東谷林道自転車散策
2013/06/28 埼玉県秩父市・東谷林道サイクリング-A
 
@はこちら。
 
 東谷林道の終点を引き返し、要倉沢林道との分岐点に来た。こちらは開設が始められたのが平成10年度と、比較的新しい林道のようだ。起点から路面はコンクリート舗装なだけあって、道はかなりの勾配で登っている。
 
 最初のカーブを越えると、そのすぐ先で路面が未舗装に切り替わっているが、そこから先も路面の勾配が緩くなる気配は無い・・・。
 
 下草に覆われた道は、路面の状態は全くと言っていいほど見えないが、足を踏み入れると大きめの石がゴロゴロと転がっていて、急坂の路面と相まって非常に歩き辛い。しかも、足を踏み出すたびに 露に濡れた草が纏わりつき、既に足元はぐっしょり・・・。
 
 再びコンクリの舗装区間へ。この坂を登って行くのもなかなか大変だが、考えてみれば、これを下って行くのもそれはそれで大変だったりするんじゃないのか・・・?
 
 実にすばらしい空模様だ・・・。
 道はコンクリートと下草の路面を交互に繰り返す。この辺りまで来た時に、あることに気付いた。以前、要倉沢林道について調べているときに、この要倉沢林道を施工した会社のウェブサイトで、この道の工事中の写真を1枚だけ見たことがあったが、その写真に写っていた区間が、まさに今いるこの場所のようだ。さすがにその写真は開削直後だけあって、こんなに緑色の路面では無かったが(笑)。
 
 やがて道は右手に90度曲がる地点へと至るが、そこには崩れた土砂が積もっている。軽い崩落があるためか、そこから先の路面にはここまでよりもやや背の高い雑草が茂っているが、そこからすぐ先で道の先が暗くなっている。
 
 続く路面の奥は斜面で遮られ、ガードレールもそこを境に途絶えているようだ。
 
 来た!ここが要倉沢林道の終点だ。ずっと急勾配のしんどい道が続いていたので、だいぶ長いこと進んで来たような気もするが、実際は東谷林道との分岐からここまで300mも無かったんじゃないかな?ともかく、ずっと気になっていた要倉沢林道を、ようやくこうして通ることが出来た。感無量である。
 
 これで今日の目的は完遂だ!こんな空模様だし、こんな山の中ではいつ雨が降ってもおかしくなさそうだ。本当に降られる前に下るとしよう。
 
 で、やっぱり思った通り、こんな勾配だと下るのも一苦労だ。ただでさえこんな急な下りなのに、路面には大粒の石が散乱していて、常にブレーキを握りっぱなしにしないと怖くて下って行けないよ・・・。
 
 東谷林道に合流した。下りもときおり沢の流れに目を奪われつつ、更に起点へと向けて下って行く。
 
 緑に苔生した谷を流れ落ちる沢が美しすぎる。今日は生憎こんな空模様での散策となってしまったが、いずれ晴天の日に改めて訪れてみたいものだ。・・・写真も撮り直したいしね(笑)。それに、ここは秋に来ても良さそうだ。紅葉に包まれた渓流沿いの道を想像しただけで、もう今から楽しみになってくる。
 
 ひたすら下りの道のりを走り、起点のゲートまで戻って来た。これで本日の東谷林道の散策は終了だ。ここも本当に美しい林道だった。終点までの全長およそ2km程、出発から2時間にも満たない短い時間ではあったが、自転車での林道散策は、オートバイとはまた違った充足感があるんだよな。んー、これは癖になってしまいそうだ(笑)。
 
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 さて、ここから先は、大多数の方にとって割とどうでもいいことだと思われる内容になっておりますので、読み飛ばしていただいて結構です(笑)。
 
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 冒頭にも書いたが、今日秩父まで出て来たのには、自転車での林道散策に加え、もう一つの目的があった。というわけで、東谷林道を引き返して秩父市街地方面へと向かい、次の目的地へとやって来た。
 
