生きてる林道はどこにいる!?
2019/11/03-A 福島県南会津町・林道小塩・塩ノ岐線〜林道七ヶ岳線
 
@はこちら。
 
 国道289号〜国道401号を15分ほど走り継いで、続いてやって来たのは林道小塩・塩ノ岐線
 
 ここは、前回訪れたときには土砂崩れのためにこの地点で通行止めとなっていたが、今日はそのときにあったチェーンゲートが外され、林道は普通に開放されているようだ。ちゃんと通り抜けることが出来れば、ここから北側にある国号289号へと抜けることが出来る14kmほどのダート林道のようだが、あのときの土砂崩れは復旧されたということなのだろうか。
 
 ちなみに今日は無かったが、ストリートビューの2014年に撮影された画像によると、この地点には登山コースを案内する看板が立っていた。登山道があるおかげで、林道も開放されているのかも知れない。
 
 そういえばこのゲート地点の脇に、まといリスが置かれていたが、これは以前檜枝岐のほうでも全く同じものを見ていたので、今回は図鑑入りは無し。ただ、見出しこそ山火事注意だけどなぜか本文は山菜・きのこの採取禁止という仕様はかなり気に入っている(笑)。
 
 それではさっそく小塩・塩ノ岐線を進んで行こう。ふむふむ、なるほどこんな感じの道だったかあ。
 
 道は常に沢に沿って延び、荒々しい岩の転がる中を清涼な水が流れている。橋の欄干の古びた姿も素敵。
 
 こちらでも、山肌の木々は紅葉に染まり、沢沿いの景色と相まってなかなかに良い雰囲気を漂わせている。
 
 おおっ!洗い越しだ!しかもちゃんと水が流れてる!思いがけず洗い越しを目にして嬉しくなっちゃって、わざわざ前輪を水に浸して撮影(笑)。
 
 沢に合流する支流に掛かる橋を渡る。水は果てしなく綺麗だ。
 
 道のすぐそばに、紅葉の山肌が迫る。ところどころに立つ白樺が良いアクセントだ。先程の七ヶ岳線のような開放感は無いが、この谷合を潜り抜けるような道の姿も実に良い。
 
 ここはかなり古くからある林道なのか、沢を渡る橋はどれも年季の入ったもので、ここでも長い年月を風雨に晒され、角を落とした欄干が味わい深い姿を見せていた。
 
 進むに連れて、景色は秋色を深めていく。七ヶ岳線の紅葉も素晴らしかったが、こちらの美しさも全く引けを取らないものだ。
 ・・・それにしても、気づけばいつの間にか路上の轍が無くなっているんだが・・・?
 
 なんて思っていると、目の前に倒木が積み上がっているように見える場所があった。うっ、まさか通り抜け不可!?
 
 しかし、その倒木の向こうに、バイクのバックミラーが反射しているのが見えた。と、通れるのか?
 
 とりあえず先の様子が不安だったので、倒木の手前にBAJAを停めて歩いて進む。倒木は途中で切り取られ、バイク程度なら通り抜けが出来るほどの道幅は確保されていたが、そのすぐ先で、先程見えていたスーパーカブが停まっていた。ただ、車体にはジャケットが掛けられたまま、持ち主はどこかへ行っているようで、付近に人の気配は全く感じなかった。
 
 そして、道の先はどうなっているかと言うと・・・これは道の進行方向を写したものだが、恐らく土砂崩れによって出来たであろう土の山が、まるで最初からこういう地形であったかのように道を塞いでいた。
 
 これは、ひとつ上の写真から少し右方向へ視線を移し、沢に沿って延びているはずの道の進行方向を写したもの。しかし、ここからではこの先に道があるのかどうかすら判別できない景色になっている。これが、前回来たときの通行止めの原因となっていた土砂崩れなのかは分からないが、生い茂る雑草の様子を見ても、もう長いこと放置されたままなのではないか、という気はする。先程も触れたとおり、登山道があるために開放はしているものの、林道を完抜けさせるための復旧はもう諦めてしまったように見える・・・。
 
