小鹿野町の林道散策と狼信仰神社探訪
2019/02/24-@ 埼玉県小鹿野町・林道皆本沼里線
 
 どうも。こんちは、ナノレカワです。
 
 今週末は、久しぶりに林道へ行く時間が取れそうだ。天気も良さそうだし、どこへ行こう?どうせならしばらく訪れていないところがいいな・・・。
 
 というわけで、本日まずやって来たのは、小鹿野町の林道皆本沼里線。こちらは国道299号側から入る起点だ。前回の記録を見ると、この皆本沼里線に訪れるのも実に5年ちょっとぶりとなるようだ。
 
 ちなみに、この地点に立つ標識には「皆本沼線」と書かれているがこれは誤りだ。まあ、そんな細かいことを気にする人もそういないんだろうけど(笑)。
 
 起点から1kmほど進んだ地点に、こんどは県管理の標識が立っているが、こちらは正しく「皆本沼」と書かれている(笑)。
 
 そこから程なくして、まだ真新しい印象の残る舗装区間に来た。あ、ここは前回終点側から訪れた時に舗装工事をしていて通り抜けられなかった場所だ。やっぱり起点まで本当にあと僅かの地点だったんだな。そして、この付近の舗装化がどうなったのかを確認したかったのが、今日ここに来た理由のひとつだったのだが、起点からここまでは全て舗装化が完了したことを確認した。
 
 徐々に標高を上げていくと、冬枯れた木々の、網目のような隙間から青空が透けて見えてくるようになる。この季節特有の素敵な眺めだ。
 
 空に流れる薄っすらとした雲が、季節は確実に春に近づいていると感じさせる。
 
 起点から3.4kmほど(BAJAのメーター実測地。この少し手前には3.5kmのキロポストが立っている)進んだ、道のピークとなる地点に来ると、そこから1本の未舗装路が分岐している。
 
 この皆本沼里線には、ここより手前に皆本沼里支線という道が分岐しているのだが、こちらの支線は現状、路線名などは不明なままだ。ここに初めて訪れたのはもう10年も前になるが、あのときはまだ開削されたばかりの雰囲気を漂わせていた。それ以降訪れることも無く今に至ってしまったが、この支線がどうなっているのかを確かめるのも今日の目的のひとつだ。入り口の様子を見る限り未舗装のままのようだが、奥の様子に変化はあるだろうか。
 
 さっそく、起点からそこそこ斜度のある道を駆け上がって行くと、すぐに視界の開けた場所が現れた。
 
 おおっ、全く憶えていなかったけど、ここ、こんなに眺めの良い地点があったのか。左のほうに見えるあの尖った山は武甲山かな?遠くまで続く青いグラデーションが実に美しい。
 
 ただ、この前後はこんな感じで路面がえぐれている区間が続くので、少し注意が必要かも。
 
 それにしても今日は本当に良い天気だ。空気も肌寒さは感じるものの、真冬のそれとはもう明らかに違っている。春はもうすぐそこまで来ているんだなあ。
 
 その地点を過ぎて更に先を進んでいくと、突然視界いっぱいの青空が・・・。
 
 うおおおおっ!な、なんだここは!道がカーブして回りこんでいく地点の斜面だけ木が伐採されて、まさに自分の進行方向の視界にこの景色が突然飛び込んできた!
 
 以前来たときには、まだこれだけ開けた地点は無かったはずなので、それ以降に伐採されたのだろう。澄んだ空気とも相まって、向かいの山がすぐそこに聳えているように見える。位置的にあれは白石山だろうか。もう何というか、この景色が見えた瞬間、心の中でガッツポーズですよ!
 
 この景色を見て、いきなりテンションが上ってしまったが、とりあえず落ち着いて先へ進んでみよう。以前から道が延伸されていなければ、この先の終点までもうあと僅かな距離しかないはずだ。
 
 そこから本当にすぐ、起点から約800mの地点、少し下りとなった場所で終点となった、道の延長自体は以前から変わっていないようだが、以前は開削されたばかりの土が剥き出しだった路面は、10年の歳月を経て、その一面を下草に覆尽くされていた。
 
 それじゃあ、さっきの場所まで引き返して少しゆっくりして行こう、と思って起点方向に向かって下っていくと、今度は杉の植林帯の間から二子山の姿が!な、なんだこの支線は!最高なのか!!
 
 程なくさっきの場所まで戻って来た。せっかくこんなに景色の良い場所を見つけたんだ、今日はここで昼飯にしよう!
 
 時間的にはまだ昼前なんだけど、今日は朝飯も食わずにやって来たのでもう腹もペコちゃんなのだ!こんな絶景を前に食べるラーメンは最高だぜ!
 
