林道を走ってオオカミに会いに行こう
2018/06/03 埼玉県飯能市〜秩父市・林道広河原逆川線〜林道御岳山線-A
 
@はこちら。
 
 御岳山線随一の展望区間を越えて、県道側区間に入る。ここは登山道と交差する地点だが、相変わらずこの付近は荒れてるなあ。そのうちこの辺りも舗装化のターゲットになってしまいそうで心配だ・・・。
 
 ただ、そこを過ぎてしまえば、あとはもうフラットな路面が続いている。緑を楽しみながらのんびり走るには最高の区間だ。
 さて、この御岳山線を出たら、目的の神社はもうすぐそこなのだが、ここを出る前に昼飯にしておこう。
 
 というわけで、俺的御岳山線での昼飯スポットにやって来た。
 
 今日は900mlのポカリを凍らせて持ってきてみたんだけど、全然融けてなかった(笑)。
 ここ、ちょうど斜面の際に排水溝が通ってて、水は無かったのでそこに腰掛けてお湯が沸くのを待っていたら、その溝の中に1匹のニホントカゲがいるのに気づいた。溝の両端を見渡しても、ここから出られそうなところもないし、誤って落っこちたのかな?このままじゃ干からびて死んじまうぞ、と思って捉まえて出してやろうと思ったら、まあよく逃げること。食われるとでも思ったんだろうな、めちゃくちゃ心臓をバクバクさせてたけど、何とか捉まえて外へ逃がしてやった。もう落っこちるんじゃないぞー。
 
 昼飯を終えて起点に向けて下りだすと。ふいに舗装区間が始まった。起点から12.5kmのキロポスト付近だった。あ、ここは前回来たときに均して舗装の準備をしてたとこだな。とうとうアスファルトが敷かれちまったかあ。
 
 ただ、その舗装区間も500m程で終わり、あとはダートが続いていた。恐らく雨裂で荒れた区間を最低限補修したってとこだろう。そう思うと、この御岳山線は本当に一般の通行者にやさしい林道なんだよなー。
 
 さて、県道に出るまではあと僅かだが、今日はこの左手の分岐に入っていくよ。林道古池線だ。
 
 ここは全線舗装のごく短い林道だが、ここでもアスファルトの継ぎ目から雑草が生えてきている。何とも長閑な光景だ(笑)。
 
 その古池線も、僅か200m程で県道37号線に接続して終了。写真の左手に御岳山線の起点が見えているけど、この2路線の起点はたったこれだけしか離れていない(笑)。
 
 これは古池線の起点標識。だいぶ擦れてしまっているが、まだギリ行け・・・ないか。池の字とかもう完全にアウトだなー。ただ、そのおかげで「荒川村」の文字が消されないままだったのはポイント高し。
 
 さて、その古池線の起点から県道を100m程東に進むと、お蕎麦屋さんへと入るこの分岐がある。ここを左折していくと、今日の目的の神社がある。
 
 お蕎麦屋さんを越えてすぐ、この三之鳥居へと至る。
 
 猪狩神社だ。今日はここのオオカミ像に会う為に御岳山線を走ってここにやって来たのだ。
 で、何でさっき古池線を通ってきたかというと、この猪狩神社があるのが贄川古池地区とのことで、その地区の名が付いた古池線を久しぶりに通ってみたかったというだけのことだ(笑)。
 
 三之鳥居、二之鳥居を越えてくると、道の脇に駐車スペースがあるのでここにBAJAを停めて歩いて行く。BAJA君、ちょっとここで待っててね。
 で、実はこの写真で既に目的のオオカミ像が見えているんだけど、どこだか分かるかな?
 
 一之鳥居の前で一礼をして、石段を上って行く。
 
 おっ、おおっ、見えてきたぞ・・・!
 
