憬れのみちのくダート群へB-2
2010/10/01 福島〜宮城林道ツーリング・3日目 - パート2

パート1はこちら。

 高野原線のダートを2km程走ってくると、右手に林道滝の原〜蘭山線が現れる。このまま雰囲気のいい高野原線を直進してもいいのだが、こちらの林道を迂回していくとその先で、ツーリングマップルで「七ツ森の自然を満喫!」と紹介されている林道へ回っていくことができるのだ。今までも十分自然は満喫しているが(笑)、せっかくだからこっちへ回っていくことにしよう。

 ・・・あとから考えれば、素直に高野原線を直進したほうが良かったかもしれないのだが・・・。

 起点からの様子を見ると、かなり幅員の狭い舗装路からのアプローチとなっている。結構、ドイヒー林道の予感・・・。

 先へと進むと、両脇から藪がせり出してきて、非常に狭っ苦しい。この雰囲気、なんだか、埼玉にでも戻ってきたような感じ(笑)。

 ダートに変わってからもしばらくは藪漕ぎ区間が続き、その狭っ苦しい区間を越えると、今度は路面がウォッシュボード状態に。普段ほとんど通行量がないのがよくわかるね(笑)。

 ようやく滝の原〜蘭山線を抜けだし、次の林道へと向かう。ツーリングマップルで「七ツ森の自然を満喫」と紹介されているので楽しみにしていたのだが、この先がちょっと不思議なことに・・・。

 (上の画像は戻り際に撮ったものなので、はじめの進行方向は画像の奥方向になります。)
 地図では「嘉太神林道」と紹介された道を探し、ようやくそれらしい場所に辿り着いた。片側1車線の舗装路を進むと、道の片側に車止めが置かれ、そこから先は明らかに廃道っぽい雰囲気が漂っている。ホントにここでいいのかな・・・という気もしていたが、地図で見る限り、それらしい道はここしかないので、そのうちダートになるのだろうと思い、先へと進んでいくことに。

 (上の画像も、やはり戻り際に撮ったものなので、はじめの進行方向は画像の奥方向になります。)
 そのまま直進していくと、周囲が広々とした場所にでた。左右には、かつては牧場でもあったのかと思わしき空間が広がっているが、辺りは寂しいまでの静寂に包まれている。単に静かなだけでなく、まるで時が止まってしまったかのような不思議な静けさ・・・。
 舗装路の両脇からは草が生い茂り、路面は舗装林道にありがちな1車線にも見えるが、よく見ると中央にはうっすらとセンターラインが残っている・・・。今では使われていないこの道も、かつてはそれなりに車両の往来があったのだろうか。

 そして、この道に入ってからというもの、急に体が寒気に襲われだした。風邪でも引いてしまったのかとも思ったのだが、それにしては急過ぎるような気もするし・・・。よくわからないけど、言いようのない嫌な空気に包まれながら、ともかくこの先にあるはずだと思っていた林道を目指して進んでいく。

 途中、道幅の広くなった駐車スペース?のような場所などを通り抜けていくと、やがて道がダートに変わった。そのせいで、ここが目的の林道だと思い、そのまま先へと進んでいく。

 周囲は広々とした空間に包まれ、普通に見れば景色のいい道のようだが、言葉ではうまく言えないのだが、明らかに普通の林道とは違う雰囲気を感じながら先へと進んでいく。

 やがて突然舗装路に出たのだが、ここってさっき通ってきた道じゃ・・・。どうやらぐるっと周回して元の道へ戻ってしまったようだ。何かがおかしい・・・。
 この舗装路の途中、確かに他にも1ヵ所、道の入り口のようなところもあった気がするが、明らかに藪漕ぎの廃道のようなところで、ただでさえとてもツーリングマップルで紹介される林道という感じではなく、そもそもこの道にいる間ずっと嫌な感じが続き、とてもじゃないけど入り込む気が起きなかったのでスルーしてしまったのだが・・・。とりあえず時間も勿体無いので、この林道は諦めて次の林道へ向かうことにしよう。

 そして、この道を抜けると、不思議なことにさっきまでの悪寒がすっと消えていった・・・。

 その後、この日のツーリングを終えてばあちゃん家に戻ってから叔父に、「今日、1ヵ所なんか嫌な感じのするところがあってさ」と話し地図を指さすと、

 「おまえ、その辺りは昔、処刑場があったとこだぞ」と・・・。

 今まで俺には、霊感とかそういった類のものは全くないと思っていたけど、こんなことって初めてだよ・・・。

 結局、さっきの道が目的の林道じゃないとすると、自分の今いる場所がどこなのか分からなくなってしまう。あの車止めのところまで戻って、どうしたものかと思っていると、たまたま停車していた白バイを見つけた。近付いて行って道を尋ねると、「関東の方ですか?」と。どうやら俺のナンバーを見て分かったようだ。結局その白バイに先導してもらい、目印になりそうな近くのダムまで連れて行ってもらった。こういうときのお巡りさんってホントいい人(笑)。
 で、改めて地図を確認すると、やっぱりさっきの道でいいはずなんだが・・・不思議だ。

 さ、気を取り直して、次の林道へ向かうとしよう。県道をぐるっと迂回して、かなり遠回りになってしまったが、ようやく種沢林道に到着。綺麗な舗装路が突然途切れ、その角から細いダートが続いている。

