皆野町から秩父市、未見のお犬さまに会いに行く
2020/02/23-A 埼玉県皆野町・林道城峰1号線〜秩父市・城峯神社
 
@はこちら。
 
 続いてやって来たのは林道城峰1号線。ここを上り、次の目的地へと向かう。
 
 そうそう、せっかく城峰1号線に来たなら、コレを見ていかないと!
 
 林道城山線の旧タイプ標識だ!久しぶりに来たけど、無事に現存を確認した!起点から約1kmの地点に突然立っているこの標識、一体なぜこんなところにあるのか、そもそも当時の城山線がどういう林道だったのか等、結局今も何も分からないままだが、久しぶりに思い出したことだし、ちょっと自治体に問い合わせでもしてみようかな?
 
 更に城峰1号線を進み、5km程上ったところで次の目的地、城峯神社の入り口に到着。
 
 BAJAから降りて入り口の写真を撮りつつ周囲を見回していると、おおっ、こんなところにもまといリスが!山の見張り、ご苦労様です!
 
 入り口から舗装路を進み、駐車場にBAJAを停める。ここからあと少しの距離を歩いて神社へと至る。BAJA君、ちょっとここで待っててね。
 
 その地点の斜面に生える木に、たくさんのポリタンクがぶら下げられていた。あれは何だろう?
 
 見ると、樹液の採取をしているところだった。へえー、こんな感じでチューブを射すだけで採取できるもんなんだねえ。
 
 お、見えてきたぞ・・・。
 
 と、その地点の左手に眺めの良さそうな場所があったので、すぐには神社に行かずにちょっと立ち寄り。
 
 おおっ!これはまた素晴らしい眺めじゃないか!この神社の手前のエリアはキャンプ場にもなっているのだが、こんな眺めが見られるなら、俺も今年はここでキャンプしてみようかなあ?
 
 その眺望地点から振り返り、改めて、ここが城峯神社だ。
 
 鳥居を潜るといよいよお犬さまが見えてくる。
 
 それでは早速見ていこう。拝殿向かって右にいるのが阿形だ。リアルな生物としての姿を意識した造形がなされ、フォルムも全体的に肉厚でどっしりとした印象を受け、力強さを感じさせる。
 
 それでも、脇腹にはニホンオオカミの特徴とされるあばらの造形もしっかりと彫り込まれている。
 
 そして、このお犬様を見たときに真っ先に気づく特徴が、この金色に塗られた目だ。陽の光を受けてきらきらと輝いて見えるのが実に印象的だが、眼球が立体的に飛び出した造形となっていることで、太陽がどの位置に登っても光を反射しやすくなっているのではないだろうか。眷属としての威厳を伝えるにはとても効果的なのではないかと思う。
 更に、先程見てきた両神御嶽神社のお犬さま同様、口の中も紅く塗られ、更には犬歯も金色で塗られている。
 
 そして、足元を見ると、なんと爪にも金色の塗料が使われていることに気づいた。後ろ足の爪は既に苔に覆われてしまっているが、きっと当初は全ての爪が金色に輝いていたことだろう。
 
 尾の造形もとてもしなやかで、いまにも動き出しそうだ。
 
 拝殿向かって左側にいるのが吽形だ。こちらも阿形同様、どっしりとしたフォルムが眷属としての力強さを感じさせる。
 
 左側面から。全体的にバランスの整った、まるで体温まで伝わって来そうな生命感のある素晴らしい造形だ。
 
 こちらも目、口共に塗装がなされている。特に、閉じた口のラインに沿ってしっかりと塗られているのは驚きだ。細部にまで神経の行き届いた素晴らしい仕事だ。そして阿吽共に、張り出した眉の造形も、眷属としての威厳を持たせた素晴らしい特徴だと思う。
 
 尾の造形も、吽形同様にしなやかさのある美しい造形がなされている。
 ちなみに、この城峯神社の由緒書きには、お犬さま信仰についても触れられているが、これはなかなか珍しい気がする。
 
 ひとしきりお犬さまを眺め、拝殿のほうに移動すると、その左脇にもうひとつの小さな石像があることに気づいた。これは一体何を表したものだろう?狐にしては丸みがありすぎる気もするし、かといってオオカミとも思えないし・・・。
 と思っていたが、これはなんと「お猫さま」なのだそうだ。元々は、この城峯神社の別当寺だったという長伝寺という寺にあったものだという。狛猫は、養蚕の際にネズミ除けとして祀られたのが始まりだそうだが、かつて長伝寺があった地域もやはり養蚕が盛んだった様だ。
 
 確かに猫と言われれば納得の造形だ。ちなみにこのお猫さまの台座には「天保」の文字が刻まれていた。天保は秩父郡でも蚕糸業が盛んになった時期のようで、それにあわせてこのようなお猫さまが造られるようになったのだろう。
 
 そして、そのお猫さまのさらに左脇に、ちいさな石碑が立っていた。表面に彫られているものはなんだろう?
 
