秩父・春の始まり
2012/03/25 埼玉県秩父市 林道明ヶ平沢戸線・他
 
 「おうい、ばあさんや。こんどの日曜は珍しく晴れるそうじゃ。」
 「あらまあ、おじいさん。それは本当に珍しいですこと。雨でも降らなきゃいいですけどねえ。」
 
 なんて小話が勝手に脳内をよぎるほど、ここ最近は週末になるたびに天気が崩れるという嫌なサイクルが続いていたが、今週の日曜はようやく好天に恵まれそうだ。こりゃもう林道に行くっきゃないっしょ!
 
 
 というわけで、本日やってきたのは秩父市の主要地方道71号線から分岐する林道明ヶ平沢戸線。この林道、ここ数年は土砂崩れで道が塞がれて通り抜けることが出来なくなっていたようなのだが、今年の初めにどこだったか自転車系のブログで問題なく通り抜けが出来るとの記事を見ていたので、それを確かめに来たくてずっとウズウズしていたのだ。
 
 
 
 っと、おお!橋の袂に標識が立ってる!この県道沿いは何度か通ってるけど、この標識には初めて気が付いた。だいぶ遣れて、文字部分の塗料が浮いちゃってるけど・・・。
 
 
 
 そういえば、この林道を走るのは2007年以来だな。ってことは、もう5年振りってことになるのか・・・月日の流れの早さの何と恐ろしいことよ・・・。あれから路面状況に何か変化はあるだろうか。
 
 
 
 起点から400m程の舗装路を経て路面はダートへと変わるが、その地点から程なくして道の脇に・・・。
 
 
 
 ・・・な、何だこの穴?
 路面脇の岩盤に、斜め上方に向けて口を開けているこの穴、内部は人ひとりが立つくらいの高さはあるようだが、どう見ても自然に出来たものではないような・・・一体何のために掘られたものだろう?
 
 
 
 瓦礫が積み上がった足元の斜面をよじ登ってみる。見たところ、穴はすぐ先で行き止まりとなっているようだ。そのまま奥まで進んでみようかと思ったんだが、いざ入口に立ってみると、この穴の中、何だかおっかな
 
 ゲフンゲフン。
 こんな崩れかかったような穴に不用意に進入するのは危ないので止めておいたんだぜ。
 
 
 
 そして、起点から1km程も進んでくると、常に右手に視界の開ける区間へと入る。
 
 
 
 上空は静かに張りつめた、しかし冬のそれとは確実に変化している空気で満たされている。長い冬の間に蓄えた、春へと向かう力を少しずつ放っているようなこの時期の山の空気感って、ほんと好きなんだよな。
 
 
 
 そんな区間の路面状況はというと、でこぼことした道の一面に広がる細かい砂利にタイヤをとられ、少々走り辛い。通行止めの間に荒れた路面を修復するために撒かれたものなのだろうか。
 
 
 
 かと思えば、路面の轍を囲うように草に覆われた、どこかの行き止まり林道かと思うような区間も。こんな路面がしばし交互に現れる。
 
 
 
 それにしても、ここへ来るまではかなり青空が広がっていたのだが、林道に入ってからだいぶ雲が多くなってきた。とは言え、どうやら天気の崩れるような雲ではなさそうだ。大きな塊となった雲が次々と速い風に流されて行き、こうして写真を撮るために立っていても、雲の影と陽の光がせわしなく交互に身体を撫でていく。
 
 
 
 ちょっと見晴しがいい場所に出たので、陽が出るのを待って撮影(笑)。
 
 
 
 ああ、きれいな空だ。今年は、暖かくなるなる言ってる割にはなかなか暖かくならない日が続いているけど、こうやって澄んだ空を見上げていると、やはり少しずつでも春は近付いてきてるんだな、とそんな気がする。
 
 
 
 足元を見ると、名前の分からない例の花が咲いている。自分のなかで、毎年この花を見ることが春の合図のようなものとなっている。なので、今年はもう春認定です(笑)。
 
 
 
 天気はいいし、だいぶ気温も上がってきたし、春認定だし。いやー、何か楽しくなってきたなあ。
 
 
 
 この辺りの区間は、山肌の斜度があるせいか、谷側の木も視界を遮ることがなく、常に向かいの山を眺めながら走ることができて気分がいい。
 
 どうでもいいが、この写真のBAJA、倒れないのが不思議なくらいに傾いて見えるな(笑)。
 
 
 
 この林道、途中で1つだけトンネルがある。以前来た時はそのまま通り過ぎてしまったので、今回改めて銘板を見ると桜沢トンネルというようだが、まあ何の色気もないポータルだこと。予算の関係もあるんだろうけど、とにかく実用第一って感じなのかな。
 
 
 
 更に進んでいくと、突然ガードレールが一ヶ所ひしゃげた場所がある。
 
 
 
 かなり強い力が一気に掛かったような感じだが、もしかしてここが通行止めの原因だった地点か?
 
