「これ、もしかして県道?」
2018/10/07 埼玉県吉見町・県道76号鴻巣川島線 丸貫地区の狭隘区間とその周辺
 
 先日の香草温泉の帰り道、埼玉県まで戻って来た時点で、ある1本の県道を通過した。すっかり日も落ちた暗闇の中、グーグル先生に案内されるままに通ったその道は、自動車の擦れ違いも困難なほどに狭い幅員しかなく、本当に県道なのかという疑問が沸くほどに「らしさ」の薄い道だった。その県道とは、埼玉県道76号鴻巣川島線という。
 この路線名に聞き覚えのある人もいるのではないかと思う。実はこの県道はつい先日、あの「山さ行がねが」で紹介されたばかりなのだ。俺がここを通過したのは全くの偶然だったが、そのレポートを見ていたおかげで、すぐにあの県道だということに気づいた。そして、そのときは外灯も無い真っ暗闇で、写真を撮ることもままならなかったが、実際に通過してみてもやはりクセの強い面白い道だったので、それからしばらく経った晴れた日に、自宅から30分程の近場ということもあり、午後からのんびりと再訪してきた。
 
 (ちなみに、この県道についての詳細は既に「山行が」でレポートされているので、ここでは単にナノレカワがこの道を楽しんで来た様子だけをユルーく見ていただければと思います 笑。)
 ここは吉見町古名の県道76号線沿い(現在地)。県道76号線はここから南にある川島町から北上し(正確には川島側が終点だが)、この写真手前20m程の地点にある信号で南側から右折し、この写真の地点へと至る。ここだけ見れば、このまま写真奥方面へと直進するのが県道だと誰もが思うだろう。しかし正しくは、写真中央やや左手に見えてる、左折する道へと入るのが正解だ。今日はこれから、先日通過したときとは逆にこの県道を辿っていく。
 
 この地点に、県道を示す標識などは一切無し。ここに入っていくのが県道の続きだなんて、誰が気づく(笑)?
 
 さあ、それでは行ってみましょうか。入った途端に既にこれだけ狭くなってしまい、この先がどんな様子なのかある程度想像は付くかもしれない(笑)。
 
 ・・・駐車禁止って言ってんじゃんよ(笑)。まあ、こんなとこは大らかだよね。
 
 ぽつぽつと住宅の並ぶ道を直進してくると、数百mで十字路に至る。さあ、ここで問題です。県道76線はこの先どちらへ進むでしょう?
 
 そんなの分からないよね(笑)。正解はここを右折。しかし、ここにも標識の類は一切存在しない。
 
 そして、その交差点を曲がるとすぐに現れるのがこの景色!いいですかーみなさん!ここ、天下の県道上ですよー(笑)!
 両脇の田圃に挟まれてS字にくねるこの道は、写真に写るBAJAと比較してもその幅員の狭さが伝わると思うが、乗用車1台がやっと通れるだけの幅しか無い。ここで車同士が鉢合わせにでもなれば、離合はまず無理だと思うので、どちらかが離合可能な地点までバックしなければならないと思うが、現実的なのはこちら側が交差点まで引き返すことだろうな。
 更には、この路上には縁石や白線すらも存在せず、特に夜間などはちょっとした不注意で脱輪してしまう車もそれなりにいるんじゃないかと思う。
 
 ひとつ上の写真では、車通りの全く無いのどかな畦道に停車しているように見えるかもしれないが、実はこう見えて結構頻繁に車が通過していく(ここを訪れたのが日曜日ということもあったかも知れない)。
 なので、他の車の通行の邪魔にならないよう、橋の袂のスペースにBAJAを停めて、周囲を観察してみよう。
 
 田圃の間を抜けてきた道は、奥に見えている堤防の脇を流れる小さな川に掛かる、これまた小さな橋を渡った地点で直角(!)に折れて、堤防の上へと向かっている。
 ちなみにあの堤防は、当然この小さな川のためのものではなく、その奥に流れている荒川の堤防となっている。
 
 さて、その橋を渡って振り返ると、堤防から下って来た道がここで直角に折れて田圃の中に向かっていくのが良く分かると思う。前回夜にここを通ったときは、グーグルマップに案内されるまま堤防上の道を経てここへやってきたのだが、見ての通り1本の外灯も無いこの道で、真っ暗闇の中ふいにこんな直角カーブが現れたときのことを想像してごらんよ!マジで焦るって!
 
