太陽が眩しいこんな日は、お犬様に会いに行こう!
2019/05/11 埼玉県皆野町・狼信仰神社と近隣の林道-A
 
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 続いてやってきたのは、野巻地区の県道37号線から少し入ったところにある野巻椋神社。この左に折れる細い道に入っていくとすぐにある。
 
 社務所の脇にBAJAを停めさせてもらい、歩いて鳥居正面に向かっていくと、石灯籠の足元に小さな看板が見えた。
 
 うわ!めっちゃかわいい看板!きっと近所の人が手描きで作ったんだろうけど、すごく良い味わいがあるなあ。ただ、目的の為にはあまり目立ってないのが玉に瑕だけど(笑)。
 
 その看板を通過して神社正面に回りこむと、鳥居の前に1対のオオカミ像が鎮座している。これが今日2つ目の目的、野巻椋神社のお犬様だ。
 
 向かって右側のこちらが阿形。ここのお犬様も、痩身体型が良く表現されている。恐らくこれを造った石工も、生物としてのオオカミの姿を忠実に再現しようとしたのだろう。
 
 胴体正面から。かなりスリムな体型に造形されているのがよく分かると思う。
 
 頭部のアップ。突き出た眉の部分が非常に特徴的で、何かに困っているような表情をしている。そして、目の造形もまた特徴的で、目の輪郭を筋彫りしたような漫画的な表現となっている。
 
 向かって左側の吽形。先程の蓑山神社のお犬様と違い、実に日本らしさを感じる顔つきをしている。
 
 胴体正面から。尻尾が前足の手前にまで回りこんで、かなりの長さに造形されているのが分かる。
 
 頭部のアップ。閉じた口から出た犬歯がしっかりと掘られている。鼻筋の通った凛々しい造形だが、阿形同様こちらも困ったような表情を見せている。
 
 そして、阿吽共になのだが、前脚が非常に華奢に造られていることに驚く。実際、野生のニホンオオカミもこの程度の細さであったのだろうが、この細さの石像が、いままで倒壊することもなく、よく無事に残っていたものだ(台座を見ると、昭和32年に奉納されたもののようだ)。以前訪れた釜山神社のお犬様などを見ていると、尚のことそう思えてくる。
 
 せっかくなので、鳥居をくぐって拝殿にもお参りをしていこう。
 
 ふと上を見ると、正面の変額の隣に、木刀を奉納したもうひとつの変額があった。その上部には、木材の根の部分を利用したものだろうか、変わった形の突起があった。
 
 その突起部分をじっと見ていると、なんだかこれもオオカミの顔を象ったように見えてきて、あえてこの部分を利用したのだろうな、と思ってしまうのは考えすぎだろうか・・・。
 
 さあ、そろそろここを後にして、すぐ近くにある次の目的地へ向かおう。
 
 野巻椋神社に立ち寄ったということで、同じ野巻の名を冠する林道野巻線にも立ち寄って行こう。一見、まるで民家に向かう私道のようにも見えるが、ちゃんとこの奥に林道は存在する(笑)。
 
 この野巻線へ来るのは約7年半振りとなるが(え、もうそんなに経つの・・・)、起点から入ってすぐの地点で何かの工事をしていた。資材置き場でも造るのかな?
 
 あ、ここは良く憶えてるぞ。この大掛かりに岩を削り取った法面がとても印象的だった場所だ。前回は秋だったので紅葉に包まれた景色だったが、今日は新緑に囲まれて鮮やかな緑に染まっている。
 
 整然と並んだ杉の中を抜けていく。植林された杉林はそれほど楽しいわけでもないけど、こうして強い日差しが入ってくると、それだけで印象的な景色に様変わりする。日の光ってやっぱり大事だよなあ。
 
 起点から400mほどで路面は未舗装に。このくらいの林道だと、恐らく今後も路面の舗装状況は変わらないんじゃないかな。
 
 途中、印象的な橋があったのでBAJAを停めて撮影。前回は写真に撮っていなかったのか、全く記憶に無かった場所だが、こうして新緑に囲まれているだけで実に見栄えがする。
 
