秋色に染まるロングダート
2015/11/04 群馬県沼田市・栗原川林道-@
 
 どうもこんにちは。ナノレカワでございます。
 今年も残すところあと2ヶ月を切りましたが、今頃になってちょっと(ちょっと?)遅めの夏休みを取れることになりました。せっかく休みが出来たんだったら、もう林道に行くしかないでしょ!でもどこへ行こう?
 実は、時間が出来たら行こうと思っていたところがあった。群馬県の、関東有数のロングダート、栗原川林道だ。ちょっと前から久しぶりに行きたいなあ、と思っていたのだが、思い返せば前回最後に訪れたのが2007年の5月、実に8年以上も前のことだった。そんなに経ってしまっていたのが自分でも意外だったが、本格的に寒くなる前に、久しぶりにあのロングダートを満喫してくるとしよう。
 
 今日は時間はあるからと、オール下道でのんびりとやって来た。
 国道122号から県道268号線へと入り、出発からほぼきっかり3時間を経て、まずは全線舗装の林道小中西山線へ到着。ここから林道小中新地線へとアプローチする。
 
 路面こそ舗装だが、山深い中を延びる道は、林道らしさをじゅうぶんに感じさせるものだ。もしかすると紅葉にはちょっと遅いのかな、なんて思って出てきたものの、周囲の山肌もまだ紅葉のピークには至っていないようで、この分ならこの先では思いのほか秋の景色を楽しめるかもしれない。
 
 おお、これは良い!朝日に照らされた紅葉と、その下で影となるトンネルのコントラストが実に綺麗だ。
 そして、この辺りまでは何故か車の通行が結構あり、それはこの先に滝へと至る展望台があったかららしい(名前は見なかった・・・)が、そこを過ぎるとさすがにひと気も無くなり・・・。
 
 うおお!これは素晴らしいぞ!ここまではさすがに車も入って来ないのか、タイヤの痕も無く一面に降り積もったカラマツの落ち葉が、道を橙色に染め上げている。ダートに入る前からこんな景色が見られるなんて、予想外の展開に俄然気分も高まる。
 
 今回は、ロングダートを走ることだけを考えていたので、紅葉に関しては特に期待せずに来たのだが、初っ端からこれだけの景色が見られるとは思わなかった。雲ひとつ無い青空に鮮やかに染まる紅葉が実に良く映える。
 
 植生によっては、既にすっかり葉を落としきった場所もあるのだが、晴れ渡った空の下で見る冬枯れた景色も、これはこれで実に趣がある。
 
 小中西山線を直進し、突き当りを左手に折れて更に進むと、いよいよ林道小中新地線のダート区間がスタート!この小中新地線から栗原川林道までを含めると、ダートの総延長はおよそ50kmにも及ぶという。今日もここからまるっと味わっていくとしよう!
 
 見覚えのある掘り割りへ辿り着くと、突然その向こうに一面の鮮やかなカラマツ林が現れた。おっ、おおお!な、何だ!?凄いぞこれは!
 そうか、以前来た時は気にも留めなかったのだが、この周辺ってカラマツ林になっていたのか。今まで栗原川に来た時はいつも緑のある季節だったのだが、秋に来るとこんなにも見事な景色へと変わるんだな。先日中津川林道へ行ったときには三国峠で折り返してしまったのだが、峠から川上村のカラマツを見て、あの中を走りたいと思ったことが、まさかここで叶えられるとは思わなかった。
 
 橙色に染まる山の上に広がる空に、蒼白く光る月が浮かんでいる。思いがけず飛び込んできた景色の美しさにちょっと感動しております(笑)。
 
 小中新地線を更に下っていく。この道は、路上に結構大きめの玉砂利を敷き詰めた区間が多く、うっかりしているとフロントタイヤが乗り上げた石がごろっとずれることもあってヒヤッとするので気を付けろッ!
 
 それにしても、この晩秋の林道の美しさよ。路上を斑に埋めるカラマツの落ち葉と、そこに落ちる冬枯れた幹のシルエットが描くストライプ。それでもここは、まだ今日の真の目的地にも至っていないのだ。そもそもトータルで50kmに及ぶロングダートに来ている訳で、序盤からこんなにウットリしているといたずらに時間が過ぎてしまいそうなので、ちょっと今日は急ぎ足で進むとしよう。
 
 ごろごろした玉砂利の道を下り切り、小中新地線の終点に到着。
 
 ・・・久しぶりに来たけど、やっぱりこの標識はこのまんまなんだな(笑)。まあ、ちゃんと読めるし機能的には何も問題ないけどね。
 で、ふとこの先へ続く新地林道のほうを見ると・・・。
 
 うおおおおっ!マジか!新地林道のゲートが開いてる!き、奇跡だ、奇跡が起きた!こっ、これは行くしかねぇっ!
 
 この新地林道を走れるなんて、栗原川に初めて来たとき以来だなー。あの時は普通にゲートが開いていて何も考えずに栗原川林道まで抜けていけたんだが、それ以降ゲートが開いているところを見たことが無かった。今日はせっかく開いてたんだから目いっぱい楽しませてもらうぜ!
 
