夜明け前のプチ桜ツーリング
2017/04/16 埼玉県飯能市・林道八徳入線・八徳の一歩桜
 
 ・・・うーん、困った。全然寝付けない。
 たまにあるんだよなー、こういうこと。一睡も出来ずに朝になっちゃうやつ。今日は元々、早朝に出掛けて10時頃には戻るつもりで、昨夜は早めに布団に潜り込んだのだが、身体を横たえても目は冴えたまま、ただ時間だけが過ぎていく。3時近くまでそんな時間を過ごし、仮に今から寝付いたとしても、却って起きるのが辛くなるだけだな、と思い、いっそ前倒しで今から出掛けちまおうと思って、結局一睡もしないまま支度を始め、3:30AMに自宅を出発した。
 いつものように県道15号線を飯能へ向けて走っていると、途中、日高陸橋の先の猿田の交差点で、そこから先がパトカーによって封鎖されていた。お巡りさんに聞いたところ、何でもこの先で結構大きい事故があったらしく、国道299号へ抜けるには、一旦飯能市街へ迂回して欲しいとのことだった。多少の遠回りにはなったが、そもそもまだこんな時間なので何も焦る必要はない。のんびりと行こう。
 
 現在時刻、4:18AM。やって来たのは林道八徳入線。この林道沿いには「八徳の一本桜」があり、去年も満開のこの時期に見に来ている。今年はタイミング的に合わなければ無理して来なくてもいいかな、なんて思っていたのだが、ツイッターに流れてくる写真を見ていたらやっぱり我慢出来なくなったので、だったら早朝ツーリングで見てこよう、ってハズだったのに、なんでこんな時間にココにいるんでしょうね?
 
 早速起点から進んでいくと、目の前の空には月が浮かび、周囲の空を微かに青白く照らし、その下の木立のシルエットを浮かび上がらせる。真っ暗な杉林って、思いの外怖いもんだけど、でもそんな普段とは違う感覚がまた楽しさすら感じさせる。
 
 しばらく坂道を上り続け、八徳の一本桜に到着。現在時刻4:24AM、普通にまだ夜だよ・・・。
 
 一応、道から見える景色を撮ってみたけど、真っ暗過ぎて山の稜線が微かに見えるか見えないかくらいにしか写ってない・・・。写真だけ見ると、正直、俺いったい何やってんだろう?って気がしなくもない(笑)。
 
 でも、誰もいない暗い山の中で一人佇むこの感覚。何というか、そう悪くない・・・どころか、凄く良いぞ。久しぶりだなー、この感じ。
 ただ、そうは言ってもこの真っ暗な一本桜の下でそんなに間も持たないので、この上の展望ポイントまで、ちょっと歩いて行ってみるか。BAJA君、ちょっとここで待っててね。
 
 まだ夜が明けきらない山肌を静かに見下ろす。薄暗く静まり返った空気に包まれて、この山の中に立っているのが無性に楽しくて、一睡もしていないにも関わらず気分はどんどん冴えてくる。
 
 そんな景色を眺めていると、少しずつ景色が明るくなりだした。そろそろBAJAのところに戻ろうか。
 
 周囲はまだまだ薄暗いが、写真を撮っても何とか視認できるまでにはなって来た。夜明け間際の、周囲の明るさが刻々と変化していく様が本当に楽しい。
 
 奥に見える山々の稜線も、先程までの暗いシルエットから、徐々に青味を帯びたグラデーションへと変化していき、景色に奥行きを与えていく。
 
 正直、桜の発色に関しては、そりゃあ昼間の光の下で見るのには敵わないけど、こんな夜明けの中で見る桜も、これはこれで良いものだよ。この写真ではなかなか伝わり辛いとは思うけどさ(笑)。
 
 朝の訪れと共に、鳥たちの奏でるさえずりが幾重にも重なり始める。ここで飲むモーニングコーヒーはもう最高だぜ。
 こんな時間にはまだ誰も来ないだろうと思ってのんびり寛いでいたら、下から1台のライトバンが上がってきて、脇を通過していった。地元の人かな、と思ったが、その車はこの上の展望ポイントで停車し、そこから写真を撮っているようだった。地元の人には違いないかも知れないが、それでも見たくなる景色ってことなんだろう。
 
