紅葉の中津川林道へ
2020/11/11 埼玉県秩父市・中津川林道
 
 どうも、ナノレカワです。本日は平日ではありますが、有給を取って秩父へとやってきましたでありますよ。
 
 この時期に秩父へ来る目的としては、そう、中津川林道だ。さすがに紅葉真っ盛りの時期とあって、国道140号から県道210号線へと入った中津峡は、平日にも関わらず紅葉狩りの人たちで大賑わいだったが、中津川地区の集落を越えて森林科学館のあたりまで来るとだいぶ人出も落ち着いてきた。
 
 中津川林道は先月にも一度訪れているが、紅葉がピークを迎える頃にでも再訪しようと思っていた。知ってのとおり現状は通行止めの真っ只中だが、中津川大好き人間からすれば、行けるところまでだって全然構わないのだ。のんびり往復してこよう。
 
 前回来たときは木々の葉もようやく色付きが始まったばかりだったが、あれからひと月近くを経て周囲の色彩もすっかり様変わりした。
 
 今日のメインの目的としては、この中津川林道を行けるところまで行って往復するだけなので、久しぶりに寄り道してみようか。BAJA君、ちょっとここで待っててね。
 
 大岩隧道の外に続く、武州中津川森林鉄道の路盤跡だ。
 
 誰も通ることの無くなった路盤は、落石や落ち葉に多い尽くされ、かつてレールが敷かれていた頃の面影は薄れているが、垂直に削られた法面が確かに人の手によって開削された場所であることを物語っている。
 
 ここで、大掛かりに組まれた石垣を見ようと、斜面の下に降りられる場所まで来てみると、ちょうどその足場を塞ぐように倒木が邪魔をしていた。これはもう、今後の風雨によって自然とここから移動するのを待つしかなさそうだな・・・。
 
 それじゃあそのまま、切通しの地点まで行ってみよう。
 
 日影の切通しの向こうに見える、陽を受けて輝く紅葉の木々。おお、これは素敵だ・・・!
 
 いやあ、この地点の景色が見られただけでもここに立ち寄って良かった。そんじゃ引き返そうかね。
 
 路盤にこれだけの木々が生長しているところからも、ここが廃止されてからの長い年月を物語っている。
 
 だけど、人が開削したこの地形だけはこれからもずっとここに残り続けるだろう。
 
 さあ、再びBAJAと一緒に進んで行こう。
 
 ダート区間に入った辺りは、もしかしたら紅葉はちょっともう遅いかな、なんて思いもしたけど、なかなかどうして良い感じの色付き具合じゃないの。
 
 中津川林道の現時点で通行可能な、貴重な区間だ。噛み締めるように進んで行こう。
 
 ふと、紅く色付いた木の袂に旧標識が立っている場所があったので、BAJAと標識と紅葉をセットで撮ってみた。ちょっと良くない、これ?
 
 いや、めっちゃ良いでしょ(笑)。
 
 橋の欄干の向こうにも、紅葉が彩りを添えている。やっぱり紅葉は晴れた日に見てこそナンボだなあ。
 
 そうして、またしてもあっという間に通行止め地点まで辿り着いてしまった。この時期の、ここから先の区間の景色の素晴らしさを知っているだけに、ここで引き返さなければならないのは、悔しくないと言えば嘘になる。この先の紅葉の景色を、もう何年見ていないだろう・・・(せっかく再開通を果たした去年も、台風のせいで秋を待たずして再び通行止めになってしまったし)。
 ただ、今現在この奥で復旧工事が行われている真っ最中なので、今は大人しく、再びこの先へと進める日が来ることを心待ちにしよう。
 
 正直、こう立て続けに台風被害を食らって、いいかげん秩父市も復旧に対してさじを投げるんじゃないか、なんて想像もしたりするので、ちゃんと復旧に向けて動いてくれているだけで本当にありがたいことなのだ。
 なんて事を思いつつ、キャンプ場のすぐ先の橋を引き返しているとき、ふと橋の外にあるものを見つけた。
 
 あ、橋台・・・。ここにあるのは何気に初めて気づいた気がするが、これも武州中津川森林鉄道時代のものだろう。
 
 かつてこの上を木材をたくさん積んだトロッコが走っていたんだと、そんな場面を想像してみるもの楽しいもんですよ。

 そんな旧林鉄時代の遺構を探しながら走った日のレポはこちらにあります。
 2011/05/03 中津川林道
 
 さて、さっきも見た橋のところまで戻ると、ふと橋の外側に踏み込めそうになっていることに気づいた。
 
 なので、ちょっと外側に踏み出して撮ってみた。何度も通った中津川でも今まで撮ったことのないアングルだったので結構お気に入りの1枚。
 
 その場所に立つ、治山事業施工地の看板。この独特のレタリング、かなり好き!
 
 その隣には、旧大滝村表記の残る「山火事に注意」の看板も!最高だね!
 
 日影から見る、日の光を受けた紅葉も良いんだよねえ。
 
 紅葉に囲まれた、いくつかのトンネルを潜っていく。かつてはトロッコが通っていたこの道も、いまは車道として生まれ変わり、幾度の災害を乗り越えて生き続けている。これからもずっとこの景色を保ったまま生き永らえて欲しいものだ。
 
 ふと、大若沢沿いの学習の森へと続く道の入り口が目に付いて、そういえばこの道も入ったことが無かったような・・・と思って進んできてみた(これは終点から戻る途中の写真)。
 
 おお、ここもいい感じに効用に包まれているじゃないか。交通量も少ないのか、路上も落ち葉に覆われたままになっていて、暖かみのある景色を作るのに一役買っている。
 それはそうと、この階段の先はどこへ続いているんだろう?
 
