2年ぶりの毛無峠を目指して
2021/10/03-@ 長野県上高井郡高山村・林道中日影線〜林道湯沢線〜毛無峠
 
 10月に入り、場所によってはそろそろ紅葉の便りも届く季節になってきた。そして、この時期になると脳裏に浮かぶ景色がある。
 
 これは、以前10月に群馬・長野の県境にある毛無峠で撮った写真だが、倒壊した索道の鉄塔越しに望む、紅葉の鉱山植物交じりの深い谷がとても印象的だった。前回毛無峠に行ったのは2年前の夏だったが、秋の毛無峠はもうしばらく訪れていない。よし、今週末は天気もよさそうだし、時期的にもこんな景色を見るのにはちょうどいい頃合いだ。久しぶりに行ってみるか、毛無峠へ。
 
 上信越道を須坂長野東ICで降り、本日最初にやってきたのは林道中日影線。ここは前回来た時には、たまたま伐採の期間(それも僅か1ヶ月程度)に当たってしまい、走ることができなかったのだが、今日は特に規制もなく解放されている。それではウォーミングアップがてら走っていこう。
 
 この中日影線を走るのは、初めて訪れたとき以来、実に13年ぶりとなる。どんな道だったか、どんな景色があったかなどはもうほとんど覚えていないが、のんびり走りながら確かめていこう。
 
 路面は概ねフラットで、途中で荒れている区間もあったがオフ車であれば特に通行の支障にはならないと思う。
 
 序盤は日影の区間が多かったが、やっと日向に出てきた。この辺りは木々が紅葉に染まるにはまだしばらくかかりそうだ。
 
 あれはどこの山だろう、山肌を囲むように雲が漂っているが、それより上空にはひとかけらの雲もない。今日は1日良い天気の中で走ることが出来そうだ。
 
 あ、このカーブちょっといい雰囲気だな。ここを走るのがあまりに久しぶりなので、まるで初めて走る林道のような感覚が続いている。
 
 この付近はカラマツ林かな?今はまだ青々としているけど、あとひと月もすれば綺麗な黄葉に染まるんだろうなあ。
 
 延長8km弱のフルダートを走り切って舗装路に出た。次はここを右手に下って、次の林道へと向かおう。
 
 その途中にある湯峰展望広場からの景色が、あまりにも爽快でさすがにスルーは勿体ないと思い、ちょっと立ち寄ってみた。
 
 あれはさっき中日影線からも見えていたが、連なる山の頂よりも低い位置に、横一直線に漂う雲がすごくいいな!空もこれ以上ないくらいクリアだし、このまま行けば毛無峠もかなりの快晴が期待できるのでは??
 
 展望広場を後にし、林道湯沢線の起点にやってきた。前回ここに来た時、なぜかこのまま直進して少し遠回りをしてしまったのだが、本当はここを左に曲がるんだよね(笑)。
 
 そのまま舗装路を直進してくるとやがて路面がも舗装になり、2度目の起点標識が現れる。
 
 どのような経緯で2ヶ所の起点標識が設置されたのかは分からないが、湯沢線といえばここからが本番だよね!それじゃ2年ぶりの湯沢線、行ってみよう!
 
 2度目の起点を過ぎて再びの舗装路を少し進み、道は改めてダートへ。10月に入ったとはいえ、まだまだ眩しく輝く緑を透かして降り注ぐ木漏れ日を浴び、夏の残滓を感じながら走っていく。
 
 やっぱり、晴れた日に走る林道は最高だなあ。世界が鮮やかに見えるようで、そんな中を走っていると、自分の心まですーっと晴れていくように思えるんだよね。
 
 閻魔橋までやってきたが、ここ、あまりに高さがありすぎて本当に怖いんだよね。とてもじゃないけど下なんて覗けないや・・・。一応BAJAから下りて写真は撮ったものの、極力橋の端には近づかないように、へっぴり腰でシャッターを切って、さっさと通り過ぎるんだぜ・・・。
 
 少しずつ標高を上げていくと、周囲の木々の葉が心なしかその発色を変えているように見える。
 
 さらに先へと進んでいくと、少しずつだがいよいよ紅く色付いた葉も姿を現すようになってきた。
 
 多くの区間ではまだまだ緑のトンネルに包まれてはいるが、これからの季節は、日を追うごとに景色の色合いを少しづつ変えていくはずだ。
 
 あれ?なんだこの真新しい擁壁とガードレール・・・前回来た時こんなのあったかな?最近になって崩れて補修したのかな?
 
 おそらく斜面が崩れたことでそこにあった木々もろとも落ちてしまったのだと思うが、そこからは向かいの山の、色付いた高山植物交じりの山肌が綺麗に見えていた。なんて美しいんだ・・・これは峠からの眺めも相当期待できるぞ!
 
