新緑の奥多摩へ
2012/05/13 東京都奥多摩町・林道川乗線〜林道日向沢線 -A
 
@はこちら。
 
 
 踊平トンネルに至るまでの区間は、乗用車での通行も問題ないほど綺麗に整備されていたが、トンネルを越えるとそのすぐ先で、崩れ落ちた土砂によって路面が覆われている。トンネルまでは登山者のために整備してあるということもあるのかもしれないが、僅か70m足らずのトンネルを挟んでのこの路面状況の落差はショッキングだ。
 
 
 
 最初の土砂崩れの地点を乗り越えていくと、またすぐに次の土砂崩れが。路面に散らばる瓦礫の隙間を選んでゆっくりと進む。
 
 
 
 更にその先にもまた土砂崩れ・・・トンネルから先の区間は、もう全く整備する気もなさそうだな・・・。
 
 
 
 そして、トンネルから4か所目の土砂崩れに到達すると・・・。
 
 
 
 ああ、これはダメだ・・・。崩れ落ちた土砂と大きな岩で、道は完全に寸断されてしまっている。せっかく景観に馴染むようにと茶色に塗られたガードレールも、転げ落ちた岩石によって押し曲げられてしまっている。
 踊平トンネルからここまで約400m、この先がどれだけ続いているのか分からないが、ここをBAJAで越えていくのはさすがに無理・・・。
 
 
 
 仕方ない、ここから先は歩いて末端まで行くか。BAJA君、ちょっとそこで待っててね。
 
 ・・・戻ってきたら土砂に埋もれてた、なんてことになりませんよーに。
 
 
 
 BAJAを置いてきた地点からまたすぐに、土砂で路面を覆われてしまっている。まだ埼玉側と繋がってもいないのにこんなに崩れまくっちゃって・・・。
 
 
 
 更にすぐ先では、何本もの倒木と土砂の山。BAJAを停めた地点までよりも明らかに崩落箇所の間隔が短くなってるぞ。
 仮に今後埼玉側区間と繋がったとしても、再びここを通行可能な状態に復旧させなければならないのはかなり大変そうだな・・・。
 
 なんてことを考えながら、末端を目指して歩いて行くと・・・。
 
 
 
 うっ・・・。
 
 
 
 うげえ・・・なんだよこの大崩落は・・・。
 
 歩き始めて僅か100m程だったとは思うが、頭上の斜面から崩れ落ちた大量の土砂によって、とうとう徒歩での進行も不可能になってしまった。上の写真は路肩から少し外側に出て撮ったものだが、垂直に立った擁壁がすっぽりと覆い隠されてしまうほどの土砂って、一体どんだけの量があるんだよ・・・。東京都にしても、埼玉側区間の開削が県境に到達するまでは、もうこの土砂をどけようって気も起きないだろうな。
 
 
 
 あの斜面の上に残る岩だって、いつでも落下スタンバイOKじゃねーかよ!恐ろし過ぎてこの土砂の斜面を渡って行こうなんて気にこれっぽっちもならないぜ!
 それでも帰宅後に、もしかして高巻きすればこの崩落地点を越えられないこともなかったか、と思いもしたけど、いやいや、改めてこの写真を見たら、ソロでそんなことするもんじゃないって気になるよやっぱり・・・。
 
 
 
 まあ、ここまで徹底的に崩れてしまっては、逆にスッパリ諦めも付くってもんだ。この先の道がどこまで延びているのかは分からないが、今この状態で進んでこれる末端までは来た訳だし、いずれ埼玉側区間と繋がることを期待して、今日はもうここで引き返すとしよう。
 
 
 ※追記
 その後この区間について調べてみた結果、埼玉側区間との開通計画は、この崩落以前に既に中止が決定していたことが分かりました。こちらに少し書いておりますのでご覧下さい。
 
 
 トンネルを戻り、穏やかになった路面を踏みしめて下って行く。澄み渡った青空が眩しいぜ。
 
 
 
 それにしてもここは本当にいい林道だなあ。今後埼玉側と繋がって、こんな景色の中を秩父と奥多摩の行き来が出来るようになったら、もう最高だろうな。
 で、もし繋がったとなると、秩父・飯能地区と奥多摩地区の交流という目的のためにも早期の舗装化ということはじゅうぶんありうるだろうとは思うが、出来ればここは未舗装のまま残しておいてほしいなあ。
 
 
 
 川乗線との分岐地点まで戻ってきた。こっちの終点までの距離はあと僅かだけど、せっかくここまで来たんだし、川乗線の続きも走っておくか。
 
 
 
 道沿いでは、もう終わりかけだが山桜の花がまだ残っていた。青空の下の桜の花って本当に良く映えるな。
 
 
 
 さっき日向沢線から見下ろしていた区間を進んで行く。眩しい若葉の緑が本当に綺麗だ。
 
 
 
 向かいの山肌も若々しい緑に覆われていて、見ているこっちまで力がみなぎってくるようだぜ!
 