 見ての通り、ここは伐採された斜面の上端に位置するため、視界の前方180度に開けたパノラマとなっている。来る前は、この支線が未舗装のまま残っていればいいなあ、くらいの淡い期待は持っていたけど、まさかここまで素晴らしい景色を見ることが出来る場所になっていたとは予想外だった。
 
 真正面に見えるあの白石山の、段々に見えるあの地形はどうも人工的っぽいなあと思って調べたら、やはりかつての採石場の跡だったようだ。あの上には登山道が延びていて、かなりの展望が開けているらしい。いつか歩いてみたいな。
 
 いやあ、楽しかった。まだちょっとの時間しか経っていないけど、この景色を見ることが出来ただけですっかり満足してしまった(笑)。
 
 ただ、せっかくここまで来たらまだ他にも行きたいところはあるので、あまりのんびりし過ぎないでそちらへ向かおう。
 皆本沼里線本線は、前回来たときは先程の支線から先の区間にもまだ僅かながら未舗装路が残っていたのだが、今回訪れてみると、未舗装区間は全て消滅していた。
 
 R299側の起点から7km強を経て、薄川を渡る沼里橋を渡って皆本沼里線の終点に到着。皆本沼里線はとうとう全線舗装化をこの目で確認してしまった。また埼玉版のページを更新しておかないとな・・・。
 ただ、本線は全線舗装化されてしまったけど、あの支線からの景色を見に行くだけでも、ここにくる価値はじゅうぶんにあると思う。
 さて、ここからは目の前の県道279号線を最奥まで進んで行こう。
 
 県道279号線を西へ進み、道なりに切り替わる林道不動滝線の行き止まりの終点までやって来た。
 
 林道としての車道はこの地点で終わっているが・・・。
 
 この車道の末端の更に先に延びる歩道の少し先に、次の目的地がある。
 
 ちなみにこの不動滝線の終点標識、文字部分の錆が滲み出してだいぶぼろぼろになってしまっているにも関わらずまったく補修などもされていないが、そのおかげで「両神村」の表記が残ったままなのはポイント高し(笑)。
 
 最初の階段を下ると、その先は人ひとりが通れるだけの幅のコンクリートの道となる。ここを少し進むと・・・。
 
 あった、ここが両神神社の里宮だ。丸太を組み合わせた素朴な鳥居がとても良い感じ。
 
 そして、この両神神社にも狛オオカミが奉納されている。これを見るのも今日の目的のひとつだった。
 
 それでは個別に見ていこう。こちらは阿形。全体的になだらかな体型をしているが、大きく飛び出した目の造形が特徴的でなかなかの迫力。
 
 正面から見ると、頭部が大きめに造形されているのが分かり、横から見たときとだいぶ印象が変わる。
 
 顔のアップ。目の大きさに目が行きがちだが、口元、特に犬歯の造形なども細やかに造られている。
 
 こちらは吽形。頭部の造形の違いもあってか、阿形よりもやや細身な印象を受ける。
 
 正面から。爪先などもしっかり造形されているのが良く分かる。
 
 そして、この吽形で一番特徴的な部分が、阿形以上に大きく形作られたこの目だ。外側に向かって大きく膨らんだように造形され、実物のオオカミとはかなり異なる姿だと思うが、災厄を見逃さない!的な意味が込められていたり・・・とか?実際、表情もかなり凛々しく表現されていると思う。
 
 台座には、明治35年に奉納されたこと、そして石工として「強矢元作」の名が記されている。小鹿野には「強矢」の地名が存在することもあり、石工の「強矢」性はこの周辺に多く存在しているようだ。
 
 ひとしきり狛オオカミを眺め、鳥居を潜って社殿へと向かう。鳥居の先は急な階段となっていて、その奥にある社殿を見上げるかたちとなるのだが、そこから「八日見神社」と書かれた扁額が見えた。ここに来る前に調べたときは「両神神社」という名前だったはずだが、これが正しい名前なのか?
 
 立地的な条件のためなのか、建物の2階部分(と言っていいのか?)に拝殿がある。
 
 せっかくだからお参りして行こうと賽銭箱の前まで進むと、床板の隙間から1階部分が見えるんだよね、ちょっと怖い・・・。
 
 賽銭箱の隣には、ここで配布されているお札が並べられていた。お札には狼信仰らしく、「火盗除」「四足除」と書かれている。あ、そういえばこのお札には「両神神社」って書かれてるな。結局両神で正しいのかな?
 
 さあ、そろそろ戻ろうか。ここでも素晴らしい狛オオカミを見ることが出来た。
 
 せっかくここまで来たんだ、この後はここからすぐ近くにあるあの林道も久しぶりに走って行こう。
 
 この舗装の脇に、小さなピンクの花が咲いていた。これ、何て花だろ?いいねえ、もうすぐ春だねえ。
 
Aに続く。