まといリスを探しに行くぞ!
2021/12/12 東京都檜原村の林道-@
 
 12月に入ると、各地の林道も冬季閉鎖に入るところが多くなり、次第に走れるところが少なくなってくる。例年だと埼玉のマイナー林道を廻ったりしていたのだが、2019年の台風19号の被災以来閉鎖されたままの林道や、それ以外でも通行止めとなってしまったが多く、ここだ、という林道もなかなか思いつかなくなっている。となると、近場となれば東京かなあ?とはいえ、最近は奥多摩の林道もゲートが設置されてしまったところが増えてきてしまったし・・・。
 そうだ、東京といえば以前、檜原村にまだ捕獲していないまといリスがいるって情報があったな。檜原村ももう長いこと訪れていないし、まだ走ったことのない林道もいくつかあるので、まといリスを探しがてら久しぶりに行ってみるか。
 
 というわけで、本日まず最初にやってきたのは東京都道33号線沿いにある林道笹野向線。ここに前回訪れたのは2014年、もう7年以上も前のことになる(その時はまだまっさらな空き地だった起点脇の土地に、立派な老人ホームが出来ていて驚いた)。
 
 ちなみに、わりとどうでもいい話ではあるが(笑)、この笹野向線の手前にかかる橋が「ばんばばし(馬場橋)」というのだが、ここをストリートビューで見ると、この親柱がちょうど写真の継ぎ目に重なっていて、「ばんばばんばばし」となってしまっている写真が見られるので是非見て欲しい。
 
  ここで起点の写真を撮ろうとBAJAから降りてシャッターを切っていると、目の前の木に括り付けられた黄色い看板が目に入った。あ、あれは・・・。
 
 おお!いきなりまといリス登場!これは今回探していたものとは違うが、初っ端からこの子の姿を見るとは幸先がいいぜ!
 ちなみにこの看板の図案は、奥多摩の林道川乗線にあるものと同じものだが、あちらは縁に丸みのついたホーロー看板なのに対し、こちらは薄い鉄板にプリントされたものとなっている。時代とともに省コストになっていっているんだろう。
 
 さっそく走り始めると、起点から約200m地点でダートに切り替わるのは以前来た時から変化はなく、ここは今も開設工事が進められているので、舗装化よりも道の延伸を優先させているということなんだろう。
 
 お、このカーブはよく覚えているぞ。前回来た時、ここの水溜まりが珍しい凍り方をしているのを見たんだよな。
 
 序盤は陽の入らない寒々しい景色の中、斜度のある道を上っていく。
 
 しかし、道を折り返すカーブの手前まで来ると、道が一気に明るくなる。
 
 切通しを抜けるカーブを過ぎて日向の区間に入ると、一気に空が開けてくる。そうそう、ここからの眺めが爽快なんだよなあ!以前はあの下のカーブの路肩でラーメン食ったっけなあ(笑)。
 
 そして、前回来た時の記録では起点から約1.3kmの地点で工事の真っ最中で、そこで道が終わっていたのだが、現在の道は当然そこからさらに伸びていて、ここから先は未踏の区間となる。
 
 うん、確かにこのカーブは見覚えが無い気がする(笑)。
 
 しかしその後は何度か似たようなカーブが続き、ここが本当に未踏の区間なのか分からなくなってきた・・・(笑)。
 
 そんな道を上り続け、起点から2kmほど来たところで道が一旦コンクリート舗装に変わった。その先にはプレハブの詰め所が見えていて、その奥の斜面も何やら工事中?のような雰囲気に見える。現在の行き止まり地点があそこなのかな?
 そう思い、詰所の前まで進んでみると・・・。
 
 えっ・・・あああーーーーーーーーっ!?
 
 これは工事区間の末端じゃない・・・土砂崩れだ!
 
 道の上に積み上る土砂の向こうには、さらに奥まで伸びている道が見えていた。ここは今も延伸中のはずだが、完成前にこんなことになってしまうのも、ある意味林道らしいというか何というか・・・。
 
 詰所の前には、「補修工事を行っているじゃが」との看板が建てられていて、工事は来年の3月下旬までと書かれている。その脇にある掲示板の工期を見ると、今年の8月末からとなっていたので、この土砂崩れはつい最近起きたものなのかもしれない。
 
 現在開設されている道の末端を見届けられなかったのは残念だけど、これはしょうがないよなあ。引き返して次に向かうとするか。
 
 起点に向けて下っていくと、やはりあの日向のカーブの景色が爽快で、また停まって写真を撮ってしまった。今日も良い天気だぜ。
 
 再び都道33号線を進み、続いてやって来たのは林道矢沢線。ここも笹野向線と同じく7年ぶりとなる。実はここ、途中でゲートが出来てしまったという話は聞いているのだが、前回来た時にとても雰囲気の良い林道だった印象があって、諦めきれずに自分でそのゲートを確認しようと思ってやって来た。
 
 起点から100mほどで、苔生したコンクリートの欄干のある短い橋を渡るが、そこから見える沢がとても良かった。
 
 小さな滑滝を左右に分ける岩がとても印象的だ。あの形状も水の流れに削られて形作られたのだと思うが、いったいどれだけの年月を要したのだろう。
 
 そして、肝心のゲートだが、起点から約400m、道がダートに切り替わる切通しの手前にそれはあった。
 
 「ご遠慮願います」もなにも、こんなガッチリゲートがあったんじゃ遠慮してなくたって端から通れないじゃねーか!
 
