2020年林道初め
2020/02/02 埼玉県秩父市・林道大達原線・他
 
 みなさんこんにちは。ナノレカワです。

 2020年を迎えて早くもひと月が経過したが、今年は年が明けてもなかなか林道に向かう気が起きなかった。それはやはり昨年の台風19号による被害が、いまだ復旧の目処もなく各地にその爪痕を残していることが理由だった。埼玉県内でも、特に中津川林道や林道広河原逆川線などの甚大な被害は、SNSでの拡散などによって多くの林道好きの知るところとなったと思う。
 毎年この季節は、各地の目ぼしいロングダートの冬季閉鎖などもあり、埼玉県内のマイナー林道を巡ることが多いのだが、台風19号の引き起こした被害によって、どれほどの林道が走れる状態であるのかも未知数で、例えば秩父農林進行センターのページでも、センターが管理する、数多くの被災した林道の通行制限の情報が掲載されている。
 そういったこともあり、今年の冬は、近場ではどこも走りに行ける林道が無いかもなあ、なんて思っていたが、ふと、その通行制限情報に掲載されている林道以外なら行けるところもあるんじゃないのか?なんて思ってしまった・・・。
 
 本日やって来たのは、秩父市大滝にある、国道140号から分岐する林道大達原線。ここに最後に訪れたのは2013年、そのときはまだ開削中の行き止まり林道だったのだが、その後グーグルマップを見ていると、いつの間にか完抜けした線形が描かれているのに気が付いた。今回秩父辺りの未舗装林道を思い浮かべて、そういえばあれ以来訪れてなかったなあと思い、埼玉林道マップの更新も兼ねて、久しぶりに行ってみようと思い立ったのが今日ここに来るきっかけだった。
 
 それでは早速進んでみよう。少し進むと、路肩に残雪が目立つようになって来た。少し前に、秩父方面でも割としっかり雪の降ったことがあったが、その後しばらくは秩父路面カメラでも路肩に雪の残る様子が見て取れた。今年は比較的暖かい日が続いているが、この辺りの日の当たらない山の中ではまだまだ融け切らないか。
 
 途中、大掛かりな法面の補強工事の現場があったが、今日は日曜日ということもあってか作業はしていなかった。
 
 お、ポテくまくんお仕事お疲れ様です!
 
 起点から1.7km程を経て路面が未舗装に切り替わった。舗装区間の延長は、以前来たときから変化は無いようだ。
 
 さらに進んでいくと、路肩に残る雪の割合も多くなって来た。
 
 日向はすっかりドライコンディションではあるのだが、ちょっと日影に入る区間はずっとこんな感じになってきた。しかも降雪からだいぶ日が経って、今年の暖かさで解けたり凍ったりを繰り返し、既にツルツルのアイスバーンと化している場所も出てきた模様・・・。
 
 そんな道を進んでくると、あと少しで日向に出るというところで、路面一面を残雪に覆われた地点に出てしまった。
 
 写真では普通に雪が残っているだけのように見えるかもしれないが、先程も書いたとおり、ここでも既にツルツルのアイスバーンとなってしまっていた。
 
 距離にしたらほんの50m程だと思うが、ここをBAJAで無事に通過出来る気はしないよ・・・。仮に上手く越えられたとしても、ここから下り勾配となっているこの道を、この先で何かあったときに上って戻れる自身は俺には無い・・・。
 
 で、結局BAJAを置き去りにして歩いて凍結箇所を越えてきたが、その先は暖かな日向となり、何の問題もないドライな道が続いていた。
 
 仕方ない、一旦ここは引き返すとしよう。ただ、道自体は既に抜けているはずなので、反対側から辿ってみることは出来るはず。そちらへ向かってみることにしよう。
 
 国道140号を奥秩父方面に走り、林道大輪線へと接続する終点側にやって来た。
 (写真左側が大達原線終点、右側が大輪線。)
 
 こちらは分岐から未舗装となっている。大輪線なんて、過去埼玉版に載せるために一度走っただけだったけど、いつの間にかこんな分岐する道が延びていたなんて、何とも感慨深い。
 
 おお、こんなストレートなんて素敵じゃないか!道を覆う杉林のせいで見晴らしこそ無いが、初めて走る区間ということもあって、俺はいま凄くワクワクしている!
 
 そのストレートの先のカーブを越えると、路肩に大きな岩が並べられていた。その先には、斜面が崩れている地点があるが、この大岩はあそこから転がり落ちて来た物だろうか。
 
 幸いにしてその土砂も車両が通れるように片付けられているのでそのまま通過してくると、またもや前方に不穏に堆積した土砂が見えた・・・。
 
 ・・・ああー、これは完全にアウトだ・・・。終点側から入っておよそ800m地点、路上に積み上がる土砂に阻まれ、これ以上進むことが不可能になった。
 
 これも間違いなく去年の台風19号による被害だろう。やはり先程の凍結区間を無理して越えないでよかった・・・。
 
 ガードレールも、こんなにもあっさりと押し流されてしまうなんて・・・。
 
 その土砂の上には、歩くために付けられたかのような溝があった。ちょっと登ってみるか。
 
 その歩道(?)の脇には、明らかに人の手による印が付けられていた。この様子を見ても、遠からず復旧の手が入るのは間違いないだろう。
 
 なんてことを考えながら土砂の頂点まで登り、前方を見ると・・・な、なんだこれは??
 