 この場所では、太陽はちょうど背後から昇ってくるかたちになるため、ご来光のような夜明けの景色にはならないのだが、こうしてじんわりと明るくなっていく景色の中に佇んでいるのも悪くない。周囲の明るさに比例して、少しずつ気温が上がっていくのが肌にダイレクトに伝わってくる。夜明け前の走行はまだ肌寒さを感じていたが、ようやく春らしい暖かな空気が漂い始めた。
 
 ゆっくりと昇り始めた朝日に照らされて、山々がその姿を穏やかに浮き上がらせる。空に浮かぶ月はまだ僅かに夜の輝きを残し、夜明けのこの僅かな時間にだけ見える景色に彩りを添える。
 
 現在時刻、5:37AM。ここに着いてから1時間ちょっとが経過した。BAJA君、やっと朝になったねえ。
 
 早起きは三文の徳って言うけど、何がいいかって、やっぱりこの空気感そのものなんだよね。
 
 すっかり夜も明けたし、そろそろ帰るとしようか。こんな早朝に来るのは全くの予定外だったけど、久しぶりに山で迎える朝は実に良いものだった。キャンプに行く時間が無くても、こういう楽しみ方も全然アリだ。夕べ寝付けなかったことも結果オーライだったな(笑)。
 
 さっき歩いて来た展望ポイントまで、今度はBAJAで上ってきた。
 
 むう、素晴らしく美しいな・・・。この景色が見れただけでもこの時間に来た甲斐はあった。
 
 例によって少しだけパノラマにしてみた(↑クリックすると別ウインドウで拡大写真が開きます)。
 ここで景色を眺めていたら、ちょっとやんちゃ風味の若いバイク3人組が下ってきた。こんな朝早くから元気いいなあって思ってたら(←お前が言うな)、一本桜の下で停まって記念撮影をしていた。あら、見かけによらず風流なのね。
 
 さて、今日はこのまま林道奥武蔵2号線〜林道権現堂線を経由して帰るとしよう。
 
 うわー、綺麗だなあ。杉林から射し込む朝日があまりにも美しくて、思わずシャッターを切ったんだけどこんなときにピンボケだよ・・・。
 でも、やっぱり早朝の山の空気感は最高だなー。昔、何であれだけ早起きして走り回ってたのか、その理由を久しぶりに思い出した気がした。
 
 顔振峠から見える、朝日に照らされた奥武蔵の山々がまた素晴らしく美しくて思わず停車。
 
 おおっ、富士山が綺麗に見えてるぞ!この時期でも、さすがに富士山はまだ真っ白なんだなー。
 
 現在時刻、6:21AM。鎌北湖にやって来た。せっかくこの時期に来たのなら、ここに立ち寄らない訳にはいくまいと思い、こちらへまわって来た。
 
 鎌北湖の桜は、もう見頃は過ぎたかと思っていたけれど、意外にまだまだ綺麗に咲き誇っていた。やっぱりこっちへ来て良かった。
 写真では静まり返って見えるかもしれないけれど、実際は湖畔には多くの釣り人が訪れていた。
 
 ここも太陽の光が射し込めば、かなり見栄えが良くなるとは思うが、谷間から見える朝日を見る限り、この場所が明るくなるにはもう少しだけ掛かりそうだった。そろそろ戻ってひと眠りするか。
 (ちなみに去年4月の鎌北湖の様子はこちら。)
 
 今年は桜の中のツーリングはタイミング的にどうかな、って思ってたけど、早起きして(厳密には早起きですらないけど 笑)出てきた甲斐があって、夜明けの中で実に美しい桜と景色を見ることが出来た。何より早朝の林道の楽しさを思い出せたのは大きかったな。ちょっと頑張って、また早朝林道ツーリング始めてみようかな。