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というわけで、自宅を15時過ぎに出発し、今年もやって来た。ここは、国道299号の吾野トンネルを抜けた先の交差点から長沢地区へと向かう道へ入ったところ。毎回感じることだが、ここに入ると国道を走っているときよりも1段上がった寒さに包まれる。299号もそこそこ谷合だと思うんだけど、そこから1本山の中に分岐するだけでこんなにも空気感が変わるものなんだな。
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その道をひたすら直進し、林道八徳入線の起点までやって来た。
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・・・が、今日は久々に、直進方向に延びる、旧タイプ標識の残る林道八徳線を進んでみよう。
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しかし、起点から約200m、路面がダートに切り替わる地点でロープによって閉鎖されていた。埼玉の林道は、こういった細かい林道も軒並み通れなくなっていくなあ・・・。
(以前この先を進んだ時の記録はこちら。)
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では改めて、林道八徳入線だ。ここを八徳の一本桜の地点まで上って行こう。
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起点から少し上り集落に差し掛かった地点で、西日に照らされた山肌の美しさに惹かれて思わず停車。ただ、この静かな山の中であまりエンジンの音を響かせているのも迷惑かと思い、1枚だけサッと撮ってすぐに出発する。
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BAJAを停めて西の空を見遣ると、いままさに夕日が稜線の向こうに沈んでいくところだった。
桜の木は葉を落とし切っているが、その枝にはすでに来年の春に向けての新しい息吹の支度を始めていた。
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ここからは空が刻々とその色を変えていく時間だ。今日も雲のほとんどない晴れ渡った空で、初冬の澄んだ夕暮れのグラデーションを楽しめそうだ。
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物音の全くしない夕暮れの中で、薄闇に包まれながら眺めるここからの景色が好きなんだよなあ。
そういえば、「今年もやって来た」とは言ったが、実はこの時間帯にここに来るのは今回も2年ぶりとなる。1時間足らずで来れる場所なんだからいつでも来ればいい、と自分でも思うけれど、逆にいつでも来れる場所だと思うと、ぼやぼやしているうちにあっという間に時間は過ぎ去ってしまう。
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さあ、それじゃあ始めようか。無音の空の下、いま響いているのはこのガスの燃焼する音だけだ。
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コーヒーを飲んで一息ついて、暮れ行く景色を眺める。明るさを落としていく空を背景に、葉を落とし切った毛細血管のような枝が広がるこの光景も、この季節の好きな景色のひとつだ。
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夜の帳が下りる中、こうして周囲に誰もいない山の中でひとりの時間を過ごすのが好きになったのは一体いつからだったろう。以前来た時は、これから訪れる夜を迎え入れる合図のように啼く鹿の声を聴いたこともあったが、今日はそんな夜の生き物たちの気配すら感じることもなく、厳かなほどに静かだ・・・。
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そんな暮れ行く空の微かに残る夕日の色を眺めていると・・・。
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深い藍色の空に、一番星が姿を現した。夜の始まりだ。
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稜線を浮かび上がらせる橙の光も次第に彩度を落とし、藍色のみの淡いグラデーションとなった空は、ひとつ、またひとつと星を浮かび上がらせていく。そろそろ帰ろうかと思っても、この静寂に包まれた空間があまりにも心地よくて、しばらくのあいだあと少し、あと少しとここを離れられずにいた。
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ほんの小一時間だけど、とても満ち足りた気分になれたひと時だった。また夕暮れの空を眺めに来よう。
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