 そして、その角を曲がって現れたこの景色で、あ、山行がで見たあの県道だ!と気づいた訳だが、こんな景色を見たら、マップに表示されたヘキサを何かの間違いかと思うよね(笑)。それほどに素晴らしく長閑な眺めだ。
 
 などと周囲の景色を眺め回していると、この川沿いの民家から出てきた1台のトラクターが県道を上って行った。恐らく堤防の向こう側にある畑にでも行くのだろう。
 
 と、そのトラクターを眺めていると、こんどはその後ろに軽自動車がやってきたが、当然すぐにトラクターに追いついてしまい、追い越すことも出来ずにトラクターの速度に合わせてゆっくりと坂を上って行った。たまたまなのか、いつもこうなのかは分からないが、この日はこの道の交通量はこんな長閑な景色に似つかわしくないほどに多かった。きっと地元の人たちにも裏道的に使われることが多いのだろう。
 
 ・・・いやいや、「裏道」って。暦とした県道だっての(笑)。
 
 さて、その直角カーブの袂には、石碑と石仏が並んでいる。グーグルマップには「供養塔型道標石仏群」と書かれているものだ。石仏はどれも素朴な造形が味わい深い。
 (「PHOTOS」に個々の写真を載せているので興味があれば見てみてください。)
 
 「供養塔型道標」と言われるだけに、これらの石仏にも道標としての役割を果たす文字が記されているが、達筆すぎて解読は早々に諦めた・・・。
 
 さあ、続いて堤防上に続く県道を辿っていこう。こんなところにBAJAを停めるのも、前後に車がいないのを確かめた上でダッシュで撮影してるんだぜ(笑)。
 
 堤防の上まで上って来た。この地点で、県道は荒川自転車道と交差して堤防上を北側(写真手前側)に進んで行く。
 
 この地点を反対側から見た景色。堤防上を直進しているのが県道76号線だ。
 
 そして、南側からこの地点まで堤防上を辿ってきた自転車道は、ここで一段下がって、県道76号線と並走するように続いていく。
 ちなみにこの自転車道、「山行が」によれば、大規模自転車道のひとつで、何とこれも県道なのだそうだ。その名を埼玉県道155号さいたま武蔵丘陵森林公園自転車道線という(詳しくは「山行が」へどうぞ笑)。
 さすがにこれだけの広い空が望めるとあって、ここで県道を観察しているあいだだけでもたくさんの自転車乗りを見た。
 
 そして、先程も触れたとおり、ここは荒川の堤防上であり、この東側に荒川が流れているわけだが、ここから見てもそれらしいものが見当たらない。それもそのはず、荒川はこの地点から2km程も離れた地点を流れているからだ。何でもこのエリアの荒川は「川幅日本一」となっているらしく、それは両岸の堤防の距離を指してのことのようだ。いまここから見えている景色は、凄まじく広い河川敷、ということになるが、それはさておき、この先はもしかしたら河川敷によくある未舗装路が期待出来そうな景色だ。あとで立ち寄ってみよう。
 
 それではこのまま北上し、県道76号線が堤防上を外れる地点まで辿ってみよう。
 
 堤防のすぐ下には、なにやら素敵な橋が見えるではないか。このときはそのままスルーしてしまったけど、すぐそこなんだしちょっと寄ってみてもよかったかな。
 
 自転車道との交差地点から800m程進んでくると、車幅を制限するバーが現れた。
 
 ・・・なんか随分と突き放した注意文だけど、ここ、一応県道なんだよね?
 