 えっ、これ、お犬さまか!?素朴なタッチではあるが、明らかにイヌ科の動物と分かる姿が掘り込まれている。
 
 石碑の下部には「徳廣大護郷閭」と記されている。「郷閭」が「村里の門」という意味があるようなので、里を護るために祀った石碑ということだろうか。
 
 そして、この石碑の側面には「文久三年」と記されていた。これだけ古いものが今もしっかりと形を残しているのを見るたびに、林道標識も石造りにすればいいのに、と思う(笑)。実際、古い林道でときおり見掛ける林道開設記念碑なども、いまもしっかりと碑文を残しているわけだし。
 
 さて、ひとしきり堪能したし、この後は少しだけ山登りもしてみよう。この石碑の奥から延びている登山道を進むと、10分程度で城峯山の山頂に辿り着けるらしい。
 
 10分なら楽勝だぜ、なんて思いながら上り始めたものの、久しぶりの山登りだったせいか、すぐに息が上がってきた。い、いかん、だいぶ身体が鈍ってしまっている(笑)!
 
 それでも、9分程登り続けると山頂の電波塔が見えてきた。つ、着いた!
 
 標高1,037m、ここが城峯山山頂だ。
 
 山頂に建つ電波塔は、中間部が展望台になってるのでさっそく登って来た。おおお!なんと爽快な眺めだ!
 
 あまりに広々とした視界に感動して、パノラマにしてみた。写真をクリックするとかなり大きめの写真が開きます(笑)。
 
 先程神社の前から見たときよりも標高を上げているため、さらに奥行きを感じられる景色となっている。先程見てきた両神御嶽神社の本社がある両神山も、写真中央やや右位置にその姿をくっきりと描き出している。
 
 支線を左手にずらすと、武甲山の姿もはっきりと見ることが出来た。この城峯山は秩父地域の中でも北寄りに位置しているため、こうして県内の山々をぐるっと一望することが出来る。ここ、何気にすごくいい展望台じゃないか。
 
 展望台の中央部には、城峯山を中心に据えた鋳物の地図も設置されている。
 で、あまりに景色が良いので、あわよくばここで昼飯に、と思ったものの、そもそもテーブルやベンチがあるわけでもないし、写真では伝わらないと思うが、何より今日は風が強すぎる!ここで飯は無理と判断し、一旦下に下りて飯に出来そうな場所を探すことに。
 
 下まで降りて周囲を探してみると、あら、ちょうど電波塔の足元が腰掛けるのに丁度良い按配ではないですか。
 
 というわけで、今日はここで昼飯じゃい!相変わらず風は強いけど、展望台にいるよりははるかにマシだ(笑)。そういえば前回は昼飯も食わずに帰ってしまったので、これが今年最初の山ラーになるんだな。
 
 景色も申し分無しだ!うーん、最高なのかもしれない・・・。
 
 ランチタイムも堪能したし、神社へ向かって降りていこう。
 
 登りは歩くのに必死で写真もろくに撮れなかったけど、こんなちょっとした切通しのような場所も素敵だねえ。
 
 そのうち花粉の飛散が収まる時期になったら、両神山にも登りに行こうと思っているので、その前に近場の低山ででも身体慣らしに登っておいたほうがいいかなあ(笑)?
 
 神社まで戻って来た。もういちどお犬さまを眺めてから帰ろうか。
 
 ふと見上げると、先程登って来た山頂の展望台とお犬さまが一緒に見えることに気づいた。これ、周囲の木々が葉を落としきった今の季節だから気づけたのかもしれないな。素敵な眺めだ。
 
 BAJA君、ただいまー。
 
 さあ、いよいよBAJAと共に辿り着けるオオカミ信仰神社もあと僅かになって来たぞ。各地の林道の冬季閉鎖が明ける時期までに、あとどれくらい回れるかな?