 本殿へと続く石段の袂に、1対の像が鎮座している。これが猪狩神社のオオカミ像だ。
 
 向かって左が阿の像、右が吽の像だ。このオオカミ像の造形が素晴らしく、俺にとってあまりにも「刺さって」しまい、しばらくここであらゆる角度から何枚も写真を撮って過ごした。
 ちなみにこのオオカミ像、阿がメスで吽がオスみたい。何で分かるかって?吽にはね、付いてるんですよ。まあ、あえてその写真は貼らないので、気になる人は見に来ると良いよ。
 
 それでは個別に見ていこう。まずは阿の像のサイドビュー。端正なニホンオオカミのシルエットを表した、実に素晴らしい造形だ。台座には「猪狩山」と彫られている。
 
 正面から。このお顔の造形も、見る角度によって様々な表情を見せる。
 
 お顔を左側面から。
 
 見て!阿の像のこの角度!ウェブで見たときに、一目惚れといってもいいくらいの勢いで突き刺さってしまったこの表情!このお顔が見たくて、今日ここまで来たと言っても過言ではないのだよ!こめかみの辺りにある、渦を巻いた毛並み(?)がいいアクセントになっていて、生物としてのリアリティと、眷属としての威厳を兼ね備えた素晴らしい造形だ。はあー、本当にカッコイイわあ・・・。
 で、先程も言ったとおり、こちらの阿の像はメスなのだが、本当にこの表情に惚れてここまで来たので、しばらくずっと阿の像ばかりを堪能していたのだが、こんなことをしてたら吽の像に怒られるかな、なんて余計なことを考えてしまった(笑)。
 
 続いて吽の像。こちらも端正なシルエットは変わらずだが、口を閉じた表情もあってか、阿の像よりもやや落ち着いた雰囲気を感じる。
 
 柔和な中にも知的ささえ感じさせる凛とした表情。惚れ惚れする美しさだ。
 
 お顔を右側面から。やや下から見上げたこの角度も実に美しい。
 
 お顔のアップ。眷属としての意志を湛えたような凛々しい目元。実在したその姿を生き写したんじゃないかというくらいに生命感の溢れる、阿の像にも負けない素晴らしい造形だ。
 
 これは阿吽ともになのだが、胴体にはしっかりとあばらの筋も掘り込まれている。痩身のニホンオオカミとしての特徴をしっかりと捉えている。何度も言うようだが、眷属としての神々しさと、生物としてのリアリティのバランスが本当に素晴らしい。
 
 台座には「昭和八年四月吉日 磯田忠吉」と書かれている。この名は、この像を彫った石工のもので間違いないだろう。磯田さん、細部にまで神経の行き届いた、感嘆に値する素晴らしい仕事でしたよ。
 
 
 ※2018/06/21 追記
 
 磯田忠吉氏は、調べてみると秩父郡の旧白川村で窮乏の村落の更正に奔走していた記録などもあり、村ではそれなりの実力者だったと思われます。そういった記録から、この台座に記された名は、奉納者としてのものだったのかも知れません。そのような立場上、優秀な石工に発注することも容易だったのかも知れず、結果このような素晴らしい造形のオオオカミ像が奉納されるに至ったのでしょう。磯田さーん、ありがとーう!
 
 
 さて、だいぶオオカミ像ばかりを堪能してしまったが、せっかくなので本殿も見て行きましょうか。
 
 この猪狩神社については、本殿の脇に案内看板が立てられていたので、詳しくは是非そちらを参照して頂きたく(人はそれを丸投げと言う)。
 
 こちらの象さんもなかなかに素晴らしい造形をしている。細かいところまで見て回ると地味に楽しいよ(笑)。
 
 本殿の側面には、中国の故事に倣った「韓信股くぐり」の彫刻がある。こちらも精密な造形でなかなかに見応えのあるものなので、訪れた際には併せて見てみるといいかも。
 
 それじゃ、そろそろ戻ろうか。でもその前にもう一度オオカミ像を見ていこう。
 
 どの角度から見ても実に美しい。埼玉のオオカミ像、写真ではいろいろ見てはいるけど、それらも含めた中で今のところ俺にとってのナンバーワンだ。
 というわけで(?)、「PHOTOS」のほうにも別カットを載せておいたので、良かったら見てってください。
 
 いやあ、感動しました。また会いに来ます。
 
 猪狩神社を後にして、この近くにもう一件オオカミを祀っている神社があるという情報があったので探してみたのだが、残念ながら見つけることは出来なかった。
 
 じゃあBAJA君、そろそろ帰ろうか。
 この次の週には、平年よりも2日程早く関東甲信越が梅雨入りした。今日は梅雨入り前のいい時期に来ることが出来て良かった。今年は林道を走りつつこうしてオオカミ像を巡ってみたいと思っているので、次はどこのオオカミ像を見に行こうかな。