 あんな山の姿を見せつけられて、俄然テンションが上がってきた!早く峠に行かなければ!
 
 この辺りは天気の崩れる心配なんて全く無さそうだが、こと毛無峠に関しては、こんなに快晴でも一気に雲が流れてきてしまうなんてこともあるかもしれない・・・そんな不安に駆られて、ちょっと急ぎ足になって峠を目指して走っていった。
 
 ここから見える開けた景色も、湯沢線の中では印象的だが、そういえば、今まで湯沢線に来た最も遅い時期って、10月上旬までなんだよな。
 
 いまここから見えている景色も、紅葉のピークにはまだまだという感じだけど、あとひと月もするとどんな景色が見られるようになるんだろう。さすがに今年はもう来ないと思うけれど、来年は10月下旬か11月に入ったばかりの時期にでも来てみようかな。
 
 途中、残土を盛った場所なのか、フラットな広場があったので寄ってみた。ここからも向かいの山々がくっきりと見えている。
 
 そして、ここからはすでに毛無峠に駐車する車の姿も見えていた。おお、いつのまにか峠まであと少しのところまで来ていたのか!峠ももちろんだけど、その前にこの湯沢線で1ヶ所楽しみにしていた地点がある。早くそこまで行こう!
 
 それがここだ!終点にほど近い、斜面の木々が途切れたこの地点。前回来た時は稜線を覆い隠すように満ちる雲がとても印象的だったが、麓までこんなにクリアに見えている!前回とは全く違う場所のような印象だ!
 ここからの景色にもとても満足したのだが、ここで何枚か写真を撮っているあいだも、峠が気になって気分はソワソワしっぱなしだ(笑)。さあ、あとは峠へ向かって急ごう!
 
 そうして湯沢線を終点まで走り切った。2年ぶりの湯沢線、変わらずいい林道でした、ごっつあんです!
 さあ、行くぞ毛無峠へ!
 
 うおお!来たぞ2年ぶり、しかも、今まで見たことのないような快晴の毛無峠だ!最高か!最高なのか!!
 
 鉄塔の立ち並ぶあの山の背後に広がる空も、まるで合成したかのようなブルーに染まっている。それじゃあいつものように、鉄塔の近くまで行ってみよう。
 
 こんな快晴の毛無峠に来るのは一体いつ以来だろう、と思ったけど、ここまでの晴天に恵まれたのは実は初めてだったかもしれない。
 
  特に、この群馬側に広がる景色は、ここ最近は空に雲が広がっている日にくることが多かったので、久しぶりに見る、遠くの山々のシルエットと次第に淡くなっていく空の青が本当に美しくて、しばらくここから見惚れてしまった。
 
 今日は風がほとんど無いが、以前この下の地蔵堂まで歩いて下った日に見た、この山肌の草が風に吹かれてまるで山が生きているかのように揺らめいていたのがとても美しくて、あのときの光景はいまもはっきりと目に焼き付いている。
 
 そして、ここに来ていつも思うのが、いつかはあの破風岳に登ってんみたいということなのだが、今回も俺は、この後も林道を走ることを選んでしまった・・・駄目な奴だよ俺ぁ・・・(笑)。
 そうだな、次回こそは登ってみようか。来年は湯沢線の冬季閉鎖明けに破風岳目当てにここへ来て、秋にまた紅葉の林道目当てに来る、っていうのはどうだ?実現できるかどうかはわからんが(笑)。
 
 そして、冒頭に貼った過去の写真と同様のアングルでも撮ってみた。いやあ、本当に素晴らしいな、ここからの眺めは。この紅葉交じりの景色、これが見たかったんだよねえ。麓の平野までもはっきりと見えているし、本当にいい日に来ることができた。
 
 そしていつものように、しばらくここからの景色や鉄塔たちを眺めて過ごした。
 以前歩いたときに気づいたのだが、奥に見えているあの鉄塔は、今でも索道のワイヤーが垂れて残っているんだよね。
 
 さあ、それじゃあそろそろ次の目的地へ向かうとしようか。
 
 そう思ってBAJAのエンジンをかけて走りだしたものの、ちょっと進んでは停車してまたシャッターを切り、つい(あとちょっと…)となってしまう。
 
 でも、これだけの天気に恵まれた毛無峠ならそれも仕方ないよね・・・。
 
 さあ、今度こそ本当に出発しよう。毛無峠に来るたびに、(また来年も)と思うんだけど、結局今回も2年ぶりとなってしまった。来年こそ、破風岳登山も含めて毛無峠を堪能しに来れるといいな。
 
 この後は、通行止めだって聞いてたけど実は走れるらしい、万沢林道へ向かうぞ!
 
Aへ続く。