        

 次の林道との合流までダート約5.4km、マップルには「桑沼からの長い下り」とあるが、俺はこれから桑沼方面へ向かうので、ずっと上りが続くことになる。ところどころ荒れた場所もあるが、上りだとそれもまた楽しい。

 しばらくして升沢林道との合流地点に到着。先ほどの高野原線を直進するとそのままここに辿り着くのだが、結局かなりの遠回りとなってしまった・・・。

 これが桑沼か。って、林道からじゃよく見えないな。

 終始鬱蒼とした中に伸びる7.2km程のダートを進んでいく。あー、なんて清々しい。やっぱり林道はこうでなくっちゃ。

 升沢林道を抜けたところに、ちょうどキャンプ場の入り口がある。そこにテーブルとベンチがあったので、時間もちょうどいいし、ここでお昼にすることに。

 叔母が作ってくれたおにぎりを食べてのんびりと休憩しながら、午後のルートを再確認。ここからすぐ先に次の林道があるはずなので、食事を終えたら早速向かってみよう。

 先ほどの地点から少し下ると、左手に小荒沢林道の入り口がある。その先で接続する岳山林道と合わせると、ダートの総距離は20km以上に及ぶらしいが・・・ん?

 う、嘘でしょ嘘でしょ!?
 これは困った・・・ここを越えていかないと、その次に向かう予定の林道にアプローチできなくなってしまうが、林道の入り口に渡されたワイヤーにはしっかりと鍵が掛けられ、進入は無理っぽい。また、仮に入れたとしても、その奥で通り抜けることができずに引き返すことになれば、大幅なタイムロスになってしまう。仕方ないが、ここは諦めるとしよう。
 しかし、地図を眺めて他のルートを探ると、県道と国道を大幅に迂回しなければ、その先の林道へと向かうことができない。距離から計算して、迂回には早くても1時間ほど掛かりそうだが・・・えーい、迷っていても仕方ない!その先の林道を走るために、いったん国道へ抜けるぞ!

 というわけで、本当に1時間掛けてやってきました。ようやく林道葡萄沢線に到着。ダートは約11.6kmとのこと、ここから山の奥へと入り、他の林道を走り継いで再びもとの国道へ戻ってくるルートになる。

 林道に入ってすぐ、こんな広々とした直線区間が現れた。道と平行に平地が伸び、その中には川が流れている。

 後ろを振り返れば、雄大にそびえる山の姿が。地図を見ると、あれは薬菜山になるのかな。その下に見える白い壁は巨大な砂防ダムで、出来てからまだそんなに経っていないような雰囲気。
 いやぁ、前も後ろも素晴らしい景色だ!やっぱり遠回りをしてでも来て良かった。

 道の脇にはススキの穂が揺れ、秋の空気が遠くの山々の稜線を霞ませている。

 遠くには平野を見下ろすことができる地点も。あの辺りは加美町の市街地になるのかな。

 道の脇にちょっとした広場になっている場所があったので入ってみた。周囲を囲むススキの向こうに、遠くの山が連なるのが見える。うーん、素晴らしい!

 だんだんと傾き始めてきた陽に背中を押され、まだまだ山の奥へと進んでいく。

 そろそろ葡萄沢線も終盤。次の林道へと入ると、折り返し国道へ向けて下っていく。

 葡萄沢線を抜けると、一旦僅かな舗装区間を経て次の林道へ。道の脇にある白沼が、夕日を美しく照り返している。

 舗装路を越えて、再びダートになると林道芦滑沢線となる。ダートとの境にキャンプ場があり、4輪の往来がそれなりにあるためか、この付近の路面はまるで舗装路のようなフラットダートになっている。

 芦滑沢線を2km程進んでいくと、右手に分岐する林道青野〜岳山線が現れる。
 このまま芦滑沢線を直進してもよかったのだが、この青野〜岳山線を経由してその次の岳山線へと走り継ぐと、ダートを5km程多く走ることができるようだ・・・よし、右へ入って行こう!

 青野〜岳山線へと入り、夕日に照らされながら再び高度を上げていく。

5km程の青野〜岳山線を抜け、本日最後となる林道岳山線へ接続。ここから岳山線の起点まで残り5km程のダートを、噛み締めるように走って行こう。

 地図を見てもわかるのだが、この道は急なカーブがほとんどなく、見通しのいいストレートが続き、いつもよりもアクセルを開き気味に走っていく。何だか自分のライテクが上がったような気分。ま、当然気のせいなんだけれど(笑)。

 路面は終始フラットダート。まる一日ダートを走り詰めでだいぶ疲労も溜まってきているはずだが、夕暮れの空に囲まれて走っていると、そんなことも感じることもなく、とても気分がいい。

 ダートを走り切り、岳山線の起点までやってきた。これにて本日の林道走行はすべて終了です。いやぁ、よく走った。

 美しい夕焼けに包まれながら帰り道を進んでいく。今日はまる一日、宮城の林道を堪能してきました。こんなに素晴らしい林道がこんなにたくさんあるなんて、宮城って本当にいいところだなぁ。
 明日は4日目、このツーリングの最終日。名残り惜しいけど、いよいよ帰路へと着きます。

 最終日へ続く。