の斜面に登って、少しワイドに撮ったのがこちら。終点付近の雰囲気が少しは伝わるだろうか。
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ぐるっとひと回り動画も撮ってみたんだけど、こっちはあまり雰囲気は伝わらないかな(笑)?
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向かいの山肌には、今辿ってきた天目山林道の道筋が、こちらに向かって緩やかに下っている様子が見えている。また大クビレまで上って行かなきゃなあ(笑)。
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そして、この終点からも大ドッケダンジョンの姿ははっきりと見えている。航空写真ではあたかも迷路のように見えていた縦筋も、こうして見るとそれらは所々で起きた地滑りだったということが良く分かる。
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普段はめったにやらないけど、セルフタイマーで自分を含めて撮ってみた。奥秩父林道のときもそうだけど、自転車で林道に来たときって妙な達成感を感じてやりたくなるんだよねえ。特に、これだけの距離をほぼ上り続きで辿ってきたこの天目山林道ならなおさらだということをお分かりいただきたい(笑)。
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終点の脇の斜面に登り、今辿ってきた方向を引きで撮ってみた。奥に見えている道筋も含めて、どれだけ山深い中を辿ってきたのかが分かると思う。
だいぶ腹も減ってきていたので、ここで路肩に腰掛けて昼飯にしたのだが、ここはとにかく羽虫がうるさくて、大人しく座って食べることが出来ないくらいだった。あいつら、何で人のそばに寄ってくるんだろうね?
折角辿り着いた終点だったので、本当はここで1時間くらいゆっくりしたかったんだけど、その羽虫のせいで早めに引き上げることに決めた。
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現在時刻、11:48。起点へ向けて引き返そう。再びここに来ることがあるかは分からないけど、やっとこの地点に立つことが出来て嬉しかったよ。チャリ君も、俺のことをここまで連れてきてくれてありがとうなあ。
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大クビレまではほぼ上りが続くので、そこまでは1時間くらいは要するだろうが、もうあとは帰るだけだ、気楽に行こう。
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帰路を進みながら、やけに周囲が薄暗くなってきたなと思って空を見上げると、一面を雲が覆い始めていた。終点に辿り着くまで、快晴が持っていてくれて本当に良かった。この雲も恐らく雨を降らせることは無いとは思うが、山の天気はどう転ぶか分からないし、少し急ぎ足になったほうがいいかな・・・?
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往きにはあまり気にしないで通ってきた場所も、こうして改めて見ると、かなり急峻な場所に道を通していたんだなあ、と気づく。これほど深い山の中に、これほど長い距離を開削した林道が、行き止まりのまま終わっているというのも驚きだよなあ。
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ここも往きには気にしていなかったが、秩父の市街地を広く見渡すことが出来るポイントだ。
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5月下旬という時期に加えて、空も曇ってきたこともあって視界は霞んでしまっているが、空気の澄んだ時期に来ればかなりの景色が見られるのではないだろうか。
・・・もっとも、そんな時期のこの辺りは深い雪に覆われているんだろうけど。
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ふと振り返れば、さっきまで立っていた終点が、もうあんなに遠くなっている。そんなことに、ほんの少しの寂しさを感じてみたり・・・。
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現在時刻、12:45。終点からほぼ1時間で大クビレまで戻って来た。いよいよここから先は楽しい楽しい下りの道が待っている。チェーンゲート地点まで戻るのも、もうそれほど時間は掛からないだろう。
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そうは言っても、ここまで来ることももう無いかもしれないと思うと、なんだか名残惜しくなる気持ちもあって・・・。
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こんななんでもない景色の場所でも停止して写真を撮るということを何度か繰り返しながら下って行った。
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あ、ここだ・・・。往きでは気づかずに通り過ぎたが、ここが去年自転車を置き去りにした崩落地点だった。
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見上げれば、まだいくらでも崩れて来そうな気配を色濃く残している。きっとこれから先も、至るところで崩落を起こしてはその都度復旧されるということを繰り返していくのだろう。
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現在時刻、13:12。細久保林道との分岐地点を通過。
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そのすぐ先の10キロポスト地点から、遠くに見える山を見る。
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良く見ると、その山肌にもひと筋の作業道らしきものが見えた。あれはどこから続いているんだろう?
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ここは、3つの切通しがほぼ等間隔で並んでいる。この見た目、ちょっとかっこよくないっすか?
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今日、道端で何度も見掛けたこの花。何て花だろうと思ったけど、良く見たらこれアジサイなんだな。調べてみると「ガクアジサイ」(額紫陽花)と言って、「アジサイ」と聞いて思い浮かべるあのこんもりした花の原種なのだそうだ。言われてみればいかにも原種という雰囲気の控え目な印象だが、林道の片隅に咲くにはとても似合っている姿だと思う。
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現在時刻、13:27。あの切通しに到着。ここをいつまでも「あの切通し」って言うのもなんなんで、「熊取の切通し」と勝手に呼ぶことにした。で、ここでもやはり名残惜しさが湧いてきて、この中ですこしの間佇んでからこの場を後にした。
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現在時刻、13:39。細久保谷を通過。
往きにあれだけ時間を掛けて上っていった場所が、矢継ぎ早に後方へと流れていく。
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原始のままの姿を見せる細久保谷の姿を目に焼き付けて更に下る。
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この辺りまで来て、陽射しが戻って来た。光に照らされた沢の流れを写真に納めていく。
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現在時刻、13:50。ひだりまたざわばしのすぐ先で、仙元林道を通過。ここまで来たらチェーンゲートはもう目と鼻の先だ。さあ、ラストスパートだ!
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現在時刻、13:52。遂にチェーンゲート地点に到着!終点を発ってから約2時間、大クビレからは僅か1時間7分の行程だった。
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行動開始からトータルで約7時間20分。途中で天気が崩れることも無く、自転車のトラブルもないまま無事にここまで戻ってくることが出来た。気候的にも、梅雨入り前のこの時期は、天目山林道という長い道を往復する上でベストな選択だったと思う。今日この日に来ることが出来て本当に良かった!
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これでようやく9年越しのリベンジが叶った。19km彼方の終点までの往復は正直さすがにキツかったけど、それ以上に本当に楽しい行程だった!
で、さっきからずっと(もうここにはこないかも知れない)なんて思いつつ名残惜しさを感じながら下ってきたけど、よくよく考えれば、なにももうここに来てはいけない、なんてことは全く無いわけで。なんだったら季節を変えて訪れたって良いわけで。
過去、この天目山林道に訪れたのは全て緑豊かな季節だったけど、次は今まで来たことの無かった秋頃を狙って来てみるのも楽しいかもしれない。あの熊取の切通し越しの紅葉の景色を考えるだけでワクワクするぜ!さすがにもう一度終点まで行くかは分からないけど(笑)、天目山林道、また来るよ!
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