 林道の入り口からここまで、およそ4.4km。それほど長い距離では無かったが、それでも前回入れなかった林道をようやく走ることが出来て、しかもそれがこんなに美しい紅葉の中と言うこともあってとても満足した気持ちになった。全線通り抜けることが出来れば最高だっただろうが、まあそれは言うまい(笑)。
 
 小塩・塩ノ岐線を引き返し、七ヶ岳線まで戻って来た。もういちどここを走って帰ることにしよう。
 
 こちら側から入るとすぐに現れる、紅葉の鮮やかに染まった区間。
 
 先程よりもやや陽射しが戻って来た感じもあり、また復路ということもあって、また新鮮な気持ちで走ることが出来る。
 
 いやあ、素晴らしく美しいな。晴れていればもっと輝くような色彩が見れはするが、この薄曇りのなかの落ち着いた色合いも、これはこれでとても良いものだ。
 
 落ち葉に囲まれたS字カーブもとても素敵だ。
 
 本当に、今年は林道でこんな紅葉の景色が見られることは諦めかけていたからなあ。やっぱりここまで来て良かった。
 さて、いい加減腹も減ってきたので、どこかで飯にしたいな。富貴沢線の途中で道が広くなってた場所があったっけ、あの路肩辺りにでも行ってみようかな・・・?
 
 そんなことを考えながら進んでいると、斜面が伐採されて視界が開けている場所があった。そこから下のほうに延びる、いまはもう使われていないと思われる、消えかけた作業道の痕跡があったので、BAJAを降りて少し下ってみると・・・。
 
 おおおっ!これは良い景色じゃないか!よし、今日の昼飯はここに決定だ!
 
 往きには気づかなかったけど、良い場所を見つけられたなあ。久しぶりに暖かいコーヒーも淹れて、こんな景色を見ながらずいぶんとのんびりしてしまった。
 
 周囲にはそよぐ風の音しかしないほど静かなのだが、その中で、下のほうから沢水の流れる音が聞こえてくる。その音を辿って周囲を見回してみると・・・。
 
 おっ、あんなところに池がある。うわあ、綺麗だなあ。ここ、本当に良い場所だなあ。
 
 そんな素敵な景色の中での昼飯も堪能出来たし、そろそろ出発するとしようか。
 
 おっと、今になってだいぶ青空が出てきたぞ。もう少し早くこの陽射しが出てくれていれば(笑)。
 
 往きに印象的だった伐採された地点も、青空のおかげで先程よりもより爽快感が増している。
 
 林立する白樺が青空に映える。この季節ならではの景色だ。
 
 堰堤上の道からは、遠くの山の姿がくっきりと浮かび上がっているのが見える。
 
 道を囲む紅葉も、陽射しを受けて鮮やかさを増してきた。
 
 そんな中を走っていると、ふと道の脇に鹿の角が落ちているのを見つけた。これはたまたま生え変わったものが落ちていたのかな?林道で鹿を見ることは珍しくも無いけど、こういうものって意外と見掛けないんだよね。
 
 そうこうしているうちに、この林道随一のビュースポットまで戻って来た。
 
 紅葉に染まる山々の中を、遥かに連なる送電鉄塔が越えていく。しみじみと良い景色だ・・・。
 
 前日に見た情報のおかげで、急遽決めた福島ツーリングだったけど、本当に来て良かった。台風の被害も無くこのロングダートを走ることが出来たし、何よりここまでだったら以前思っていた印象よりも、意外とすんなり来れることも分かったし、この七ヶ岳線にはまた定期的に訪れてみたいと思った。来年は、新緑の景色も見てみたいし、何より、紅葉の景色を富貴沢線と併せて快晴の日にリベンジしたいぞ!また来るからな、待ってろよ七ヶ岳線!