晩秋の奥秩父へ
2014/11/03 埼玉県秩父市・奥秩父林道サイクリング-A
 
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 更に進むと、3つ目の橋が現れる。名称は不明だが、この山側の斜面からは幾筋かの沢が流れ込み、この橋の下で合流し谷へと下っていく。
 
 橋の上から谷へ流れていく沢を見る。実に美しい景色だ・・・。
 
 道は再び日向へ。この辺りは路上の落ち葉もほとんど無く、非常に走りやすい。いや、走っては無いか。
 
 おお!この青空を背景に林立する白い幹の並び!何と言う美しさだ!同じ道でも季節が変われば当然見える景色も変わる。やはりこの季節に再訪して良かった。
 
 その先で道の脇に大規模に削り取った法面が聳え、道は日陰となる。ここまでの景色と異なり、ここがどれだけ急峻な地形となっているかが窺い知れると思う。
 
 その岩壁沿いに進むと、すぐに谷側に突出した場所が見えてくる。おお、遂に来たぞ・・・。
 
 うおおおお!どうだ、この景色の素晴らしさは!澄み渡った青空の広がる中、眼下には秋色に染まった山々が遥か彼方まで連なっている。これだよ、この景色が見たくて今日ここまで登って来たのだ!
 
 (↑写真をクリックすると、別ウインドウで拡大写真が開きます。)
 この場所からの眺めの素晴らしさを少しでも多く伝えたくてパノラマにしてみた。本当にここまで登ってきて良かったと思うに足る景色だ。
 調べると、ここは白岩谷と呼ばれる場所で、この奥秩父林道沿いの谷の中でも、極端に深く切れ込んだ谷を形作っている。今立っているこの場所も、足元は遥か下まで続く深い断崖となっていて、うっかり足を踏み外そうものならそのままあの世へ真っ逆さまだ。
 
 対岸には、ほぼ垂直に聳える剥き出しの岩盤が見える。これがこの白岩谷の名の元になった白岩の岩峰とのことだ。
 
 先ほど通過してきた高い岩壁の場所も、ここから見るといかに険しいところに道を通したかがよく分かる。
 
 以前来た時と異なり、今日はこの場所が日陰になっているため、自転車を入れて写真を取ると完全なシルエットとなるが、これはこれでなかなかカッコイイかも(笑)。
 
 ここへ到達したのが11:57AM、起点を出発してちょうど一時間半経っているが、気が付くと全身汗だくとなり、一番下に着ていたTシャツは既にびっしょりになっていた。正直ここまで汗をかくことは計算に入れて無かったが、気温自体もかなり低いこの場所で、このままでいては風邪をひいてしまう。一旦上半身全裸になり、脱いだびしょ濡れのTシャツをリュックに括りつける。それと、ここまではずっと素手で登って来たのだが、この日陰の中にいると、そのままでいるのが辛いほど指先が冷たくなってきたので、慌ててリュックからグローブを取りだす。ここは既にそれほどの場所なのだ。
 
 少しの休憩を経て、再び道を進みだす。今日の目的だった白岩谷からの景色を見ることは達成したが、せっかくここまで来たんだ、あの廃道区間の入口までは行ってみよう。
 
 白岩谷の一番奥まった地点に、その谷を跨ぐしらいわ橋がある。
 
 その橋の上から、先ほど立っていた地点の方向を眺める。いかにこの谷が急峻な地形をしているかがよく分かると思う。
 
 しらいわ橋を越えてすぐ、今度はふたまた橋が現れる。
 
 橋の上から山側を見ると、山の上から下る2つの沢の流れが、橋の下でひとつの流れに合流している。これがこのふたまた橋の名の由来だろう。
 
 白岩谷を抜け、道は再度日向へと出る。この辺りはすっかり冬枯れた景色をなっている。
 ちなみに目の前に見えているのは橋では無く暗渠だ。
 
 後ろに見える、斜面に立て掛けた梯子の先には、十文字小屋へと続く登山道が延びている。こういった登山道のためにも、この林道には今でもちゃんと維持管理の手が入っているんだろう。
 
 そして遂にこの場所までやって来た。ここが現役の道としての末端であることを伝えるバリケードだが、前回は見られなかった張り紙が付けられている。どれどれ・・・。
 
 登山道・・・まあそうだよな、一般車両の通行が出来ない以上、一般の人にとってのここは登山道以外の存在意義は無いからな。
 
 そこからふと道の外へ目を遣ると、遥か先の稜線近くに、この先に続く道が見えた。
 
 改めて思うが、本当によくこんな山奥まで道を延ばそうと思ったものだ。あの場所は既に廃道化した区間だが、これから先、どれだけ時が経っても、岩を切り通して造ったあの地点のあの道は、ずっと同じように道の痕跡を残し続けるんだろうな。
 
 そしてとうとう、本当に車両の通行が不可能な地点までやって来た。
 
 ただの崖を撮ったかのようにも見えるかと思うが、これは道の上に堆積した土砂だ。ここから先は、こんな崩落個所が数えきれないほど続いているのだ。
 
 落葉の進んだ今の時期なら、この先の区間もまた違った景色が見られるとは思うが、今日は大人しくここで引き返そう。
 
 ・・・だって、こんな時期に熊さんと鉢合せでもしちゃったら怖いじゃんかよー・・・。
 
 現在時刻、0:36PM。帰還を始めよう。
 
 帰る前にもう一度、白岩谷に立ち寄る。普段は全くしないのに、ここへくるとやはりどうしても自分も入れて撮影したくなってしまう(笑)。ちなみにいま立っているこの場所、こんな切り立った崖になっている。下を覗くのも怖いくらいなんだぜ・・・。
 
  眼下に見える山肌の中には、ここまで辿って来た道も見えている。こんな山奥にいま一人きりで立っていることが、とてつもなく贅沢な時間を過ごしているような気分だ。
 
 さあ、もう一度この景色を目に焼き付けて帰ろう。
 
 ここからはずっと下り勾配が続くので、あとは重力に任せて下って行くだけだ!
 
 下り走行の様子を動画に撮ってみた。振動でかなりブレブレだけどよろしければどうぞ。あと、途中でメットに括りつけていたカメラが傾いて地面ばかり映ってしまっていたので、突然映像が途切れるけどご了承くださいませ(笑)。
 
 路面を覆い尽くす落ち葉の中を一気に駆け下りていく。普段あまり味わうことの無いこの感触が楽しくて仕方ない。
 
 しかも、それがこんなストレートだったりするともう堪らない!これが下りの醍醐味なんだよ!
 
 これ以上無い程の爽やかな秋晴れの中、ひたすら坂道を下っていくのが本当に気持ち良い。
 って、あれ?ここ往きにも撮ったよな?まあいいか(笑)。
 
 そして、本当にあっという間に起点のチェーンゲートまで戻って来た。白岩谷を発ってから僅か30分、途中で動画撮ったり写真撮ったりしながらだったけど、それを含めてもたったの30分でここまで戻ってきてしまった。自分の足で稼いだ、本当に貴重な下りの30分だった。ああ、楽しかった!
 
 これで本日の奥秩父林道サイクリングは終了だ。思い描いていた紅葉の景色にはやや遅かったようだけど、白岩谷から見た景色は本当に素晴らしかった。ここにはまた折を見て訪れるとしよう。
 
大河俣林道に続く。