 僅かな通行可能区間だけだったけど、中津川林道を往復してきた。幸いにして今年は台風の上陸も無く、穏やかな秋を迎えられたけど、来年こそは紅葉に染まる道を三国峠まで通り抜けられるようになることを切に願う。。
 
 さあ、この後はのんびり寄り道をしながら戻っていこう。
 
 突然だけど、パリー食堂にやって来た。ここ、いちど来てみたいとずっと思っていた。いつもだったら昼飯は林道でひっそりと山ラーなんだけど、今日は中津川林道だけで戻ってくるつもりだったので、ちょうど市街地でお昼に出来るな、と思って立ち寄ってみた次第。
 
 ショーウインドウの食品サンプルも、昭和臭をこれでもかと放っていていい感じだ!
 事前に、どんなメニューがあるのかと調べてみたところ、ここはオムライスが有名らしいということで頼んでみた。
 
 おお!サンプルと全然違って、バナナにリンゴにオレンジにパイナップルまで付いてきてめっちゃ嬉しいんだけど!コレが目の前に運ばれてきた瞬間、ちょっとニヤけちゃったよね(笑)。味は本当にベーシックな味付けという感じで普通に美味しかったよ。次にくることがあれば今度はカツカレーを頼んでみよう。いや、カツ丼も気になるな・・・(笑)。
 
 飯も終えて国道299号を戻り、正丸トンネルの手前から、久しぶりに県道53号線に入ってきた。ここは県道に入ってわりとすぐの場所にある、林道南沢線の起点だ。
 
 ここにある起点標識は、もうだいぶ前からかなりぼろぼろな状態ではあったのだが、果たしてまだ存在しているのかどうか気になって見てみると・・・。
 
 あ、あった!ってか、もう満身創痍じゃねえか・・・。ただ、ここまでの状態でありながらよく撤去もされず残っていたなあ、それとも、単に管理者からももはや忘れ去られているだけだったりして・・・。
 
 続いて立ち寄ったのは林道大栗沢線。ここは起点からチェーンゲート閉鎖だが、用があるのは林道そのものではなく・・・。
 
 そう、起点脇に立つ、このまといリスの看板だ!これは以前まといリス図鑑にも上げたものなのだが、それはもう10年以上も前に斜めから撮った1枚の写真を、無理矢理正面風に補正した画像だったので、改めてここのまといリスを正面から撮影するために立ち寄った。
 
 久しぶりに見ると、以前よりもだいぶリスの絵が色褪せてしまっていた。辛うじて顔は判できる状態ではあるが、撮影するにはギリギリのタイミングだったなあ。このタイプのリス君はいまだここでしか見たことが無いので、完全に消える前に再訪できて良かった。
 
 続いては林道八ヶ原入線。ここも起点からチェーンゲート閉鎖だが、やっぱり用があるのは林道そのものではなく・・・。
 
 この旧タイプ林道標識だ!しかも、ここの標識は「林構改林道」という、他で見たことのない表記がなされている非常にレアな逸品だ!
 
 ここも訪れるのは恐らく9〜10年ぶりくらいだと思うが、無事に標識の現存を確認出来て良かった。まあ、よほどのことでもない限り、撤去する理由もないだろうが・・・(笑)。
 
 さあ、本日最後の目的地にして、県道53号線を通ってきた最大の目的地にやって来た。ここは、その県道53号線から同73号線に入りそのまま直進した先にある、林道山中線との分岐地点(山中線は残念ながら現在通行止め)。
 
 この分岐地点、林道の起点標識や奥武蔵自然公園の案内板、はては不法投棄禁止の看板まで、様々な看板が立ち並び凄まじい情報量となっているが、今日ここに来た目的はこれ!
 
 この「通学路」の看板!黄色地の縦長の看板に、これは姉弟なのだろうか、2人の子供のシルエットが描かれ、その背景は白い塗料でV字型の面が配されている。その下の「通学路」のレタリングも最強!実に素晴らしいデザインだ!一体いつ頃制作されたものなのだろう、今では錆や塗料の退色ですっかり味わい深い風格を纏っているが、まだ真新しかった頃はどれほど鮮やかな色彩を見せていたのだろう。
 というか、ここが通学路として機能していた頃があったということが今となっては驚きだが・・・(いや、今現在そんな雰囲気を全く感じられないからそう思ったのだけど、現在も通学路だよ、なんてことあるのかな??)
 
 これ、少し前に過去に撮った写真を見返していたときに偶々この看板の存在に気づいたのだが、それもかれこれ10年ほど前のもので、改めてちゃんとこの目で確認し、しっかりと写真に撮っておきたかった。
 この界隈は大名栗や西名栗も走れなくなって久しく、すっかり訪れることもなくなっていたのだが、今日みたいにのんびり走る日はこういう場所の再訪にうってつけだと思い立ち寄ってみた。とりあえず現存を確認出来て一安心。いやあ、やっぱり来て良かったわ(笑)!
 
 それともうひとつ驚きだったのが、この林道白岩線の起点標柱がまだ現存していたこと!こんなの、もうとっくに朽ちて消え去っているかと思ったよ・・・!この分岐から左手に進む道がかつてはこの白岩線だったのだが、今現在は既に県道73号線に編入されてしまっているらしい。それでもこうして、かつてここが林道であったことを伝えていることが何だかとても嬉しく感じてしまうな。
 
 というわけで、わざわざ有給を取ってきたツーリングはこれにておしまい!今月中にあと1回くらいは紅葉を見に行ってみたいところだけど、どうなるかねえ?