 そこからあと少しだけ進むと、荒川を渡る道との交差点となる。当レポ冒頭の写真の狭隘区間入り口からここまで約1.6km。いま辿ってきた県道76号線の続きは、ここで右折して荒川を渡って行くのだが、どちら側からこの地点に来るとしても、県道76号線を辿るにはここを曲がる旨の標識などは一切存在していない。まあ、余程「県道76号線を辿るんだ!」という目的でもない限り、この地点で路線番号を示す意味もさほど無いからなんだろうけど・・・。
 (ちなみにここから左折方面に伸びていくのは県道271号線だ。)
 
 その交差点を渡った地点から見た景色。写真手前から左奥へ90度折れて進むのが県道76号線で、写真奥に延びていくのが県道271号線。ちなみに写真右方面に続く道は、ここから150m程の区間は単なる堤防道路のようだ。
 
 さて、そんじゃ再び76号線を引き返して行きましょうか。
 
 それにしてもここは本当に空が広いなあ。前回通ったときは本当に真っ暗闇の中だったので、これだけ爽快な景色が広がっていることには気づかなかった。
 しっかし今日はめちゃめちゃ暑かったなー。まさか10月にもなってメッシュジャケットで汗びっしょりになるとは思わなかったよ。
 
 自転車道との交差地点まで戻って来た。さっきから気になっていた、この河川敷エリアに行ってみよう。
 
 堤防から下りて道なりに進むと、すぐに道は未舗装になった。おおお!これは期待した以上の景色じゃないか!?
 
 うおおおお!なんだここ、めちゃめちゃ気持ちいい!見渡す限りの草っ原の中に、どこまで続いているのか見当も付かないほどのダート道が延びている。
 
 分岐する道が全て砂利道って、楽しすぎて頭おかしくなりそうだぜ。
 
 だだっ広い敷地の中に、ぽつりぽつりと木々が点在している。すごく雰囲気の良いとこだなあ。
 
 おっと、突き当たりに出た。どっちへ行ってみようかなあ。って、どのみち両方行くつもりだけどね。
 で、この正面に集落が見えているが、あそこも含めてこの辺り一体が全て荒川の河川敷となっている。河川敷の中に集落があるって、ちょっとスゴくない?
 
 いやあ、ここ本当に楽しいな!この広いエリアの中に、極上のフラットダートが縦横無尽に張り巡らされている。すげえな、ここは一体何なんだ!?
 
 おっと、堤防に出る地点まで来てしまった。一旦ここでUターンするか。
 
 その地点には、未知の両脇に、本来はチェーンでも掛けるためと思われる柱が立っていたが、そこには「吉見総合運動公園」と書かれていた。ただ、このエリアは写真でも分かるとおり、ひたすらだだっ広い原っぱがあるだけにしか見えなかったが、ここでどんな運動をしようというのだろう。それとも、以前は何かしらの施設があったとか・・・?
 
 ま、それはさておき、これだけ開放感のあるエリアに延びるダートを走るのは本当に気持ちが良い。
 
 ちゃんと写真には撮らなかったのだが、道沿いにはところどころに、このエリア内を区分けするかのような名前の書かれた小さな看板が立てられていた。これらはやはり「運動公園」としての何かしらの目的のために設置されているのだろうか。
 
 ここでは他にも、乗用車でやって来てのんびり寛いでいるような人も見掛けた。確かにこれだけの土地なら、そういう目的で来るのも良いかも知れない。俺も事前にこんな場所があるって知っていれば、ラーメンセットを持ってきてのんびりするのもアリだったよなあ。
 
 ひとしきりダート走行も堪能したし、そろそろ帰るとするか。自宅から片道30分のプチツーリングだったけど、まさかこれだけ楽しめるとは思いもしなかった。ちょっと時間の空いたときにリフレッシュしに来るには最高の場所かも知れないね。
 
 楽しかったよ、県道76号線!また群馬方面に出かけるときにはお世話になるかもね(笑)!