 この、鉄線で編んだ籠に砕石を詰めた構造物を「蛇籠(じゃかご)」と言うそうだが、その蛇籠がまるで柔らかいシリコンのようにグニャリと路上に押し流されていた。
 蛇籠は、一度崩れた斜面を応急措置的に復旧させる目的で設置されることもあるようで、前後のコンクリートブロックの法面が無事で、ここだけが崩れているところを見ると、もしかするとここは過去に一度崩れたのを蛇籠で仮復旧させたのかも知れないが、そう考えるとここは、よほど地形的に弱い地点なのだろうか・・・。
 
 その崩落の先で、道はカーブを越えて標高を上げて行くようだ。ここから先程の凍結区間まで、あとどれくらいあるんだろう・・・。
 って、あれ?まてよ?この線形、もしかして以前最後に来たときに見た末端の地点の先じゃないのか?だとすると、起点からあの地点までが約3.5km、終点からここまでが約0.8km、今いるこの地点から前回辿り着いた地点までの残りをだいたい100mと見積もって、この大達原線の総延長はおよそ4.4kmってとこか。うーん、起点から終点まで一気に走り抜けたかった・・・!
 
 今回、この大達原線全線を通り抜けることが出来なかったのは残念だが、完抜林道として完成した姿はこの目で見れたことだし、この崩落が復旧されたときにまた走ることを楽しみにしておこう。
 さて、せっかくここまで来たんだし、どうせならすぐ近くにある、行き止まりだが未舗装区間の残る林道上強石線にも立ち寄って行こうと思ったのだが・・・。
 
・・・。
 
 ああ、ここも駄目なのか・・・。まだ未舗装区間に辿り着いてもいないのにこの惨状とは・・・。まあ、大達原線とこの上強石線は本当に近い位置関係なので、同様の被害があってもおかしくは無いのだが・・・。
 
 行楽を免れた路上にも、割れたアスファルトや流されてきた砂利などが堆積し、とてもじゃないがこんなところをあえて進んで行こうなんて気は起きないよ・・・。
 
 先程の大達原線と、この上強石線の被害を見て、きっとこの周辺の林道はどこでもこんな被害を受けている可能性が高そうだなあ、なんて思ったらこれ以上林道を回っていく気分も失せてしまい、今日はこれで引き返すことにした。今日はこんな狭い範囲しか見ていないので何とも言えないが、もし秩父全域の林道がどこもこんな状態だったらどうしようという心配はある・・・。またそのうち日を改めて様子を探りに来てみるか。
 
---------------ここから先はおまけとなりますよ。---------------
 
 「これ以上林道を回る気分も失せた」とは言ったが、あと1か所だけ走っていくよ。
 国道299号を秩父方面に向かうときに、飯能の秩父御嶽神社の先から伸びる林道三社中沢線の起点が見えるので、いつもチェックしながら走るのだが、今日も走りながら見てみると、ここ数年長いことバリケードで閉鎖されていた起点が開いているじゃないか!
 
 というわけで、秩父からの帰りに久しぶりに立ち寄ってみることにした。国道から見えていた通り、バリケードは脇に寄せられ、乗用車でも通れるような状態となっている。
 
 起点標識は、藪に覆われてもはやその役目をどれほど果たしているのか・・・。まあ、一般に供するつもりがないのならこれでも問題は無いのかもしれないが・・・。
 
 それはさておき、早速進んでみよう。路面の情況は、以前来たときと比べても荒れた様子も無く、全く変化は無いように見える。
 
 この木製のガードレールの地点は、初めてここに来たときに、恐らく台風によって路肩が崩落していたのだが、去年の台風19号では全線を通して特に被害を受けることは無かったようだった。
 
 路面も、洗掘なども無くフラットな状態を保っている。秩父であれだけ猛威を振るった台風も、飯能辺りではそれほど被害を及ぼすことも無かったのだろうか。
 
 起点から約400mの地点で、左手に分岐する道が現れる。
 
 ここは、御嶽神社の参道へと通じる作業道だ。少しだけ進んでみたけど、ここも以前来たときから特に変化は無いようだったのですぐに引き返した。この先の様子は過去のレポをどうぞ。
 
 そこから100m程で林道は行き止まりとなる。ここも以前から全く変化は無いな、と思ったが・・・。
 
 いや、待て。ここから先に、明らかに作業道と思わしき道が延びているぞ。
 
 確かに、以前来たときもここからは杣道のようなものがあったのは見ていたが、いまここから見えているのは、明らかに重機によって開削された道だ。入り口の両脇にはチェーンゲート様のポールが立っているが、現状そこにチェーンは掛けられてはいない。
 
 ・・・んじゃあ、ちょっとだけ入ってみちゃおうかなー。さて、この道はどこまで続いているんだろう?
 
 なんて思ったものの、その道はすぐに急勾配の登坂となり、路面も荒れまくっていたので、すぐにスゴスゴと引き返しましたとさ。
 とりあえず、この三社中沢線もそこそこ急峻な地形の中にあるにも関わらず、去年の台風の被害が見られないのは意外だった。もしかして、飯能の林道はそれほど台風の影響が及ばなかったのか?秩父の林道の様子も気になるが、飯能の林道郡の様子も見てみたい気はする。うーん、次はどこに走りに行こうかなあ?