 ここは秩父市久那、県道72号線の路上である。この地点の脇に平仁田公会堂が建っているが、その向かい側から一本の道が山に向かって分岐している。一見、民家にでも向かっていくようにも見える細い道だが、県道との分岐点に、古びた一本の林道標識が立っている。
 
 その標識、驚くべきことに何と旧タイプなのだ。先日確認した枌木線の起点標識で、県内に現存する旧タイプ標識としては最後の確認になったであろうと思い込んでいたのだが、まさかまだ未知の旧タイプが潜んでいようとは思いもしなかった。ただ、この標識についての情報を教えてくれたTKさんによると、この道の奥にはダートが残っていて、良く走りに来る道だということだが、いままでこの標識を目にしたことは一度も無かったという。
 
 つい最近になって掘り起こされたものを誰かが立て懸けたようだが、こうして再び日の目を見るまでのあいだ、ずっと藪にでも埋もれていたのか、標識そのものは他の旧タイプと比較しても風化の度合いが激しく、標識表面には緑色の塗料が僅かに残るものの、路線名や支柱に書かれているはずの管理主体の名称などの文字情報は一切窺い知ることは出来ない。
 こういう情報を得るには、地元の住人へのヒアリングが一番確実なのだが、この日はたまたまだったのか、この付近で外を歩いている人を一切見掛けることなく、残念ながら現地で情報を得ることは出来なかった。さすがにこんな事を聞くのにチャイムを鳴らすのも気が引けるし・・・。なのでこの後、秩父市役所の森づくり課を訪れ、この路線について質問してみたが、この道は現在、市道147号線に編入されているらしく、古い資料も残っていないので林道時代の路線名は残念ながらもうわからない、とのことだった。では市役所が駄目なら、ということで続いてその近くにある秩父農林振興センターにも立ち寄ってみた。だが、やはりここでも古い資料などが残っていないらしく、林道台帳なども調べてはくれたのだが、市役所同様、既に市道となった道の林道時代の名称はもはや知る術が無いようだった。残念ではあったが、お礼を述べてその場を後にした。
 
 ああ武甲山よ、きっとあなたなら何でも知っているんでしょうね・・・。結局、確実な情報を得ることは出来なかったが、農林振興センターで話を伺ったときに、あの道の奥に平仁田の集落があるので、恐らくはそのまま「林道平仁田線」ではないか、と言われた。確かに集落の付近を通る林道にその名が付くのは納得のいくところでもあるが、ただ、あの道沿いの集落の様子から思うに、まず林道が開削されてから後に集落が出来たのではないか、という気もする。そうなると、順序的にその名称で本当に合っているのか、という気がしなくもないが・・・。とりあえずは他に情報もないし、一旦は仮称としての「平仁田線」でサイトの更新をしようと思い、この日は帰宅した。
 
 翌日、TKさんから驚きの報告が飛び込んできた。再び現地を訪れたTKさんによると、たまたま付近を自転車で通行中のおじいさんに話を聞くことが出来たのだそうだ。その老人によると、あの道の名前は「林道上野山線」というのだそうだ。何と、まったく予想だにしなかった名称が出てきたが、その老人はその後自転車を押してその道を登って行ったらしく、まさにこの道沿いの集落に住んでいる方の話しなので、この名称でまず間違いはないだろう。その後、更に付近にいたおばさんにも話を聞くことが出来たらしく、その方によれば、最近付近の草刈りをしたようで、どうやらこの標識はその時に発掘されたようだ。

 というわけで、この林道については「林道上野山線」として旧タイプ林道標識図鑑の更新をしたいと思う。まさかまだ未知の旧タイプ標識が現存していたなんて本当に驚きだった。今日は車だったために林道の奥まで進入することは控えたが、BAJAが戻ってきたら改めて訪れて、道の奥の様子も含めて見てきたいと思う。・・・写真も撮り直したいしね(笑)。それまで残っててくれよ!