 
 
 その向かいの斜面は、こんな感じで崩れていた。まあ、この程度の崩落なら林道であればそこかしこで起こるものだろうけど。・・・もうこれ以上崩れてこないでくれよ。
 
 
 
 お、この謎のオブジェ、覚えてるぞ。まだ残ってたのか。
 
 
 
 ・・・お、以前はただの鉄の塊かと思ってたけど、良く見ればこれ、列車の車輪とレールを使ってる。一体何故こんな山の中に鉄道の部品が?それよりも、そもそも誰が何のために造ったものなんだ?
 
 
 
 そろそろ明ヶ平沢戸線も終盤。この区間は道沿いに桜の木が植えられている。そういえば、以前来た時はちょうど桜が咲いていた時期だったっけ。もう少し時期をずらして、桜の咲いた頃に来てみてもいいかな。
 
 
 
 起点から約6.4kmの道のりを経て、明ヶ平沢戸線の終点に到着。嬉しいことに、もともと存在していた起点と終点付近の舗装区間を除き、ほぼフルダートの路面は保たれていた。土砂崩れの復旧ついでに余計な舗装でもされてないかと思ったけど、そんなこともなく一安心(笑)。
 
 
 
 終点脇に立つ、畑の畝からニョッキリと生えた標識も以前のまま。相変わらずいい味出してるぜ(笑)。
 
 
 
 そして、その終点の向かいで見つけた、恐らくは民家にでも続いているような道。一応舗装はされているが、正直、車が通るには厳しそうな道幅なうえ、かなりの急勾配で斜面を上っている。まさか車は通らないよな?ちょっとBAJAで上ってみたかったが、どうせ民家の庭先に行きついてしまうのは目に見えているのでやめておきます・・・。
 
 
 
 明ヶ平沢戸線の終点を少し下り、続いてやって来たのは林道高岸沢線。ぱっと見たところ、ここには起点標識は立っていないのかと思い辺りを見回していると。
 
 
 
 おおっと、橋を渡って少し入ったところに立ってました。しかも橙の菱形が。
 
 
 
 へへへ。
 
 
 
 そして、この標識の足元にも例の花が。んー、いいねえ。春満開だねえ。
 
 
 
 さて、その高岸沢線。どんな道が待っているのだろうか。
 
 
 
 なんて思っていたら、途中でコンクリート舗装に変わり、僅か300m程であっさり終了。そういえば、起点脇には林道奥に向けて「高岸駅蔵宅跡」という看板が立っていたが、それが何処なのか全く気付かずに通り過ぎてしまった・・・。
 
 
 
 続いては、高岸沢線から更にもう少しだけ下った地点にある、林道漆木白岩線
 
 
 
 この漆木白岩線、県道との分岐に立ててある地図には「行き止まり」の記述があるが、確か何年か前に完抜けしたという情報を見た記憶がある。早速終点まで走ってみることにしよう。
 
 
 
 そういえば、県道との分岐には起点標識が立っていなかったな、こんなしっかりしてそうな林道なのに珍しい・・・何て思っていたら、分岐から少し入った地点に起点標識が立っていた。こういう、分岐から少し入った地点に起点があるケースってたまに見るけど、それってどういった意味があるんだろう?民家の建っている区間は市道扱いとか、そんな感じかな?
 