 終点に近づいていくと、次第に路面が荒れてくる。写真では分かり辛いが、路上には石くれが散乱し、更にはこんな大きな落石も放置されている。路肩にはガードレールも無く、その外側は深い谷となっている。前々回の転倒のように、何でもないところで突然足を取られることも有り得るので、殊更慎重に進んでいく・・・。
 
 やがて、起点から約1.4kmの地点で終点となった。この奥にも道が続いているが、あれは登山道なのでオートバイはこれ以上入らないように!
 さて、今日は近場をさっと散策するだけのつもりだったので、これでもう帰ろうと思っていたのだが、R140を寄居町方面に走っているとき、ふとひとつの林道のことを思い出した。そうだ、最後にあそこだけ見ていこう。
 
 そうして立ち寄ったのが、寄居町の林道馬騎ノ内線
 
 以前来たときはまだ文字が読めていた起点標識も、すっかり色褪せてほぼ文字も消えかけている。実はこの林道に来るのは12年振りとなるのだが、わざわざここに来たのには訳がある。以前、この林道の奥であるものを見つけていたのだが、その「あるもの」のその後が気になっていたのだ。
 
 

 
 これがその「あるもの」で、林道ではお馴染みのまといリスの描かれた「火気に注意」の看板が、成長する木に飲み込まれかけているものだ。前回来たときに見つけてとても印象的だったものだが、あれから12年を経て、いまはどうなっているのか確かめに行ってみよう。
 
 あ、ここは交差点!前回来たときは道の両側に看板が立てられていたのだが、今日は看板の手前になにやら張り紙が・・・。
 
 わ、わなか・・・。林道ではたまにこういう張り紙を見るけど、結構緊張するんだよな・・・。
 
 路面は起点から未舗装で、いま現在ストリートビューもここまでは入っていないが、非常に穏やかなフラットダートで、乗用車で走っても問題無いくらいの状態だ。
 
 そんな中を、例の看板を探しながらゆっくりと進んでくると、起点から500m程の地点で、道の左側にそれらしいものを見つけた。んん?あれか?何だか記憶にある看板と印象が違うような・・・。
 
 い、いや!間違いないコイツだ!以前来たときとあまりにも状態が変化していたので、最初それと気づかずにうっかり通り過ぎてしまいそうになったが、あれから12年を経て、こんなにも飲み込まれてしまったのか!予想外の変化の大きさに驚いて、ここでしばらく写真を撮りまくってしまった。
 
 前回見たときは、まだ看板の下半分程は見えていたのだが、今では看板の下部が僅かに覗いている状態となってしまっている。これ、このままあと何年かしたら完全に埋もれてしまうかもしれないな。これ、仮にあと何年かして完全に埋もれたとして、外からは全く見えないのに実は中に看板が埋もれてるって、そのことを考えるとちょっと怖くない・・・?
 
 あまりにも衝撃的だったので、帰宅後に12年前の写真と並べた比較画像を作り、ツイッターでつぶやいた。いつもはまといリスの看板の写真をツイートしても、数人の好きモノ(笑)が反応する程度だったので、まあ今回もその程度のつもりでいたところ、どういうわけか予想以上の反響があり、ツイッターをやりだして以来、初めて「バズる」というものを経験した。
 
 この後、このツイートがいくつかのネットメディアでも取り上げられ、更にはテレビのニュース番組から電話インタビューまで受けて、ナノレカワの肉声が全国のお茶の間に流れる事態に(笑)。わざわざ馬騎ノ内線の現地にも取材に行ったようで、まさか埼玉のマイナー林道の姿をテレビで観るとは思わなかったよ!世の中、何が受けるか分からないもんだねえ・・・。
 
 それにしても、前回訪れてから12年、看板が最初に木に飲み込まれ始めてからは20年くらいは経っているのだろうか、それくらいの年月でここまで飲み込まれてしまうのなら、かつて林業が盛んだった頃に、まだ若い木に括り付けられて、木の成長と共にこうやって姿を隠していったまといリスが全国にはたくさんいるんだろうなあ・・・。
 
 このままこの木が順調に成長を続けていけば、恐らくはあと10年もしないうちに、完全に飲み込まれてしまうだろうなあ。今後の状態の変化も非常に気になるので、今後は年に1回でも様子を見に来てみようかな、と思う。普段は誰も訪れないようなこんなマイナー林道でも、意外と面白い物件は転がっているモンですよ(笑)。