紅葉の秩父へ
2018/11/11 埼玉県秩父市・秩父林道-@
 
 前回の、紅葉真っ盛りだった栗原川林道のおかげで、今年の紅葉の景色にはかなり満足が出来ていた。ただ、今年もう1回くらい紅葉の林道に行っておきたいなと思い、じゃあどこへ行こうかと考えたところ、ふとひとつの林道が頭に浮かんだ。
 
 本日やって来たのは秩父市の荒川日野地区。ここは、秩父併用林道から林道秩父中央線が分岐する地点。ただ、今日の目的地はそのどちらでもない。この地点には、「この先1.2km行き止まり」と書かれた看板が立っているが、それはそこで道が終わっているということではなく、その先に続く道こそが今日の目的地だ。今日はそこを自転車で進んで行く。
 
 行くぞ、行き止まりのその先へ。9:52、行動開始。
 
 今日は普段と比べてやや遅めのスタートだが、今日のルートは距離もそんなにないし、別に急ぐ理由も無いので全然オッケーだ。
 秩父中央線との分岐からしばらくは、杉林に囲まれた登り勾配が続く。こうして改めて登って行くと、本来の目的地に至るまでの1.2kmって結構長く感じるな・・・(笑)。
 
 道の勾配が一旦ピークを越えて程なく、「行き止まり」を示すチェーンゲートが現れる。よし、ここからしばらくは快適な下りが続くぞ。まあ、その分帰りはここを登っていかなきゃいけない訳だけど・・・・。
 
 現在時刻、10:03。素掘りの隧道が現れた。鞍掛隧道だ。
 
 この鞍掛隧道、延長自体は見ての通りの短いものだが、その内部は素掘りのままの荒々しい岩肌が剥き出しとなっている。最近は、中津川林道の素掘り隧道が内部にコンクリートを吹き付けられてしまったりしているので、この状態が保たれた隧道は、今後ますます貴重なものになっていくのだろう。
 
 鞍掛隧道を過ぎると、それまでとは一転して目の前の景色が開け始める。生憎空は雲が多めに広がっているが、鮮やかな色彩を纏った木々に包まれたこの景色が、快晴のときとはまた違った落ち着きのある色合いを見せて、これはこれでなかなかに良い雰囲気を醸し出している。
 
 ここは、頭上に岸壁がオーバーハング気味に迫り出してきている。林道を通すために最低限削り取ったと言わんばかりのこの荒々しい雰囲気がたまらなく良い。
 
 そんな景色を越えて、再び登りとなった道を進んでくると、おお、来たぞ!
 
 現在時刻、10:21。ここが本日の目的地である国有林林道、その名も秩父林道だ!
 
 この標識を囲む温かみのある色彩を纏った森の景色!これ、良いかもしんない!初っ端からテンション上がるぜ!
 
 前回訪れてから3年半振りとなるこの秩父林道。初めての秋の景色を求めて、いざ行くぞ!
 
 道の脇の流れ込みに沿って丸太が横たわっていた。一体いつからここに倒れているのだろう。思わず足を止めて見入ってしまった。
 
 現在時刻、10:32。森林管理小屋に到着。小屋の前には、来るべき冬に備えて大量の薪が積まれていた。
 
そして、この管理小屋といえばこの標語看板。これが慣用句だということを、前回これを初めて目にした後に調べて知ったのだが、みんな、こんな言葉使ってる?
 
 その管理小屋を越えて程なく、路面が未舗装に変わる。さあ、いよいよ秩父林道の本番だ。
 
 道に沿って流れる沢の音だけが響く中、一人静かにペダルを漕いで進んで行く。
 
 お、中川林業専用道だ。ここは前回来たときはまだ道を開削している途中だったんだよな。その後どこまで道が延びたのか、帰りに寄って確かめてみよう。
 
 未舗装の道を少しずつゆっくりと登って行く。後方には青空も見えているのだが、進む先の空はすっかり雲に覆われ、既に葉を落としきった木もある中で少々寒々しい雰囲気が漂う。
 
 その先のカーブで沢を跨ぐ地点に掛かる橋。前回も触れたが、名を「秩父橋」という。
 
 秩父橋といえば、市街地の国道299号に掛かる、観光名所としても有名なあの橋が思い起こされると思うが、このひっそりとした林道の中に、同じ名を冠する橋が慎ましく掛かる姿がとても好きなのだ。
 
 その秩父橋から上流を見た景色。谷を埋める岩を縫うように流れる沢が実に美しい。
 
 秩父橋を過ぎると、路面は均したように平坦になり、その上をびっしりと落ち葉が覆い尽くしている。
 
 周囲を包む紅葉と、苔生したコンクリートブロックのコラボもまた実に良い。これは快晴の下でも見たかったなあ。
 
 この林道沿いでは珍しく、真っ赤に染まったモミジがあった。そういえばここに限らず、林道でモミジってあまり見ないよなー。
 
 あ、ここは前回もちょっとだけ入ったなぞの作業道だ。この様子を見ると、結局あれ以降もこの道が使われた形跡はなさそうな感じだな。このまま次第にここに道があったことも不明瞭になっていくのだろう。
 
 お、ここは前回新緑の時期に来たときに、その眺めの美しさに感動した地点だ。ここから見ると、山のシルエットと道のラインがちょうどクロスしているように見えるのが楽しいんだよね。
 
 雲の切れ間から僅かに射す光が、遠くの山肌を照らしている。晴れた日の山も良いが、こうしてみると、なにかこうひっそりとした、落ち着いた雰囲気も凄く良いなあ。
 
 徐々に標高を上げてきて、先程通過してきた中川林業専用道の姿を見下ろせるようになってきた。
 
 前回来たときは、右側に見える折り返しのところで開削の真っ最中だった。そこから左上に伸びている区間が新たに出来た部分のようだ。見たところ100m程度だろうか。
 
 チェーンゲートで一般の車両の通行が制限されていることもあり、降り積もる落ち葉は誰にも掻き分けられることもなく路上を覆い尽くしている。
 
 道は結構な斜度を持って延びているので、少し進んだだけで、いま辿ってきた道をこうして見渡せる地点がたびたび現れる。
 
 曇り空の下でコントラストを落とした景色が、まるで日本画のような色彩を見せている。正直言うと、今日のこの雲を少し恨めしくも思っていたのだが、改めて見るとこうして落ち着いた雰囲気に見える今日の空模様も、決して悪いものでは無いと思える。
 
 眼下に見える中川林業専用道との距離も、さっきよりもだいぶ遠くなった。
 
 って、あれ!?さっき終点だと思ってた地点より奥にも、道筋のようなものが見えるんだけど!?ま、まあ、恐らくは杣道のようなものだとは思うが・・・。
 
 深い切通しを越える。
 
 落ち葉が路面を覆うこの季節は、このアングルが好き(笑)。
 
Aへ続く。