新緑の奥多摩へ
2023/04/29 東京都奥多摩町の林道-@
 
 ひと月ほど前に、奥多摩町の林道川乗線の工事が終了し、通行止めが解除されたとの報せが入ってきた。たまたま奥多摩には、他にも気になることがあったので、5月連休初日となるこの日、さっそく日原街道沿いにやってきた。
 
 まずは林道川乗線。起点の周囲は芽吹いた緑に覆われて、ゲートの奥はすっかり影に覆われている。一旦ゲートを開けてBAJAを通し、再びゲートを閉めたらスタートだ。
 
 起点から入ってすぐの、道と沢との高低差の近いこの景色を、この時期は新緑の木漏れ日が照らしてとても綺麗なのだ。そしてこの沢は、ここから徐々に標高を上げていく道と一旦距離を置くことになる。
 
 そして、道の外が開けた区間に来ればこの景色!芽吹いたばかりの若葉と、杉林の濃い緑が斑になったこの色彩を見ると、それだけでもう本当に楽しくて仕方ない!
 
 日影と日向のコントラストもまた堪らなく美しくてなあ。
 
 そんな新緑に包まれた区間を走り、やってきたのは、百尋ノ滝を見下ろせるこの地点。
 
 そして、ここから視線をそのまま前へと向けると、目の前にそびえるほぼ垂直に近い岩肌の中腹に通された、ここから地続きの区間の擁壁が見えている。何度見ても凄まじい光景だ・・・。
 
 そして、その擁壁の地点まで来て振り返れば、ここからも凄まじいばかりの絶景!それに、ここから見る新緑の景色もかなり久しぶりだ。それをこんなに良い天気の日に来ることが出来て本当に良かった。
 
 気温も暑くもなく寒くもなく、周囲は程よく心地いい空気に包まれている。
 
 この、路上に落ちる木漏れ日の中、その斑な光に網膜をチカチカと撫でられながら走ることも、この季節の林道の楽しみだよなあ。
 
 序盤で道との高低差を広げてきた沢は、百尋ノ滝を経て再び道と接近する。いまの時間はちょうど日影になってしまっているが、ここも陽に照らされると実に美しい景色が出迎えてくれて好きなのだ。
 
 周囲を緑に囲まれていると実感しづらいが、もうだいぶ標高を上げてきているはず。長かった舗装区間もそろそろ終わりかな。
 
 やがて道は未舗装区間に入り、程なく林道日向沢線との分岐に到着。ここでたまたま、左手の川乗線本線のほうに進むオフロードバイクの後ろ姿が見えたので、俺は一旦、日向沢線のほうに進んでみよう。
 
 この日向沢線、以前はもっと荒れていた時期もあったけれど、ここ最近は路面もだいぶ落ち着いてきているように思う。ところどころ法面が崩れている箇所もあるが、この日は特に走行に支障のあるものでは無かった。
 
 陽に照らされた新緑が眩しいと、それだけで嬉しくなるよね。
 
 日向沢線名物の巨大法面工。いつか登ろう(?)。
 
 そして程なく踊平トンネルに到着。
 
 この踊平トンネルを超えて先を進んでも、最終的には行き止まりに到達するが、その手前に土砂崩落があり、道の終点まで車両で行くことはできない。ここが今現在の日向沢線の、実質的な終点だ。
 
 この林道日向沢線、かつては埼玉側の林道日向沢線と繋ぐ計画があったのだが、様々な理由によって2003年頃に計画は中止となっている(ちなみに現在到達できる最奥地点の大崩落は、計画の中止後となる2007年の台風9号によって発生したものだ)。
 そして、かつての計画では、東京都と埼玉県の県境をトンネルで結ぶ想定だったという。その話自体は以前から知ってはいたのだが、今回、トンネルの手前に立つこの保安林の看板を見て、もしかしたら・・・と思ってそこに描かれた路線図を確認すると・・・。
 
 あ!やっぱりあった!踊平トンネルの先に続く点線の計画区間の先、県境の手前にトンネルの記号がしっかりと描かれている!トンネル計画の存在を情報として知ってはいても、この図を見たときはやっぱり興奮したよね!
 このご時世に計画の復活はもはやあり得ないとは思うが、これが実現していたら相当楽しいルートになってただろうなあ。例えば名栗から広河原逆川線で有間峠に上って、そこから秩父へ向かおうか、それとも奥多摩か、う〜ん選べな〜い(はぁと)
 ・・・なんて世界線で生きてみたかったよ(笑)。
 
 で、もともと今日はトンネルの先まで進むつもりは無かったんだけど、あの看板を見てたらテンション上がっちゃって、久しぶりに行けるところまで行ってみようって気になってしまった。
 
 というわけでもうちょいだけ進んでみます。この先の様子に何か変化はあるだろうか?
 
 この辺りは前から変わってないな。
 
 路肩には崩れた土砂が積もり、道幅を狭めているが、この区間は平坦に伸びていることもあって残った路面の状況は悪くはない。
 
 場所によっては、路上を崩れた土砂が埋め尽くしている場所もあるが、とりあえずこの辺りは乗ったまま進むことはできる。
 
 ってか、以前ここに立ち入ったのももうだいぶ前なので、あの時よりも状況は酷くなっているのでは、と思ってたけど、意外なほどに変わってないな・・・。
 
 路面は多く露出した区間では、普段車両の通行が無いこともあってその一面を苔?に覆われているが、その上をバイクで通るのが少々忍びなく感じたりして・・・。
 
 やがて、BAJAでは超えられない崩落地点に着いた。ここは恐らく以前来たときにもBAJAでの進行を断念した地点だ。
 
 というわけで、今回もここから先は徒歩で進もう。BAJA君、ちょっとそこで待っててね。
 
 バイクでは無理でも、徒歩なら難なく進んでいける。
 (ただし!推奨するわけではないので要注意だ!)
 
 この地点のガードレールは、土砂で押されて倒れてしまっているが、この土砂の量でこの壊れ方は不自然な感じもする。土砂崩れが起きたときに、巨大な岩石でも落ちてきたのだろうか。
 
 道は一旦平坦さを取り戻す。その上の倒れた木の下を潜って進んでいくと・・・。
 
 お、見覚えのあるカーブが見えてきたぞ。あそこを曲がればもうすぐだ・・・。
 
 あの先に見えている、路上を埋め尽くす土砂崩れが、現在到達できるこの道の末端地点だ。
 ってか、この廃道区間に、もう誰の姿も映すことなく立ち続けるカーブミラーの存在感、良くないっすか・・・?
 
 それはともかく、この大崩落地点の様子を見ても、驚くほど変わった様子が見られないな・・・。
 
 見た目はかなり激しめな感じだけど、もう崩れるだけ崩れてしまって、却って安定した状態に収まっているのかもしれない。
 ただ、いま改めて写真を見て、本当に安定していたらこの斜面に草とか生えてきててもおかしくないのでは?って思ったんだけど、どうなんだろう?
 
 まあ、安定していようが、実は人知れず崩れていようが、開通計画の無くなったこの道にとってはもうどうでもよい事ではあるが・・・。
 
 さて、戻りますか。なーんも変わってはいなかったけど、久々にこの廃道風景を見られたのは良かったな。
 
 BAJA君だたいまー。
 
 トンネルまで戻ってきた。きっと今後もあの奥はもう何も変わることはないと思うけど、今回は看板のトンネル記号を見付けられて嬉しかったなー。
 
 そろそろ腹も減ってきたし、ここを下って飯にするかな。
 
Aへ続く。