ちなみにあの切通しの中は、人が来ないことですっかり油断した猿たちの遊び場になっていた。もっとも俺が来た瞬間、散り散りに逃げていったけどね・・・。
 それにしても、以前良いなと思っていた林道がこうして通れなくなってしまった様を見るのは、なんど経験しても寂しいもんだなあ・・・。
 
 矢沢線を引き返し、続いては林道万成線。ここは、以前来た時に起点のすぐ先で路上にロープが渡されていて通れなかったのだが、今日はそのロープが無くなっている!正面の斜面の畑に、作業をしている人がいるが、特にこちらを気にかける様子もなかったのでこのまま進んでみよう。
 
 
 (なお、今回登場する林道の標識は、路線名を「〇〇林道」と表記しているものが多いですが、どれも檜原村管理の民有林林道と思われるため、このサイト上での表記は「林道〇〇線」に統一します。)
 
 
 起点からわずか100mほどで路面はダートに変わった。そんなに長い道のようでは無さそうだけど、どこまで進めるかな。
 
 途中、広くなった路肩に重機の停めてある作業場のような地点があった。割としっかり管理されている林道なのかな、なんて想いながらその先へ進むと・・・。
 
 さっきの感想は一転、一気に廃道チックな道へと変貌した。
 
 そして、起点から約600mほどで行き止まりとなった。ひっそりとしたマイナー臭ただようこの雰囲気、なんだか懐かしい感じがして決して嫌いじゃないぜ(笑)。
 
 続いてやってきたのは林道上平線。ここは終点からの景色が開けていて、谷を走る都道沿いの集落もよく見下ろせる気持ちの良い林道だった。いまもその景色が見られれば、今日はここでお昼にしてもいいかも、なんて思っていた。
 
 しかし、ダート区間を進んでいくと次第に道が荒れ始めた。上の写真はだいぶ落ち着いた地点まで上ってきて撮ったものなのだが、この手前はというと、路面には洗堀が走り、道の周囲は藪に覆われた廃道と見まごう姿に変わり果てていた。
 
 そして、ひとつ上の写真を撮った地点のすぐ先で道が行き止まりとなった。あれ?もしかしてさっき写真を撮った場所が、以前景色が良かった場所??
 
 振り返ると、どうやら確かにそのようだった。いまはこの終点の路肩に生える木もすっかり成長してしまっているが、以前は本当に見晴らしの良い場所だったんだよなあ。だって前回はここでラーメン食ったんだぜ・・・。いずれ木々の伐採のために再び人の手が入ることもあるかもしれないが、ここはもうしばらくは来る必要はないかな・・・。
 
 続いては、都道から分岐する舗装の林道入間白岩線を進んでいく。この道を走るのは初めてのことで、この道沿いで分岐するいくつかの林道を廻って行こう。
 
 道はぐんぐんと標高を上げていくが、途中で視界の開ける地点があった。
 
 眼下に延びる道には、時折走る車の姿が見えている。こうやって高いところから見える、山間のミニチュアのような道の景色って好きなんだよね。
 
 その先で、道はピークを越えたのか下り勾配に変わった。この入間白岩線に入ってまだそんなに距離は走っていないが、ここから先はもうずっと下りなのかな?何気に結構高いところを走ってるんだな・・・。
 そんなことを考えながら走っていると、ふと道の脇の林の中に・・・。
 
・・・ッ!!!
 
 いたッ!まといリス発見!
 しかも、この個体こそが、今回俺が探していたまといリスそのものだ!この入間白岩線に入ってきたのも、もしあるとすればまだ走ったことのない林道沿いだろうな、という予測があったからなのだが、まさにビンゴ!グッジョブ俺!
 看板のタイプとしては、先ほど見た黄色い看板のものと同じくタバコの不始末による森林火災を描いたものになるが、イラストの要素のレイアウトや看板の下地の色も異なるもので、いつか探しに行かねばと思っていたものだったのだが、こうして無事に見付けることが出来て、なんだかすでに今日の目的を達成してしまった気分だ(笑)。
 
 とはいえ、この先にはまだ未踏の林道があるのでそれらを廻って行こう。橋の先にゲートのある突き当たり状になった地点に来ると、入間白岩線本線は右手に下っていくのだが、それと反対方向に上っていくもう1本の道がある。
 
 林道倉掛線だ。ここも短めの林道のようだが、行けるところまで行ってみよう。
 
 起点から200mほどで道はダートになるが、その地点に至る舗装区間も、アスファルトが割れてはがれていたりと、かなり鄙びた印象の道だ。
 
 そして、ダートになってから僅か100mほどで行き止まりとなった。
 
 ・・・「行き止まり」というのは正確ではないかな。車道の終点と思わしき地点の先にも、路盤は続いていた。ただ、どう見てもこのままBAJAで進んでいくことには不安しかなかったので、一旦歩いて進んでみることにした。
 
 しかし、思った通り道はすぐに人ひとり分の細い踏み跡へと変わった。これはもう杣道だろ・・・。
 というわけで深追いはせずにここで引き返すことにした。次は、自転車乗り達の間で激坂で名を馳せたあの林道へ行ってみよう。
 
Aへ続く。