 
 
 さあ、初めて走るこの林道、どんな道が待っているだろう。
 序盤の区間は、周囲を木々に囲まれているせいか、路面の中央には苔が張り付いている。乗り上げてツルンコしないよう気を付けないと。
 
 
 
 更に進むと、周囲が開けた地点に出た。道沿いの木々も冬枯れで葉を落としているので、なおのこと見通しが良くなっているようだ。
 
 
 
 そんな見晴しのいい区間を気分良く走っていると、おおっ。
 
 
 
 視線を送った先には、武甲山の姿がくっきりと見えている。この林道にまさかこんなに眺めのいい地点があるとは思わなかったな。
 
 更に進んでいくと、長かった冬の影響で、路面には落ち葉や木の枝が散乱している。うっかり踏んで滑ったりしないよう慎重に走るので、だいぶゆっくりとしたペースになってしまうが、別に急ぐわけでもなし、景色を眺めながらのんびり行くか。
 
 
 
 道の勾配もピークを越え、そろそろ漆木白岩線も終盤。この辺りの区間では、道沿いに桜の木が並んでいる。ここも花が咲く頃に来たらかなりの眺めになるだろうな。
 
 
 
 起点から約6.7kmとそこそこ距離のある舗装路を走りきり終点に到着。って、あれ?この道って何か見覚えがあるような・・・。
 
 
 
 あ、やっぱり林道白岩線だ。去年来た時に、この辺りに漆木白岩線との分岐があるはずとは思っていたんだけど、結局気付かずに終わってたんだが、やっぱりこの白岩線沿いにあったんだな。
 
 さて、そろそろいい感じに腹も減ってきたので、そろそろ飯にするか。
 
 
 
 漆木白岩線を引き返し、明ヶ平沢戸線まで戻ってきた。今日はこの林道で飯にします。
 
 
 
 起点方面へ向かう途中、集落を見下ろす眺めのいい地点がある。さっきこの辺りを通過した時はちょうど曇っていたんだが、戻ってくればこんなにいい陽射しに包まれている。
 
 
 
 そういえば前回ここに来た時は生憎の曇り空だったので、晴れた日のここからの眺めは初めてになるな。ああ、こんないい天気の陽に春の空気を味わう事が出来て、今日走りに来れて本当に良かった。
 
 
 
 さーて、やっと飯だ。今日は往きに目星を付けておいた、この眺めのいい路肩でランチタイム。
 
 
 
 それにしても、だいぶ風が出てきたな。間違っても周りの枯葉を燃やしたりしないよう気を付けないと。 
 
 
 
 こうやって山を眺めながらの昼飯はやっぱ最高だな。最後にコーヒーでも飲もうと思ってお湯を沸かしたんだが、アツアツのケトルに触ってうっかりお湯をこぼしてしまい、ひとくち分しか淹れられなかった(笑)。
 
 
 
 だいぶのんびりとしたランチタイムを済ませ、続いては何処へ行こうかと思ったが、実は花粉症持ちのナノレカワ、そろそろ鼻が辛くなってきやがった。先月凍結で走れなかった合角ダム周辺の林道でもリベンジしようかとも思っていたけど、今日はそろそろ引き上げるとするかな・・・。
 
 だけど、帰り際にサクッと立ち寄れそうな林道がひとつ有るので、そこだけ立ち寄って行くか。
 
 
 
 そんなわけで、本日最後にやって来たのは林道権現掘線。先月この周辺を訪れたときに、やはり凍結に阻まれて進めなかった道だが、今日はこの起点から見る限り、路面のアイスバーンは既にその姿を消し去ったようだ。
 
 
 
 前回、凍結区間が始まってこれ以上進めなかった排水溝の地点までやってくると・・・。
 
 
 
 おおお!何と、ここダート林道だったのか!綺麗に凍りついていたせいもあってか、勝手に舗装路だと思い込んでたけど、これは嬉しい!
 
 
 
 そんなダート区間を進んでいくと、路面はもちろん、路肩や川沿いにも既に雪の姿は無くなっていた。いよいよこの周辺の林道も問題なく走れるようになってきたかな。
 
 
 
 そんな感じで気分良く進んでくると、起点から僅か200m程で終点に到着。短っ!まあ、元々この程度の延長だって分かってたからこそ、帰り際に立ち寄ってみようかって気にもなったんだけどね。
 
 
 
 そして、その終点の脇の斜面には、これも名前は分からないが、赤い葉をした植物が一面に芽吹いていた。これからの季節、徐々に生気を帯びてくる山の中を走るのが本当に楽しみだ。これで花粉さえ飛んでなければ文句無しなんだけどなー(笑)。さーて、これ以上花粉を吸い込まないうちにさっさと帰ろうっと。ヘーックシッ!