伊豆のアレ!!!
2023/10/22-② 静岡県伊豆市・林道滑沢線~天城路・天城山隧道
 
①はこちら。
 
 林道達磨山線を抜けて道なりに進むと、突然前方に鋼製スリットダムが現れた!
 
 本日2つ目となるスリットダムだ!沢を跨ぐように造られた鋼材が、流木を堰き止めているのが見えている。
 
 近くまで行くことができなそうな道筋もなく、遠目にみることしか出来ないが、構造的にあれはA型だろうか。せめてこのダムの名前だけでもと思い近くを探すと、堤体の脇の道沿いに経つ看板に、数沢砂防ダムと書かれていた。完成年は昭和47年とのことだが、この年にスリットダムってあったのか?と思ったけど、よく見るとスリットダムの奥にもう一段砂防ダムが見えている。きっとあれが初代で、その後スリットダムが追加されたんだろう。
 
 そんなスリットダムとの出会いもありつつ、国道を南下し続いてやって来たのは林道滑沢線現在地(標識には「滑沢林道」と書かれているが、民有林林道とのことなので、正式には「林道滑沢線」だろう)
 標識を見ていると、右上に「起点から7.0km」と書かれている?と思ったんだけど、いや、いまこれを書いているときに改めて写真を確認してみたら、これ、「70m」か?この手前のどこに林道区間が7kmも隠れているんだ?と思ったけど、このすぐ背後に国道からの分岐があるので、そこから70mならまあ確かに、といったところだ。
 
 ただ、現地ではすっかり7kmと思い込んでいたので、もしかしてこの右手に延びる道がソレか?と思ってたんだけど・・・。
 
 どうやらこちらは立入禁止らしい。おとなしく本線を進もう。
 
 空には相変わらず雲が多いものの、午前中よりも晴れ間が見えるタイミングが多くなってきた。路上に斑に落ちる木漏れ日がとても美しくて、それだけでテンションが上がるよ。達磨山支線でももっとこの陽射しが欲しかったぜ。
 
 その後一旦道が舗装路となった。
 
 ただ、その舗装区間は長くは続かず、起点から約800mの地点で再び未舗装に切り替わった。
 
 おお、この辺りの雰囲気、とても良いじゃないか。起点にあった周辺図によると、この道沿いは滑沢渓谷と呼ばれているらしく、秋本番の時期に撮ったであろう鮮やかな紅葉の写真が添えられていた。
 
 ああ、この辺りもすごく好きな雰囲気だ。道を囲う広葉樹の葉は、ようやく秋に向けて色の変化の兆しが現れ始めた程度だが、ここが紅葉に包まれたら、さぞ美しい景色に変わるんだろうなあ。
 
 その先で、路面がコンクリート舗装に変わったと思ったら、そのまま直進する道と、左手にカーブし沢を跨いで180度折り返す未舗装の道との分岐に出た。
 
 たぶん、本線は直進する舗装路のほうだろうけど、ここは一旦こちらの未舗装路を進もう。
 
 道沿いの斜面は道を造る際に削り取ったままであろう、土が剝き出しの状態で、雑草が茂っていないところを見ても、まだ真新しい道であることを伺わせる。
 
 その真新しい道の路肩に、銘板が設置してあった。どれどれ・・・。
 
 滑沢支線林業専用道
 なるほど、作業道的な扱いの道だったか。あの削りっ放しの法面にも納得だわ。竣工は平成30年のようで、真新しく見えたのも納得だ。
 
 確かに林道と比べれば、路肩の処理など心許ない感じもするけれど、埼玉辺りの作業道の感覚からすると、ずいぶんと上等な道に見える。
 
 ただ、その作業道もそれほど長くは続かず、分岐から1.6kmほどで行き止まりの終点となった。
 
 作業道を引き返して本線を進んでみたところ、こちらは分岐から僅か200mほどで行き止まりとなった。それじゃあ引き返して、ここからほど近い次の目的地に向かおう。
 
 滑沢線起点から国道を3kmほど南下し、続いてやってきたのはここ、国道414号旧道天城路だ(現在地)。この先には天城山隧道があり、せっかく伊豆に来るならここは見ておきたいと思ってやって来た。
 
 んんん?通行止め??ここまで来て天城山隧道を見ることができないのかと一瞬焦ったものの、よく見ると、こちら側からは隧道を通り抜けた地点までは行けるようで一安心。
 
 そして、この先が未舗装路であることを警告するこんな看板も立っている。「斜体底部擦る可能性あり!」とはずいぶん脅かすなあ(笑)。
 
 ただ、そんな警告はありつつも、路面は超が付くほどのフラットダート。
 
 とはいえ、同じ未舗装路を走っても2輪と4輪での感覚はだいぶ違うし、普段未舗装路を走らないドライバーにとっては、やはりそれなりに気を遣う道だろう。
 
 旧国道とはいえ、樹木に囲まれ緩やかに蛇行する未舗装路は、極上の林道を走っているような感覚にもなる。そして、現国道との分岐から約1.8kmで・・・。
 
 出た!
 
 天城山隧道だ!ところどころに苔を纏った、総石造りの坑門が実に美しい・・・!
 普段は観光名所として多くの人が訪れ、車両の交通量も多いと聞いていたこの隧道だが、現在工事中のために通り抜けが出来ないこともあってか、思った以上にひっそりとしていて、ここを引き返すまでに、歩行者が数名とバイクを2台程度見ただけだった。
 
 右書きの筆書体で、浮き彫りで記された扁額もとても味わい深い。それではいよいよ隧道を抜けてみよう。
 
 車両の通行が全くないのをいいことに、隧道内部でも停車して写真を撮ってみた。意外なことに、内部の路面はコンクリートで舗装されていたが、妙にテカって見えたので、滑るんじゃないかと無駄にヒヤヒヤしてしまった・・・。
 
 全長445.5mという隧道を抜けて南側に抜けてきた。
 
 北側坑口の扁額と異なり、こちらの文字は陰刻となっているようだ。
 
 それにしても・・・暗い!またしても雲に陽射しを隠されてしまったのかと思ったが、これは地形的に、この場所がもう太陽が隠れてしまう時間に差し掛かってしまったせいかもしれない。ここも明るい陽が差す時間に来てみたいなあ。
 
 そして、前述のとおり現在工事中のため、この地点で通行止めとなり、先へと進めなくなっている。工事の内容としてはボックスカルバートを設置するとのことだ。工期は来年1月末までで、春以降に再訪すれば旧道全線に渡って通り抜けができるはずだが、その頃にはまた観光客による交通量が増えているような気はする。これだけひと気の無いタイミングで天城山隧道に来れたのは、ある意味でラッキーだったのかもしれない。
 
 この看板、素敵ね(笑)。
 
 さあ、それじゃあ今日はそろそろ帰ろうか。本当はこの後、もう1本林道を走っていくつもりだったんだけど、そこまでにまた結構な距離があって、この時間から向かって林道に入る頃には、林道内はもう真っ暗になってしまいそうだったので止めておいた。伊豆の林道へは、今日通れなかった名無しの林道や、達磨山支線の洗い越しも含めてきっちり晴れた日に再訪したいし、また来年、絶対に伊豆に訪れるための宿題としておこう。
 
 帰り道は、もう何年ぶりか分からないくらい久々に、BAJAと海を眺めながら帰路に就いた。
 ずっと来たかった伊豆の林道へ、時間と天気の隙を見て日帰りでやって来たけど、やはりここまで来るならもっと時間の余裕を持っておきたかったな。絶対に来年再訪するぞ!