 周囲の景色なんてもう全然覚えていなかったけど、さっきの小中新地線に負けず劣らずの素晴らしい景色が続いている。やはりカラマツの橙色の紅葉はちょっとした特別感があるよね。
 
 なんてウキウキ気分で走っていたら、この先をちょっと進んだところで伐採作業の現場に出くわし、現場の人に止められてしまった。そういや今日は平日だしな、だからゲートが開いてたのか。奇跡でもなんでもねぇわ・・・(笑)。
 その人曰く、この先で落石があるらしく危険だから引き返せ、とのことだったが、何となくそれが本当の理由では無い気がする(落石がある「らしい」って言い回しが妙に引っ掛かる 笑)。要は単に作業の邪魔だから入って欲しくないってのが本音だろう。それならそう言ってくれて構わないんだけどな?
 それにそもそもこの新地林道は国有林林道だし、本来一般車両が入れないはずの道ではあるので、むしろここまで入って来れただけでも良しとしないと。
 
 という訳で、小中新地線との分岐まで引き返し、その先に続くダート路を下っていく。新地林道を最後まで走り切れなかったのは残念だが、こちらの道も景色の素晴らしさでは何ら劣るものでは無い。
 
 一旦、根利牧場の脇を抜けて栗原川林道へと回って行く。しゃがんでいた牛くんを撮っていたら、鬱陶しがられたのか、ちらっとこちらを見て立ち去ってしまった。お休み中のところすいませんでした(笑)。
 
 さあ、遂に8年振りとなる栗原川林道へやって来たぞ!この獣除けのゲートを超えて林道へと入って行く。開けたらちゃんと閉めようネ!
 
・・・ひぃ〜〜〜。
 
 ま、まあさすがの熊さんも走ってバイクを追いかけてくることも無いでしょう・・・。晩秋の栗原川林道を思いっきり楽しませていただくとしましょう。
 
 紅葉の色彩を写し取る水面がまた実に美しい。この季節ならではの光景についついウットリ。
 
 少し進むと、道の両脇に伐採した丸太が山と積まれた現場があり、周囲には伐られたばかりの木の芳しい匂いが立ち込めていた。もしかしてここでも追い返されるかも・・・何てちょっと焦ったが、幸いここでは作業をしている様子は無かった。
 
 道沿いではカラマツ以外にも、こんなに鮮やかな葉が景色に彩りを添える。
 
 空は青いし紅葉は綺麗だし、ああ、楽しいなあ。まさか夏休みにこんな素敵な紅葉を見られるなんてなあ(笑)。
 
 さあ皆さん!ここは林道でも珍しい十字路ですよ!
 左はケヤキ沢支線、右は高場沢支線だが、残念ながらどちらもゲート閉鎖だ。まあ俺の場合、栗原川本線を進むだけで膨大な時間を要してしまうし(笑)、そもそもゲート閉鎖ということで容易に諦めも付くのだが、仮に俺が群馬県民で県下の林道制覇を目指そうとしていたら、埼玉のそれとは比べ物にならないくらい大変だっただろうな・・・。
 
 日向の中で見る秋の景色も素晴らしいが、ちょっと日陰で見られる、ひと足早く冬を感じさせるような景色もまた実に味わい深い。
 
 日向に出たカーブで、道のわきにひとつの看板が立っているのに気付いた。看板とあればとりあえず確認してしまうので、いつものようにちらっと脇目で見てみると・・・。
 
 うお、マジか!そう思って自分のスマホを見てみたけど、これっぽっちも電波入って無かったぞ!
 まあでも、皇海山の登山口には「D○C○M○使えます」って張り紙あったし、キャリアによるのかな?
 それよりもこのデザイン、何気に林道標識を意識してるよね(笑)。
 
 さて、そろそろ腹も減ったし、昼飯に良さ気な場所を探しながら走っていると、路肩にちょっと広くなったスペースを発見。よし、ここで飯にしよう!
 
 今日はこの斜面の淵に腰掛けてランチタイムだ。
 
 目の前に立ち並ぶ木々もすっかり冬枯れて、前方の山々がいい感じに見通すことが出来る。写真じゃあイマイチっぽいけど、肉眼だとそこそこいい景色だったんだよ(笑)。
 飯を終えてコーヒーを飲んでいると、一台のオフローダーが通り掛かった。こちらが顔を上げると、片手を上げて走り去って行った。平日が休みなのか、今日の俺のように代休なのか、結局この日にすれ違ったライダーは彼一人だった。
 
 後ろを振り返ると、日陰の斜面に裸になった幹が立ち並ぶ。こんな光景を見ると、本当に冬ももうすぐそこまで来ているんだなあと実感する。
 
 飯を終えて再び走りだす。時折木々の途切れるところから遠くの山が見渡せる。いつの間にか、周囲の稜線が視線よりも低い位置に来る程の標高まで来ていたようだ。
 
 その道のピークとなる場所に着いた。ここに一つの石碑が置かれている。
 
 この栗原川林道について書かれたものだ。一つの林道の開削に30有余年・・・ちょっと気が遠くなるような話だが、これだけの山深い中にこんなに長い距離の林道を造ったのだから、「幾多の難関を克服」というのも決して大げさな話では無いのだろう。
 
 そして、前回も気付いて単に忘れていただけなのか、ここにも支線が延びているのに気付いた。この栗原川林道、本線だけでもとてつもない長さなのに、全ての支線を含めると一体どれほどの総延長がこの山の中に張り巡らされているのだろう。
 
 その地点を過ぎると、道は全般的に下りへと転じる。
 
 お、向かいの斜面にこれから進む道が見えている。こういう遥か先の景色の中に続きが見えているのって何か楽しいな。
 
 削り取られた岩肌が剥き出しのこの法面。見上げるとちょっと面白い個所がある。
 
 流れ込みの痕なのだろうか、ハーフパイプ状に綺麗に抉れた溝がある。ここを見上げていると、上からでっかい岩でも転がり落ちてきそうな気がしてくる・・・さっさと立ち去るとしますか。
 
 この周辺はもうすっかり木々も冬枯れたように見えていたが、あの目の前の稜線付近はまだ辛うじて葉が残っているようだ。澄んだ空の青さとカラマツの橙色って本当にいい組み合わせだよなあ。
 
 さあ、まだまだ先も長いし、どんどん進んでいくよ!
 
Aへ続く。