晩秋の東谷林道を歩く
2015/11/07 埼玉県秩父市・東谷林道-A
 
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 いよいよ東谷林道の終点へと辿り着いた、我ら『東谷わくわく探検隊』。車道としての終点ではあるのだが、ここから先には酉谷山へと続く登山道が延びている。
 
 そもそもこの登山道、まあもさんによればとても初心者向きとは言えないような道らしく、今日はこの先までは行く予定では無いのだが、ちょっとだけこの先を覗いてみようということになり、谷に沿う踏み跡を辿って行くことにした。
 先を行くまあもさんの後について歩いて行くが、この先に見える尾根を回りこむ地点で、まあもさんがうっかり足を滑らせて転倒してしまった。
 はははっ、まあもさんしょうがねぇなあ〜、なんて思う間もなく、ふとその足元を見下ろすと・・・。
 
うわあああっ!コレやばいって、やばいって!!
 
 まあもさんが足を滑らせたその先は、先ほどクイナ沢橋の上から見下ろした谷底まで一気に続く急斜面となっていた。一瞬ゾッとしたものの、咄嗟にまあもさんの体を掴み、その足元に俺の足を立ててそれ以上滑り落ちないようにして、何とか体勢を立て直した。
 
 これがその足を滑らせた現場でございます・・・。まあ、冷静に考えれば下まで滑り落ちても死ぬことは無かったかもしれないけど、骨の1本や2本は持っていかれてたかも・・・。そんなんで、これ以上先へ進むこと無く、二人してスゴスゴと引き返してきたってハナシです・・・。
 
 車道を引き返し、だいぶ腹も減って来たので、そろそろ飯にしよう。先ほどの炭焼き小屋跡地の脇から川沿いに降りる歩道があるのだが、その先に、かなり雰囲気の良い堰堤がある。
 
 今日はここでランチタイムだ。堰堤の周りを彩る紅葉がまたいい感じだなあ。堰堤ダイスキーなまあもさんは、写真を撮ったり動画を撮ったり、たいそう嬉しそうでありました(笑)。
 
 さて、写真を見てもらっても分かるとおり、この堰堤の奥にも歩道が続いている。この堰堤の先の道を往くのが今日のメインの目的なのだ。ただ、ここを渡るには少々川幅が広いようだ。まあもさんは、以前はここに橋があったと言っていたのだが、それらしいものが見当たらなかったので、まあもさんは無理矢理ここを飛び越えていった。さすがに着地の一歩は足を濡らしてしまっていたが、うーん・・・この時期に濡れたくねぇなあ(笑)。ということで、改めて周囲を探してみると・・・。
 
 ありました(笑)。この鉄の足場、恐らくは増水などでも流されないようにとワイヤーで繋がれていて、必要なときだけ川を渡すようだ。俺はこれで濡れずに済んだけど、もうちょっと早くちゃんと探せば良かったね・・・。
 
 という訳で、いよいよこの先を辿って行くぞ!
 
 階段を登り切り、少しの斜面を登ると、その先に石垣が見えている。へぇ、結構ちゃんと歩道として造られているんだな。
 
 歩道を歩きだすと、辺りには純粋な倒木なのか、切り倒されたものなのか、一面に丸太が散乱し、荒廃した雰囲気が漂っていた。さすがにこちら側までは人もそう入っては来ないのだろうか。
 
 道沿いには、こんな巨岩もある。先を行くまあもさんとの対比でどれだけ大きいかが分かると思う。
 
 しばらく行くと、道は断崖にそって延びるようになる。足元には大量の落ち葉が積もっているので、うっかり足を取られたりしないように気をつけないとな。
 
 なんて思っていると、意外なことに、突然目の前に簡易的な足場が現れた。そんなに古いものでもなさそうで、先ほどの倒木区間からはちょっと想像がつかなかったが、この道も定期的に人が立ち入っていることが分かった。
 まあもさんによると、この道は地図にも載っていないらしく、どうやらあくまでも東大演習林の巡視路として使われているようだ。だから簡易的ではあるが最低限、人が通れるだけの整備がされているのだろう。
 
 この先にも2ヶ所程、明らかに道の着けられない崖の地点には同様の足場が組まれていた。ただ、少しでも踏み跡が付いている場所は極力それを利用するようになっているのだが、ここも急峻な崖であることに変わりはないので、慎重に慎重を重ねてゆっ・・・くりと辿って行く。
 
 その崖を過ぎると、急に道は穏やかさを取り戻し、こんなにも良い雰囲気へと変わった。山肌を飾る色とりどりの紅葉と、歩道を埋め尽くす落ち葉、そして岩を覆い尽くす苔が織りなす景色が、まるで良く出来た庭園にでも来たような気分にさせてくれる。うわあ、すっごく良いなあ、ここ。ここで腰掛けてコーヒーでも飲んだら最高だろうなあ。
 
 その先で、対岸に滝が見えた。そうか、さっき堰堤の前で飯を食べているときに、何やらドーッ・・・という低い音が聞こえていたのが気になっていたのだが、この滝の音が谷を伝って響いていたんだな。
 そして、うっかり写真を撮りそびれてしまったのだが、この上に橋が掛っているのが見えていた。あれは・・・林道の終点手前のクイナ沢橋だな。つまり、もしさっきまあもさんが谷底まで滑り落ちていたとしたら、最終的にあの滝の下に到着したというワケだな(笑)。
 