 
 
 そして、日向沢線との分岐地点から600m程で終点に到着。ここはもうこれ以上延長する様子もなさそうだし、以前来た時と全く変わりがない。
 
 
 
 車道の終点から更に先には、作業用のモノレールが延びている。いいなあ、一度乗ってみたいんだよなあコレ(笑)。
 
 
 
 さあ、今度こそ川乗線の起点まで引き返して行こう。
 
 
 
 この緑のトンネルが本当に綺麗で、ついつい停まってシャッターを押してしまう。こういう景色を見ていると、徒歩でのんびりとハイキングをするのもいいかも、って気になってくるな。
 
 
 
 それにしても改めて思うが、ここなんてほぼ垂直な崖だし、こんな急峻な地形によく道を造ったもんだよな。さすが奥多摩だ。一応路肩にはコンクリートの壁が造ってあるのだが、そんなに背の高いものでもないので、ここまで道の際に寄るのはなかなか怖いんだぜ・・・。
 
 
 
 若葉萌える山々に囲まれたこの景色、本当に素晴らしい。かねてから見たいと思っていた新緑の季節の川乗線を堪能出来て、今日は本当に満足だ。こうなると、他の季節の景色も見てみたくなる。ここから見る紅葉や雪景色なんて最高だろうなあ。まあ冬にバイクでここまで上がってくるのは無理だろうけど(笑)。
 
 
 
 出た、燃え過ぎ看板!さすがのリス君も為す術無しだぜ。説明的な「たばこ」の文字がかわいいな(笑)。
 
 
 
 起点近くまで下ってくると、登山口へと向かうハイカーの姿が目立つようになってくる。なるべく彼等の邪魔にならないようにしたいんだが、道いっぱいに広がって歩くハイカーの間を縫って通過するのはなかなか大変だぜ(笑)。
 
 
 
 やっと日原街道沿いの起点まで戻ってきた。まだ時間的には早いけど、念願だった日向沢線のトンネルも越えることが出来てすっかり満足したので、今日はそろそろ戻るとするかな。
 
 っと、そうそう、ここまで来たらついでに行っておきたいところがあったんだ。一旦国道方面に向かって走り出してすぐにそのことを思い出し、慌ててUターンしてその目的地へと向かっていく。帰る前にちょろっと立ち寄って行こう。
 
 
 
 たしかここでいいはずだよな・・・。
 
 
 
ビンゴ!
 
 
 
 ここには、僅か数十m程の区間だが、今はもう使われることの無くなったレールが延びている。
 
 
 
 その片方の末端には、レールから脱線したトロッコが打ち捨てられたままになっていた。
 
 
 
 崖っ淵ギリギリに敷かれたレールは、現役当時は路盤もしっかりとあったはずだと思うが、今では所々でレールが宙を渡ってしまっている。
 
 
 
 その崖の外側は、遥か下に日原川が見えている。あまりぎりぎりまで近づきたくはないな・・・。
 
 
 
 ここは丸太でレールを支えている。稼働当時からこんな状態だったのだろうか。意外としっかり残っているようにも見えるが、その丸太とは対照的に、枕木のほうは不釣り合いにぼろぼろだ。
 
 
 
 錆びてざらついた質感を見せる赤茶けたレール。はあ〜、思わずため息が出てしまう。
 
 
 
 こんなアングルから廃レールを眺めることもできます。
 
 
 
 現存するレールの、もう一方の末端。かつてはこの先にもレールが続いていたようだが、どうやら谷底に崩落してしまったようだ。
 
 
 
 その谷間を覗いてみると、落下して壊れたトロッコがそのままに放置されていた。
 
 
 

 レールの脇から生えた木は、そのままレールに腰掛けるように根を張り、この木の成長がそのままこの区間が廃止されてからの年月を語っている。
 新緑に彩られた山の中に静かに横たわる廃レール。最強のコラボレーションを前に、自分の意識までもこの景色の中に溶け込んでいくようだ。
 
 
 
 帰り際の僅かな時間ではあったが、ちょうど新緑の眩しい時期という事もあって、思いのほか素敵な景色を見ることが出来て大満足だ。
 この辺りには他にも、かつての日原の住人が渡ったという古道が眠っているようだし、自分もいつかは、あの対岸にも渡ってみたいもんだ。