 と、そんな滝に見とれつつ、ふと道の先に目を戻すと・・・。
 
 おおおっ!何と、こんなところに吊り橋が!
 先程通過した簡易的な足場があったことで、この道に定期的に人の出入りがあることは分かったが、まさか吊り橋まで用意されているとは正直意外だった。ただ、今いるこの位置の先は岩壁となっていて、この先に進むには対岸へと渡る以外になく、この深い谷を渡るには吊り橋の設置は必然だったのだろう。
 吊り橋と言えば今年の6月に行った赤沢軌道へと続く登山道でも渡ったが、それとは比べ物にならないくらいよく揺れるんだこれが・・・。あくまでも演習林の作業道として必要最低限の規模で造られたということが伺える。
 
 で、渡りだして足元を見ると、いきなり踏み板に穴が開いてんじゃんよお・・・ひいぃ。
 
 それでも、紅葉の中にひっそりと佇むこの吊り橋のある景色はなかなかのものだ。これを見るためだけでもここまで歩いてきた価値はじゅうぶんにあった。
 
 吊り橋を渡ると、すぐに東京大学の「山火注意」の看板が立っている。少し開けた場所の先に道が続いているようなので、もう少しだけ進んでみよう。
 
 しかし、そのすぐ先でここに架けられていた木橋は、既に使い物にならなくなってどれくらい経ったのだろうか、苔生した無残な姿を晒していた。ただ、良く見るとこの上に巻き道があったので、そちらを渡って先へと進む。
 
 ・・・ひいぃぃぃぃ〜。落ちたら痛いよねぇ、やっぱり・・・。
 谷底を覗き込みながら、落ち葉の堆積した人ひとり分の踏み跡を、慎重に進んでいくんだぜ・・・。
 
 やがて道は谷を下り始め、川岸へと降りてきた。見たところどうやらこちら側にはこれ以上道は無いようだ。
 
 そして、対岸を見ると、木の幹にリボンが付けてある。どうやらまだあの先に道は続いているようだ。ただ、ここに橋は無く、向こう側へと渡るには、川に転がる石を伝うしかなく、ちょっと頑張れば渡れなくも無さそうではあったが、うっかりすれば足を滑らせて川に落ちてしまうことも有り得る。こんな季節にそれだけはカンベンだぜ・・・。
 
 それに、空を見上げると、いつの間にか朝の陽射しが嘘のような重苦しい雲に覆い尽くされている。こんなときにこれ以上山奥へと踏み込むのは少々リスクが高いだろう。まあもさんはまだあの奥が気になっているようだったが(笑)、今日は無理をせずここで引き返すことにした。ただ、やはりこの先は俺も気になるッ!恐らくは沢沿いに進みつつ、そのうち道が途切れて終わるのだとは思うが、その様子をこの目で見届けるためにも、ここはいずれ再訪せねばなるまい。
 
 堰堤へと向けて引き返していく。それにしてもここは本当に綺麗な道だ。ここが登山道でないのはちょっと勿体無いくらいだ。
 
 堰堤を渡り林道へと戻る。源兵衛橋の手前で再び遊歩道へと入る。
 
 往きには気付かなかったのだが、その道沿いの杉の幹がナンバリングされていた。まあもさんと、もしかして伐採する順番か?なんてことを言っていたのだが、実際のところは何の為のものなんだろう?
 
 ここから先は、先程源兵衛橋の手前で川を渡った地点には戻らず、このまましばらく遊歩道を下って行く。
 
 対岸には東谷林道の擁壁が見えている。んふふ〜、いいねこの眺め。林道おたく至福の時(笑)。
 
 しばらく下ると簡素な木橋が見えた。あれを渡って林道へ戻ろう。
 
 ふむふむ、了解でアリマス!
 
 という訳で、一人ずつ順番に渡ったのだが、渡り終えた地点に張り紙が落ちているのに僕は気づいたよ。
 
 おいー!そういうことは渡る前に教えてくれよ!・・・っつっても、どっちにしろここを渡るしかなかったんだけどさ・・・。
 
 という訳でようやくこの地点まで戻って来た。そういやちゃんとここで対岸の遊歩道へ誘導してるじゃねえか。渡っていいんだか駄目なんだかハッキリしてくれよもう・・・。
 
 さあ、あとはこのまま林道を下って行けば起点まではもうすぐだ。
 
 ・・・と思っていたら、まあもさんが林道を外れて歩きだしたぞ。おっと、面白そうじゃん。じゃあそっちへ行ってみますか。
 
 ここから少しのあいだ川沿いを歩いて行ったのだが、しばらく踏み跡を辿って行ったら再び林道にと戻って行った。
 
 おお、ちょうどゲートの目の前だ!ただいまー!
 現在時刻13:40、歩き始めて4時間近くが経過していた。林道そのものはそれほど距離が有るわけではないのだが、途中の遊歩道や演習林の巡視路に分け入ったりして、前回自転車で来た時とはまた違った楽しさを味わうことが出来た。それに、前から来たかった紅葉の季節のこの道の美しさは、やや陽が陰っていたとはいえ、それを補って有り余るほどの美しさを見せてくれた。
  ゲートを出てバイクを停めた場所まで戻り、時間的にはまだ走って行くことも出来るくらいだったのだが、この空模様を考慮して、今日はここでお開きとなった。
 今回まあもさんがきっかけを作ってくれたおかげで、秋の東谷林道を楽しむことが出来た。そして、あの巡視路の奥も気になるし、この東谷林道、またいずれ訪れることにはなると思う。まあもさん、今度はもっと日の長い時期に再訪しましょう!
 で、それはそれとして、まあもさんとはまたすぐに出かけることになる予定なのだ。それはまた次回!